著者
土屋 武彦 法村 俊之 山本 久夫 畠山 智
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.279-284, 1985 (Released:2010-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

The radiations emitted from the front surface of CRT of a color-television and a personal-computer display were measured by GM-counter. No difference was observed in the radiation dose between the cases with and without application of a high voltage to the CRT. The radiations were also measured by Si- and Ge-semiconductor spectrometers. It was found that the radiations emitted from CRT were composed of β- and γ-rays, and were essentially emitted from 40K and the nuclides of uranium- and thorium- series contained within the front glass of CRT. The exposure dose rate of these radiations at 50cm from the surface of CRT was, however, less than 1.6×10-3mrem/hr, and it was practically negligible in comparison with that of natural background radiations.
著者
露崎 弘毅
出版者
特定非営利活動法人 日本バイオインフォマティクス学会
雑誌
JSBi Bioinformatics Review (ISSN:24357022)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.15-29, 2021 (Released:2021-10-05)
参考文献数
78
被引用文献数
1

生命科学分野で取得されるデータ集合は、雑多(ヘテロ)な構造になり、ヘテロなデータ構造を扱える理論的な枠組みがもとめられている。本連載では、汎用的なヘテロバイオデータの解析手法である行列・テンソル分解を紹介していく。第1回では、1つの行列における代表的な行列分解PCA/SVD、NMF、ICAを紹介し、それらを「パターンの和としての行列分解」、「射影としての行列分解」という2つのアプローチで説明した。第2回でも引き続きこれらのアプローチを利用し、行列が複数ある時に適用できる、行列同時分解について説明する。
著者
高橋 寛人
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.172-184, 2013-06-30 (Released:2018-04-04)

警察制度は、占領下と1950年代半ばの大幅な改編を経て今日に至っている。公安委員会の警察に対する管理は「大綱方針」の立案と履行の監視が中心であるが、教育委員会の教育行政に対する管理はそれにとどまらない。委員の資格要件をみると、公安委員の方が素人統制の性格が強い。公安委員会は警察を「人民の機関」するために、GHQの指示により生まれたが、委員は当初から任命制であった。これらの比較を通じて、教育委員会制度の意義とあり方を再検討した。
著者
坂倉 基
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-51, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
13

本稿は2020年8月に開館した角川武蔵野ミュージアムとその内部施設であるマンガ・ラノベ図書館の成立過程を入り口とし、小説分野においてエンターテインメント性の強い作品を扱うアーカイブの必要性を確認するとともに、同施設の活動であるライトノベルアーカイブプロジェクトについて概説する。開館当初、株式会社KADOKAWAの刊行作品のアーカイブとしてスタートした同施設が、現在なぜ“ライトノベル”と呼ばれるエンターテインメント性の強い小説作品の網羅的な収集=アーカイブプロジェクトを実施し、出版社横断的な施設として活動するに至ったか。その過程を整理し、紹介したい。
著者
荒川 創一
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.301-304, 2011-09-01 (Released:2012-09-28)

Human immunology and relationship between immune mechanism and infection were explained. Humoral immunity and cellular immunity collaborate properly and eliminate microorganisms. In immunocompromised host these mechanisms are broken. For prevention of healthcare associated infections, standard precausion is important basically. Additionary, according to the status of the patient, contact precaution, droplet precaution or airborne precaution should be applied.
著者
栢森 良二
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.86-95, 2014-02-20 (Released:2014-03-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1

顔面神経麻痺による表情筋機能不全に対して, 神経再生を促せば顔面神経麻痺は回復すると考えがちである. しかし, これは誤っている. むしろ再生を抑制することが重要である. 迷入再生を抑制して病的共同運動を予防軽減することが目標である. 表情筋の役割は, 第1に目, 口, 鼻, 耳の顔面開口部を閉鎖することであり, ヒトでは第2に感情表出である. 神経障害が起こると, 早急に回復させるべく顔面神経核の興奮性亢進が起こり, 開口部の閉鎖促進機序が作動する. 骨格筋と異なり表情筋は皮筋である. 同様に顔面神経幹には神経束構造がなく, 約4,000本の神経線維は密接している. 接触伝導や迷入再生が容易に起こり, 4つの開口部は同時に効率的に閉鎖する合目的性の解剖になっている. 感情表出の維持には,むしろ開口部同時閉鎖を抑制する必要がある. Bell麻痺などの膝神経節部での神経炎では, 脱髄であるニューラプラキシアが生じる. しかし,骨性神経管内では浮腫による絞扼障害が加わる. まず栄養血管閉鎖による求心性の遡行変性が生じる. 内膜は温存されている軸索断裂である. さらに絞扼圧迫が強いと, 遠心性ワーラー変性が生じ神経断裂が起こる. 内膜も断裂しているために, 引き続き迷入再生が生じる. 脱髄と軸索断裂線維は1mm/日スピードで再生し, 遅くとも発症3カ月で表情筋に達する. 神経断裂による再生突起の指向性は,随意運動あるいは筋短縮方向に向かう. 迷入再生回路の形成時間と拡がりは, 随意運動と筋短縮の強度に規定される. 最速1カ月で迷入再生回路が形成される. このために, 発症3カ月で顔面神経麻痺が完治しない症例では, 4カ月以降に迷入再生線維が順次表情筋に到着して病的共同運動が顕在化する. 神経断裂線維再生時に随意運動と筋短縮を抑制することによって, 迷入再生を抑制して病的共同運動を予防軽減することがリハビリテーションの原則である. 強力な随意運動を避け, 頻回のマッサージを行い, 眼瞼挙筋による眼輪筋ストレッチを行うことが基本的手技である.
著者
瓜生原 信輔
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.271-278, 2003 (Released:2003-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

