著者
崎山 朝子 大平 栄二 佐川 浩彦 大木 優 池田 尚司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.182-190, 1996-02-25
被引用文献数
60

本論文では, リアルタイムで3次元コンピュータグラフィックスの手話アニメーションを合成する方法と, その評価について述べる. 聴覚障害者に, より多くの情報を, 状況に合った手話表現で迅速に伝えられるようにするためには, 変更が簡単なコンピュータグラフィックスで手話が表示できる必要がある. 本研究では, 自然な手動作を実現するために, 人間の手動作を計測したデータを用いて手話アニメーションを合成した. また, 3次元空間の手の位置関係を正確に伝えるために, 遠近表現を誇張する方法を開発した. 更に, 作成した手話アニメーションと日常で用いられている実写画像の自然さとわかりやすさをSD法を用いて評価し, 両者を比較した. この結果, (1)手動作のみの手話で, 手話アニメーションで約8割, 実写画像で約9割が正確に伝わること, (2)手話アニメーションの手動作の自然さは, 実写画像に近いこと, (3)手話アニメーションで手の位置関係を正確に伝えるためには, 遠近の誇張だけではなく, 実写画像に近い手の陰影表現も必要であることがわかった.
著者
大澤 幸生 ベンソン ネルス E 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.391-400, 1999-02-25
被引用文献数
108

文書検索において, 検索対象となる各文書からキーワードを抽出しておくことは, 検索時間の短縮と検索結果の質の向上の両面において重要である. 本論文では, 文書の主張の内容を表すキーワードの抽出を目指す. そのようなキーワードは文書の要約をしたり, ユーザの検索語に近い主張をもつ文書を検索したりするのに役立つであろう. このような目的にとっては, ユーザの興味に関連する既存分野を代表する文献を選ぶ場合とは違い, 検索対象文書の著者独特の考えを把握する新たな技術が必要となる. そこで本論文では, 文書は著者独自の考えを主張するために書かれており, その考えを表すために内容が構成されるという仮定に基づき, 共起グラフの分割・統合操作によってキーワードを抽出する新しい手法KeyGraphを提案し評価する.
著者
平野 敏明
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.A1-A9, 2015 (Released:2015-02-08)
参考文献数
16

近年,オオセッカが新たに繁殖期に生息するようになった渡良瀬遊水地で,繁殖期の個体数の変化と生息環境について2007年から2014年の繁殖期に調査を実施した.調査地のオオセッカは,2007年から2009年は1-2羽が生息していただけだったが,2010年に8羽,2012年には15羽と,2010年以降急激に増加した.増加の要因は,日本の主要な繁殖地での個体数の増加と調査地における春先の良好なヨシ原の存在が考えられた.渡良瀬遊水地では毎年3月中旬にヨシ焼きが実施されるが,個体数が増加した2010年から2012年はヨシ焼きが中止されたか,または降雨によって良好なヨシ原が残った.調査地におけるオオセッカの生息地点の植生は,青森県仏沼などの高密度生息地と酷似していた.すなわち,ヨシなどの単子葉高径植物の密度が16.2±9.1本/m2,高さが209.2±32.7cmで下層にスゲ類が密生している環境であった.渡良瀬遊水地では,オオセッカは調査地の特定の場所に集中してなわばりを占有する傾向があった.これは,本調査地での本種の生息密度が低いためと推測された.
著者
長谷川 豊祐
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.28-33, 1999
参考文献数
19
被引用文献数
3

Digital Object Identifier(デジタルオブジェクト識別子:DOI)は, URLの一過性を克服し, どのような微細なレベルでもデジタル媒体を識別し, 提供することを意図している.DOIシステムは, 情報仲介業者を経由せず顧客と出版社を直結し, 電子商取引を促進し, 著作権管理システムを実現する。DOIシステムは, ILLからオンラインカタログまで, 図書館サービスへの大きな効果を約束する。
著者
鷺谷 威 西村 卓也 畑中 雄樹 福山 英一 L. ELLSWORTH
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.523-534, 2002-04-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
21
被引用文献数
2 12

