著者
永田 大輔
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.30, pp.134-145, 2017-07-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
33

This paper discusses the history of the discussion in Japan about otaku. We discuss how, early on, it was recognized that the critique around the phenomenon of otaku faced difficulties as otaku were regarded negatively in Japanese society. In order to depart from this negative critique, while the tojisha approach (first-person studies) emerged, other viewpoints were restricted. Sociologists were enlisted to help overcome this problem, but there then arose an internal debate within sociology, specifically. Sociology's participation in the critique was criticized internally. We discuss the ensuing relationship between sociology and the social critique around the phenomenon of otaku.
著者
井原 正裕 高宮 朋子 大谷 由美子 小田切 優子 福島 教照 林 俊夫 菊池 宏幸 佐藤 弘樹 下光 輝一 井上 茂
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.549-559, 2016 (Released:2016-11-04)
参考文献数
43

目的 近年の身体活動支援環境に関する研究成果より,地方よりも都市部の住民の身体活動レベルが高いと予想されるが,これを実証するデータは乏しい。そこで,国民健康・栄養調査のデータを用い,都市規模による 1 日の歩数の違いを比較検討した。方法 2006-2010年の国民健康・栄養調査における歩数計を用いた 1 日歩数調査に協力した20歳以上の男性15,763人,女性18,479人を対象とした。5 年分のデータを統合し,男女別に,歩数を都市規模間で(以下,市郡番号 1;12大都市・23特別区,2;人口15万人以上の市,3;人口 5 万人以上15万人未満の市,4;人口 5 万人未満の市,5;町・村)年齢調整の上,共分散分析および多重比較検定を行い,さらに傾向性検定を行った。年齢区分あるいは仕事の有無による層別解析も行った。統計法に基づき本データを入手し,研究実施に当たり,東京医科大学の医学倫理委員会の承認を得た。結果 年齢調整した 1 日当たりの歩数は,男性は市郡番号 1 では7,494±4,429歩(平均±標準偏差),市郡番号 2 では7,407±4,428歩,市郡番号 3 では7,206±4,428歩,市郡番号 4 では6,911±4,428歩,市郡番号 5 では6,715±4,429歩で,都市規模により有意に異なった(P<0.001)。女性は,都市規模が大きい順に,6,767±3,648歩,6,386±3,647歩,6,062±3,646歩,6,069±3,649歩,6,070±3,649歩で,男性と同様に都市規模により有意に異なった(P<0.001)。傾向性検定の結果,男女とも都市規模が大きいほど平均歩数が多かった(P for trend <0.001)。層別解析の結果,男女ともに年齢区分,仕事の有無によらず平均歩数は都市規模により有意に異なった。多重比較検定では,仕事のない男性,65歳以上の男性および女性では都市規模が小さい市群番号 3, 4, 5 の居住者間で平均歩数に差は認められず,仕事のある男性における,都市規模が小さくなるに従って歩数が減少するパターンとは異なっていた。結論 男女ともに,年齢調整後も都市規模により歩数は異なり,人口が多い都市の住民ほど人口が少ない都市の住民より歩数が多かった。また,都市人口の規模と歩数の関係は性別,年齢層や仕事の有無といった対象者の特性により異なった。
著者
古川 聡子 河口 勝憲 岡崎 希美恵 森永 睦子 大久保 学 辻岡 貴之 通山 薫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.44-51, 2018-01-25 (Released:2018-01-27)
参考文献数
1

マイクロピペットは検体の分注・希釈,凍結乾燥タイプのキャリブレーターやコントロールの溶解・調整を行う際に使用されている。マイクロピペットは操作が簡単で,素早く指定量を採取できるが,分注精度を保つには基本的な操作方法に準じて使用する必要がある。今回,マイクロピペットの操作方法が分注精度に及ぼす影響の検証および各施設における操作方法の現状把握のためのアンケート調査を行った。マイクロピペット容量規格の選択については,採取する液量がマイクロピペットの全容量に近いマイクロピペットを選択した方が,正確性・再現性ともに良好であった。また,プレウェッティングを行うことで,分注精度が高まることが確認された。分注方法による正確性についてはフォワードピペッティングの方が良好であり,理論値に対してフォワードピペッティングは低め,リバースピペッティングは高めの傾向であった。また,再現性については水ではフォワードピペッティング,血清ではリバースピペッティングの方が良好な結果となった。したがって,基本的にはフォワードピペッティングとし,粘性のある試料で精密度を保ちたい場合はリバースピペッティングとするのが望ましいと考えられる。試料の温度が室温よりも極端に低い場合,分注精度に影響が出ることも確認された。アンケート調査では各施設で操作方法に違いがあることが明らかとなり,今後,各施設における基本的操作方法の順守が望まれる。

