著者
斎藤 英喜
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-102, 2014-03-01

高知県の民間信仰、いざなぎ流には「金神の祭文」が伝えられている。金神忌は、平安時代末期から陰陽道と明経道のあいだで、その禁忌をめぐって議論されてきた、恐ろしい遊行神である。本論では平安期の古記録に見られる金神忌の記事の分析、中世における金神の神格をめぐる「神話」、そして民間系陰陽道書の『内伝』の解読を通じて、いざなぎ流の「金神の祭文」の独特な儀礼世界を読み解くで、その歴史的な特質を明らかにしていく。
著者
野上 俊一 生田 淳一 丸野 俊一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.173-176, 2005
参考文献数
3
被引用文献数
1

学生が定期試験のためにどのような学習計画を立てるのか, その学習計画が失敗する要因をどのように認識しているのかを質問紙を用いて検討した(n=254).その結果, 学習計画の立案率は約70%であった.そして, 立案した被験者の約70%が実際のテスト勉強では計画通りに進まないと認識していた.計画通りに進まない原因として「無理な学習計画の立案」「誘惑や欲求に負ける」などが被験者によって挙げられた.また, 学習過程に対するメタ認知的制御で学習計画の内容を比較すると, メタ認知的制御の高い被験者は目標設定が具体的であるために無理のない学習計画を立てており, 計画通りにテスト勉強を行えることが示唆された.
著者
三浦 修 平塚 明
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.411-428, 2004-03-31

かつて生活や生産のための資源として利用され管理・維持されてきた里山が、現在いろいろな方面から注目され、その保全のための研究、管理の実践運動、地域資源としての景観評価が試みられている。 ほぼ80年前に活躍した宮沢賢治は多くの文学作品を残したが、そこには、その後岩手県域でリストアップされた希少植物も登場する。その多くは草地、二次林、溜め池、河川などの里山に生育していた植物である。 作品中の希少種を手掛かりとして、1910年代後半から1920年代の岩手県における、草地を中心にした里山植生のダイナミズムを復元した。この80年間に植生が大きく変化した原因は、人々の生活と生産が里山依存を弱めた結果、植生管理が放棄されたことにある。シバ草地やススキ草地の遷移により、遷移初期相に適応した植物(オキナグサ、キキョウ、オミナエシなど)が衰退し、消滅した。また、サクラソウは管理が放棄された薪炭林や農用林の林冠層が発達した結果、林床の光環境が悪化して衰退した。
著者
浜本 一典 ハマモト カズノリ Hamamoto Kazunori
出版者
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
雑誌
一神教世界 (ISSN:21850380)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-13, 2012-03-31

近年、イスラームが人権擁護の宗教であることを主張するために、あるいは他宗教・異文化との共存のための土台作りを目的として、シャリーアと自然法の調和を論じるムスリムの学者や欧米の研究者が増えつつある。また、一部のイスラーム神学者・法学者に見られる理性重視の傾向がイスラームにおける自然法思想として論じられることもある。これらの研究はいずれも一面では正しい。だが、自然法というヨーロッパで発展した概念をイスラームの説明に応用することは、無理ではないとしても慎重に行われるべきであろう。例えば、啓示と理性の調和を認めるといっても、啓示を人間の理性に合わせて理解するのか、啓示に人間の理性を従わせるのかによって、全く意味が異なる。本稿では、イスラームと自然法の問題を啓示解釈の観点から整理する。In recent years there is an increasing number of Muslim scholars and Western researchers who discuss harmony between Shari'a and natural law in order to claim that Islam is a defender of human rights or to provide a foundation for coexistence of Islam and other faiths. There are also writers who regard rational thinking of some Muslim theologians and jurists as that of naturalists. Although all these discourses are true in some respects, to what extent is it helpful in explaining Islam to resort to the idea of natural law, which was developed in the West? The phrase of harmony between revelation and reason, for example, is used in two opposite meanings: interpreting revelation rationally, on one hand, and making reason follow revelation, on the other hand. This article addresses questions on Islam and natural law in terms of interpreting revelation, classifying various theories of Islamic natural law into three types: first, a revelation-based one in Sayyid Qutb's writings; second, a reason-based one attributed to Muhammad `Abduh and Rashīd Ridā; and third, a reason-based one advocated by Abdulaziz Sachedina. This article also points out inconsistencies in these discourses. The most important inconsistency is to associate the thought of the Mu`tazilite School with that of modern reformists. This School is well-known for highly appreciating the role of reason. It should be noted, however, that medieval reason was different from modern reason - as far as legal issues are concerned, medieval reason accepted the authority of revelation. This inconsistency suggests what a profound impact Western modernity had on Islam.
著者
山本 龍彦
出版者
関西学院大学
雑誌
KGPS review : Kwansei Gakuin policy studies review
巻号頁・発行日
vol.1, pp.35-44, 2002-03-31

