著者
笠原 正治 笹部 昌弘 川原 純 張 元玉
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

仮想通貨の基盤技術であるブロック・チェーンには,分散性・安全性・拡張性の三要素を同時に満たすことができないトリレンマ関係が存在し,そのため不特定多数の参加ノードからなる分散システム上で,高度なセキュリティを保証しかつ高速なトランザクション承認を提供するブロック・チェーンの実現が不可能と言われている.本研究課題では,ブロック・チェーンのトリレンマを克服するための方法論を情報学横断的に探求する.本研究で得られる成果はブロック・チェーン・ トリレンマの解決という意義に加え,IoTやフィンテック,ヘルスケア,行政・物流とい った幅広い分野での応用が期待される.
著者
宇都宮 登雄 齋藤 敦史 神田 淳
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

CMOSインバータ発振回路を組込んだ小型センサを用い,ひずみ計測用ゲージとダミーゲージの出力差分を求めることで,ブリッジ回路と同程度のひずみ計測が可能となることを示した.続いて,この小型センサのひずみ計測値をワイヤレスでデジタル出力できる形式に発展させた.また,高サンプリング周波数で計測可能なレシプロカル法を採用した発振回路ひずみセンサを開発した.そして,これらの発振回路ひずみセンサにより,繰返し荷重を受ける試験部材の損傷状況の検出が可能であることを示した.さらに,発振回路ひずみセンサによる,静ひずみ,動ひずみの適切な計測手法を導いた.
著者
谷山 茂人
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本年度は、パリトキシン(PTX)による食中毒に関速して生物界における有毒種の分布と毒蓄積機構の解明を推し進める目的で以下のとおり実施した。(1)平成17年度に引き続き、長崎県、宮崎県、徳島県および山口県産ハコフグとウミスズメ計130個体の毒性を調べたところ、約40%が有毒であった。また、山口県を除く採捕海域または隣接海域にはOstreopsis属渦鞭毛藻が分布し、各培養株と魚類の毒の性状はPTXと類似しており、魚類の毒化に本藻の関与が示唆された。(2)平成17年度の知見を踏まえ、フィリピン・ビサヤス諸島産魚類46検体の毒性スクリーニングを継続して行った。まず、32検体は水溶性の遅延性毒性を示し、特にパナイ島産魚類の毒性は強く、その多くはPTXと類似した性状であった。一方、同試料10検体から抗シガトキシン抗体に対して陽性である毒性が検出され、一部の試料には複数の毒因子が含まれていると考えられた。(3)PTX標準品の高速液体クロマトグラフィー分析において、0.1%ギ酸を含む20%または80%アセトニトリル溶液2種類を移動相とし、そのリニアグラジエントによって濃度0.1μ/g以上の高感度な検出が実現した。本法はイオントラップ型および飛行時間型質量分析にも応用可能であった。一方、本分析の前処理法には限界ろ過法は不向きであり、精密ろ過法が適していた。また、Oasis【○!R】MAX(Waters, USA)を用いた固相抽出法は、PTXの簡易精製に極めて有効であった。現在、Ostreopsis属渦鞭毛藻(培養株)の部分精製毒を本手法に基づき分析しており、その構造情報を得つつある。また、有毒な魚類についても同様に分折中である。以上、最終年度となる本年度はPTXの高感度な検出法と簡易な前処理法を確立し、PTX保有生物に関する新たな知見が見出された。
著者
児玉 直樹 竹内 裕之 山口 弘次郎 小杉 尚子
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、mild ADとMCIを対象にデータベースに蓄積されたMRIとADAS-Jcogを使用し、mild ADとMCIの早期診断について検討した。対象はmild AD192名とMCI138名の計330名である。本研究の結果、VOI内萎縮度、全脳萎縮領域の割合、VOI内萎縮領域の割合、萎縮比の全てにおいて有意な差が認められた。また、ADAS-Jcogの下位項目のうち10項目で有意な差が認められた。さらに、判別分析の結果、全脳萎縮領域の割合、見当識、単語再生、再生能力、物品呼称で判別率80.9%を得た。よって、この5項目はmild ADとMCIの診断に有用な指標であった。
著者
神庭 重信 加藤 隆弘
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

