著者
小林 進太郎
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

オートファジーは細胞内タンパク質分解系の一つで、変性タンパク質の排除や感染微生物の排除等、様々な役割を持つ。ウエストナイル脳脊髄炎発症の原因の一つであることが予想されるウエストナイルウイルス感染によるオートファジーの抑制は、ウエストナイルウイルスの非構造タンパク質であるNS2B/3によって惹起されることが示唆された。また、オートファジーはウエストナイルウイルスのウイルスゲノム複製及び遺伝子発現過程を抑制し、ウイルス増殖を顕著に抑制することが明らかになった。
著者
犬尾 千聡 宇理須 厚雄
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

牛乳アレルギー患者に対して、牛乳を摂取して寛解を獲得する免疫療法の有用性が数多く報告されてきた。しかし、牛乳を用いた経口免疫治療中は皮膚症状、消化器症状、呼吸症状が頻繁に誘発される。本研究では、ペプチドミルクを使った免疫療法の安全性と効果を検討した。重症の牛乳アレルギー患者での検討では、血液中の末梢血好塩基球活性化はペプチドミルクが普通ミルクで低く、二重盲検食物負荷試験では、普通ミルクよりペプチドミルクの方が摂取可能量は多かった。ペプチドミルクを用いた経口免疫療法を行い、8割の患者で摂取可能量が増加したことを確認した。
著者
宗森 純 原田 利宣 吉野 孝 伊藤 淳子
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

絵文字のみで外国人とコミュニケーションをとることを目標とし,日本人と外国人との絵文字アイコンおよびその文章に関する差違を明らかにする研究を行った.その結果,日本人は正解の場合は丸(○)を使うが,外国人はチェックマーク(.)を使うなど,スラングなどを含め,各言語の特徴をそのまま絵文字に引き継いでいることが示唆された.また,日本人は基本的に絵文字でもSOVの文法で記述し,外国人は基本的にSVOの文法で記述するが,日本人でもSVOで記述することがあることが明らかとなった.
著者
島 礼 山下 洋二 渡邊 利雄 菅村 和夫
出版者
地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

我々は、低分子2重基質ホスファターゼの機能解析を行い、二つの分子(DUSP26およびDUSP13B)の細胞内基質とその生理的機能を明らかにすることに成功した。 DUSP26が、KIF3A(KIFモーター複合体のサブユニット)に結合し、KIF3Aを介してKAP3を脱リン酸化することを明らかにした。さらに、DUSP26の脱リン酸化活性は、N-Cadherinおよびβカテニンの細胞-細胞の境界への集積や、細胞と細胞の接着性の維持に働いていることを明らかにした。一方で脳腫瘍のグリオブラストーマにおいてDUSP26の遺伝子発現を調べたところ、DUSP遺伝子プロモーターに著しいメチル化とともに、発現の減少が認められ、グリオブラストーマの持つ高い浸潤性の原因の一つに、DUSP26遺伝子メチル化/発現減少があることが考えられた。 DUSP13Bを、新たなMAPKホスファターゼとして同定した。DUSP13Bは、MAPKの特にJNKとp38を特異的に脱リン酸化する活性を持つことから、ストレス経路に働く新たな制御因子と考えられた。
著者
中島 淑恵
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ラフカディオ・ハーン(1850-1904)は、その生前から、英語圏ではよく知られた作家であったといえるが、フランス語圏では没後に翻訳が発表されるようになってようやく知られる存在になったというのが従来の見方であった。ところが、翻訳の発表される前から、直接英語でハーンの著作を読み解いたフランス語圏の人々が、ハーンの影響を少なからず受けている例が見つかり、とくにその日本理解や仏教思想の解釈において影響があったことが解明できた。
著者
細谷 亨
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、戦時中に満洲に送られた日本人農業移民(満洲開拓民)を、敗戦後の海外引揚をふくめて総合的に検討することにより、これまで別個に論じられる傾向の強かった満洲移民史と海外引揚史の接続をはかることである。研究の遂行過程においては、開拓民を最も多く送り出した長野県下伊那郡の農村を対象に、政策展開をふまえつつ海外引揚における母村の対応を明らかにした。分析からは、従来あまり言及されることのなかった引揚者援護事業における公的扶助(生活保護)の役割が大きな比重を占めていたことが確認できた。現金給付と現物給付からなる公的扶助は、必ずしも引揚者のみを対象にしたものではなかったが、敗戦後の生活困窮者問題や占領期における社会福祉政策の拡充とも相まって引揚者援護とも結びついていく。もちろん、そのことがただちに引揚者の生活再建を意味するわけではないが、これまで「差別」の視点で語られることの多かった地域における引揚者問題を再検討する手がかりを得たといえる。満洲開拓民の送出についても重要な成果を得ることができた。長野県諏訪郡の農村を対象とした研究では、開拓民が満洲への移住に際して、自家の農地を親戚・知己に貸与して出かけており、敗戦後の農地改革の際、農地を返還してもらい、母村の自作農に復帰するケースを明らかにすることができた。かかる傾向は、当該村だけでなく、程度の差を含みつつも多くの村で確認できることであり、満洲開拓民(分村移民)の遂行が農家の存在形態や母村の対応に大きく規定されていたことをよく表している。上記の研究は、実態面および政策面の双方において、より詳細な検討が必要であるが、満洲開拓民を戦時と戦後の歴史過程のなかに位置付けるうえで重要な貢献をなし得たと考えている。
著者
土屋 晴文 榎戸 輝揚 楳本 大悟
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本海側の冬の雷や雷雲からガンマ線が観測されている。Gamma-Ray Observations of Winter Thunderclouds (GROWTH)実験では、2006年より柏崎刈羽原子力発電所の構内に、放射線検出器と、光や電場を測定する装置を備えてガンマ線の観測を続けており、雷や雷雲は電子を10 MeV以上に加速できることを明かした。本研究では、BGOシンチレータで構成された検出器を新たに導入して、ガンマ線事象の検出数を向上させた。加えて、雷雲から1分にわたり511 keVの陽電子の対消滅線が放射されていることを明かし、雷雲が大量の陽電子を生成しているかもしれないことを示した。
著者
吉田 真樹
出版者
静岡県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では倫理学・日本倫理思想史の観点から「死者」について、古代では『古事記』が死後の霊魂を極力叙述せず、『日本霊異記』が仏教教義に反して死後の霊魂を前提としたこと、中世では『源氏物語』が生霊と死霊とを恋において連続的に把握し、謡曲が成仏を望む死霊と望まない死霊を設定したこと、近世では平田篤胤が庶民仏教の死後霊魂観に対抗して神道に死後の霊魂を導入し、近代の排仏的柳田國男と親仏的折口信夫の霊魂論を準備したことを明らかにした。
著者
金子 正秀
出版者
電気通信大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