本論考は,表象文化としての建築と建築写真が,我々の意識と社会に与えている影響を考察すると共に,その次代における,あるべき未来像について言及するものである。建築写真,いや写真とは恣意的にある時間における,ある空間を切り取って定着させた光の一状態である。だが我々は,その写真に真実性を感じてしまう。それは写真に内包された概念,つまり,ある時間のある空間に確かに,その写しだされたものが実際に存在しており,写真という言葉に表されるように真実を写し取ったと信じているからである。そして,その写真が印刷されて,雑誌や新聞などの様々なメディアを媒介として複製化されるときに,さらに我々はその写真への信頼性を増幅させることは,ブーアスティンの主張に見られる擬似イベント」の概念で,すでに指摘されている。建築も建築写真も表象された文化であり,その故に前者と後者に模写説的な認識関係は成立せず,共に時代と社会の暗黙裏の要請一限りなき経済成長という大衆消費社会の構造一によって操作可能な領域に包摂される。このような時代と社会の影響を反映した建築と建築写真の呪縛下に我々は存在しており,それは近現代の市民社会の価値観の影響下にあるということでもある。いま必要なことは,この建築と建築写真を表象文化として,その本質を解明して問題提起することによる近現代の価値観の超克である。それは,近現代の視覚芸術を支配している,遠近法というヒエラルキーを持った視点の解体であり,またそこから自ずと生起する,やさしい触感や,ある種のやすらぎを与える空間の形成,すなわち「癒し系の建築」や「バリアフリーな建築」と,従来の高度な撮影技法を駆使した作画的な建築写真にはない,新たな建築にふさわしい視座と技法から生まれる,建築写真への要請である。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1360, pp.32-35, 2006-10-02

「君たち、今朝は早く出社して情報収集をしたのか。『早く出社しなければ』と思わなかった人は最悪だな」 9月20日の午後6時。東京・青山の伊藤忠商事本社の一室で、丹羽宇一郎会長は集まった30代前後の中堅社員約15人を見回して、こう切り出した。前夜、タイのバンコクで軍事クーデターが勃発していた。
著者
駒澤 寛士 松本 敏明 縄手 雅彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.432, pp.25-29, 2008-01-17
被引用文献数
2

視知覚能力において重要な視覚と運動の協応の能力を鍛えるために、物体の動きを予測してスイッチを押すというゲーム形式の訓練ツールを開発した.協力者は松江清心養護学校に通う小学2年生の脳性麻痺児2名で,マウスを使う事ができない.そこでインターフェイスにワンボタンスイッチを用いた.訓練を行った結果,目標とするところとは明らかに異なっているタイミングでスイッチを押すことがあった.これは,"失敗"の時のアクションが楽しい,ゲームに飽きが生じて集中力が切れた,訓練に疲れたことによって起こると考えられる.このため,押すべき時だけ押してもらう工夫が必要であることがわかった.
著者
河崎 豊
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.429-432, 2002-12-20
著者
三村 衛 吉村 貢 寺尾 庸孝 豊田 富士人
出版者
社団法人地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.141-155, 2011-07

