著者
矢澤 真人 塚田 泰彦 石塚 修 橋本 修 森山 卓郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

文法教育に関わる基本的な事項の調査・検討を進め、現在の学校教育における日本語文法教育の実態調査を進めるとともに、現在の日本語研究の進展状況を鑑みて、現在の日本社会において望まれる「生きる力」としての言語力を身につけるために必要な文法教育のあり方について検討を加え、実践的な提言に及んだ。研究成果は、以下の形式で積極的に公開を進めた。1)研究会の開催;科研費研究分担者を中心に、関連分野の研究者および現職教員が参加する研究会を期間内に4回開催し、現在の国語科における文法教育の実情や問題点、明治以来の言語政策と教科教育における言語教育との関連、国語科における作文教育と文法教育との関連等について意見の交換を行った。2)国際シンポジウムの開催;文法教育の面で共通する側面を持つ韓国の研究者と協力して、2002年と2003年に国際シンポジウム「韓日(日韓)の文法研究」を開催し、研究代表者・研究分担者を中心に基調報告を行い、意見の交換を行った。3)各種学会のシンポジウムへの参加;研究代表者が野外文化教育学会、日本国語教育学会、日本言語政策学会のシンポジウムにパネリストとして招聘され、研究の成果をもとに基調報告を行い、多数の研究者や現職教員と意見を交換した。4)研究報告書の作成・発行(『日本語の文法教育』I〜III)上記、1)〜3)の内容に関しては、論文の形式にして、毎年刊行した研究報告書告(最終報告書を含め3冊)にとりまとめた。全体で400ページ、33本の論文や資料を収録する。5)研究成果のデータベース化文法教育に関する研究論文データベース、戦前の文法教科書類データベースを作成し、一部を前記報告書に掲載すると共に、HP等でも公開した。
著者
片木 宗弘
出版者
大阪府警察本部
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

トリプタミン系化合物の合成法は、その原料の入手のし易さと、合成経路の簡便さから、概ね、1)該当するインドール類(インドールあるいはメトキシインドール)を出発原料とし、オキサリルクロリドによりグリオキシルクロリドとした後、適当なアミン(例えば5-Me0-DIPTではジイソプロピルアミン)と反応させ、生成したグリオキシルアミドをリチウムアルミニウムヒドリドにより還元する方法、2)該当するトリプタミン類(トリプタミンあるいはメトキシトリプタミン)を出発原料とし、適当なハロゲン化アルキル(例えば5-Me0-DIPTでは2-ヨウドプロパン)と反応させる方法の2つの経路が考えられる。合成経路の簡便さでは、2)の方法が1段階の反応であるため遥かに簡便ではあるが、反応副生成物としてアルキル基が1つ導入されたモノアルキルトリプタミン類が必ず生成し、塩酸塩として再結晶を試みたがモノアルキルトリプタミン類を除去することは出来ず、これを分離除去するためには、カラムクロマトあるいは減圧蒸留が不可欠であった。一方、1)の方法では、合成経路は3段階の反応が必要であり、反応生成物が着色しやすいなどの欠点はあるものの、目的物以外のアルキルトリプタミンはほとんど生成せず、塩酸塩として再結晶すればかなり純度の高い塩酸塩が得られた。なお、再結晶法は、温エタノールを用いて溶解後、冷エーテルを加える方法が効果的であった。更に、実際密売されているトリプタミン類は塩酸塩であるが、これらに含まれる不純物をGC-MSにより探索したところ、純度は非常に高く、特にモノアルキルトリプタミン類の混在は見られなかった。このことから、トリプタミン類の密造経路としては、2)よりもむしろ1)の方が可能性が高いと示唆される。なお、実際合成にかかる原料代の面でも1)の方が安価であり、コスト的にもより可能性が高いと考えられる。
著者
内田 雄介
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