精神疾患患者を含む患者でのミクログリア異常を解明するための橋渡し研究ツールとして、末梢血単球に2種類のサイトカインを添加することでわずか2週間で作製可能な直接誘導ミクログリア様細胞(iMG細胞)を独自開発し、一次性ミクログリア病の那須ハコラ病患者、双極性障害患者、線維筋痛症患者で、iMG細胞の活性レベルが重症度と相関するなど疾患特異的な興味深い反応の抽出に成功した。さらに、ヒト線維芽細胞由来直接誘導ニューロン(iN細胞)の作製技術を自身のラボで改良し、わずか1週間で誘導可能な早期iN細胞の作製に独自で成功し、NF1患者由来の早期iN細胞において興味深い遺伝子発現パターンを見出すことに成功した。
著者
小倉 幸雄 井上 芳光 近藤 徳彦
出版者
大阪国際大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高温下運動時における摂取水分の温度と量が体温・循環調節反応に及ぼす影響を,(1)摂取水温の相違,(2)夏季スポーツ活動時の飲水量と飲みやすさ,(3)摂取水温の相違と飲水量,から検討した.その結果,摂取水温の相違は,飲水量が等しい場合には低水温ほど運動の早期から物理的な冷却効果により直腸温を抑制し,自由飲水の場合には低水温の冷却効果と飲水量の調節による影響が推察された。さらに,実際のフィールド運動時においても 5℃水温では物理的冷却効果による体温上昇の抑制,発汗量の抑制,脱水率の軽減を導くことが窺え,5℃程度の水分補給が生体負担度を軽減し,ひいては熱中症予防に有効であることが示唆された.
著者
秦 邦生
出版者
青山学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

この研究課題では、従来の文学史・文化史の修正を目指して、1930年代から50年代のイギリス文学・文化を「後期モダニズム」ならびに「後期帝国主義」の観点から研究した。その具体的な研究対象は、ジョージ・オーウェルのディストピア小説、ディケンズ小説翻案、スパイ小説と映画など、多岐にわたった。この研究課題はこれらの文学・映画テクストを、(1)戦後福祉国家体制の成立、ならびに(2)第二次世界大戦から冷戦へと至る、イギリスをとりまく国際関係の変容、という文脈に置くことで、それらが現実との葛藤のなかで形成されるプロセス、ならびに、社会批判やユートピア的な可能性がそれらの作品に記録される過程を浮き彫りにした。
著者
小野 秀樹 松本 欣三 太田 茂
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

フェニルエチルアミン(PEA)は生体内に存在する微量アミンであり,精神機能と関わりがあると考えられている。その化学構造や薬理作用は覚醒剤のものと類似している。これらの薬物は様々な薬理作用を発現するが,作用と立体構造の関係は不明である。著者らはすでに、これらの薬物は脊髄反射の系において,少量では下行性ノルアドレナリン神経の終末よりノルアドレナリンを放出させることにより、単シナプス反射(MSR)を増強し、高用量ではセロトニン受容体へ作用することによってMSRを抑制することを示している。本研究においては、ノルアドレナリン放出作用・セロトニンアゴニスト作用と立体構造との関係について実験した。PEAのフェニル基とアミノ基窒素が近い形で固定されていると考えることができるノミフェンシンおよびマジンドールは下行性神経からのノルアドレナリン放出により、MSRを増強した。さらにMSR増強作用と腺条体の〔^3H〕マジンドール結合阻害作用の間には良い相関があった。PEAのフェニル基とアミノ基窒素が遠い形で固定されている2-アミノテトラリン類はセロトニンアゴニスト作用によりMSRを抑制した。光学活性体についてはR体に活性があった。これらの結果から,PEAおよび覚醒剤のノルアドレナリン放出作用は、フェニル基とアミノ基が近い形のコンフォメーションの時に生じ、セロトニンアゴニスト作用は遠い形のコンフォメーションの時に生じることが示唆された。以上、単純な系であり定量的な実験が可能な脊髄反射を用いて得られた結果ではあるが、この解釈は運動量増加作用(脳でのノルアドレナリン放出による)および幻覚作用(脳でのセロトニン_2アゴニスト作用による)にもあてはまるものと考えられた。
著者
内田 浩明
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、カントの晩年の草稿である『オプス・ポストゥムム』の思想を、他の哲学者・思想家との関係に着目しながら究明した。本研究では、スピノザ主義やシェリング、シュルツェの『エーネジデムス』等の『オプス・ポストゥムム』の第7束や第1束で言及される思想との関係について考察したが、特にカントがどのような意図でスピノザ主義に言及したのか、そもそもスピノザやシェリングの思想を肯定的に捉えたのかどうかが解明できた。
著者
村瀬 研也 近江 雅人 木村 敦臣
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、磁性ナノ粒子(MNP)を内包した薬剤を外部磁場を用いて目的の場所に送達する磁気送達法や外部から交番磁場を印加して癌細胞を死滅させる磁気温熱療法が注目されている。これらの治療法の有効性を高めるためには、集積したMNPの空間分布を可視化し、集積量を正確に定量する必要がある。最近、我々はMNPを画像化する磁気粒子イメージング(MPI)法およびその装置を開発した。そこで、我々のMPI法を用いて磁気送達や磁気温熱療法の効果を最適化するシステムを開発し、その有用性をファントムや動物実験によって検討した。その結果、開発したシステムは磁気送達や磁気温熱療法の最適化に有用であることが示唆された。
著者
大村 一史
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