顔特徴・顔印象の定量的解析手法を利用した顔認知機能の解明について、以下の研究を行った。1.2つの異なる顔に対する似ているか否かの判断に係る顔認知親子の顔の類似性に対する主成分分析による定量的比較に関して、年齢印象操作による方法と顔部品特徴による方法を検討した。年齢印象操作による方法では、子供の顔に対して大人への年齢印象操作を行った上で親(大人)の顔と比較することにより、親子の顔を直接比較する場合に比べ、類似性評価の精度を向上することができた。顔部品特徴による方法では、子供と大人(親)の2つのグループに分け、各々の固有空間で顔特徴解析を行うことにより、各グループの中で入力顔特徴を定量化した。定量化された顔特徴を言葉による顔特徴記述に置換え、顔部品ごとの類似比較を行い、その結果を統合することにより親子の顔の類似性を柔軟に評価できるようにした。また、車のフロントフェースについて、各部品形状、配置に関する固有空間を求め、人間の顔に対してと同様に、対話的に特徴解析、特徴操作を行うための基礎的システムを構築した。2.顔の3次元形状に対する認知の仕組みの解明ステレオ画像計測により顔部分の3次元形状を取得するシステムの整備を行った。また、正面顔とは異なる典型的な例として横顔を取上げ、主成分分析を用いて横顔特徴の定量的分析を行った。正面顔に対してと同様の横顔特徴解析ツールの構築を進めた。また、どの主成分にどの様な横顔特徴が表れているのかを調べた。3.顔特徴・顔印象の定量的解析及び顔画像生成ツールの機能の拡充Bag of Words手法を顔による個人認識及び表情認識に適用する方法を考案し、従来の認識手法に比べて撮影条件の違いに頑健でかつ認識性能が高いことを実験により確認した。また、GPGPUによる並列演算を利用して顔特徴点の検出処理の高速化を図り、顔特徴点の検出から似顔絵生成までを実時間で行えるようにした。
著者
山本 啓二 矢野 道雄
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

プトレマイオスによる『テトラビブロス』のアラビア語校訂版を作成する過程で初めて得られた知見は、9世紀のフナイン・イブン・イスハークが改訂したとされるアラビア語写本が全部で9種類現存することが確認できたこと、サービト・イブン・クッラ(9世紀)がナイン版にどの程度手を加えたかが判明したこと、そしてフナイン版とウマル版がともに、現存する唯一のシリア語写本から翻訳されたものではないことが判明したことである。
著者
鳴坂 真理
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