20 0 0 0 Middle Egyptian

著者
Peter Beylage
出版者
Eisenbrauns
巻号頁・発行日
2018

20 0 0 0 OA 近世日本国民史

著者
徳富猪一郎 著
出版者
民友社
巻号頁・発行日
vol.第5 豊臣氏時代 乙篇, 1935
著者
早川 洋行
出版者
滋賀大学教育学部
雑誌
滋賀大学教育学部紀要, 人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:05830044)
巻号頁・発行日
no.45, pp.37-46, 1995

This paper is a study on "rumors of rats in Thai rice" in Japan. These rumors circulated in Japan in March, 1994. I have published two papers on theories of modern rumors. This paper is based on those theories. In thispaper I discuss the conditions and socio-psychological background in which the rumors occurred, what the functions of the rumors were and the relation between the rumors and the modern journalism in Japan. I pointed out that there were three conditions (objective, subjective and social)at that time which persuaded the people that the rumors were fact. There rumors were urban rumors, rumors people made up to confirm theirIn-group, and to develop and express an ideology. Also discussed is the fact that the rumors were cultivated by sensationalism in the mass media.
著者
村野井 均 宮川 祐一
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.28-38, 1995

『できるかな』は、NHK教育放送で21年に渡って放送された番組である。この番組には2つの映像が提示されていた。一人は男性主人公の「ノッポさん」であるが、彼は一言も話さなかった。もう一人は動物で、時々鳴き声をあげる「ゴン太くん」であった。一方、この番組には2つの音声が提示されていた。一つは「ゴン太くん」の声であり、もう一つは女性ナレーターの声である。主人公が話さない役であったため、この番組は子どもにとって音声と映像の統合が難しかった。190名の大学生の回想から、音声と映像を統合する過程に現れるつまづきを分析したところ、11.1%の学生が「ノッポさん」を女性と思ったことがあり、40.7%の学生が音声と映像の組み合わせをまちがった経験を持っていた。画面に現れないナレーターという人工的存在を認識するために、子どもは音声と映像の組み合わせを試行錯誤する経験と教育的支援が必要であることを論じた。
著者
岩佐 佳哉 熊原 康博
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.109-116, 2020-12-28 (Released:2021-01-26)
参考文献数
12

1945年9月に発生した枕崎台風は,広島県において明治以降に発生した災害の中で最も大きな被害をもたらしたが,その詳細は一部地域を除いて不明である。本研究では広島県東広島市を対象に,枕崎台風に伴って発生した土石流の分布を復元し,死者の分布と数を報告する。さらに,土石流の発生履歴を図示することの防災・減災における意義を示す。空中写真判読の結果,対象地域において811カ所で土石流が発生し,少なくとも13人の死者があったことが明らかになった。また,西日本豪雨の土石流分布と比較すると,2度の土石流の崩壊源は異なる谷に存在し,下流部ではこれらが集まることで土石流による被害を繰り返し受けてきたと考えられる。枕崎台風の土石流による被害を空中写真判読と水害碑や石仏,「学校沿革誌」を用いて復元し,西日本豪雨の土石流と重ねて図示した。これらは住民の防災・減災意識の向上に資する資料となりうると考える。
著者
宝達 勉 高野 友美 土岐 朋義
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

