著者
惣脇 宏
出版者
関西教育行政学会
雑誌
教育行財政研究 (ISSN:0386393X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.19-24, 2019-03-31 (Released:2019-07-06)
参考文献数
8
著者
川端 寛樹 佐藤(大久保) 梢
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.118, 2020 (Released:2020-05-13)
参考文献数
23

【要旨】ボレリア感染症としてライム病、古典型回帰熱および新興回帰熱が知られている。ライム病はわが国においては希少な感染症ではあるが、感染の機会は存在することが社会的によく知られている。古典型回帰熱は、「国内にはすでに存在しない、海外で流行している病気」として認識されていた一方で、輸入例が報告されたことや、新興回帰熱の発見があったことから、近年再び注目を浴びるようになった。本稿ではこれらボレリア感染症についてヒトの公衆衛生の観点から解説を行う。
著者
倉橋 ともみ 小林 洋介 白浜 功徳 渡邉 峰守 中野 浩 浅岡 峰雄
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.12-18, 2020-02-29 (Released:2020-02-29)
参考文献数
20

目的:当地区で救急救命士の処置が拡大された2015年度以降,来院時低血糖の症例に対し救急車内で血糖測定・ブドウ糖溶液投与が行われなかった理由を検討した。方法:2015年度からの3年間に当院救急外来に救急車で来院,15歳以上で来院時血糖値70mg/dL 未満の患者を対象に,救急車内のJapan Coma Scale(以下JCSと略す),血糖測定・ブドウ糖溶液投与の有無,来院時血糖値などを調査した。結果:対象は397例で,血糖測定50例,ブドウ糖溶液投与は8例に行われた。ブドウ糖溶液未投与389例のうち297例が血糖未測定であり,その74.7%はJCS Ⅱ桁未満であった。救急車内の血糖値が50mg/dL 以上の17例すべてで来院時さらに血糖値が低下した。結論:JCS Ⅱ桁未満,血糖値50mg/dL 以上でも血糖測定・ブドウ糖溶液投与が可能になるようプロトコールの再検討が必要である。
著者
田中 泰宙 折戸 光太郎 関山 剛 柴田 清孝 千葉 長 田中 浩
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.119-138, 2003 (Released:2006-07-21)
参考文献数
80
被引用文献数
40 94

大気エーロゾルとその関連物質の分布の研究のために新たに開発された3次元エーロゾル化学輸送モデルModel of Aerosol Species IN the Global AtmospheRe (MASINGAR) の詳細を記す。MASINGARは大気大循環モデルMRI/JMA98と結合されたオンライン・モデルである。MASINGARは非海塩起源硫酸塩、炭素系、鉱物ダスト、海塩起源のエーロゾルを含み、移流、サブグリッドスケールの渦拡散と対流による輸送、地表面からの物質の放出、乾性・湿性沈着、化学反応を扱う。移流はセミ・ラグランジュ法によって計算される。積雲対流による鉛直輸送は荒川・シューバート法の積雲対流マスフラックスを基にしてパラメタライズされている。モデルの空間・時間解像度は可変であり、T42 (2.8°×2.8°)、鉛直30層 (0.8hPaまで)、で時間刻み20分での積分が標準的に扱われている。さらに、モデルは同化気象場データを用いるナッジング手法による4次元同化システムを内蔵し、これによって特定の期間の現実的なシミュレーションやエーロゾルの短期間の予報が可能となっている。2002年4月の鉱物ダストエーロゾルのシミュレーションから、MASINGARによって総観規模のエーロゾルのイベントが良くシミュレートできることが示唆されている。
著者
森田 佐知子
出版者
経済教育学会
雑誌
経済教育 (ISSN:13494058)
巻号頁・発行日
vol.40, no.40, pp.102-109, 2021-12-01 (Released:2022-06-21)
参考文献数
41