本文データは地盤工学会の許諾に基づき登録したものである岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚(ひるいおおつか)古墳の史跡整備の一環として実施された発掘調査に伴い,地盤工学の観点から墳丘盛土の調査を行った. 破壊的な調査・試験方法が適用できないことから,本質非破壊調査手法である表面型RI密度水分計と針貫入試験を適用した. 針貫入試験による力学的な特徴から墳丘盛土がほぼ水平の構造を持つことが明らかとなった. 部分的には斜めの層構造も確認され,古墳墳丘の築造材料の掘削・運搬・荷降ろしの過程を考察する資料を得た. また,強度の変動パターンを分析することにより,墳丘盛土が15~40cm程度の層厚で築造されたという痕跡が得られ,墳丘試料に対する締固め試験により,墳丘盛土の築造時の締固めエネルギーは,およそ人が足で踏み固めたものに相当する0.1XEcJIS程度であることがわかった. 墳丘復元に使用される候補材料についても室内地盤材料試験を行って,現墳丘の性状に近い材料を選定し,墳丘復元工事の施工方法を提案した.Geotechnical characteristics for the earth mound of historical tumuli are recently strongly required during the archeological investigation because the mechanical properties of mound soils have to be evaluated for conservation of those tumuli particularly in the case that they have to be restored or partly reconstructed. In the present paper, the procedure of the geotechnical investigation for geo-relics is introduced by exemplifying the achievement for the Hirui-Otsuka Tumulus, the largest keyhole shaped one in Gifu Prefecture. Needle penetration test is adopted as an almost non-destructive testing procedure to measure the equivalent uniaxial strength of the tumulus mound with little damage. On the basis of a series of in-situ experimental findings, the horizontally layered structures have been confirmed throughout the tumulus with different earth materials. The typical traces of compacted earth reflecting the procedure of construction of the tumuli mound as a variation of strengths have also been detected. A series of laboratory tests was conducted on the soils excavated from the tumulus as well as artificial ones selected for restoration of the tumulus. The properties of particle size distribution and retention have provided the useful suggestion for reconstruction of the lost tumulus mound that directly contacts the original tumulus mound. Compaction tests on the excavated tumulus mound soils shows that the tumulus mound was constructed with the energy of O.lEcjjs which is almost equivalent to the one with treading down. The investigated results have provided the effective proposal for restoration procedure of the tumulus.
著者
大野 祥子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.287-297, 2012-09-20

本研究は男性のワークライフバランスから抽出した「生活スタイルのタイプ」ごとに,夫婦間での職業役割と家庭役割の分担のしかたが彼らの生き方満足度にどのように影響するかを検討し,男性にとっての家庭関与の意味を再考することを目的とする。調査対象は3〜4歳の子どもを持つ育児期男性332名であった。仕事を生活の最優先事項とする2タイプ(「仕事+余暇型」・「仕事中心型」)と,仕事と家庭に同等のエネルギーを傾注する「仕事=家庭型」の下位分類2タイプ(「二重基準型」・「平等志向型」), 計4タイプについて,男性の生き方満足度を基準変数とする階層的重回帰分析を行った。「仕事+余暇型」の満足度は家庭関与の変数によっては説明されなかった。「仕事中心型」では休日家族と過ごす時間がとれ育児に関わる余裕のあることが満足度と関連していた。家庭志向の高い2タイプのうち「平等志向型」は自身の家事分担率の高さが生き方満足度を高める共同参画的な結果が見られたが,「二重基準型」では妻が性別役割分業に賛成であることのみが有意な効果を持っていた。これまで男性の家庭関与は妻子や男性本人の適応・発達にプラスの効果を持つとされてきたが,タイプごとに異なる意味を持つことが明らかになった。男性の家庭関与の議論は夫婦関係や労働環境など,より広い文脈の中で捉え,稼得や扶養は男性の役割とする男性性役割規範の見直しを伴うことが必要であろう。
著者
大石 和欣 Kazuyoshi Oishi
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.85-92, 2007-03-31

