著者
日高 洋
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.74, 2011 (Released:2011-09-01)

中央アフリカ・ガボン共和国東部オクロ鉱床は約20億年前に部分的に核分裂連鎖反応を起こした形跡のある「天然原子炉」の化石として知られている。核分裂によって多量に生成された放射性核種は現在ではすべて安定核種へと壊変し尽くされているが、その長期的挙動は安定同位体組成の変動から推定することができる。本研究ではオクロ原子炉関連試料のBa安定同位体組成変動から放射性セシウムの長期的挙動を推測した。
著者
一澤 圭
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.31-97, 2012-12-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
115
被引用文献数
1

アヤトビムシ科9属46種.ニシキトビムシ科3属3種,オウギトビムシ科3属7種,アリノストビムシ科2属2種,キヌトビムシ科2属5種について,科ごとの検索図および形質識別表を示し,各属・種の特徴を解説した.識別の指標となるおもな形質は,カラーパターン,ウロコの有無や分布,小眼数,口器・爪・跳躍器の形状,剛毛配列である.
著者
田中 健一 岡本 豊 竹岡 明美 井野 隆光 河野 茂勝 大幡 勝也 川合 満 前川 暢夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.199-206, 1984-04-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
3

喘息惹起を目的として作られた同じ動物モデルに鼻アレルギーが惹起できる可能性を示した.酢酸エチルに溶解した10%TDI溶液を1日1回連続5日間モルモット鼻前庭に塗布し, 3週間の無処置期間をおいて5%TDI溶液で同様の方法によりチャレンジした.この誘発法をその後週2回約3カ月くりかえした.誘発期間中呼吸困難の程度にかかわらず, くしゃみ, 鼻汁が動物に観察された.鼻汁中には多数の好酸球が認められた.組織学的検索においては分泌機能の亢進と共に, 好酸球浸潤, 肥満細胞の脱顆粒を示唆する像が鼻粘膜に認められた.TDI結合モルモット血清アルブミンを用いて鼻粘膜よりのヒスタミン遊離を検討した場合, 抗原刺激による有意のヒスタミン遊離増加が感作動物に観察された.実験結果は喘息と鼻アレルギーの発症機序に共通性のあることを示唆すると共に, TDIによる喘息モデルがアレルギーの基礎的臨床的研究にも適していることを示した.
著者
赤水 尚史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.763-768, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
11
被引用文献数
2

甲状腺中毒クリーゼは「生命が危険となるような激しい症状を呈する甲状腺中毒症」であり,多臓器における非代償性状態を特徴とする.甲状腺基礎疾患としては,Basedow病が最も多い.かつては甲状腺亜全摘術後発症する外科的甲状腺クリーゼが多かったが,現在は内科的甲状腺クリーゼがほとんどである.臨床症状に基づいて診断されるが,明確な診断基準は国際的にも確立されておらず,疫学データも乏しい.日本甲状腺学会と日本内分泌学会は共同して,『甲状腺クリーゼの診断基準の作成と全国疫学調査』を臨床重点課題と定め,新診断基準に基づいた全国疫学調査を実施した.その調査結果に基づいて,発症実態の解明,診断基準の改訂,予後規定因子の解析,治療指針の作成が予定されている.
著者
Yuta Seko Takao Kato Masayuki Shiba Yusuke Morita Yuhei Yamaji Yoshizumi Haruna Eisaku Nakane Tetsuya Haruna Moriaki Inoko
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Reports (ISSN:24340790)
巻号頁・発行日
vol.1, no.12, pp.617-622, 2019-12-10 (Released:2019-12-10)
参考文献数
25
被引用文献数
4

Background:The aim of this study was to evaluate the association of isolated tricuspid regurgitation (TR) with long-term outcome in patients with preserved left ventricular ejection fraction (LVEF).Methods and Results:We retrospectively analyzed 3,714 patients who had undergone both scheduled transthoracic echocardiography and electrocardiography in 2013 in a hospital-based population, after excluding severe and moderate left-side valvular disease and LVEF <50%. We classified patients into 2 groups: moderate to severe TR (n=53) and no moderate to severe TR (n=3,661). Next, we generated a propensity score (PS)-matched cohort: the moderate to severe TR group and the no moderate to severe TR group (n=41 in each group). The primary outcome was a composite of all-cause death and major adverse cardiac events. In the moderate to severe TR group, patients were older, and more likely to have higher left atrial volume index and E/e’ than those in the no moderate to severe TR group. In the PS-matched cohort, cumulative 3-year incidence of the primary outcome was 61.5% in the moderate to severe TR group and 24.3% in the no moderate to severe TR group (log-rank P=0.043; hazard ratio, 2.86; 95% CI: 1.37–6.37).Conclusions:Isolated moderate to severe TR is associated with poor clinical outcome in patients with preserved LVEF.

