著者
吉野 章 北野 慎一 吉積 巳貴 清水 夏樹 間藤 徹 東樹 宏和 真常 仁志
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-07-10

農畜産業を低窒素型に変革する可能性の研究に取り組んだ。第一に、30年以上の間無肥料で野菜を栽培している農家の土壌と土壌圏微生物を解析し、限られた養分しかない環境における植物の適応を解明した。そして、そうした農産物の価値を伝える流通業者のマーケティング戦略の特質を指摘した。第二に、日本において山間部で放牧を行う酪農の可能性を評価し、制度的制約と市場競争力が厳しい状況にあることを明らかにした。第三に、兵庫県南あわじの農業を調査し、これまの循環型農業への取り組みと、社会・経済環境の変化に伴う新たな方向の模索を明らかにした。
著者
三谷 塁一
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

テオブロミンはカカオ豆由来のメチルキサンチン化合物である。テオブロミンを摂取させたマウスにおいて脂肪重量の増加が抑制され、脂質形成に関与する遺伝子の発現が抑制された。3T3-L1細胞を用いた実験から、テオブロミンはアデノシン受容体1(AR1)に結合すること、ユビキチンプロテアソーム系によるC/EBPβの分解を誘導することを見出した。さらにテオブロミンによるC/EBPβの分解誘導にはC/EBPβのSUMO化が関与した。以上の結果から、テオブロミンはAR1を介してC/EBPβのSUMO化と分解を誘導することで、脂質形成を抑制することが示された。
著者
平原 秀一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

本研究テーマに関して、次の2つの重要な成果を得た。(1) 本研究のテーマであるランダム文字列を使った乱択多項式時間アルゴリズムの特徴づけに関するAllenderの予想を本質的に否定する成果を得た。(2) 「ブラックボックス帰着の限界」と呼ばれる証明手法の限界を世界で初めて突破することに成功し、計算量理論の中心的な未解決問題を解決するための新しいアプローチを見出した。(1) 具体的には、コルモゴロフ記述量の意味でランダム文字列(=圧縮できない文字列)かどうかを判定するオラクルに非適応的に質問することによって解ける問題は、乱択多項式時間アルゴリズムで計算できるもののみに限る、と予想されていた。我々は以前知られていた帰着を大きく改善し、特に乱択多項式時間アルゴリズムで計算できないと予想されている問題さえも解けることを示すことに成功した。特に、これはAllenderの予想が他の(より一般的な)予想に反することを意味する。(2) 上述の成果に関連して、(時間制限付き)コルモゴロフ記述量を計算する問題について、最悪時・平均時計算量が同値になることを証明した。普通、アルゴリズムの計算時間は最も時間のかかる入力において測る(=最悪時計算量)が、それに対し、平均時計算量では、ランダムに生成された入力において、期待値の意味で計算時間を計測する。NP完全の問題について最悪時・平均時計算量の同値性を示すことは計算量理論における中心的な未解決問題であり、特に「ブラックボックス帰着」と呼ばれる証明手法では解決することができない。本研究では新しい証明手法を開発することにより、ブラックボックス帰着の限界で初めて突破することに成功した。具体的には前述の通り、コルモゴロフ記述量の計算問題について最悪時・平均時計算量の同値性を示した。
著者
広瀬 雅樹 井上 義一
出版者
独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

B細胞活性化因子であるBAFFおよびAPRILが自己免疫性肺胞蛋白症 (APAP)患者血清および気管支洗浄液中で健常者および肺疾患コントロールと比べ過剰産生されていることを明らかにし た。肺局所のPAP病変域においてもマクロファージがBAFFおよびAPRILを発現していることを免疫組織学的に確認した。B細胞活性化因子の過剰産生を認めたことより、B細胞自体の増加も考えられたが、APAP病態におい てB細胞が顕著に増加していることは認められなかった。以上の我々の結果は、APAP治療には全肺洗浄、GM-CSF吸入、B細胞活性化因子抑制という集学的治療の必要性を示唆するものであると考える。
著者
平田 構造 中西 正恵 中井 昌子 安坂 友希 吉田 美奈子
出版者
神戸女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