The 2000 Western Tottori Earthquake occurred on October 6, 2000, in the border of Tottori-Shimane prefectures. Japanese nationwide continuous GPS array recorded coseismic as well as postseismic crustal movements due to the earthquake. The maximum coseismic displacement observed was about 17cm. The coseismic deformation pattern clearly demonstrates a left-lateral strike slip source mechanism, which is consistent with seismic data analysis results. Leveling surveys around the focal region revealed up to 15cm vertical displacement near the source fault. GPS sites northeast of the source region were displaced up to 2cm to the northeast during 3 months after the earthquake, while a GPS site on the other side moved to the south by 2cm. Crustal deformation data are inverted to estimate two types of static fault models. One is a single rectangular fault model which can reproduce the coseismic displacement vectors observed by GPS. The other fault model, whose geometry is derived from precise re-determination of aftershocks, provides detailed information on slip distribution. We need to supplement subfaults in the shallower (depth<4km) parts to the original fault model in order to explain leveling change data, which implies systematic bias in the hypocenter depth or a full relaxation of stress by the main shock. Estimated moment magnitude were 6.6 and 6.7 for the two models, consistent with waveform inversion analysis.
著者
梶田 健史 山守 一徳 長谷川 純一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.1736-1744, 1996-09-15
被引用文献数
32

スペースの限られたポスターやパンフレットなどにしばしば使われるデフォルメ地図(意図的な変形をともなう略地図)は 単に地図情報の伝達だけでなく人間の感性やデザイン感覚を表現するメディアとしても大変興味深い. 本論文では このようなデフォルメ地図を自動生成するシステムについて述べる. 本システムの道路変形手順は認知地図の分野における「交差点の直交化」という心理モデルに基づく. また 道路変形にともなうランドマークの移動・変形にはfield morphingの手法を利用する. 最後に 本システムの有効性を実際の道路地図を用いた実験で示す.Deformed maps used often in posters and leaflets with limited space are very interesting media not only for guidance of particular locations, but also for representation of the designer's sensitivity. This paper presents a prototype system for automated generation of a deformed map from a real map. A road deformation procedure developed here is based on a psychological model called "road orthogonalization at intersections" in the field of cognitive map. Landmarks in the map are rearranged according to the results of road deformation results using the field morphing technique. In the paper, the results of application to practical map data will be shown with promising results.

4 0 0 0 OA 政治学大綱

著者
小野塚喜平次 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.上, 1903
著者
工藤 彰 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.285-290, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)

小説が進行するに従って,様々な表現の性質は変化していくものである.本研究の目的は用いられた動詞の観点から小説展開を計量的に特徴づけることである.具体的には,異なる主人公と物語の奇数章と偶数章からなる村上春樹の並行形式小説『1Q84』を対象とし,キャラクターの行為の指標として動詞の出現頻度を分析する.二組のチャプター群をそれぞれ六つのパートに分割後,全ての文章をキャラクターに関連のあるアクションを示す動詞を特定するため機械的に構文解析し,統計分析によって体系的傾向を持つ五つの動詞を明らかにした.本研究では,特定のアクションを示す動詞の相対的頻度の推移は,奇数章(動から静)と偶数章(静から動)の対照的な傾向に影響されていると論じた.
著者
中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.351-359, 2005-02-01
参考文献数
16
被引用文献数
57

無線通信といえば3000GHzまでの電波利用と, 赤外線利用のいずれかと思われていた.見える光を利用する可視光通信について述べていきたい.見える光は電波と同じ波の一種なので, 当然ながら, 情報を伝えることができる.ここでは可視光通信の可能性をユビキタス通信システムの一員として論じる.
著者
水井 潔 内田 雅敏 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.342-349, 1995-05-25
参考文献数
11
被引用文献数
85

本論文では,通信と測距を同時に行えるスペクトル拡散方式を用いた車両間通信・測距統合システムを提案する.提案システムでは,自車が送出したPN信号に対象車が情報を乗算,再送出することで,自車はスペクトル拡散復調によって対象車の情報を把握できると共に,送受したPN信号の位相差を検知することで対象車との間の車間距離を正確に測定することができる.また,対象車がシステム搭載車でなくても自車は送出したPN信号からの反射波のみで従来のスペクトル拡散レーダと同様に車間距離は測定できる.本システムを有効に利用し,相互の車両情報や運転者情報を通信し,車間距離を測定することで,事故を未然に防ぐだけでなく,渋滞のない円滑な運転が可能となる.計算機シミュレーションの結果,併走車または対向車からの干渉波が混入する場合でも自車において対象車の情報が復調できると同時に車間距離が測定できることが確認された.
著者
青木 義満 橋本 周司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.573-582, 1999-04-25
被引用文献数
27

マン・マシンインタフェースにおける擬人化エージェントや, 映像エンターテイメント分野, 医療分野等さまざまな分野において, 人物の顔形状モデルを用いて顔画像を合成する研究がなされている. その中でも顔の物理的なモデリングの手法は, 自然な表情合成が可能なだけでなく, 筋肉の挙動に対する表情変化をシミュレートできるという利点があり, 既にいくつかのモデルが提案されている. 本論文では, 頭部の3次元CTデータから顔表面及び骨格形状データを取得し, 解剖学的な知見を基に皮膚・表情筋のモデリングを行うことで作成した, 正確な形状とリアルな表情生成機構をもった物理モデルを提案する. また, このモデルを用いた表情生成実験を通して, 表情筋の収縮とそれにより生じる顔面変形との対応関係を調べた. また, 解剖学的に精巧であるというモデルの特性を生かし, 医学的な応用を検討する.
著者
和田 崇
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100015, 2012 (Released:2012-09-14)