2 0 0 0 OA あえもの

著者
大久保 洋子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.158-161, 1994-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
3
著者
村尾 るみこ
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.69, pp.31-43, 2006-12-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
33
被引用文献数
2

アフリカの主要な作物であるキャッサバ (Manihot esculenta) は, 様ざまな環境で生育するため広域で栽培されている。本稿では, カラハリサンドという砂土が堆積するザンビア西部のキャッサバ栽培を取り上げ, 乾燥した環境でのキャッサバ栽培の特徴を例示することを目的とした。ザンビア西部でキャッサバを栽培するのは, アンゴラから移住してきた人びと (移住民) である。移住民はカラハリ・ウッドランドのみに焼畑を造成してキャッサバを栽培し, 一年を通して自給と販売に利用する。ここでのキャッサバ栽培の特徴は, 周年収穫するために複数の畑をもち, 各畑で生育段階の異なるキャッサバを栽培することや畑を放棄するまで16年と長期間連作することである。また長い良質の種茎を植えるのも特徴的で, これはキャッサバの耐乾性のメカニズムと深く関係している。さらに注目すべきは, 耐乾性に優れる苦味種を選択的に栽培することである。これらの特徴は, 移住民が乾燥した環境で生活を再編するなかで, キャッサバの特徴を品種ごとに見極めながら, 収量を確保しつつ, 栽培の継続と商品価値の高い塊根の生産ができるよう工夫してきた結果でもあるといえよう。
著者
杉山 登志郎
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-40, 2002-04-25 (Released:2009-11-18)
参考文献数
16

高機能広汎性発達障害への言語治療について私見を述べた.自閉症児への言語治療はすでに長い歴史を有する.集中的な治療が自閉症の根本治療としてもてはやされた時代もあったが,現在では他の発達障害と同様に,自閉症にもコミュニケーション全体の改善を行う一環として行われることが多くなった.もちろん従来の構音治療や語理解訓練も重要ではあるが,自閉症の言語障害の中核が語用論的障害であることが明らかになった今日,この語用障害への言語治療ができなくては,自閉症のコミュニケーション指導にはならないであろう.新世紀を迎え,自閉症児への言語治療が新たな展開をみせることを期待するものである.
著者
村田 伸 大田尾 浩 村田 潤 宮崎 正光 甲斐 義浩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1O2020, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】高齢者や身体障害者の下肢・体幹機能を定量的に測定する方法は、等速性筋力測定機器やハンドヘルドダイナモメーターによる筋力測定、または立位における重心動揺の測定などが一般的である.しかしこれらの方法は、使用する測定機器が高価なものが多く、測定できる臨床現場は限られている.そこで演者らは、高齢者および脳卒中片麻痺患者の下肢・体幹機能を簡便かつ定量的に評価する方法として、市販体重計を用いた座位での下肢荷重力測定法を考案し、その測定値の有用性について検討したので紹介する.【方法】測定は座位姿勢で、足底に置いた体重計を垂直方向に最大努力下で左右別に3秒間押すのみである.測定は左右2回ずつ行い、左右の最大値を合計して下肢荷重力(kg)とし、体重比百分率(%)に換算して分析した.なお、下記に示す健常成人ならびに要介護高齢者には、研究の趣旨と内容および被験者にならなくとも不利益が生じないことを十分に説明し、同意を得て研究を開始した.【健常成人における検討】座位での下肢荷重力が、下肢や体幹の機能を反映しているのか否かを検討するため、健常成人31名(男性12名、女性19名、平均20.4±0.6歳)を対象に下肢荷重力、下肢筋力(大腿四頭筋筋力)、体幹機能(坐位保持能力)を測定し、それらの関連性を分析した.相関分析の結果、それぞれに有意な正相関(0.46~0.66)が認められ、下肢荷重力は下肢筋力および体幹機能と密接に関連していることが示唆された.【要介護高齢者における検討】座位での下肢荷重力測定法の再現性と妥当性を検討するため、介護老人保健施設に入所中の43名(84.8±6.5歳)の要介護高齢者を対象に、下肢荷重力、Barthel Index(BI)得点、歩行能力を測定し分析した.テスト-再テスト法による級内相関分析の結果、下肢荷重力はICC=0.823という良好な再現性が認められた.また、下肢荷重力とBI得点とは有意な正相関(0.75)が認められ、自力歩行が可能だった25名の下肢荷重力と歩行速度とも有意な正相関(0.53)が認められた.さらに判別分析の結果、歩行可能群(25名)と不可能群(18名)を最もよく判別する下肢荷重力体重比の判別点は42.9%であり、判別的中率は86.0%であった.なお、下肢荷重力体重比が50%以上であれば、対象とした全ての高齢者が歩行可能であった.【考察】これらのことから、本測定法は大まかな基準ではあるが、高齢者の簡易下肢・体幹機能評価法として有用であることが示唆された.とくに、坐位で測定が可能なため、立位や歩行が困難、あるいは治療上立位動作が許可されていない高齢者の予後予測に使用できる可能性が示唆された.なお学会当日は、脳卒中片麻痺患者を対象とした研究結果や本測定法の限界についても報告する予定である.
著者
松本 昂大
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.86-102, 2016-10-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
24