本研究の目的は,実践共同体に関する国内外の文献をレビューすることで,特に,実践共同体が個人の自律的キャリア形成に与える効果についての研究の展開と課題を整理することである。文献レビューの結果,実践共同体の概念はナレッジ・マネジメント領域で普及し,その機能(成果)の一つとして個人の自律的キャリア形成があげられていることが分かった。さらに今後の課題として,①実践共同体とキャリア理論におけるアイデンティティ概念の整理の必要性,②実践共同体への参加が個人のキャリア形成に効果を与えるプロセスの解明,③個人の生涯発達(キャリアステージ)ごと,もしくはステージ間での比較研究の可能性検討,の3つが抽出された。
著者
笠原 義正 板垣 昭浩 久間木 國男 片桐 進
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-7_1, 1996-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
14
被引用文献数
2 5

毒茸のツキヨタケをマウスに投与したときの消化器系に与える影響を検討し, 塩蔵による毒抜き操作の有効性を調べた. その結果, 餌摂取量の減少, 体重の減少, 胃の膨満, 便重量の減少などの異常な状態はツキヨタケを塩蔵後塩抜きすることによって消失することが分った. また, 胃を膨満させる毒性物質として illudin S を単離した. 更に, この物質がツキヨタケの中毒症状の一つである嘔吐の原因物質であることもカエルを用いた動物実験により明らかにした.
著者
中岡 秀男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.1553-1563, 1960-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

異なった体位において肺の換気動態がいかなる差異を示すかについて,肺圧縮率(肺compliance)と機械的抵抗を各体位において測定して,観察し,起坐呼吸の発生機構を追求する一助とした.健常者,肺疾患々者および心疾患々者の3群について坐位,右側臥位,左側臥位および背臥位において測定した結果は,いずれの疾患群も坐位でcompliance最も大,機械的抵抗最も小であつた.臥位への体位変換によるcomplianceの低下度は各疾患群に大差がみられなかったが,機械的抵抗は,肺疾患群でその増加が最も大であり,しかも左側に比し右側臥位における方が,また心疾患群では右側に比し左側臥位の方がより大なる傾向がみられる.これらの結果と,心不全患者に最も強く現われる起坐呼吸ならびにしばしば右側偏側臥呼吸(trepopnea)のみられる事実とを関連させて発生機構について檢討した.
著者
塩野 徳史
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.110-118, 2023-05-31 (Released:2023-06-16)
参考文献数
13

新型コロナウイルス感染症が全国に広まり,HIV検査機会が奪われたと言われている.同時にゲイコミュニティの中でも一時的に商業施設が休業や閉店が相次ぎ,クラブイベントも中止となった.そして三密を避ける等行動の自粛ムードは高まり,街が閑散となった時期もあった.それでも,保健所の業務逼迫により検査機会が中止となった時期は短く,予約制に移行した機関もあるが,現状ではほぼコロナ禍以前の状況に回復しつつある.しかし検査件数が伸び悩んでいる背景には,当事者の自粛意識や検査プロモーションの減少も一因であると考える.ゲイコミュニティの当事者にとって検査を受けたくても受けられない状況が続き,全国 6 ヶ所に設置されたコミュニティセンターとMSMを対象に予防啓発活動を継続している10NGOは,市販されている郵送検査キットを活用し対面やインターネットの広報により,検査機会の提供を行った.また 1 府4県では民間医療機関と協働し検査機会の提供を持続した.いずれの検査機会も実際の利用者実数はMSM全体からみれば少ないが,検査ニーズの高い層に届いている.郵送検査は全国では初めての取り組みとなったが,郵送検査会社と各地の当事者NGOが連携を図り,検査結果後のフォローアップもより良いものとなった.コロナ禍の中でも,MSM・ゲイコミュニティの調査結果よりPrEP利用は増加しており,安心して利用できる環境の整備や定期検査の潜在的なニーズは高まっている.また,コロナ禍以前よりコンドーム使用行動は低下しており,セーファーセックスに関する規範の担い手の意識が変容していることが懸念される.そのため,複合的に予防啓発を展開していく必要があり,これを持続的な活動とするには,コミュニティセンターやコミュニティで働く当事者ヘルスワーカーを育て,支える仕組みが必要である.
著者
小林 亜津子
出版者
学校法人 北里研究所 北里大学一般教育部
雑誌
北里大学一般教育紀要 (ISSN:13450166)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.27-38, 2016-03-31 (Released:2017-01-12)
参考文献数
17