衣服の快適性には吸湿性能が重要な因子である。吸湿性の高い衣服では、蒸発した汗の吸湿に伴って衣服が吸着を発生することが布吊を用いた実験結果でよく知られている。しかし、吸着熱が衣服を着用する人体に及ぼす温熱生理的な影響に関する研究は極めて少なく、これまで皮膚温、体温と主観的申告(温冷感)の測定に限られていた。そこで本研究では、汗の吸湿に伴う吸着熱が体温調節反応にどのように影響するのかについて、検討を行うことを目的とした。実験はできるだけ類似の物性値を示すが、吸湿性の高い綿100%(C)と、吸湿性の低いポリエステル100%(P)を用いた衣服を着用した健康な成人女子を被験者として行なった。被験者は室温27.2℃、湿度50%の人工気候室で椅座安静にして、水温35℃の水槽内に下肢を10分間浸漬した後、水温を41℃まで15分かけて上昇し、その後は同温を45分間維持した。この間の温熱生理反応を測定した。実験中、衣服内水蒸気圧、衣服表面水蒸気圧、全身水分蒸発量はCとPの間に有意な差は認められなかったが、衣服に覆われた部位の平均皮膚温、皮膚血流量、服表面温度、衣胆内温度はCとPの間に発汗開始後に有意な差が観察された。別に行った実験衣服のみの吸着熱を測定した結果では、室温27.2℃不変の状態で湿度のみ50%から95%まで上昇させて衣服表面温度を測定したところ、では2.3℃の上昇を示したがPでは0.4℃であり、吸湿によりCがPより有意に大きな吸着熱を示した。以上の結果から吸湿性の高い衣服は水蒸気を吸湿することにより多量の吸着熱を発生しすることが明らかとなった。着用実験でもヒトが発汗を開始すると皮膚から蒸発する多量の汗を吸湿してC衣服に吸着熱が発生するため、皮膚血流量の増加、皮膚温の上昇、温冷感が暑い側の申告をするなどの体温調節反応が明らかに生じることが判明した。
著者
西野 友年
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

有限温度密度行列繰込み群(DMRG)では、有限温度の一次元量子系を表現する筒形の二次元古典系に「切れ目」を入れて密度行列を構成することが、一般的に行われている。この場合、系のトポロジーが平面とは異なるので、従来から行われて来た単純な密度行列構成が、フリーエネルギー最小の意味において必ずしも最適ではないことが判明した。その理由は、筒を「回り込む」形の情報伝達が正しく取り込まれないからである。同様な困難は三次元古典系にも現れる。そこで本年度はDMRGの基礎に立ち返って、テンソル積で表現された変分関数を改良するという視点から、三次元古典系に対する有効な密度行列構成方法を検討した。その結果として、補助的な自由度を持ったテンソル積型変分関数を最適化する基本方程式を得ることに成功した。また、角転送行列繰込み群(CTMRG)を用いると、この方程式を数値的に解けることが判明した。以上のようにして得られた、新しい密度行列変分法(TPVA)を三次元Ising模型およびPotts模型に応用し、相転移温度や潜熱の測定などを行い、モンテカルロ法の結果と比較し得るデータを得た。他方、CTMRGを16vertex模型に適用することによって、これまでに調べられていなかったパラメター領域での相図を確定した。
著者
加藤 澄 斉藤 まなぶ 飯村 龍一 田中 真寿美
出版者
青森中央学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

