著者
赤間 美文 菅野 等
出版者
明星大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

研究実績の概要は下に示した3つの内容に分けられる。1)希土類元素を含む硝酸塩、リン酸塩ガラスを調製し熱分析し系列内での変化を調べたところ硝酸塩ガラスの場合、結晶化温度と液化温度の間には興味ある関係が存在することが明らかとなった。また、リン酸塩ガラスの場合には、ガラス転移温度(Tg)の値はLaからLuにかけて次第に高くなり水溶液系ガラスで見られるような変化が認められ、水溶液系と同様に系列内で配位数の変化が起こることが明らかになった。2)EuCl_3とGdCl_3の水溶液(R=25)にHCl,LiClおよびCsClを別々に加えた溶液のラマンスペクトルを測定し、内部水和数の変化の異常濃度依存性について検討した。その結果、溶液中の水の量が少なくなるにつれて水和希土イオンの内、8配位より9配位の方が数が多くなるという一見異常な現象が認められた。これは、外圏錯体の生成によって異常濃度依存性が生じるという考え方で説明できるものと思われる。3)Lu-PMBP錯体を合成しIRスオエクトルを測定した。120-630cm^<-1>の領域では、配位子と金属の結合によるピークが410および340cm^<-1>付近に認められた。そこでピーク位置の系列内での変化についてプロットしたところLaからLuにかけて次第に高波数側にシフトしているが、Tbのところで大きく変化することが分かった。この変化は、希土類元素のf軌道の電子配置に対応しているように思えるがこれに関しては検討中である。なお、テトラド効果などといわれている不規則な変化は認められなかった。今後は、希土類元素を含むゲルマニウム酸塩ガラスの系列内でのTg変化をみる。更に、異常濃度依存性が非水溶媒系においても観測されるかどうかについて検討する。
著者
佐藤 恭一
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

回転と直動の運動の組み合わせは,工作機械における穴加工,穴の内径研磨など,多くの産業機械に見られる運動である.通常は,回転運動を回転型のモータに,直動運動をリニアモータに,それぞれ独立して負担させ,この二つのアクチュエータを結合することにより,回転・直動の二自由度運動を実現している.本研究では,この二自由度運動の一つのアクチュエータシステムによる実現と,駆動デバイスの小形化・高機能化をはかること目的に,リラクタンス力により回転力を発生するスイッチトリラクタンスモータ(以下SRMと記す)に着目した.従来の回転型SRMに,固定子磁極の回転軸方向の磁束密度分布を制御する機能を付加することにより,リラクタンス力によってトルクと同時に軸方向推力も制御することを可能とした.これにより,出力軸の回転と軸方向のストロークを両立するモータ機構を試作レベルで開発した.その諸元は次のとおりである.構造(突極:回転子4極,固定子6極),定格出力400W,定格回転数2000rpm,軸ストローク40mm,軸方向推力30N.このモータ機構を実用レベルとするために,「回転・直動する出力軸の回転角度と軸方向変位の同時検出法の開発と,回転・変位センサのSRM内への搭載」,「回転速度・トルクと軸速度・推力の制御法の確立」,「二自由度SRMの電磁気的および機械的最適設計」の課題に取り組み,各課題解決の指針を提案した.さらに,制御性能を維持しつつ,モータ駆動電気回路の電流センサの個数を低減する回路を提案し,実機試験によりその有用性を確認した.
著者
久野 義徳 小林 貴訓 Lam Antony 福田 悠人
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

まばたきはほとんど無意識のうちに行われているが、コミュニケーションの過程との関連が指摘されている。相手の話を理解して聞いているときは、相手のまばたきに同期して聞き手にまばたきが生じる。そこで、人間と円滑にコミュニケーションできるロボットの実現のために、ロボットのまばたきについて検討した。その結果、ロボットが話し手の場合、聞き手の人間は相手が人間のときと同様にまばたきの同期現象を示した。相手のまばたきをカメラ画像から検出して、それに同期してまばたきのできるロボットを開発した。これを用いて、ロボットが聞き手の場合の効果について実験したが、明確な結果は得られなかった。今後さらに検討が必要である。
著者
福島 鉄也
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