本稿では、まず看護ケアにとって「家庭」がもつ固有の意味を確認したうえで、これまで家族が担ってきたプライベートなケアという役割を、看護師が家庭のなかで果たすことから生じる、訪問看護における様々な混乱について論じる。それをふまえて、こうした「混乱」を最小限にとどめ、理想的なケア実践を行うために、訪問看護師は「自律の尊重」を提唱し、患者の前では「お客(guest)に徹するべき」という規範を自らに課していることを明らかにする。さらに、この「自律の尊重」が、施設内看護の場面以上に複雑な様相を呈し、訪問看護師が患者の決定に「寄り添う」か、専門職としての権威を示すかという倫理的選択に向き合わざるを得ない場面について論じていく。そこから浮かび上がってくるのは、訪問看護とは、患者と看護師がそれぞれ「主(host)」と「客」を演じあうという独特のパワーバランスの上になりたつケア実践であり、そのことが在宅ケア特有のモラルジレンマをカモフラージュするための「戦略」となっているということである。
著者
保坂 勇志
出版者
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

EUVレジスト性能を電子線(EB)によって評価する手法について研究を行った。EUV照射時の特徴的な初期電子分布を再現するため、100 eV程度の超低エネルギーEB照射装置の開発を行った。超低エネルギーEBを照射したサンプル表面ではナノメートルオーダーの形状変化が確認された。また、レジストへの短パルスEUV照射試験を行った。ピコ秒EUV照射ではレジストの高感度化が確認され、X線光電子分光により照射後の化学構造の違いも観測されている。他にEB描画時の後方散乱の影響について電子散乱シミュレーションによる検討を行った。線幅100 nm以上ではEB描画の結果からEUV描画感度予測が可能となった。
著者
川本 皓嗣
出版者
日本学士院
雑誌
日本學士院紀要 (ISSN:03880036)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.1-20, 2023 (Released:2023-11-22)

Of the many works of Earl Miner, former President of the International Comparative Literature Association, who died in 2004, the most important is Monkeyʼs Straw Raincoat (1981). It is a meticulous English translation of the whole of the Sarumino , a consummate anthology of haiku and linked poetry (haikai-renga) by Basho and his school, accompanied by Minerʼs extensive introduction and detailed interpretations. Typically, a linked poem comprises thirty-six verses, which are composed at one sitting by three or more persons taking turns. “Long” verses of seventeen syllables alternate with “short” verses of fourteen syllables. The initial long verse, called hokku, should be a complete poem in its own right, with mandatory season-word and cutting-word. Often composed and appreciated by itself, hokku came to be called haiku in the nineteenth century, thus exempt from its original role as “starting” verse. The ensuing thirty-five verses, although semantically autonomous, cannot stand alone as poems. Each of them makes “poetic” sense only in conjunction with adjacent verses, either preceding or following it. (View PDF for the rest of the abstract.)
著者
田中 雄一郎
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.9-14, 2023 (Released:2023-05-31)
参考文献数
27

日本のロボトミーの歴史を語る上で重要な人物を2人選ぶとすれば,中田瑞穂と広瀬貞雄が挙がる。脳外科医の中田は日本のロボトミーの先駆者で,広瀬は日本で最も多くのロボトミーを手掛けた精神科医である。中田は1939年に日本で初めての精神外科手術(ロベクトミー)に着手し,1941年にロボトミーを施行した。彼がどのような時代背景で精神外科を開始したのか,戦前の1900年代前半の精神疾患を取り巻く日本の状況を理解しておく必要がある。私宅監置,優生思想,身体療法などをキーワードに考察する。1920年代以降に新たな身体療法が欧州から導入された。1925年には睾丸有柄移植事件という奇想天外な手術が世間の耳目を集めた。日本ではエガス・モニス(Egas Moniz,ポルトガル)のノーベル賞受賞に対する社会的関心は薄く,朝日新聞は記事にせず読売新聞は受賞から5ヵ月経った1950年3月に初めて取り上げた。本稿では,ロボトミーに関連するエピソードを以下の年代に分けて俯瞰する。①1940年以前(太平洋戦争前),②1941~1945年(戦時中),③1946~1955年(戦後10年間)の3期におけるロボトミーおよびそれを取り巻く精神科医療,法制度,新聞に報じられた社会事象を中心に言及する。
著者
高橋 良輔 金子 文成 柴田 恵理子 松田 直樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.59-67, 2018 (Released:2019-09-01)
参考文献数
28