動く視覚刺激を視認する際、野球選手は一般人よりも眼球運動発現までの時間が短く、眼球運動速度が速いことが示された。また、網膜上に投射された視覚刺激の像を知覚する能力には野球選手と一般人の差がないことが明らかになった。これらのことから、野球選手の優れた動体視力は、網膜上に映る像を知覚する能力ではなく眼球を対象物に対して適切に動かす能力に支えられていることが示唆された。
著者
戸次 英二
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

生籾の減圧乾燥における乾燥速度と胴割れ発生率との関係を明らかにするため、透明な真空容器内に生籾を脱ぷした玄米を入れ、それをガラス窓付き恒温・恒湿器内に収め、外部から玄米粒表面の状態変化を観察できるようにした。実験は圧力と温度と相対湿度の三つのパラメータを適宜組み合わせて行った。この結果を籾に関連づけるため、生籾を供試した実験も部分的に併行させた。1.設定絶対圧力5,40,75,101kPa(常圧)(ゲージ圧:-96,-61,-26,0kPa)のうち、5kPaで乾燥速度は著しく高まった。2.真空容器を加熱して内部温度を25,35,45℃に高めると、35℃までは効果は低いが、45℃では著しく高まった。減圧には加温併用が必要である。3.真空容器内の相対湿度はエア.リーク時(真空ポンプoff)に低湿の周囲空気が侵入して降下し、周囲湿度が低いほど乾燥速度を多少ではあるが高めた。減圧度が大きいほど効果があった。4.全胴割れ率は乾燥速度が高まると上昇した。玄米では特有の表面割れが多く現われたが、内部胴割れ率は軽で低かった。籾では逆に表面割れが少なく、内部胴割れ率が高くなった。5.玄米は表皮が薄い膜であるから機械的な摩擦や空気圧変化で損傷し易く、また遠心式籾摺機で脱ぷすると肉眼で観察できない微細な傷が薄い皮膜につき、それを減圧乾燥すると発達して肉眼で見えるようになった。減圧解除時の時間は表面割れに関連しなかった。玄米の減圧乾燥は表面割れを防げないから無理であり、籾の状態では可能である。6.乾燥速度と胴割れに関する品種間差異は、常圧下の熱風乾燥と同様に認められた。玄米で長粒種は中粒種に比べ内部胴割れは少ないが、表面割れは多かった。結局、この生籾の減圧乾燥では、圧力を5kPa程度まで下げ、温度を35〜40℃、真空容器周辺の相対湿度を低い状熊にすると、乾燥速度及び多少の表面割れを含めた全胴割れ率は常圧下の熱風乾燥なみとなる。
著者
猶原 隆 渡部 祐司 前原 常弘
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、新しい舌癌の焼灼治療システムを開発するため、全長26.5mmのチタン被覆磁性体針を試作した。そして、交流磁場中での発熱実験により、穿刺角度に関わらず同一の発熱特性を示すことを明らかにした。これにより、焼灼治療における正確な温度制御が可能となった。さらに、発熱機構を調べるための磁界解析を行って、電流密度やジュール損失密度などのシミュレーション画像を得た。生体等価ファントム(模擬生体)への熱伝達挙動を視覚的に捉えるため、熱解析シミュレーションも合わせて実施した。
著者
鈴木 敦 菅谷 克行 鈴木 俊哉
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本課題では、同定が困難な甲骨文字を含む拓本資料の画像データベースを構築した。現在、甲骨文字研究においては『甲骨文合集』が一般に利用されるが、同書の印刷品質は再版以降低下しており、文字同定の典拠とする資料として難点がある。そこで、同書の素材となった旧著録のデジタル化を行った。また、ネットワークを通じた参照利用を円滑とするため、近年人文情報学の分野で画像データベースの公開手段の標準となりつつあるIIIF方式を採用し、課題代表者が旧著録原本を所蔵しているものについては一般公開を開始した。『甲骨文合集』と旧著録の対応関係については確認ができたものから順次公開していく予定である。
著者
石原 恵子 吉田 倫幸 岩城 達也 小森 政嗣 木野 和代 加藤 荘志 内田 照久 出木原 裕順 石原 恵子
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