オーダーN・全電子・フルポテンシャル遮蔽KKRグリーン関数法に基づいた電子状態計算パッケージKKRnanoに局所構造解析プログラムを組み込み、ユーリッヒ研究センターのBlue Gene/Qと理化学研究所の「京」上でプログラムの最適化チューニングを行った。 実際に開発したKKRnanoプログラムを、世界で初めて高エントロピー合金、熱電物質、太陽電池材料、永久磁石材料等に適用し、局所環境効果が電子状態や磁気特性等の物性に与える影響をミクロな立場から理論的に解明した。
著者
平野 和彦 中村 聡 馬 燕
出版者
山梨県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

康有為は中国清末の思想家、政治家である。変法運動の中心的存在でとして影響を与えたが、1898年の戊戌政変(百日維新)の失敗後、康有為は中国を離れて日本経由で長い海外亡命生活を送ることになる。その前後の思索をまとめた『大同書』は後世の思想家に大きな影響を与えた。本研究で扱った康有為自筆資料は、特にその海外亡命時代と中華民国になって帰国後に書かれた詩文で、先行研究との間に、多く文字の異動が見られるものや、筆写した年代が異なる資料が散見され、比較研究によって康有為の足跡をより明瞭にする研究となった。
著者
浅野 路子
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

ASD児を対象とした研究では、子どもの向社会性の獲得には、母親だけではなく父親の応答や働きかけが重要であるとの報告があり、父親の子どもとのかかわりの重要性が示唆されている。しかしながら、父親の相互作用に関連する神経基盤を明らかにした研究は未だ無い。また、父親と母親では、子どもに対する評価に違いがあるとの報告があることから、相互作用に関連する神経基盤に違いがある可能性がある。本研究では、定型発達児の父母とASD児の父母を対象に、父子間および母子間の相互作用の質を評価し、その質と神経基盤との関係を明らかにする。さらに母親の神経基盤と父親の神経基盤の違いを明らかにする。
著者
宮内 輝幸 奥村 康 平野 隆雄 片山 仁
出版者
順天堂大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

近年、医療の分野における診断器機はめざましい発展をとげており、とりわけX線CTやDSAなどの開発・改良は著しく、もはやこれらなくしては高度医療が成り立たなくなっているといっても過言ではない。その結果として必然的に水溶性ヨード造影剤の使用頻度が増し、それにつれて多彩な副作用の発生が臨床上重視されている。しかしながらその発生機序についてはすべてが解明されているわけではなく、一部の症状では明らかに何らかのアレルギー反応の関与が疑われるものの、良好な実験モデルが作成できないことなどの理由から、とくに免疫学的機序の研究が遅れている。そこで我々は、今後の研究の展開の一助となることを期待して、実験系の確立すなわち動物(マウス)の免疫方法、抗体産生系の確立および免疫学的検出法の確立をめざし、以下の実験方法を試みた。抗マウス抗体であるDNP-KLHをBALB/cマウスに免疫し、血清中のIgEを増加させる抗体産生系を確立させ本研究に応用した。DNP-KLHを免疫した群と水溶性ヨード造影剤だけで免疫した群、さらに両者を同時に免疫した群にわけて、各群のIgE抗体産生の程度を比較した。抗体検出方法としてはELISA、PCA、FACSを用いた。その結果、1.水溶性ヨード造影剤は免疫反応に直接的には関与しない。少なくとも抗造影剤抗体の存在は否定的であると考えられた。2.しかしながら、水溶性ヨード造影剤の存在下で本来のIgE抗体産生が増強する可能性がある。3.この反応・変化にはインターロイキン(IL-4)が関与していると考えられた。4.現在までのところ造影剤の種類(イオン系と非イオン系、モノマー型とダイマー型)によって免疫反応への影響の仕方に有意差があるかどうかについては断定的な結論は出せない。遅発アレルギーの検討とあわせて今後に残された研究課題と考える。
著者
中野 幸夫
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

