著者
飯野 秋成 大場 正昭 飯野 由香利 安中 哲夫 下地 恒英 小寺 定典
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.221-224, 2006-07-09

2005年の夏季に実験棟内で2人の被験者に、通風(平均風速0.5m/s未満と以上)、空調風(風向一定と変動)および扇風機風(風向一定と変動)の気流下において、温冷感、快適感および気流感に関して評価してもらった。本研究の目的は、これらの気流下における温熱環境評価の特性を明らかにすることである。本報では、これらの気流性状の特性について検討し、以下の知見を得た。1)通風は不規則に変動し風速も比較的速く、低周波成分が多く大きな渦が多い。2)空調風は規則的で低風速であり、高周波成分が多く、比較的小さい渦が多い。3)扇風機風は0.1〜1Hz周波数領域のパワースペクトルを最も多く含む気流で、3種類の気流の中で最も小さい渦を多く含む。風向が変動すると、エアコンや扇風機のスイングの周期に相当する周波数領域のパワースペクトルの割合が卓越する。
著者
井原 惇行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.485-494, 2008-08-01

このところ電気製品による事故が続き,社会問題となっている.2007年8月に発生した扇風機を火元とした火災事故では2人が亡くなったが,その後の調査で,老朽化した扇風機やエアコンなどを出火原因とする火災がこの10年間で400件以上起きており,多数の被害者が出ていることも明らかになった.一方で環境保全の観点から,3R(リユース,リデュース,リサイクル)の推進が叫ばれており,製品の耐用寿命に対する検討が緊急課題となってきている.電気製品は何故燃えるのか,再現試験や原因究明技術により検証する.更に古い製品の調査例から,使用中の電気製品がいつまで安全に使用可能か,電気製品の寿命と安全性について検討する.
著者
垣矢 直俊 桐谷 圭治
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.79-86, 1972-06-25
被引用文献数
2 8

固定飛しょう法を用いてツマグロヨコバイ成虫の飛しょう能力に及ぼす羽化後の経過日数(実験I), 親の産卵開始後の日齢(実験II), 飼育密度の影響(実験III)を調べた。実験Iの飼育は25℃, 24時間照明下で, 実験II, IIIのそれは30℃, 16時間照明下で行ない, 飛しょう実験は30℃の恒温室内で, 固定したテグスの一端に試験虫の前胸背板を固定し, 上方より螢光燈で照明, 前方より扇風機で1-2m/secの風を送りながら行なった。羽化後, 雌では2日目, 雄では4日目より飛しょうを始め, 雌雄とも羽化後約8日目に飛しょう時間, 飛しょう虫率ともピークに達した。この時期は産卵開始日(平均9.7日)の少し前であった。親の日齢の影響は若齢の親(産卵開始後1-3日目), 中齢の親(6-8日目), 老齢の親(9日目以後)に産卵された卵をとり, それに由来する子世代間で飛しょう能力と生理的諸形質(幼虫期間, 成虫寿命, 総産卵数, 日当り産卵数, 後翅幅/後脚脛節長)との関係を比較した。若齢の親に由来する子世代では飛ぶ個体は飛ばない個体に比べ, 生理的形質の悪化がみられたが, 老齢の親に由来する子世代ではその関係が逆転していた。したがって若齢の親に申来する子世代で定住型と移動型の分化がみられるが老齢の親に由来する子世代では単にVigourの強い個体がよく飛ぶということが推察された。幼虫期の飼育密度を変えた個体間では集合区(チューブ当り5頭)の個体が単独区の個体に比べ飛しょう能力が高かったのに対し, 生理的諸形質がすべて劣っていた。このことから幼虫期の集合飼育は定住型と移動型の分化を促すものと思われる。成虫期の飼育密度の影響は飼育密度が低かったせいもあってはっきりしなかった。
著者
田村 良文 石田 良作 星野 正生
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-9, 1981-04-30

本研究では秋季自然条件下に生長した栄養生長期のイタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物(NSC)の含有率およびそれに関連する特性の品種,あるいは個体間差異を究明し,育種への基礎的な資料を提供することを目的とし,本報では4倍体イタリアンライグラス28品種を用い,品種間差異を検討した。1)茎のNSC含有率については,Lolium multiflorumがL. westerwoldicumに比較して,また,L. multiflorumの中ではヨーロッパ原産の品種が日本およびウルグアイ原産の品種に比較して,あるいは晩生が早生に比較して高い値を示す傾向が認められた。また,この傾向は11月21日に比較して,より低温,低日射量条件であった12月12日においてより顕著であった。2)茎と葉身のNSC含有率間には高い有意な正の相関が認められた。3)アルコール溶性区分法により分画された単・少糖類およびフラクトサンのいずれの含有率にも明確な品種間差異が認められた。4)NSC含有率の品種間差異は主としてフラクトサン含有率の,とくに80%および70%エタノールにより抽出される相対的に低分子のフラクトサン含有率の品種間差異に起因しており,単・少糖類含有率の品種間差異とは明確な関係を示さなかった。5)草種あるいは原産地により分別された各品種群内では,NSC含有率が高いほどフラクトサンの平均的な重合度も高い傾向を示すものと推察された。6)NSC含有率と茎の乾物率間には,全品種を込みにした条件下で,極めて高い有意な相関が認められた。茎の乾物率はNSC含有率の品種間相対差を表わす指標になりうるものと考えられる。
著者
盛 大衛
雑誌
Cures newsletter (ISSN:09137181)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.5-6, 2000-03-01
著者
田中 正一 緒方 甫 蜂須賀 研二
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.369-372, 1990-09-01
被引用文献数
3