近年,漫画やアニメ,ゲームを始めとする日本のコンテンツが海外で注目されるようになり,日本政府もこれを踏まえるかたちで,日本独自のコンテンツを海外に積極的に発信する「クールジャパン」戦略を展開してきた。一方で,日本国内においても,地方の自治体や経済団体などが漫画やアニメ,映画などのコンテンツを活用した観光振興や文化振興に取り組む事例が増加している。本発表では,日本におけるコンテンツを活用した地域振興活動について,その発展要因と活用パターンを概観する。 コンテンツを活用した地域振興活動が活発となってきた要因(背景)として,製作者と消費者,地域それぞれの環境変化を指摘できる。コンテンツの製作者は,デジタル化に伴って情報の編集・複製が容易になったこともあり,リスク削減と収益拡大のために,コンテンツの二次使用を積極的に行うようになり,地域もメディアの一つとみなされるようになった。また制作に当たり,新たなストーリーやロケーションを地域に求める動きも活発となってきた。消費者は,メディアごとにコンテンツを楽しむ従来からの消費形態に加え,インターネット上でコンテンツをめぐるコミュニケーションを楽しむという形態が確立した。その一方で,コンテンツゆかりの場所やリアルに再現される場所を訪ねることにより,コンテンツをより深く味わおうとする行動もみられるようになってきた。 各地域の自治体や経済団体などは,地方分権が進展する一方で,地域間競争を勝ち抜くことが求められるようになり,地域資源を活用した地域の個性化・魅力化に取り組むようになった。その際,手軽に制作あるいは活用可能な資源としてコンテンツが注目されるようになった。 コンテンツを活用した地域振興活動にみられるコンテンツと地域の関係については,3つのパターンを見出すことができる。第一は,歴史や風景など場所の持つ力がコンテンツに組み込まれている点である。それによって,製作者はコンテンツの魅力を高め,自治体や経済団体などは地域の魅力を発信している。第二は,地域がキャラクターの新たな活動場所となっている点である。それによって,製作者は二次使用の機会を広げ,自治体や経済団体などは地域や商品の知名度向上とブランド化に結びつけている。第三は,地域がコンテンツ消費者のライブ体験,購買,交流の場所となっている点である。
著者
鳥居 朋子 杉本 和弘 岡田 有司 野田 文香
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

米国及び豪州の事例分析の結果、大学マネジメントにおける上級管理職とIRの機能的連携の特徴として、1.重層的な組織構造の枠組の中、時には組織横断的なタスクフォースを結成することにより様々な階層の管理職が職責に応じたリーダーシップを柔軟に発揮していること、2.かかるリーダーシップにおいては、IR組織が提供する客観性の高いデータや情報を、学内の対話を促進するトリガーとして活用していることが解明された。
著者
外山 勝彦 小川 泰弘 松原 茂樹 角田 篤泰 BENNETT F・GEROGE Jr. 松浦 好治
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

本研究は,計算機による法制執務支援システムの開発を目的とし,特に,膨大な数の法令文書の構造化により,法令改正に伴う法令統合作業の自動化,高度化,迅速化が可能であることを明らかにする.本年度は,法令自動統合システムの実現と検証に関して,次の研究を行った.1.法令文書用DTDの拡充前年度に引き続き,わが国の法令文書の構造化のための文書型定義(DTD)を拡充した.特に,表,改正規定など,法令文書中に出現する複雑な構造を定式化する手法を明らかにした.2.法令文書自動タグ付けツールの拡充前年度までに開発した法令文書自動タグ付けツールを拡充したDTDに対応させるとともに,スクリプト化により使い勝手を向上させた.3.法令自動統合システムの実現と検証法令自動統合システムのプロトタイプを開発した.また,同システムの動作検証のために,法律17本(改め節965,改正箇所4,355)の新規制定時バージョンから一部改正法令に従って自動統合を繰り返し,現行バージョンと比較する実験を実施したところ,原データの誤植に伴うエラー,文字列の置換において,置換箇所の前後の文脈に注意して実行しなければならない場合を除き,良好な結果を得た.4.構造化法令データの蓄積主要法令101本の日本語原文および英訳,および,昭和22〜23年に新規制定された法律約300本について,構造化法令データを作成,蓄積した.なお,前者の構造化には,上述のタグ付けツールを用いた.