作物の病気の発生を防ぐことは農業にとって最も重要な課題である。しかし、植物の病気には病原体認識、その後のシグナル伝達、抗菌性物質の産生など多くの遺伝子が関与するため、少数の遺伝子を用いた遺伝子発現解析では病害応答を精緻に理解することは困難である。そこで、一度に千から数万の遺伝子の動きを解析できるマイクロアレイを用いて、「カスタムアレイ設計の方法論の確立」および「遺伝子診断法の確立」を試みた。
著者
小泉 京美
出版者
東洋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

「満洲国」および「関東州」における日本語文学・文化関連資料の調査成果を、コレクション・モダン都市文化第5期第85巻『満洲のモダニズム』(ゆまに書房、2013年6月)に発表し、日本および満洲におけるモダニズムの展開について論じた。また、『アジア遊学』167 (2013年8月)の特集「戦間期東アジアの日本語文学」に、「まなざしの地政学―大連のシュルレアリスムと満洲アヴアンガルド芸術家クラブ―」を発表し、満洲事変以降の大連の地政学的条件と、絵画・写真・詩など多様なジャンルを横断して展開したシュルレアリスムについて論じた。さらに、国際シンポジウム「文化における異郷」(2013年11月16日、輔仁大学、台湾)に参加し、「故郷喪失の季節―満洲郷土化運動と満洲歳時記―」と題して口頭発表を行った。1930年代に南満洲鉄道株式会社の社員会で活発化した満洲郷土化運動と、満洲における日本語文学の展開との関わりにっいて論じたもので、満洲におけるインフラ整備とメディア開発の進展が、日本語文学の展開に果たした役割を検証するとともに、満洲の日本人社会の変容が、日本語文学に与えた影響について考察した。口頭発表の成果は、「満洲郷土化運動と〈日本文学〉―短歌・俳句・歳時記―」(『東洋通信』、第50巻第9号、2013年12月)及び「故郷喪失の季節―満洲郷土化運動と金丸精哉〈満洲歳時記〉の錯時性―」(『フェンスレス』第2号、2014年刊行予定)に発表した。
著者
山田 昌久 山岡 拓也
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

考古学の研究は、過去の物質資料を観察研究することを基礎として成立している。しかしそこでは、技術を「機能」「用途」として捉えること、その器具や装置の数量を捉えること、その器具や装置の時間別空間別整理をすること、はできても、効力・効果を時間や精度で測ること、資源交渉量をボリュームで測ることは困難である。本研究は、実験考古学という手法により、技術力を数値で提示することと資源利用量や資源の生産量を数値で提示することを目的とした。過去の人類集団が、資源の入手法でのみ整理されるのではなく、それぞれの技術力や交渉資源量をもとに整理されることで、考古学の先史・原始時代研究は個別社会の特性を分離・統合する基準を保有することが可能となる。本研究では、(1)各種土質地の掘削力、各種草本の切削力・各種木本の切削力などを器具や装置ごとに示すことに成功した。(2)狩猟具の衝突圧や精度の数値化・石器・鉄器の形状特性の判断に成功した。(3)水利施設の設置・利用実験により先史・原始期の各種水利構想の特徴を示すことに成功した。
著者
名古 道功
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1 本研究においては、計画年休の実態調査と比較法研究を行った。(1)実態調査では、10の企業及び労働組合から聞き取り調査をした。そこで明らかとなったのは次の諸点である。(1)計画年休は大きく全社一斉型、事業場一斉型そして個人別付与型に区別される。(2)連休は、大型化しているところは少ない。(3)個人別付与型においては、i年休取得時季の指定ないしは奨励をしている場合がある。ii取得日の決定方法は労働者が計画表に記入し、それを職制が調整する。労働者の希望取得日が重なった場合の優先基準を定めているところがあるがわずかである。(4)計画年休に関する労働協約ないしは労使協定の法的拘束力は一斉型で背定されるが、個人別付与型ではそれが否定されている。(6)計画年休の変更は原則として禁止されている。 (2)次に、比較法研究は文献により行った。特にドイツでは、(1)法律において連休の単位(最低2週間)、優先基準、変更事由などが明記されている。(2)取得日の決定にあたっては、事業場における労働者の代表組織である経営協議会が関与している。(3)病休制度などが充実しており、年休を本来的目的にそって利用できる環境にあるなどが明らかになった。2 以上の研究から解明された点のなかで特に重要なのは、以下の事項である。(1)計画年休に対して正当な評価が与えられるべきである。(2)一斉型よりは、個人別付与型のほうが労働者個人の年休権の充実という観点からしてすぐれている。(3)労基法上の計画年休に関する規定は不十分であり、少なくとも、連続取得、優先基準を明記するとともに、労働者の過半数代表についての法整備を進め、労働者の意向を十分に反映させる手続を完備しなければならない。(4)病休制度などを創設していく必要がある。
著者
片桐 正夫 石澤 良昭 上野 邦一 藁谷 哲也 畔柳 昭雄 重枝 豊 清水 五郎 伊東 孝 坪井 善道 重枝 豊 伊東 孝 畔柳 昭雄 坪井 善道 藁谷 哲也 石澤 良昭 上野 邦一 伊豆原 月絵 大山 亜紀子 小島 陽子 チェン ラター 加藤 久美子 長澤 紘人 木下 洋道 勝原 基貴 有川 慎一郎 ロス ボラット ブリュノ ダジャンス ブリーノ ブルギエ イム ソックリティ 三輪 悟
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