“Suica" is our contact-less IC-card's nickname: Super Urban Intelligent CArd. There are two types of Suica: 4.5 million Suica Commuter Pass with the stored fare (SF) function and 2 million Suica IO (SF) Cards have already been procured for ticket gate system. Suica can be used without taking the card from the pass-case, and the necessary fare will be extracted from the card automatically at the gate. Suica can be used repeatedly with the re-writing and reloading function. Suica Pass can be re-issued with the remaining stored fare when it is lost. There are 5.84 million Suica holders (about 2.94 million Suica Season Pass holders and 2.9 million Suica IO Card holders) as of 24, March 2003. Average reloading value amount is about 3, 000 Yens. There are almost 3 million transactions (not including the usage of Suica Pass inside the pass zone).
著者
青塚 圭一
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.41-55, 2018 (Released:2018-05-11)
参考文献数
112

過去30年間における多くの鳥類化石の発見によって,鳥類はジュラ紀後期には出現し,白亜紀には世界全域に放散していたことが明らかになった.鳥類は飛翔能力の向上に伴い,尾端骨の形成,竜骨突起のある胸骨の発達,高度な翼の発達,そして歯の消失など,その骨格を変化させてきた.また,近年の研究により性戦略や成長形態など様々な生態的な発達があったことも明らかになってきている.中生代に無飛翔性の鳥類の多様性が乏しいことや新鳥類が大量絶滅事件(K-Pg境界)を生き延びた理由は未だ不明であるが,これらは環境面や生理面での制限による可能性がある.本稿では飛翔能力,内温性,そして消化器官の発達が鳥類の繁栄に影響を与えたものであると結論付ける.生理的な特徴は化石として残りにくいものであるが,新たな化石の発見や軟組織を復元するような研究が進むことで,絶滅した鳥類の詳しい生態が明らかになることを期待する.
著者
遠藤 匡俊
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.601-620, 2001-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
58
被引用文献数
1 2

文字を持たないアイヌ社会において,近所に生きている人やすでに死亡した人と同じ名を付けないという 個人名の命名規則が,どの程度の空間的範囲に生活する人々に適用されていたのかは,これまで不明であっ た.アイヌ名の命名には,出生後初めての命名と改名による新たな命名があり,いずれもアイヌ固有の文化 であったと考えられる.アイヌ名の改名は根室場所,紋別場所,静内場所,三石場所,高島場所,樺太(サ ハリン)南西部,鵜城で確認された.中でもアイヌ名の改名が最も多く生じていたのは,根室場所であった. 根室場所におけるアイヌ名の改名は,結婚や死と関わって生じた事例が多かった.改名による新たな命名が 多く生じていたにもかかわらず,同じ名を付けないという個人名の命名規則は, 1848~1858 (嘉永1~安政5) 年の根室場所においては,集落単位のみならず根室場所全域でほぼ遵守されていた.根室場所は,アイ ヌの風俗の改変率が高いことから和人文化への文化変容が進んだ地域とみなされるが,アイヌ名の命名規則 に関する限り,アイヌ文化は受け継がれていたと考えられる.