ヒトがモノに重ねるイメージと、愛着形成に必要なモノの要素を重点的に検討した。別のヒトとのコミュニケーションに用いるモノのイメージ贈り物:贈り物選択時に贈り主はモノへの価値づけ(客観的価値、実用的価値、感情的価値、他者表現性)を行っており、それらが贈ったモノへの愛着につながると期待していることがわかった。メディア:職場の対人関係とお詫びを伝える際の各種メディアのイメージを、送信者と受信者の両方の視点から検討した。その結果、心理的負荷や上下関係に関わらず、気持ちを伝えるために対面が最も適切であり、目上に対して携帯メールは礼儀正しくないと判断された。一方、同輩や目下に対しては電話(速い)や電子メール(正確)も容認されていることがわかった。ヒトとヒトでないモノとのやりとりについて道具:むだ時間系に対するヒトの運動適応について検討した。その結果、短期の運動学習スケジュールでは、制御成績には顕著な改善が見られなかったものの、操作者の運動意識には正の効果が惹起されることが明らかとなった。ロボット:人型二足歩行ロボットでは、ヒトへの接近行動が、ロボットを主体性を持つモノと認識させ、ヒトと協調して仕事を行う役割を期待させることが示された。より単純な、車輪移動と胴体後部の棒を振る機能だけをもつロボットでは、ロボットを擬人化・擬生物化する傾向がより顕著で、ヒトに「ついてくる」「しっぽを振る」ことが愛着に重要であるとともに、自律ロボットへの恐怖感や違和感が「しっぽ」により大きく緩和されることがわかった。快適性評価技法の開発感性評価の軸となる快適性を脳活動から評価する技法を検討した。脳波α波の周期ゆらぎによる快適性推定技術を検証し拡張するために、心地よさを伴う入眠に着目して、入眠潜時とゆらぎ係数との関係を検討した。その結果、左前側頭部のゆらぎ係数から入眠潜時を推定可能なことが示唆された。
著者
竹安 栄子 春日 雅司 春日 雅司 窪田 好男 竹安 栄子
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.研究目的・なぜ地方議員を研究対象とするのか近年、女性議員の割合が増加してきたとはいえ、諸外国と比較すると極端な女性の政治的過少代表という状況に変わりはない。本研究は、(1)わが国の女性の政治的過少代表を生み出す構造的・制度的要因ならびに環境的・社会的要因を解明すること、(2)女性議員と男性議員の間に差異があるのかどうか、もしあるとすればどのような差異かを実証的に解明することを目的とする。先進諸国では、選挙制度が同じであるとするなら、女性の政治参画は地域政治レベルから国政レベルに進展すると報告されている。しかしわが国では、地方議会レベルの女性議員率が国政レベルよりも低いという状況である。本研究は、女性の政治参画が容易であると想定される地域政治レベルで女性議員の進出が進まない背景には、日本の地域社会特有の要因がある、という仮説の下に地方議員に着目した。2.調査方法とその経過(1)調査対象:全国の都道府県議会・市町村議会・東京23区区議会の議員。(2)調査期間:平成14年2月〜4月(この期間後返送された調査票も有効数に加えた)(3)調査方法:郵送法(議会事務局宛に調査票を送付し、事務局を通じて配布。回答は直接郵便で返送。)(4)発送総数と回収総数(率):発送総数62,025、回収数(率)17,062(27.5%、男性議員92.3%、女性議員7.7%)3.総括全国地方議員調査結果より得られた知見から、男性議員と女性議員の間に様々な差異が存在することが明らかとなった。以下、選挙資源の問題と代表者選出の公平性の2点に絞って記す。(1)政党の遺憾を問わず、男女議員ともに地域社会が集票に大きな役割を果たすと認識していた。男性議員は出生地と選挙区が一致する議員の割合が高いが、女性議員は顕著に少ない。これは男性議員にとっては地域社会との関係が生得的資源として集票に活用されるが、女性議員は自らの能力で支援・支持団体を獲得する必要があった。(2)男性議員と女性議員の間に、政党の違いを超えて、出身階層・学歴・職業・問題関心・政治家としての活動等多数の項目で差異があることが明らかになった。したがって女性の過少代表は、代表者選出の公平性を揺るがす問題であることが実証された。
