著者
城 綾実 細馬 宏通
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.103-119, 2009 (Released:2010-06-11)
参考文献数
23
被引用文献数
9

How do participants in multi-party conversations project and coordinate the timing and content of their gestures when such gestures are exchanged simultaneously? This paper considers examples of the Simultaneous Gestural Matching (SGM) of spontaneous gestures to examine gestural coordination during conversation. Detailed analyses show that (1) the first utterance of an adjacent pair projects the timing and content of the subsequent gesture; (2) the first recipient initiates a gesture unit or a phrase to respond to the first part of the pair; (3) the other recipients provide gestures that synchronize with the gesture of the first recipient; (4) the parties focus their eye movements on monitoring the gestures made by other participants; (5) the parties control the micro-timing of the gesture phases in the gesture unit or the phrase; and (6) the entire SGM process enables differences in gestures to reveal differences among the parties in terms of their knowledge about the topic. We constructed a simple model of SGM for purposes of further discussion.
著者
和 秀俊 遠藤 伸太郎 大石 和男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.89-103, 2011
被引用文献数
4

It is well known that junior and senior high school athletes who participate in team activities face <i>zasetsu</i> (a Japanese word meaning setback, conflict, or disappointment) many times. Some give up sports activities as a result, whereas others overcome <i>zasetsu</i> and continue to be active in their respective teams. The purpose of the present study was to grasp the process by which young male athletes overcome <i>zasetsu</i>. The subjects were all 18-year-old freshmen (59 males) who had reached national level in their sports and had been admitted to their individual colleges on the strength of their sport performance. All had belonged to their respective teams for more than three years while at junior and/or senior high school. The study was conducted using an open-ended questionnaire in the second week of April, at which time the subjects would still have clear memories of their previous sports activities, being unaffected by any experiences at college. Using the KJ method, we analyzed qualitatively the components of <i>zasetsu</i>, the subjects' state of mind when suffering from <i>zasetsu</i>, and the process by which they overcame it. It was concluded that the process of overcoming <i>zasetsu</i> in sports activities involved an improvement of cooperative autonomy accompanied by a conflict with regard to whether or not the subjects continued their sports activities, when they did not achieve their goals. This concept might be generally applicable in view of its conceptual consistency with former reports, and the fact that our results were based on a sufficient number of cases.<br>
著者
加藤 かおり 沖 裕貴 杉原 真晃 勝野 喜以子
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、ビグス(John Biggs)によって提唱された教授学習理論である「教育構成の整合(Constructive Alignmentの仮訳)」の理論に焦点をあて、①その理論の大学教授学/大学教育開発上の意義に関する理論研究、②同理論を踏まえた学習成果基盤型の大学教育の実効化を促すFDプログラム及び教育プログラム検証モデルに関する開発的な実践研究、③これら二つの側面を往還して行う日本の文脈への適合のための課題分析の三つの観点から調査研究を行う。
著者
堀井 祐介
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