11 0 0 0 OA ビールの泡

著者
蛸井 潔
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.4, pp.195-203, 2016 (Released:2018-06-29)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

ビールの泡はおいしさと深い関係がある。感触として口当たりが良くなり,まろやかな味になるだけでなく,ビールが空気に触れるのを防ぐ「ふた」の機能により,ゆっくりと時間をかけておいしいビールを味わうことができる。ビールの泡持ちは非常に複雑な現象である。その現象,およびそこで何が起こっているかを,筆者らのこれまでの研究を含め,非常にわかりやすくまとめていただいた。
著者
萬田 正治 奥 芳浩 足達 明広 久保 三幸 黒肥地 一郎
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.521-528, 1989-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

牛の色相の識別能力の有無を,牛の学習能力を利用した動物行動学的手法により検討した.そのため二叉迷路型の学習装置を用い,供試牛の前方左右に正•負刺激の色パネルを提示し,配合飼料を色パネルの後方に置き,供試牛が正刺激の色パネルを選択した場合にのみ,配合飼料が摂食できるよう学習訓練した.色パネルの左右交換は乱数表によりランダムに行ない,1セッション20試行とし,適合度の検定により,正反応率が80%以上に達した場合,供試牛はその学習実験を完了したとし,その供試色を識別出来たと判定した.供試色には有彩色として赤,緑および青の3色,無彩色として灰色を用いた.供試牛には鹿児島大学農学部付属農場入来牧場生産の牛5頭を用いた.まず赤色パネルを正刺激,灰色パネルを負刺激とした実験では,2~18セッションでいずれの供試牛も正反応率は80%を超えた.同様に緑色パネルを正刺激,灰色パネルを負刺激とした実験では1~31セッションで,青色パネルを正刺激,灰色パネルを負刺激とした実験では,2~13セッションで80%を超えた,次に赤,緑および青色の有彩色同士の実験においても,赤色と緑色パネルの識別実験における3号牛を除き,供試牛はいずれも1~16セッションで正反応率は80%を超えた.次に紫外線を除去した条件下で赤色パネルを正刺激,緑色パネルを負刺激とした実験では,供試牛はいずれも4~5セッションで80%を超えた.以上の結果より,いずれの供試牛も色相を識別出来る能力を有していることが明らかとなった.
著者
清水 裕士
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.22-41, 2018 (Released:2019-07-11)
参考文献数
47
被引用文献数
13

The use of Bayesian statistics in psychology has been of recent focus. This paper discusses the effectiveness and usefulness of “Bayesian statistical modeling” in psychological studies by exploring its differences with traditional methodologies used in psychological studies. First, we explain differences between two trends in Bayesian statistics: hypothesis testing using Bayesian statistics and Bayesian statistical modeling. Second, Bayesian estimation and probabilistic programming languages may make it easy for psychologists to use statistical modeling. Third, the three advantages of studies using Bayesian statistical modeling in psychology are demonstrated. These advantages include developing mathematical explanations of behavioral mechanisms, valid estimation of psychological characteristics, and improved transparency and replicability of the data analysis. Fourth, it is argued that Bayesian statistical modeling and traditional psychological methodology could coexist by influencing each other.
著者
加藤 慶一郎 鎮目 雅人
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.545-561, 2014-02-25 (Released:2017-05-17)

本稿では,幕末維新期における貨幣の使用実態について検討する。具体的には,幕末において主に匁建ての藩札が使用されていた東讃岐地方の商家の帳簿に記載された個々の取引の分析をもとに,同地方において匁建ての藩札から円貨による取引に移行する過程を明らかにする。分析の結果,新貨条例が公布され,円という通貨単位が導入された明治4年時点では,東讃岐地方では主に匁建ての藩札が使用されていたと考えられること,明治4年から明治9年頃までの間,東讃岐地方では,円単位の紙幣のほか,匁単位の藩札,銭貨などの各種貨幣が混合流通していた可能性が高いこと,明治9年の秋口以降,支払いにおける円貨の比率が急速に高まり,地域内における貨幣の流通状況に変化が生じていたことが示される。本稿の方法論を,各地に残された帳簿の分析に応用することで,同時期における貨幣使用の実態を,より厳密なかたちで検証することができると考えられる。
著者
永井 聖剛
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.23-38, 2020-05-15 (Released:2021-05-15)

明治二十年代に新しい日本の主導者として注目された「青年」は、明治三十年代後半、青年心理学という科学的言説によって、不安定で危険な世代として意味変容を余儀なくされた。時代は彼らに「修養」すなわち自(みずか)ら己(おのれ)を律し、身を立てることを求めた。修養ブームの到来である。またこれは同時に、すでに青年期を終えた者、すなわち〈中年〉の誕生をも意味していた。本稿は、自然主義文学の担い手を〈中年〉と定位し、彼らの「おのずから・あるがまま=自然」を受け容れる思考が修養的な激励とは対極的な、いわば同時代における対抗言説とでも呼ぶべきものを形成していたことを跡づけたものである。〈中年の恋〉を描いた「蒲団」以降の自然主義文学は、〈中年〉的な思考様式によって織りなされていたのである。
著者
萩谷 昌己
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.472-478, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
参考文献数
8