北九州市における地域リハビリテーション・システムを検討する目的で, 北九州市立障害福祉センターが行っている巡回機能訓練の実態調査を行った. 対象は巡回機能訓練に参加している52名(男性30名,女性22名)で平均年齢は61.2歳であった. 調査として, 面接による参加者のプロフィール, ADL評価(Barthel Index), QOL評価を行った. 訓練には満足している人が多く, その理由として, 同病の仲間の存在や外出の機会となる点をあげている反面, 訓練回数が少ないという不満があった. ADL評価は高得点でほぼ自立していたが, QOL評価は中等度の得点であった. 今回の調査から, 匡療との適切な業務分担と連携, 医療とは異なった観点からの訓練プログラムの作成, 訓練参加メンバーの長期固定化という検討課題が明らかとなった.(1990年5月15日 受付,1990年6月12日 受理)
著者
右田 雅裕 中村 良三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.2941-2944, 2000-10-15

2分探索木を通りがけ順になぞる並列アルゴリズムを並列計算機モデルCREW PRAMのもとで提案する.このアルゴリズムでは,はじめにオイラーツアー技法を用いて2分探索木のオイラー閉路を求め,その走査リストから簡潔で効率良く通りがけ順の値を算定する並列アルゴリズムを示す.この並列アルゴリズムの時間計算量は,節点の数を $N$ とすると,$O(N)$ のプロセッサを用いて通りがけ順の値を $O(?log N)$ 時間で求めることができる.We propose an efficient parallel algorithm to number the verticesin inorder on a binary search tree by using Euler tour technique.The proposed algorithm can be implemented in $O(\log N)$ time with $O(N)$ processors in CREW PRAM,provided that the number of nodes in the tree is $N$.
著者
大田 博樹
出版者
神奈川大学
雑誌
国際経営論集 (ISSN:09157611)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.79-89, 2008-10

本稿では、CSR報告書の保証の現状について調査するとともに、今後の課題について考察することを目的としている。まず、CSR報告書における保証を「自主審査」と「第三者意見」、「第三者審査」に分け、それぞれの特徴について整理した。そして、環境配慮促進法により特定事業者に指定されている独立行政法人の環境報告書の内容と保証の有無について考察した。また、一般企業のCSR報告書では、環境省と財団法人地球・人間環境フォーラムが主催する「環境コミュニケーション大賞」を受賞した報告書の保証の有無と内容について検討した。以上の調査から、CSR報告書における保証システムは報告書の内容の信頼性を高めるレベルには達していないことが明らかとなった。その背景には、まず、報告書の内容が広範に渡っている事が挙げられる。そのため、CSR報告書に対して保証を行う場合には、広範囲な知識が要求されることとなり、報告書全体の保証が難しくなっていると言える。第二に、保証を行うための社会的なシステムが整備されていないことも指摘できる。特に、実務では利害関係者と報告書作成組織、保証付与人との間で合意された基準が必要になるため、今後の議論が必要になると思われる。そして、第三に情報利用者側が求める「保証」と保証付与者の「保証」には少なからずギャップが存在している点が指摘できる。第四には、保証水準の曖昧さがある。CSR報告書の保証について明確な判断基準がないという問題がある。CSR報告書の信頼性を高めるためには、まず統一された報告書を作成することが重要で、その後、第三者意見と第三者審査の違いを理解し、それぞれの強みを生かした保証業務を行っていくことで、保証システムが有効に機能すると考えられる。
著者
佐野 隆弥
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
no.48, pp.109-123, 2005

1580年代後半から90年代前半にかけてイングランド史劇は第一の隆盛期を迎えるが、主題面から分類した時、主人公の英雄的行為や事績を取り分け前景化した一群の歴史劇の存在に気付かされる。対フランス戦におけるイングランド王や皇太子 ...
著者
加藤 博一 森長 健太郎 橘 啓八郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.227, pp.29-34, 2001-07-19

本報告では, 我々の開発した拡張現実感技術を用いたビデオ会議システムを紹介し, その有効性に関する評価実験について述べる.拡張現実感環境にいる会議参加者は, 実世界中の紙製のカードの上に会話相手のビデオ映像を見ることができる.また, カメラで撮影された矩形のビデオ映像はそのまま表示されるのではなく, 背景が除去された映像が表示される.これを仮想モニタと呼んでいるが, それは自由に移動させることができ, それにより会話を円滑に行うための空間的手がかりが利用可能となると考えた.評価実験の結果からは, ヘッドマウントディスプレイを装着する影響で目が覆われるという問題があるにもかかわらず, ビデオ映像が効果的に機能していることがわかった.
著者
太田 昌孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.349-354, 1998-04-25
被引用文献数
1

インターネットは爆発的に普及してきたが, その発展を支えたインターネット技術のエボリューションについて解説する.インターネット技術の開発はIETFによって行われ, 結果はRFC等として公開される.インターネット技術の中で最重要なインターネットワーキング層のIPは, より多くのネットワークをサポートできるよう, トランスポート層のTCPはネットワークの混雑に対処できるよう, データリンク層は様々なデータリンク層に対処できるように, それぞれ発展してきた.
著者
村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.362-370, 1998-04-25
被引用文献数
10

ATM技術の進展に伴い, マルチメディアの通信品質に関する研究がこれまで盛んに行われてきた.一方, インターネットにおいてはコンピュータ会議システムやインターネット電話などの実時間アプリケーションが既に利用されつつあるが, その品質が問題になっている.本稿では, まず, 現在のインターネットで用いられているベストエフォート型サービスについて説明し, その問題点を明らかにする.次にネットワークが通信品質(QoS)を保証するために必要な機構を述べる.最後に今後の課題として, 通信品質を保証するためにエンドシステム(コンピュータ)も含めたQoSアーキテクチャが必要であることを述べる.