①日本語話者の自閉症スペクトラム障害(以後ASD)児/者及び定型発達児/者の話し言葉のコーパスを基に、選択体系機能言語学(SFL)の理論的枠組みによる語彙-文法資源の選択網を作成し、ASD児/者が選択する語彙-文法資源と定型発達児/者のそれを対照し、ASD児/者の言語資源の選択網を作成する。②①で得られたシステムネットワーク(選択網)を基に、ASD児/者の言語選択のアルゴリズムを作成し、ASDの言語脳解析及び言語セラピーへの適用を目指す。③①のコーパスに対応する英語話者のASD児/者及び定型発達児/者のコーパスを構築し、選択網の対比マッピングを行い、日英語の語彙-文法資源選択の対照研究を行う。
著者
松尾 浩一郎 根本 雅也 小倉 康嗣 清水 もも子 後藤 一樹 土屋 大輔 福山 啓子 岩舘 豊 加藤 旭人 鈴木 雅人 長峯 ゆりか
出版者
帝京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、原爆投下日である8月6日の広島平和記念公園という象徴的な時間と空間に着目し、ビジュアル・エスノグラフィの手法を用いてその包括的な記録と分析を行った。本研究から明らかになったことは、8月6日の平和記念公園では、広島における原爆被災とその後の復興の過程が、きわめて多様なやり方で受け止められているということである。原爆という一つの出来事を受け止めるにも、お互いに鋭く対立しあうような複数の立場性がある。それらが一つの時空間のなかで「共存」しているありさまを、映像データを駆使して明らかにした。
著者
原田 直樹
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ホルモン療法後、前立腺がんが再発する機構について検討した結果、ホルモン療法に類似した状態では、アンドロゲン受容体(AR)がプロセッシングされ、C末端領域を欠く短鎖型ARが産生されることを見出した。この短鎖型ARは、リガンド非依存的な転写活性を持つことが予想された。また、レスベラトロールのAR機能抑制にはARのDNA結合を抑制することとARのアセチル化を減少させることが重要であった。さらに、レスベラトロールは短鎖型ARの機能も抑制することが推察された。
著者
原田 直樹
出版者
大阪府立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

アンドロゲン受容体(AR)は、リガンドであるジヒドロテストステロンと結合して転写因子として機能することで、前立腺がんの進行に深く関与する。コアクチベーターは、ARに結合してARの転写活性化能を正に制御する因子である。本研究により解糖系酵素として知られるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)が、ARに選択性の高い新規コアクチベーターとして機能することが明らかとなった。また、ARのコアクチベーターとして作用するRanBPM/RanBP9に高い相同性を持つRanBP10が、前立腺がん細胞株LNCaPにおいて高く発現し、RanBPMと同様にARの転写活性を促進することを明らかにした。RanBP10は、RanBP10-RanBP10あるいはRnBP10-RanBPM複合体を形成してARコアクチベーターとして機能することが示唆された。さらに、ARコアクチベーターであるARA24/RanはARのN末端領域とC末端領域の相互作用を促進する因子として機能することを明らかにした。ブドウの果皮に含まれるレスベラトロールは、ARの転写活性を抑制する作用を持つため、食による前立腺がんの予防に貢献する食因子として注目されている。これまで、レスベラトロールはARのmRNA発現を抑制することでAR機能を抑制すると考えられていた。しかし、本研究で翻訳後ARに及ぼすレスベラトロールの影響を検討した結果、レスベラトロールはARタンパク質の半減期を短縮させることや、核内AR量を有意に減少させる作用を持つことを新たに見出した。
著者
中野 秀之 中野 充 森川 健志 青木 恒勇 岡本 浩孝 熊井 葉子 杉山 祐介
出版者
株式会社豊田中央研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

層状シリコン化合物を出発物質として、種々の有機化シリコンナノシートの合成に成功した。その中でアミノ化シリコンナノシートは、溶液濃度を向上させると容易に自己組織膜を形成することを見出した。更に、フェニル化シリコンナノシートの合成にも成功し、光電流を観測した事により太陽電池への応用の可能性示した。
著者
通山 由美
出版者
姫路獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