学生中心の学びへと転換しつつある近年の高等教育において、「学生の主体的な学びへの関与<学生エンゲージメント(student engagement)>」はその核となる概念である。英国では、<学生エンゲージメント>は、教育評価を含む大学評価における評価指標の一つとされている。本研究では、今後の日本の高等教育評価政策に資するため、英国での教育評価を含む大学評価に関する自己点検・評価報告書等を分析対象とし、テキストマイニングの手法を用いて、英国での大学評価における<学生エンゲージメント>の位置づけを明らかにし、日本の大学評価における<学生エンゲージメント>評価指標のあるべき姿を明らかにする。
著者
杉原 真晃
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、教養教育におけるサービス・ラーニングの実践研究を通して、①地域社会という学外要件を含み入れたサービス・ラーニングならではの学習共同体の意義と構造を明らかにするとともに、深い学びに関する学習理論を参照しつつ、②学生自身による市民的教養の涵養、多様な学問領域の関連づけ、初等・中等教育と高等教育との関連づけを実現するサービス・ラーニング・プログラムを開発し、③教養教育カリキュラムにおける有効な位置づけを探ることを目的とする。本研究により、教養教育の理論的発展、学生の深い学びの実現、ウェル・ビーイングを追求する社会を創る主体の形成等の成果が期待される。
著者
鳥居 朋子 岡田 有司 高橋 哲也 林 透 村上 正行 山田 剛史 串本 剛 大山 牧子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、4年間の研究期間において下記の5点を一体的に進める。(1)教育プログラムの評価と改善の好循環システムの先進事例を検討するため、米国・英国等の大学への訪問調査を行い、優れた循環システムの要件を抽出、(2)日本の大学の全国的な量的調査により、教育プログラムの評価と改善に関わる実態分析や主要な問題を特定、(3)学習成果測定や教育プログラムの評価を推進している日本の大学への訪問調査、(4)日本の大学において教育プログラムの評価と改善の好循環システムを形成する際に考慮すべき点やシステム構築上の要件等の抽出・整理、(5)好循環システムを組織的に構築するための具体的な手法をティップスの形式にまとめ公表。
著者
斎藤 有吾
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、推し進められている高等教育改革において、「学習成果の可視化」は重要なキーワードである。学習成果とは、大学での学習の結果、得た知識、技術、態度などの成果を指す。そしてその可視化が多くの高等教育機関において精力的に取り組まれている。しかし、多くの大学で実施されている方法は、ディプロマ・ポリシーに対応するような評価であるとは言い難い。そこで、医療系単科大学の藍野大学を主たるフィールドとして、上記の問題を乗り越えるための学習成果の測定手段を提案し、その信頼性・妥当性・実行可能性を検討し、さらに他分野への適用可能性を検討する。
著者
齊藤 貴浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、大学等における教育改革は何を行い社会に何を与えたのか、一方で社会からは大学等に何を求めているのか、これらを明らかにすることで、教育改革成果のエビデンスを明らかにし、大学の教育改革が社会に受け入れられるようにすることを目的としている。政府から補助金を受けた教育改革事例の公開資料から取組の内容、成果、派生した組織等への影響を把握する。これらの情報をもとに訪問調査を行い、成功例に見られる共通要素を探索する。また大学関係者と大学と関係のない社会人に調査を行い、教育改革として高い評価を受ける要素を選択する。最終的に、教育改革の成功のエビデンスと社会の要請に即した教育改革の示し方を明らかにする。
著者
景山 千愛
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

本年度は、化学物質過敏症の社会的な取り扱われ方に重点を置き、調査研究を行った。具体的には、(1)化学物質過敏症の因果性に関する法学と医学の齟齬、(2)化学物質過敏症の存在を支持し調査研究を行う医師・学者のグループである「臨床環境医」の主張、の分析を行った。(1)に関しては、特に、化学物質過敏症罹患を争点とする訴訟と、化学物質過敏症の医学的不明確性がどのように関連しあっているのかを時系列的に読み解くことを試みた。これにより、「疾患」として医学的な論争のただなかにある化学物質過敏症が、法学という異なる分野において、その不明確性ゆえに法的論理に取り込まれる余地があることを示した。(2)に関しては、化学物質過敏症に関する一般読者向けの書物を対象にして、医学的に確立されていない「病」をいかに正統なものとして示すのかを明らかにした。これら2点の共通性は、ある「病」の不明確性が、異なるアクターが折衝する場面において、どのようにある「病」の不明確性が説明されるのか明らかにする、ということである。医学と司法、化学物質過敏症の存在を支持し研究を行う「臨床環境医」と一般の医師、患者など、異なるアクターや業界の狭間で、ある「病」の不明確性が新しく解釈されなおされるという現象は、化学物質過敏症に限らず、今まさに論争中にあるさまざまな「病」に関しても同様である。また近年では、柔軟剤やアロマなどによる「香害」が社会問題となっており、この文脈で化学物質過敏症も再注目を浴びている。このような社会的状況からしても、本研究でさまざまな「医学的に説明されない症候群」、ひいては化学物質過敏症について扱う意義がある。
著者
村岡 潔
出版者
佛教大学福祉教育開発センター
雑誌
福祉教育開発センター紀要 (ISSN:13496646)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-69, 2018-03-31