気相ヨウ素分子が大気中に放出されるとヨウ素エアロゾル生成を引き起こす。この気相ヨウ素分子の大気中への生成の新たな過程として,海洋中のヨウ化物イオンの光分解が一つの候補として考えられる。しかし、この生成過程が大気環境に与える影響の評価は未だ行えていない。本研究では,この過程による気相ヨウ素分子生成量の水素イオン指数,溶存酸素量,ヨウ化物イオン濃度など海洋条件における各パラメータ依存性について高感度分光測定法を用いた実験的決定の研究を行った。その結果を用い、この過程が実際の大気環境へ与える影響力についてのモデル計算を行い評価した。
著者
鈴木 真弥
出版者
東京外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究はグローバル化の趨勢が指摘されるインドにおいて、急速に変貌しつつあるカーストとダリト運動の動態を検討すると同時に、英国のダリト移民にも注目することで、人びとのカースト意識やダリト運動の展開に与える影響を検討した。バールミーキ・コミュニティを事例として、インドで1990年代以降から試みられてきた公益訴訟という手法を活用して自コミュニティの権利や不平等を訴える動きを分析した。さらにバーミンガムのバールミーキ移民に着目し、ライフヒストリー、カースト差別の経験、カースト別の宗教・社会活動を検討することにより、英国のカースト問題や国境を越えた運動のネットワーク形成の可能性と課題を明らかにした。
著者
佐藤 格夫
出版者
日本歯科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

咬合様式の違いによる義歯床への影響を検索するため下顎義歯床の歪みを測定するには、床の形態,床の厚さ等の条件を被験義歯間において一定にすることが難しかったため、レデュースドオクルージョン,リンガライズドオクルージョン,フルバランスドオクルージョンの咬合を付与するために用いられるコンデュロフォーム,リンガライズド人工歯,リブデントFB20の各種人工歯における上下右側第一大臼歯を用いて、疑似モデルを作製して応力分析を行った。上顎人工歯は定荷重圧縮試験器に、下顎人工歯はアクリル板にそれぞれ即時重合レジンにて取り付けた。アクリル板の頬舌側相当部には歪みゲージを取り付け、上顎人工歯を2Kgの荷重で高さ3cmから落下させたときのアクリル板に及ぼす応力を繰り返し3回にて測定した。上下人工歯が嵌合した状態を基準として、咬合面に疑似食品としてオクル-ザルインディケ-ティングワックス1枚を介在させ3種類の咬合様式について歪みを測定した。疑似モデルのアクリル板に及ぼす影響は、義歯床にも同様に加わるものと考えられる。また、その違いによって義歯の有用性の評価につながる1要因となる。各種咬合様式における歪み量は、フルバランスドオクルージョンが最も大きく、ついで、リンガライズドオクルージョン、レデュースドオクルージョンの順となった。疑似食品としてワックスのみを用いたため、食品のもつ種々の性質は網羅できていないと思われ、この面から明らかでない部分もあると考えられるが、3種類の咬合様式で義歯床に及ぼす影響はレデュースドオクルージョンが最も小さいと推察される。
著者
飯島 渉 橋本 雄太 市川 智生 五月女 賢司 中澤 港 井上 弘樹 高橋 そよ 後藤 真
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