Neutrophil extracellular traps(NETs)は、好中球のクロマチンが網状構造に変化して病原微生物を捉える生体防御機構である。近年、NETs成分が血小板を刺激して血栓症を誘発することが新たな病態として注目されている。本研究では、NETs形成の分子機構の解明、血小板血栓を惹起するNETs成分の同定、さらに血栓症の早期診断法の開発を目ざしている。これまでの研究で、1)質量分析法によりNETs形成過程に特異的な翻訳後修飾を含むタンパク質を見いだし、2)遺伝子編集技術(CRISPR/Cas9)を利用して候補タンパク質のノックアウト(KO)型好中球モデルを作成した。そこで令和1年度は、KO型好中球モデルを用いてNETs形成への影響を解析するとともに、NETs形成で放出される分子の中で、血小板を刺激する候補分子を探索した。具体的には、ヒト白血病細胞株、HL60を親株として、PDIファミリータンパク質のP4HB、プロテインS100ファミリータンパク質のプロテインS100A8およびS100A9、チロシンキナーゼ、SykのKO細胞について取り組んだ。HL60および各分子のKO型HL60細胞を、ATRA(All-trans retinoic Acid)刺激で好中球様に分化し、1)好中球に特有の分葉核の形成および補体受容体の発現、2)食作用に伴う活性酸素の産生量、3)NETs形成により放出されるタンパク質について解析した。その結果、1)P4HB-KOにより核分葉が抑制されること、2)Syk-KOにより活性酸素産生が抑制されること、3)親株であるHL60では、NETs形成に伴い、プロテインS100A8とS100A9が、炎症性サイトカインと共に放出されることを見出した。今後さらに解析を進めて、NETs形成機構の解明、血小板血栓を惹起するNETs成分の同定をめざす。
著者
柴崎 隆一 青山 和浩 加藤 浩徳 村上 進亮 川崎 智也 新井 洋史 鳥海 重喜 渡部 大輔 和田 祐次郎 坪田 建明 古市 正彦 松田 琢磨 杉村 佳寿
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本課題は,研究代表者らがこれまでに蓄積したモデル構築やデータ分析に関する知見を活用し,全世界のすべての輸送モードを包含する統合的な国際物流シミュレーションモデルを構築して,世界各地の物流インフラ投資や越境抵抗削減などの実際の諸施策や,船舶大型化や新航路開拓(パナマ運河,北極海航路など)などの技術進歩が,輸送パターンにもたらすインパクトを定量的に予測するものである.
著者
川口 洋 上原 邦彦 日置 慎治
出版者
帝塚山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

寺院「過去帳」は、18・19世紀の人口現象を復原するうえで、「宗門改帳」と並ぶ基礎的史料である。本研究では、寺院「過去帳」から民衆の死亡構造をあらわす人口学的指標を計算するシステムを構築して、インターネットを通じて研究者間で共有できる研究環境を整備した。本研究で構築した「江戸時代における人口分析システム(DANJURO ver.3.0)」は、「過去帳」分析システムのほかに、既開発の「宗門改帳」分析システム、古文書文字の認識、関連サイトへのリンクなどから構成されている。「過去帳」分析システムは、「過去帳」データベース、「過去帳」分析プログラム、検索利用マニュアルから構成されている。本システムのURLは、http://kawaguchi.tezukavama-u.acjpである。現在のところ、「過去帳」データベースには、武蔵国多摩郡下の9ヵ寺と美作国真庭郡下の1ヵ寺の寺院「過去帳」に記録されている約27,000人の被葬者に関する情報が登録されている。本データベースのデータ項目は、寺院所在地、寺院名、宗教・宗派、史料名、死亡年(西暦)、死亡年月日(旧暦)、死亡年月日(新暦)、戒名、性別、小字名、俗名、死亡年齢、出生年(西暦)、生年月日(旧暦)、生年月日(新暦)、死因、死亡地、出身地である。「過去帳」分析プログラムを用いて、(1)被葬者数に関する指標…9項目、(2)年齢別死亡構造に関する指標…10項目、(3)死亡の季節性に関する指標…10項目、(4)死因などに関する指標…10項目、合計39項目の人口学的指標を利用者側コンピュータにグラフ表示することができる。
著者
山下 光
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高次脳機能障害の神経心理学的アセスメントを実施する際の問題点とその対策について,主に大学生を対象とした実験的研究によって検討した。その主な成果は以下のようなものである。(1)神経心理検査における利き手の影響について新しい知見を得た。また日本人の基準データを呈示することが出来た。(2)左右弁別能力の測定方法と,個人差について新しい知見を得た。(3)学習におけるテスト効果(testing effect)が,高齢者においても生じることを実験的に証明した。(4)神経心理検査における虚偽反応について実験的な検討を行い,臨床にも有用な知見を得た。(5)くすぐりに関する基本的な実験手法を確立した。
著者
三輪 高喜 山本 純平 志賀 英明 能田 拓也 山田 健太郎 張田 雅之
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