本論考はいわゆるロマン主義時代における女性詩において、引喩が政治的な意味をもちながらどのように機能したのか、その多様な形態を探るものである。クリストファー・リックスによる『詩人への引喩』(2002年)は、英詩における間テクスト性の地図を書き換えたものだが、男性詩の伝統の中で吟味しているにすぎない。女性詩における広大な間テクスト性の領域を無視している。また、詩的引喩に埋め込まれた引喩のイデオロギー的な意味についても看過している。18世紀の女性は、ちょうど遺産相続や財産権から排除されていたと同様に、相続できる確立された文学的伝統があったわけではなかった。しかしながら、だからといって女性詩に間テクスト性がないということにはならない。それどころか、感受性文化の枠組みのなかで、女性たちは詩的引喩を用いながら、独自の言語とスタイルを作り上げる可能性を探り出していったのだ。おおっぴらに「公共圏」に参与する資格がないことを自覚していた彼女たちは、さまざまなテクストや社会的文脈にたいする引喩の中に、個人的なメッセージだけではなく、社会的・政治的メッセージを含みこんでいったのである。それは新しい形での「公共圏」への参与なのである。「公共圏」へ参入しようと試みながら、政治的メッセージを抱えた詩的引喩が錯綜して生み出す効果について明らかにしてみる。
著者
佐野 誠 篠原 正典
出版者
帝京科学大学
雑誌
帝京科学大学紀要 (ISSN:18800580)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.101-111, 2012-03-31

Food habits of seven frog species during mating periods were examined from gastric contents and species comparison were conducted. From 1041 frogs, elementary information on their food habits such as species and sizes of prey insects were reported and species difference and sex difference were discussed. Males of Tago's brown frogs (Rana tagoi ) and Shlegel's green tree frogs (Rhacophorus schlegelii ) foraged nothing during mating periods as previous reports, but males of the other five species did. Males of Japanese tree frogs( Hyla japonica) and Japanese stream frogs( Buergeria buergeri) were getting to forage towards the end of their mating periods. Especially, male black spotted pond frogs( Rana nigromaculata ) seemed to prefer larger insect than expected from their environment food resources, foraged well and gained their body weight during mating periods. These species differences seem to be caused mainly from their length of mating periods and their extent of site fidelity in mating periods.
著者
近藤 和弘 チャールズ ヘンプヒル
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.257-267, 1998-02-25
参考文献数
16
被引用文献数
13

不特定話者連続音性認識を用いて, 音声でWorld Wide Web(WWW)ブラウザが制御可能なシステムを試作した.このシステムでは現在ブラウズしているページ中のアンカー名を読むことにより, そのリンク先のページに進むことができる.また, 音声を用いて, ブラウザを制御することも可能である.新しいWWWページに移行するたびにブラウズ中のページからアンカー名を抽出し, これを音素列に変換し, 文法を作成し, 音声認識システムに与えて語いをダイナミックに切り換える.このとき, 日付, 年齢などの例外的な読み方に対応する必要がある.簡単な音素列変換テストの結果, 最も正答に近い候補中に97%の正しい音素列が含まれていることが確認された.更に, 日本語ページには英文アンカー名も多く含まれるため, 限定語いの英語も認識できるようにした.簡単なユーザテストの結果, 91.5%のタスク達成率を得た.エラーの原因は音声認識精度によるものよりむしろユーザの誤読, 音声検出ミスなどの方が多いことがわかった.不慣れなために起こるユーザ誤操作を除いたタスク達成率は94.1%である.
著者
黒川 茂莉 石塚 宏紀 渡邊 孝文 村松 茂樹 小野 智弘 金杉 洋 関本 義秀 柴崎 亮介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.18, pp.1-6, 2014-05-08

携帯電話通信時の位置情報履歴は,全国を網羅的に人々の移動が把握可能であるため,都市交通施策などへの応用が期待されている.都市交通施策のあり方を検討するために国士交通省を始め各自治体で実施されているパーソントリップ調査では,人々の滞在地,滞在時間だけでなく滞在目的も重要な調査項目となるが,滞在目的推定の研究はいまだ不十分である.そこで本稿では,携帯電話通信時の位置情報履歴から,個人の滞在地及び滞在時間を検出し,自宅,職場,お出かけ先などの各滞在地に対する滞在目的を推定する手法を評価する.評価では,利用同意を得た 1250 名の 4 週間の位置情報履歴と行動に関する Web アンケート結果を用いた.Location information associated with communication records of mobile phones has paid attention as a probe for person trips. In this paper, we evaluate a methodology to estimate semantics of significant places extracted from locations associated with communication records. The accuracy of the methodology is demonstrated by experiments using actual communication records of 1250 subjects.