COVID-19のパンデミックの歴史化をめぐっては、個人的な記録や記憶など、感染症対策への反応を示す資料群の整理・保全が必要である。そのための仕組みとして、国立歴史民俗博物館が運用しているクラウドソーシング・デジタル・プラットフォームを援用し、「コロナ関係資料アーカイブズ」(仮称)を構築・運用する。COVID-19のパンデミックの感染状況などの基本的な状況を示すデータを組み込む。中澤港(神戸大学)が整理・公表してきた時系列的な感染の推移データを基本とし、国別の状況も組み込む。持田誠(浦幌町立博物館)、五月女賢司(大阪国際大学)、高橋そよ(琉球大学)の収集資料などを、デジタル化して組み込む。
著者
光本 滋
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「1968年」の大学改革は、欧米では新しい社会批判の理論や社会運動の生成などとも絡めて旺盛に研究されている。日本でもこの時期、各大学でとりくまれた改革は大学の課題をほぼすべて取り上げており、改革の方向としても優れたものを豊富に含んでいた。にもかかわらず、大学はその成果を継承し発展させることができていない。それはなぜなのか。この問いに答えるために、本研究は、「1968年」を歴史的な参照点とし得ていない、日本の高等教育研究の水準が何によってつくりだされたのかを検証する。そのために、同時代の大学改革の内実を明らかにし、理論・実践の到達点と高等教育論の展開に資する視点および課題を明らかにする。
著者
松原 隆彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

高赤方偏移宇宙の大規模構造からいかにダークエネルギーをはじめとする宇宙論的な情報を得るかについて、解析的な方法と数値的な方法の両面から詳細に研究した。とくにバリオン音響振動を用いてダークエネルギーの制限を得るために必要な理論的に強力な手法を開発した。そして実際のSDSSデータを解析した。さらに、宇宙初期状態を探るために重要な、ゆらぎの非ガウス性に関する情報を得るため、必要な理論的手法を確立した。その手法を用いて、宇宙マイクロ波背景放射温度ゆらぎのデータを解析した。
著者
杉山 直 野尻 伸一 市來 淨與 辻川 信二 西澤 淳 松原 隆彦
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

Planckを中心とする最新の天文観測データを用いてダークエネルギーモデルに対する制限を得た。理論的に動機づけされた様々なダークエネルギーモデルの提案を行うと共に、現在の観測を満足する理論のパラメータ領域を求めた。ダークエネルギーとダークマターが相互作用を持つモデルにおける宇宙論的摂動論を構築し、そのようなモデルは宇宙の構造形成を遅くすることを見出した。宇宙大規模構造に形どられたボイドの数密度やサイズに対するダークエネルギーの密度揺らぎの影響を定量的に明らかにし、Alcock-Pachinskyテストによりダダークエネルギーの密度と状態方程式への制限が偏り無く行えることを示した。
著者
松原 隆彦
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

宇宙論的な非線形摂動論における独創的な理論手法である「統合摂動論」の枠組みの中では天体のバイアスを一般的に扱うことができる。天体バイアスの具体形については不定性があるが、バイアス関数というものが重要な役割を果たす。本研究では、いくつかの異なるバイアスモデルについて具体的にバイアス関数を求めることに成功した。さらにそれを用いて最終的な観測可能量であるパワースペクトルや相関関数などがバイアスの違いによってどのような影響を受けるかを系統的に調べた。その結果、大スケールになるほど、また、高赤方偏移になるほど、バイアスモデルによる違いは小さくなることを明らかにした。
著者
松原 隆彦
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

宇宙の大規模構造という観測量から、初期宇宙の物理を探求するための手法を模索する。これまでに研究代表者は、大規模構造の統計量について準非線形領域で力学的な統計解析を系統的に行う手法である統合摂動論を確立した。この理論を初期宇宙における具体的な問題に応用することにより、独創的な成果を得ることができる。具体的な研究課題は2つある。ひとつめは、インフレーション理論において励起される可能性のある初期ゆらぎの非ガウス性を宇宙の大規模構造の統計解析によって制限することである。ふたつめは、初期宇宙に形成される可能性のある原始ブラックホールがどのような空間的分布をするのか調べることである。
著者
吉田 栄人 水上 浩明 伊従 光洋 山本 祐太朗 小川 良平 水野 哲志
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