感冒後嗅覚障害は中高年の女性に多く発症するが、その理由は明らかにされていない。嗅細胞は常に変性と新生を繰り返す特異な神経細胞であり、中高年の女性は嗅神経の再生能力に何らかの特徴があるのではないかと思い、嗅神経の再生と女性ホルモン、神経成長因子との関係を知るため本研究を立案した。その結果、卵巣を摘出した雌のマウスでは、同世代の無処置マウス、雄マウスと比べて、嗅神経障害後の再生が遅れることが判明した。一方、臨床研究として、感冒後嗅覚障害患者のエストロゲン値を測定したが、閉経後の患者が大部分を占めたため、嗅覚の回復とエストロゲン値との間に有意な関係は見いだせなかった。
著者
古永 真一
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本申請研究では、これまでの申請者の研究成果をふまえつつ、バンド・デシネがフランス語圏においてどのように研究されてきたのかという問題について、記号論やナラトロジー、映画学、精神分析、社会学、さらにはアダプテーションやホロコーストといった重要なテーマによるバンド・デシネ研究を調査してその要諦を明らかにし、バンド・デシネ理論の多様な変遷を再構成することによって、マンガ研究やフランス文学研究におけるバンド・デシネ研究の意義を明らかにすべく調査を行った。具体的には、「ホロコーストとマンガ表現」、「バンド・デシネとアダプテーション」と題した二本の論文を執筆して発表した。
著者
小野 道之 竹内 薫 森川 一也 保富 康宏
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

Human Hepatitis E Virus (HEV)のカプシドタンパク質が自己会合したVirus-like particle (VLP)は、消化耐性と腸管免疫誘導活性を持つ、食べるワクチンとして注目されている。インフルエンザの共通抗原であるM2のエピトープを融合したHEVのカプシドを、果実特異的なE8プロモーターの制御下で発現する遺伝子組換えトマト(Solanumlycopersicum cv. Micro-Tom)の作出に成功した。
著者
中山 哲 ニシャン ナイエル
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では不均一系触媒反応において、熱揺らぎや溶媒効果が触媒活性に及ぼす影響を第一原理計算によって検討した。特に、酸化セリウム触媒を対象とした第一原理分子動力学計算を行い、界面の酸・塩基点の役割や酸化還元特性について検討した。具体的には、酸化セリウムに2-シアノピリジンが吸着することで強塩基点が発現する機構に関しては、特異な吸着構造を見出し、アクリルニトリルのメタノール付加反応に対して、メタノール溶媒を露わに含んだ計算を行い、反応機構を解明した。また、二酸化炭素とメタノールからの炭酸ジメチル合成においても、分子動力学計算によって酸素欠陥を介する中間体の存在を明らかにした。
著者
野崎 康平
出版者
北里大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

心不全の特異的な病態のひとつに自律神経機能異常があり、自律神経機能を臨床で評価することは重要である。しかし、評価に用いられることが多い心拍変動解析は測定と解析が煩雑であり、自律神経機能の評価が蔑ろにされることが多い。そこで、本研究は、容易に測定が可能な瞳孔対光反応で得られる指標が、臨床における新たな自律神経機能の評価方法として応用が可能か否かを明らかにすることを目的として計画した。本研究では、心拍変動解析との整合性や、自律神経機能と関係することが明らかとなっている各指標との関連に加え、縦断的な変化を検証する予定である。