本稿では,移動動詞に係る格助詞「より」と「を」が,「起点」と「経路」のどちらを表すかを検討する。「より」「を」を承けるかどうかと,その助詞が「起点」と「経路」のどちらを表すかという観点から,移動動詞をA~D類の4種に分類した。A類の動詞は,「より」「を」を承け,「より」は「起点」と「経路」を表し,「を」は「起点」のみを表す。B類の動詞は「より」,C類の動詞は「を」,D類の動詞は「より」「を」を承け,それらはすべて「起点」のみを表す。D類の「出づ」は「出現」を表す場合は「より」,「出発」を表す場合は「を」と結びつくという傾向が見られ,「出現」はB類,「出発」はC類の動詞と意味的特徴が共通する。以上のことから,助詞の用法は移動動詞の意味的特徴によって決定されるということを主張する。
著者
山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.187-195, 2013-11-20 (Released:2016-08-10)
被引用文献数
2

情報化の進展により,学校教育外の学習機会が増加している.本論文では学校教育外の学習機会についてインフォーマル学習に関連する概念を整理した上で,教育工学会誌にこの10年間で掲載されたインフォーマル学習に関する研究の動向をまとめた.その結果,生涯教育施設でのインフォーマル学習・職場や仕事に関するインフォーマル学習・大学の課外活動におけるインフォーマル学習・ワークショップとインフォーマル学習・その他の領域のインフォーマル学習・インフォーマル学習の方法開発の6領域にわたる研究が行われていることが明らかになった.これらの既存の研究の課題をもとに本特集号の論文の位置づけを解説し,今後の展望について述べた.
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 千綿 俊機
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.109-114, 1971-10-01 (Released:2017-09-27)

この研究は大学生の体格(身長,体重,ローレル指数),体力(体力診断テスト),性格(Y-G性格検査)の相互関係を明らかにするために行ない,つぎの結果を得た.1. 体格と体力の関係:体型の中間型が体力にすくれ,細長型が劣っていた.身長,体重と体力の間に有意味の関係があることが明らかになつた. 2. 性格と体格の関係: E類型に細長型が多く, Y-G得点では細長型と肥満に近い型には差はなく,中間型に比較し細長型は神経質大で,肥満に近い型は劣等感大であつた.また,外向的な学生は平均型の学生より体重が重かつた.3. 性格と体力の関係:D類型が最も体力がすくれE類型が最も体力の低い学生が多かつた.また,体力の低い学生は体力の高い学生に比較し劣等感大,神経質大,主観的,非協調的,のんきでない,服従的,社会的内向であつた.積極型の学生は消極型の学生より筋力にすくれていた.
著者
中山 良男
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.412-420, 2005-12-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

野外での大規模な爆発実験は,爆発現象の規模効果を検討するための重要な研究手法である.ここでは,国内において行われた大規模野外実験の例,文献調査によるTNT や開放空間におけるガス爆発などの代表的な研究を概説する.つぎに,筆者らが行っている野外実験の実施方法や計測方法について具体的に紹介する.最後に,研究事例として筆者らが行った水素の爆発実験について報告する.