高等学校情報科の現状を具体例として,日本における情報教育の格差について議論する。政府が導入を計画している小学校におけるプログラミング教育についても,格差が新たに生み出される危惧について触れる。そして,そのような格差をなくすためには,情報教育の重要性を現場の教員や教育委員会が認識することが重要であることを指摘する。情報教育の親学問である情報学を明確に定義することがその認識のための一つの前提であると述べ,日本学術会議により公開された「情報学分野の参照基準」について報告する。最後に,初等中等教育から大学・大学院までの情報教育全体を体系化する「情報教育の参照基準」の必要性について指摘する。
著者
新海 明 新海 栄一
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.149-154, 2002 (Released:2007-03-29)
参考文献数
17
被引用文献数
3 5

ムツトゲイセキグモは日本にいる稀産の2種のナゲナワグモ類のうちのひとつである. 本報告は, 野外におけるムツトゲイセキグモの生活史, 若令幼体がもちいる餌捕獲法, および本種のメス成体や亜成体がもちいる「投げ縄」網の作成行動についてのはじあての観察記録である. ムツトゲイセキグモは年一世代の多回 (3-6回) 産卵のクモであり, ふ化した幼体は卵のう内でそのまま越冬した. 若令幼体とオスは投げ縄を使わず, 葉の縁で狩りをしていると考えられた. 亜成体と成体のメスは蛾を捕獲するために投げ縄を使用した. 投げ縄作成行動は, 投げ縄を第1脚のかわりに第2脚でもつ以外はナゲナワグモ属のものとまったく同一だった. ときどき, 2個の粘球がついた投げ縄を作ることがあった.
著者
小谷 俊博
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:21889201)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.28-35, 2017-01-31 (Released:2017-08-02)
参考文献数
7

The number of developmentally disabled students has been increasing, so a lot of institutions of higher education are confronted with problems the students have. The purpose of this study is to show how Kosen should deal with the problems. In the beginning, we will consider what a developmental disability is and who is a developmentally disabled student. And I will show what kinds of efforts to solve the problems have been implemented. Finally, I will present a unique set of challenges for Kosen to improve the situation of the students.
著者
本田 裕子
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.33(2019年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.247-252, 2019-11-25 (Released:2019-11-22)
参考文献数
8

最初のトキの放鳥から10 年を迎えた現時点での住民のトキに対する認識について,これまでの調査と同様の方法によりアンケート調査を実施し,比較検討を行った。まず,野外でのトキの生息数が増加している中で肯定的な認識が継続されていた。次に,肯定的な認識は,最初の放鳥前後である「2008 年と2009 年」と約6 年および10 年が経過した「2014 年と2019 年」で特徴が分かれていた。この10 年でトキに対して「地域のシンボル」とする認識が確立しつつある中で,農業面での心配は増加していた。現時点では「心配」の段階であるが,「害鳥視」につながらないように,被害の実態等についての調査の蓄積およびその発信が待たれる。
著者
平田 昌弘 板垣 希美 内田 健治 花田 正明 河合 正人
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.175-190, 2013-05-25 (Released:2013-11-25)
参考文献数
28

本研究は,BC1200~BC300年頃に編纂されたVeda文献/Pāli聖典をテキストに用い,古代インドの乳製品を再現・同定し,それらの乳加工技術の起原について推論することを目的とした.再現実験の結果,dadhi/dadhiは酸乳,navanīta/navanīta・nonītaはバター,takra/takkaはバターミルク,ājya/—はバターオイル,āmikṣā/—はカッテージチーズ様の乳製品,vājina/—はホエイと同定された.sarpiṣ/sappihaはバターオイル,sarpirmaṇḍa/sappimaṇḍaはバターオイルからの唯一派生する乳製品として低級脂肪酸と不飽和脂肪酸の含有量が多い液状のバターオイルであると類推された.Veda文献・Pāli聖典は,「kṣīra/khīraからdadhi/dadhiが,dadhi/dadhiからnavanīta/navanītaが,navanīta/navanītaからsarpiṣ/sappiが,sarpiṣ/sappiからsarpirmaṇḍa/sappimaṇḍaが生じる」と説明する.再現実験により示唆されたことは,この一連の加工工程は「生乳を酸乳化し,酸乳をチャーニングしてバターを,バターを加熱することによりバターオイルを加工し,静置することにより低級脂肪酸と不飽和脂肪酸とがより多く含有した液状のバターオイルを分離する」ことである.さらに,ユーラシア大陸の牧畜民の乳加工技術の事例群と比較検討した結果,Veda文献・Pāli聖典に記載された乳加工技術の起原は西アジアであろうことが推論された.