定型発達と非定型発達を隔てうる分水嶺を探るための手がかりを、情動的実行機能(情動処理機能)と認知的実行機能(抑制機能)の両面から捉え、課題遂行時の課題成績・脳活動に及ぼす性差および障害特性傾向の影響を調べた。情動処理機能および抑制機能ともに、課題成績・脳活動に及ぼす性差および障害特性傾向の影響を明らかにするまでには至らなかった。情動処理機能の解析は今後も継続し、更なる検討を進めていく予定である。
著者
犬飼 隆
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

大宝2年度と養老5年度の戸籍及び8世紀の計帳、出土木簡等に書かれた約5千人の古代日本人の名について、日本語語彙としてのよみを確定し、多くに語義解釈を施した。併せて、それらを古代における漢字使用の資料として利用する方法を開発した。
著者
鈴木 將文 長岡 貞男 横溝 大 Rademacher C 加藤 紫帆
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究期間の3年目に入り、研究を一層深化させるとともに、国内外の研究会、学会等で研究成果の発信を行った。具体的には、次のとおりである。(1)米国、ドイツ、英国、スイス等の研究者と実施した特許権侵害に対する救済措置に関する国際共同研究の成果をケンブリッジ大学出版から書籍("Patent Remedies and Complex Products: Toward a Global Consensus")として公刊した(オープンアクセスも可能な形で提供している。)。(2)特許制度の研究のためには、同様の保護対象を持つ営業秘密制度についても研究を行う必要があるとの認識から、営業秘密の国際的保護に関する研究を進めた。その成果を欧州の国際会議において、欧米の研究者と共通論題に関するパネルを組んで、パネリストとして報告を行ったのか、名古屋大学での国際会議等でも発表した(なお、2020年3月に、欧米の研究者も招いて国内で研究会を開催することを企画していたが、これは新型コロナウイルス感染症問題により中止した。)。(3)特許権の国際的保護に関し、実体法的側面と手続法的側面(国際私法の視点)の両方について研究を進め、成果を国際会議で発表した。経済学の観点からの研究としては、グレースピリオドに焦点を当てた研究を行い、国際会議で報告した。(4)標準必須特許を巡る問題につき、国内学会(法と経済学会)で報告するとともに外国研究者との共著書を出版した。(5)特許制度について考察する基礎として情報・データの法的保護に関する研究も行い、論文と研究会での研究報告を通じて成果を発表した。
著者
山口 良文
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

冬眠は、全身性の代謝抑制により低温・乾燥・飢餓といった極限環境下での長期生存を可能とする生存戦略である。冬眠する小型哺乳類であるジリスやシリアンハムスター(Mesocricetus auratus、以下ではハムと記載)は、冬眠期のあいだ、深冬眠と中途覚醒を繰り返す。深冬眠では、体温は外気温+1度まで低下し (外気温4度の場合、深部体温5-6度)、心拍数も1分間に10回程度まで低下する。深冬眠は数日から1週間近く経過したのち中途覚醒により中断される。深冬眠から中途覚醒への移行時には、体温は数時間で36度付近まで回復する。中途覚醒状態は半日程度継続し、再び体温が低下し深冬眠状態となる。ヒトやマウスなど 多くの非冬眠哺乳類は長時間の低体温下では臓器機能を保持できず死に至ることを鑑みると、こうした冬眠自体が驚異的だが、その制御機構は未だ殆ど不明である。本研究では、体温が36度から低体温へと移行開始する深冬眠導入の際に発動するシグナルの同定を目指して研究を行なっている。現在までに、ハムが冬眠に際して低体温へ移行する際に、発現が著しく上昇または低下する遺伝子を、肝臓および腎臓において多数同定した。さらに定量PCRによる経時的遺伝子発現量解析により、深冬眠特異的遺伝子の中にも体温が36度から低下するさなかに上昇する遺伝子が含まれることを明らかにした。 さらに麻酔薬で強制的に低体温 を誘導した際との遺伝子発現量を定量PCRで比較することで、これらを低体温応答の結果発現誘導されるものと、強制低体温では誘導されず深冬眠特異的に誘導されるもの、とに分類することが可能となった。これらのDTIG (Deep torpor induced gene)のうち、特に顕著な発現変動を示したDTIG1について遺伝子改変個体を作出した。
著者
瀬口 昌久
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