本稿は、クライエントに対するケアテイカーのアプローチの仕方について、私秘的言語と公共的言語の側面から考察し、両者の出会いおいて、ケアテイカーが、患者や障害者であるクライエントを正常か異常かという先入観なしにアプローチするための方法論について考察した。第I節では、意思疎通における視覚障害や聴覚障害の機能についての解題を行ない、いわゆる健常者との異同の意味について言及した。第II節では、意思疎通に関して私秘的言語と公共的言語の対比を行ない、前者への配慮の必要性について述べた。第III節では、コミュニケーションにおける文化的レンズの機能について解説し、クライエントとの対応には異文化同士の出会いのような「異邦人的接遇」が不可欠だとした。第IV節ではクライエントの私秘的言語の特徴について事例をふまえて紹介した。第V節では、個々人の環境世界と心身像について分析し、クライエントの理解にはそれらへの配慮が必要であることを指摘した。最後に第VI節では《イルネス》と《ディジーズ》の二分法において《イルネス》に象徴される私秘的言語の中心にある「主観」の復権の重要性について指摘した。私秘的言語と公共的言語クライエントとケアテイカー異邦人的接遇環境世界とプライバシー空間イルネスとディジーズ
著者
木嶋 利男
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.14-18, 2011 (Released:2011-09-09)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1 1

栃木県に伝わるユウガオの株元に長ネギを混植する伝承技術を応用し,ネギ属植物に親和性のある拮抗細菌(Burkholderia gladioli)を接種し,これを混植することで,ユウガオつる割病(Fusarium oxysporum f.sp. lagenariae),キュウリつる割病(Fusarium oxysporum f.sp. cucumerinum),トマト萎ちょう病(Fusarium oxysporum f.sp. lycopersici),などの土壌病害を防除する方法を開発した。防除効果の発現機構としてはB. gladioliの産生するピロールニトルリン,ネギ属植物が産生するアリシンがFusarium属菌を抗菌することが考えられた。また,ネギ属植物と野菜との混植が土壌微生物相を多様化し,土壌病原菌の活動を抑制したと推察した。また,ウリ類をムギ類や雑草などで草生栽培する伝承技術から,うどんこ病に重寄生する重寄生菌Ampelomyces quisqualisを雑草で増殖させ,雑草を重寄生菌のバンカープランツとして利用し,うどんこ病を防除する方法を検討した。
著者
Susumu Kanno Kanako Shimo Tomonori Ando Yuka Hamada Masashi Miyashita Kenji Osawa
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.435-439, 2019 (Released:2019-05-13)
参考文献数
25
被引用文献数
3

[Purpose] Although gum chewing while walking has been reported to increase walking speed and heart rate, its effect on energy expenditure remains unclear. The purpose of the present study was to investigate the effects of gum chewing while walking on fat oxidation, energy expenditure, and different walking parameters. [Participants and Methods] This randomized crossover study included 10 males and 5 females who walked for 15 min at their own pace while chewing 2 pieces of gum in the gum trial or while eating 2 tablets in the control trial. A wearable metabolic system, heart rate monitor, and pedometer measured fat oxidation, energy expenditure, heart rate, step count, and walking distance. Walking speed and stride length were also calculated. [Results] The energy expenditure, fat oxidation and heart rate were significantly higher during the gum trial than during the control trial. Significant increases were observed in the step count, walking distance, and walking speed but not in the stride length. [Conclusion] Our results suggest that gum chewing affects sympathetic nervous system activity and walking rhythm with a consequent improvement in the health-related effects of walking, which in turn helps to maintain weight. These findings may play a role in preventing the gradual age-related weight gain that predisposes to obesity.
著者
大塚 良治
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.38, pp.63-76, 2017

本論の目的は、東日本旅客鉄道(JR 東日本)による常磐線特急料金変更の動機を解明し、同社の利益増加と地域活性化の両方を実現する方策を提示することである。常磐線特急料金変更は、割安な特急定期券の廃止を伴ったことから、沿線自治体および消費者の反発を招いた。JR 東日本は特急料金収入の増加を狙い、特急定期券の廃止を断行したが、特急定期券の復活こそが同社の利益増加と地域活性化につながる。政府は消費者保護を図るため、鉄道事業法を改正するとともに、鉄道事業者もステークホルダーと連携して魅力的な街づくりに向けて共働することが求められている。