著者
中西 晃 赤堀 侃司 野田 一郎 木村 達明 斉藤 耕二 藤原 喜悦
出版者
東京学芸大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

1.帰国子女の文化的アイデンティティの形成に関する調査研究現在は社会人として活躍しているかっての帰国子女が, 自分の青少年時代の異文化体験をどう評価し, それが現在の個人の人格形成にどのような関わりがあるかを調査研究した.(1)研究の手法 青少年時代に海外で生活し, 現在は社会に出ている異文化体験者に対し, 質問紙法及びインタビューによって調査を行った. 質問紙法では同年代の未異文化体験者を統制群とし, 比較検討を行った. (2)研究の成果 (1)職業, (2)余暇, (3)友人, (4)職場, (5)父母, (6)結婚, (7)人生観・人格, (8)異文化体験の影響の8項目にわたっての調査を統計的に分析した結果, 当初想定していた程ではなかったものの, 異文化体験群と統制群とではそれぞれの項目について有意な差が検出された. 面接法によっての調査からも, 個人の人格形成にとっては異文化体験はその成長を促すものであり, プラスの関与があったことが伺えた.2.帰国子女の国際感覚に関する意識の調査研究帰国子女の国際感覚が一般生とどのように異なるかを対比することによって, 帰国子女の国際感覚の特質を明らかにする調査研究を行った.(1)研究の手法 帰国子女のうち, 中・高校生を対象に質問紙法による調査を行った. 同年齢の一般の生徒を統制群として比較検討した.(2)研究の成果 (1)日本の印象, (2)外国語, (3)差別, 偏見, (4)生活習慣, (5)個性, (6)将来・進路の5つの内容について統計分析の結果, 帰国生と一般生の間には各内容に有意差が見られた. 帰国生には外国語・差別偏見に対する意識, 海外での進学・就職志向に顕著な特徴が見られた. また, 帰国前の日本の印象, 生活習慣の変容, 周囲に合わせる傾向から, 帰国生の日本への適応の様子の一端を窺うこともできた.
著者
葉原 芳昭 坂本 健太郎
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

モモイロペリカンとハイイロペリカンの胸部、キングペンギンとコウテイペンギンの耳部と頚部・上胸部に他の部位と比較して紫外線を吸収する紫外線低反射羽毛領域が種を超えて存在することが紫外線カメラ撮影と分光測光で明らかとなった。この領域はロペリカン両種では黄色の、ペンギン両種では橙色の羽毛領域とほぼ一致していた。モモイロペリカンでは、この紫外線低反射領域は、成長に伴って現れることが推定された。この「紫外線模様」は性成熟もしくは繁殖可能性を示すサインとして機能している可能性があるが、雌雄判別への関与は少なくともこの4種の鳥類ではないと結論された。一方、カラスでは判別に関わっている可能性がある。
著者
薗部 佳史
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究においては、抗ミッドカインRNAアプタマーによる実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalomyelitis : EAE)抑制機序の解明を目的として研究を行った。その結果、ミッドカインは制御性樹状細胞において、Src homology region 2 domain-containing phosphatase-2を介してIL-12の産生を誘導させることで、制御性T細胞(Treg)の分化を抑制することが明らかとなった。また、EAEマウスに抗ミッドカインRNAアプタマーを投与したところ、所属リンパ節における制御性樹状細胞及びTregの数が上昇し、EAEの臨床症状が抑制された。さらにミッドカイン産生細胞について検討したところ、CD4陽性T細胞をはじめとする様々な炎症細胞がミッドカインを産生することが明らかとなった。本研究から、ミッドカインは制御性樹状細胞におけるIL-12の誘導を介して、Tregの分化を抑制していることが明らかとなった。したがって、抗ミッドカインRNAアプタマーによるEAEの抑制メカニズムとして、制御性樹状細胞の誘導を介したTregの誘導が関与しているものと考えられる。