本研究の目的は, 肩関節外旋運動反復トレーニングが肩関節外転運動中の棘下筋を支配する皮質脊髄路興奮性を増大させるのか明らかにすることである. 外旋反復運動をトレーニング課題として, その前後に外転運動中の皮質脊髄路興奮性を経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位で評価した. 外旋反復運動は15分毎に100回を3セット実施した. 運動誘発電位は外旋運動反復トレーニング前に2回, 各トレーニング直後, そして3回目のトレーニング直後から30分後と60分後に測定した. 棘下筋の運動誘発電位振幅は3回目のトレーニング直後から60分後まで有意に増大した. 本研究結果から, 肩関節外旋運動反復トレーニングによって, トレーニングと異なる運動である肩関節外転運動中に棘下筋を支配する皮質脊髄路興奮性が持続的に増大することが示された.
著者
渡部 倫子
出版者
広島大学大学院教育学研究科
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 (ISSN:13465554)
巻号頁・発行日
no.61, pp.239-244, 2012

This study examines and refines a grammar placement test using the classical test analysis. The participants were 44 international students who were studying Japanese at Okayama University in Japan. After revisions were carried out on grammar test items that are high in item discrimination and low in item facility. The new version was found to be more efficient than the old one, since it make the overall test more difficult while keeping the same reliability level as before. When the result of dividing classes was predicted, it was found that new grammar test items were significant predictors.
著者
西川 朋美 NISHIKAWA Tomomi にしかわ ともみ
出版者
お茶の水女子大学日本言語文化学研究会
雑誌
言語文化と日本語教育 (ISSN:09174206)
巻号頁・発行日
no.48, pp.32-40, 2015-06

子どもを対象とした日本語の第二言語習得(SLA)研究の数は、非常に少ない。本稿の目的は、SLA研究の対象としての子どもの第二言語(L )話者の存在を再確認し、年少者日本語教育への応用の可能性を議論することである。まずは、概説書などに必ず紹介される先駆的なSLA研究には、実は子どものL 話者を対象とした研究も多く、子どもを対象とした研究は決して周辺的な存在ではなかったという事実を紹介する。次に、日本語をL とする子どもを対象とした研究でも、SLA研究と呼べるものは少ないという事実に関連して、SLA研究とは何かと言う点について議論する。最後に、子どもを対象とした日本語のSLA研究の今後の可能性について述べる。
著者
飯田 文子 猪飼 ゆい 兼高 祥葉
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.98-107, 2018-10-15 (Released:2020-04-11)
参考文献数
24
被引用文献数
1

This research explored bitter taste and its background by sensory evaluation and investigation of five sorts of bitter chocolate made from cocoa beans roasted in different ways and derived from different places. Bitter taste lovers constituted more than the half the study participants; these students considered bitter food to be healthy, with a relaxing effect, and had liked bitter-tasting foods since they were young. They did not consider stress to be associated with bitter taste. The results of the sensory evaluation revealed that the melting smoothness of chocolate from beans subjected to low-temperature roasting was better than that of chocolate from high-temperature-roasted beans; it had a sweet taste and koku, and a sensation of bitterness was obtained when the chocolate was first placed in the mouth.These results showed that chocolate from cocoa of Venezuelan origin was rated highly under roasting conditions that resulted in a bitter aftertaste, whereas that from Ecuador was rated lower. The time taken for the bitter taste to appear in the mouth was a factor that contributed to the evaluation of bitterness. Those participants who were classed as lovers of bitterness liked a range of beans.