アトミズにおける生命論の最も深刻な問題点は、魂を構成するアトムにアトム本来の規定を逸脱した、他のアトムを統合する働きが要請されていたことであった。このことはより一般化すれば、アトム同士が結合する「力」の問題である。その根底には、アトムが結合する場合に、なぜアトムが結合して新たな大きなアトムを形成せず独立性を保ちうるのかというアトムの独立性の問題が伏在している。それはアトムの不可分割の本質規定の問題と表裏一体である。アトムの不可分割の理由として、従来、アトムが空虚をうちに含まないことが最大の理由とされていた。しかし、そこから論理的に導出されるのは、アトム同士の結合や衝突は、アトムが独立性を保つ限り、空虚の薄膜が介在する遠隔的な間接的接触になるという帰結である。しかし、その帰結はピロポノスが6世紀にアリストテレスのテキストから可能性として古注で示唆する以外は、古代アトミストたちの文献には見られず、また、古代アトミズムが復活された16世紀以降の西洋の思想家たちにも総じて無視されている。しかも、重要なことに遠隔的な斥力や引力を働かせる働きは、空虚そのものにもアトムの性質にも何ら想定されていないのである。空虚を内部に含まないことに基礎を置くアトムの不可分割性は、アトムに、結合や衝突や反発のあり方をまったく説明できないという重大な欠陥をはらんでいる。それゆえ、ハイゼンベルグが指摘しているように、19世紀までのアトム同士の結合の説明として、アトムにホックや釣り金具がついたような、奇妙な形態のアトムが想像されたのである。古代原子論とそれを歴史的に継承した原子論において、不可分割性というアトムの本質規定が、アトム同士の結合を説明できない原理的な欠陥を内包している。それが生命論として、魂を構成するアトムが他の他のアトムを統合する力を説明できないことのより原理的な問題であることが明らかになった。
著者
大西 浩次
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

多胡事象とは、近傍の星で確認された初めての重力マイクロレンズ現象である。標準的な銀河系構造で、このような現象が起きる確率は非常に小さい。しかし、「質量分布関数の低質量側が、標準モデルより大きい」と考えると、この現象が説明出来る可能性がある。実際、MOAグループによる重力マイクロレンズの探査による、近傍の褐色矮星によるレンズ現象の発見や「浮遊惑星」の発見などから、低質量側の質量分布関数が、標準モデルの2倍程度になる事が判った。これらより、多胡天体の正体は褐色矮星や浮遊惑星であると考えられる。これらは、近い将来、固有運動の測定によって明らかにされるであろう。
著者
池田 昭夫 松本 理器 長峯 隆 菊池 隆幸 小林 勝弘 國枝 武治 宇佐美 清英
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

難治てんかん患者の脳内脳波記録への数理モデルの適用や、手術病理標本の解析、動物実験などを通じ、てんかん焦点の脳波バイオマーカーとしてのActive ictal DC shiftsの存在を確立し、てんかん発作における、 神経細胞, 能動的グリア, 受動的グリアの3成分、特に前2者の重要性を明らかにした。また、てんかん発作前状態ではred slow(低周波数帯域活動と高周波律動の共起)がactive DC電位の領域に一致することを明らかにした。一方で、頭皮上脳波での記録の実証により、Active ictal DC shifts、Red slowのバイオマーカーとしての汎用性を明らかにした。
著者
片倉 喜範 藤井 薫 原田 額郎 山下 俊太郎 門岡 桂史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

Caco-2細胞をヒト腸管モデル細胞株として用い、SIRT1プロモーター制御下でEGFPを発現するベクターを安定導入した組換えCaco-2細胞を樹立した。フローサイトメーターを用いてEGFPの蛍光強度の変化を追跡した結果、乳酸菌T2102株を陽性菌として選定した。T2102株は、SIRT1の活性化の結果、β-カテニンの脱アセチル化を誘導するとともに、その発現を消失させうることが明らかとなった。また、T2102株はDLD-1細胞におけるテロメラーゼ発現も抑制するとともに、細胞老化を誘導することが明らかとなった。またがん細胞抑制能が足場非依存性増殖能及び造腫瘍能の結果より明らかとなった。