ワクシニアウイルスワクチン株LC16m8deltaとアデノ随伴ウイルスAAVよりなる独自のワクチンプラットフォーム(LC16m8delta/AAV)を技術基盤とし、三日熱ワクチンを開発する。三日熱マラリア原虫の感染防御・伝播阻止標的抗原遺伝子を導入したLC16m8delta/AAVワクチンを作製。動物免疫-感染チャレンジ実験(マウスモデル)および感染者血液を用いた人工膜蚊吸血実験を実施し,3年間のマイルストーンとして感染防御効果>90%、伝播阻止効果>90%の数値目標を設定するアウトブレイクが危惧される新興・再興感染症に対しても,汎用的な純国産ワクチンプラットフォームを提案する。
著者
角田 肇 吉川 裕之
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

子宮頸部に発生する扁平上皮病変(扁平上皮癌を含む)はその原因としてHPV(Human papillomavirus)が関与していることが明らかにされているが、腺癌においても同様に発癌関与している可能性がある。子宮頸部腺癌におけるHPV陽性率は報告によって30〜90%とばらつきがあり、また腺癌病変の周辺にはしばしば扁平上皮病変を伴うため、これまでの報告が腺癌部の感染の状態を正確に反映しているか、あるいは扁平上皮に感染したHPVを観察しているのかははっきりしない。本研究ではLaser capture microdissection法により、子宮頸部腺癌部のみのHPV感染を厳密に確認することで、腺癌においても扁平上皮癌と同様にHPV感染が発癌の契機となっているのかを検討した。子宮頸部腺癌症例60例(類内膜腺癌19例、内頸部型37例、腸型1例、低分化腺癌2例、未分化腺癌1例)についてLaser capture microdissection法を用いて腺癌部のみを扁平上皮部、間質と別に採取し、コンセンサスプライマーを用いたPCR-RFLP法によりHPVのタイピングを行った。腫瘍部のHPV感染の有無を検討すると60例中38例(63.3%)でHPV感染を認めた。内訳は内頸部型37例中21例(56.8%)、腸型1例は陰性、類内膜型19例中15例(78.9%)、低分化腺癌2例中1例、未分化腺癌1例中1例であった。陽性例38例中32例が18型に感染していた(複合感染7例を含む)。一方、扁平上皮病変(CIN)では検討が可能であった16例中5例(31.3%)でHPV18型に感染していた。腺癌部と扁平上皮部で異なる型のHPVに感染している症例はなかった。以上より扁平上皮の混入をなくした頸部腺癌細胞そのものにHPV感染が認められることが明らかとなり、18型感染が優位であることが確認された。また、共存する扁平上皮病変と同一の型のHPV感染であることを証明した。
著者
吉川 雄一郎 松本 吉央 熊崎 博一 上出 寛子 内田 貴久
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

発達障害者の孤立が社会問題となっている.これに対し本研究では,人が遠隔地から操作するロボットの傍に別の自律型ロボットを配置し,これら2体のロボットが生み出す対話にロボットの周囲にいる人々を引き込むことで,発達障害者がコミュニティの人々と交流できる対話システムを実現する.このために,人々との過去の対話内容を基に新たな対話をし続けられる自律型ロボットを開発し,これを発達障害者が操作する遠隔操作型のロボットと連携させることで,継続的な対話を生み出す対話支援システムを開発する.そしてこれを発達障害者のコミュニティに設置し,継続的な交流支援を実現する.
著者
小熊 剛
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

真菌は難治性呼吸器感染症の原因となるが、時に全く病態・治療の異なるアレルギー性気管支肺真菌症などの難治性アレルギー疾患も引き起こす。その原因真菌はアスペルギルスの頻度が最も高いが、一方、真正担子菌でいわゆるキノコの一種であるスエヒロタケなども原因となる。本研究では、実際の疾患の患者喀痰などから培養された真菌を用いて、真菌が難治性アレルギー疾患を引き起こす機序を培養細胞やマウスモデル系を用いて解析する。さらに市販の1200種以上の薬剤セットのスクリーニングによる新規薬剤の創出(ドラックリポジショニング)、環境真菌の無毒化システムの構築、により新たな治療の構築を目指す。