著者
樋渡 雅人
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究は、旧ソ連中央アジアのウズベキスタンを対象に、地縁共同体の内部構造をネットワークの統計学的モデル化の手法を用いて分析することで、開発政策や比較研究の見地から応用的含意を導くことを目的としている。村落内に根付いた慣習的な組織に基づく高い密度の社会ネットワークの安定性は、特定の構造によって支えられていることなどを実証的に示すことで、ネットワークの構造と調和的な開発政策を立案する有効性を指摘した。
著者
樋渡 雅人
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では,ウズベキスタンの農村地域のコミュニティ(マハッラ)を対象に,家計調査によって収集したネットワーク・データを用いて,コミュニティに内在する社会ネットワーク(互助関係,血縁関係,その他の社会関係)の構造や効果を分析した.空間自己回帰モデルを用いた計量分析によって,社会ネットワークが農村家計の多様な経済活動(移民,就業,生産,相互扶助)に及ぼすネットワーク効果(ピア効果)を明らかにした.また,ダイアディック回帰分析を通して,コミュニティ内の現金や財貨の流れが社会関係的要因に強く依存することを示した.
著者
蜂谷 昌之 松岡 敬興
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成29年度は昨年度までの調査に引き続き、富山県高岡市の小学校に保管されている卒業記念図画作品を手掛かりとした図画教育の変遷に関する調査のほか、地域の教育動向に関する調査を行った。図画教育実践に関する調査においては、明治40年代に制作された約600点の図画作品を手掛かりに、一地方の学校における図画教育実践の検証を試みた。まず、明治後期の図画教育の状況をふまえ、学校関係資料等を参考に図画の指導体制や使用教科書、教育活動等に関する調査を行った。その上で、明治後期に制作された作品の画題や表現方法を分析し、当時の図画教育実践を考察した。調査の結果、高岡市では地域事情を反映して専科指導体制が構築されたこと、国定教科書『毛筆画手本』、『新定画帖』を手本とした臨画や考案画が残されていたことなどが明らかとなった。作品には図版をそのまま模写したものだけでなく、別の図版を合成したものや児童自らアレンジを加えたものがあり、表現の応用を許容するような実践が行われていたことがうかがえた。また、地域の教育動向に関する調査では、昨年に引き続き、自由画教育初期に北陸地方において開催された「世界児童自由画展覧会」に関する新聞報道を分析した。特に北陸三県の福井、石川、富山県における展覧会の開催状況や各地域の有識者の見解、作品評などを中心に分析を行った。この展覧会の新聞報道には、自由画教育運動として図画教育の転換が図られた当時の実情が克明に記録されており、新しい教育の波が北陸地方に伝播した状況を明らかにすることができた。
著者
望月 智之 関矢 一郎 二村 昭元 宗田 大
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

肩腱板断裂の修復部に関節のふくろを裏打ちする組織から採取した細胞を投与することにより、治癒を早めることができるかの研究を行った。ラットを使用し、まず膝と肩のどちらから採取した細胞を比較し、膝からの細胞のほうがすぐれていることを証明した。ラットの両肩に腱板断裂を作成し、片側には膝からの細胞を投与した後に修復を行い、反対側の肩関節は何も投与せず修復のみを行った。修復後2週、4週、8週の時点で修復部位の評価を行うと、細胞を移植したほうがしっかりとした構造をつくっていた。また修復した部位を引っ張ってみると、修復後2週の時点では細胞を移植した方が強く固着されていた。