猫伝染性腹膜炎(FIP)はネコ科動物の致死性ウイルス感染症である。未だにFIPに対する有効な治療方法は報告されていない。我々は抗FIPV薬の検討と共に、新たに同定した抗FIPV薬を猫に投与して、FIPV感染に対する影響を調べた。その結果、細胞内コレステロールの輸送阻害薬であるU18666Aが野外に多く存在するI型FIPVの増殖を強力に抑制することを発見した。また、U18666Aを投与した猫においてFIP発症が抑制または遅延する可能性を確認した。さらに、獣医臨床で抗真菌薬として一般的に使用されているイトラコナゾールがU18666Aと同様の抗ウイルス作用を示すことを発見した。
著者
伊藤 淳史
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.177-186, 2010-09-25

本稿では,戦後日本における海外移住政策について,従来ほとんど検討されていなかった農林省サイドの動向に焦点をあてて考察を行った.その結果,農林省サイドの海外移住政策には人的系譜・政策の位置付け双方における満洲農業移民政策との連続性が見出された.海外移住を人口政策として捉えていた外務省サイドでは1960年代以降事業推進の動機が失われるのに対して,農林省サイドでは時々の政策課題に応じた位置付けが与えられた.加えて,海外移住は外務省にとって大東亜省発足にともなって新たに付加された事業であったのに対して,農林省においては戦時期に重要国策として取り組まれた経緯があった.戦後長期にわたって海外移住が推進されたことを外務省サイドの動向のみから説明することは困難である.農林省によって与えられた農業政策としての側面に着目することが必要だろう. また,現在30万人以上におよぶ日系ブラジル人の「デカセギ」現象について,1990年の入管法改正に先立つ戦後移民の「還流」形態が大きな影響を及ぼしていることを指摘した.日系ブラジル人労働者に関する先行研究ではほとんど言及されることはないが,戦後移民の存在を抜きに現在の「デカセギ」を説明することは困難である.従来,満洲移民研究・戦後移民研究・外国人労働者研究は相互を参照することなく行われてきたが,今後は積極的な対話が望まれよう.
著者
越智 隆志
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.P_266-P_269, 2004 (Released:2006-02-15)
被引用文献数
1
著者
村井 潤一郎 橋本 貴充
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.116-136, 2018 (Released:2019-07-11)
参考文献数
77
被引用文献数
4

Many problems have been reported concerning null hypothesis significance testing (NHST), although it is used in most psychological research. The authors believe that this situation will not change, at least not in the near future. Before shifting to a Bayesian approach, there are several things that must be done in psychological research that uses NHST. Among them, sample size planning (SSP) is especially important. In practice, whether significant results exist primarily depends on sample size, and many studies have indicated that SSP is vital. However, the use of SSP is rare in psychological research. Most psychological research basically depends on the significance of NHST; therefore, psychologists should conduct SSP before collecting data. We describe the present situation of SSP in psychological research, discuss related topics, argue for the importance of SSP, and present future directions for SSP in psychological research using NHST.
著者
釘原 直樹 Kugihara Naoki クギハラ ナオキ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 = Japanese journal of interpersonal and social psychology (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-15, 2014-03

スケープゴーティングとは、何らかのネカティブな事象が生起、あるいは生起が予見されている際に、事態発生や拡大・悪化に関する因果関係・責任主体が不明確な段階で、原因や責任をある対象に帰属したり、その対象を非難することが、一定の集合的広がりをもって行われることである。また因果関係の枠外にある対象に対する責任帰属や非難、そしてそのような認知や行為が共有化されていくプロセスもスケープゴーティングに含める。このスケープゴーティングにおいて、対象となるものをスケープゴートと呼ぶ。ここでは、スケープゴーテイングの発生プロセスに関するモデルを構成し、さらにスケープゴーティングを促進するマスメディアの報道特性やスケーフゴートの時間経過による変遷プロセス(波紋モデル)について述べる。The scapegoating was typical kinds of collective attribution of causes and responsibility and blaming a certain targets when people perceive that negative events occurred in past or will occur in the future. The targets of scapegoating may be selected on the basis of ambiguous or no causal relationship to the negative event. Here I proposed a total scapegoating model and discussed characteristics of mass media publicity. And finally, a scapegoat transition model (the ripple widening model) was presented.