王道(幹線古道)の踏査、および沿道遺構の実測を含むデータの収集により、(1) 王道及び遺構の建築的編年指標から建造年代の確定、技術的特徴の解明、これによる地域別の差異、技術者集団の存在について、(2) 各道の整備の編年、役割についての考察(Bルートでは現タイピマーイへ、Cルートではプリア・ヴィヘア、現ラオスワット・プーなどへの聖地巡礼、Dルートでは鉄資源の確保や生産地を結ぶなど)が可能となった。
著者
加藤 修雄
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

14-3-3タンパク質は、真核細胞生物に普遍的に高い保存性を持って存在し、Ser/Thr kinaseが関与する細胞内信号伝達経路上にあって、標的タンパク(200種以上)とリン酸化依存的に会合体を形成することで信号伝達を制御している。本課題においては、この14-3-3タンパク質複合体にさらに会合し、機能モデュレータとして働くジテルペン配糖体・コチレニン(CN)およびフシコクシン(FC)類を用いて信号伝達系を解析・制御することを主たる目的にした。CNおよびFCは、いずれも14-3-3たんぱく質とリン酸化たんぱく質(H^+-ATPase)の会合状態を安定化することで強い植物ホルモン様活性を示すことが知られているが、動物細胞に対する活性は異なり、前者のみがヒト前骨髄性白血病細胞(HL-60)に対して分化誘導活性を示す。この活性の相違が、14-3-3たんぱく質とその共通認識配列であるRSXpSXPとの会合状態に対するCNとFCの効果の相違に起因すると考え、等温滴定熱量(ITC)測定によって評価した。14-3-3たんぱく質とRSHpSVPの2者会合体に対してCN/FCを滴下し、ITC測定を行ったところ、CNは3者会合体を形成することで2者会合体を安定化するが、FCはさらなる会合体を形成しないことが明らかになった。この結果をdocking studyによって考察した結果、FCの12位水酸基が3者会合体形成を阻害していることが予想された。以上を踏まえ、12-デオキシFC誘導体を合成し、HL-60に対する分化誘導活性を評価したところ、予想通りCNに匹敵する分化誘導活性が認められ、12位水酸基の有無が活性発現に決定的な要因となっていることを明らかにした。
著者
中村 圭子
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本研究において新たに改良した有機物その場観察法及び非汚染試料作成法により,Tagish Lake隕石中には空洞コアとマントルから成る構造を持つ微粒子が多数存在することが判った。さらに,この粒子を多量に含む切片のラマン及び顕微赤外分光測定を行った。これらの測定の結果,粒子は主にアモルファス炭素とC=O,C-H結合から成る脂肪族カルボン系有機物及び芳香族有機物から成ることが判った。このような有機粒子は,本研究で行った電子顕微鏡その場観察により隕石中で初めて発見されたが,これまで生物学者らが行ってきた有機物のmembrane実験生成物と酷似した形状・組成を呈している。以上のように,本研究では「隕石中有機物の直接観察の成功及びその成因の解明」という大きな成果がもたらされた。研究成果は'Hollow organic globules in the Tagish Lake Meteorite as possible products of primitive organic reactions'と題して、学術雑誌International Journal of Astrobiology(2002) 1., p179-189に掲載された。研究論文発表に伴い、本雑誌出版社のCambridge Pressおよび研究活動のために渡航していたアメリカ航空宇宙局においてプレスリリースが行われ、各メディアによって高い関心をもって受け入れられた。●アメリカCNNテレビ・アメリカCBSテレビ・インタビュー●ワシントンポスト誌・サイエンス欄掲載●ロシア国営新聞イズベスチヤ・サイエンス欄掲載●ドイツ・アストロバイオロジーNow,惑星科学協会・ニュース速報掲載●ニューサイエンティスト誌・ニューサイエンス欄掲載●Yahoo!ニュース・Space.com等 インターネットニュース等掲載
著者
南 正人
出版者
麻布大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

どのような個体が多くの子供を残せるのかを調べることは、適応と進化を論じるうえで重要である。長期に観察が続けられている個体識別されたニホンジカ(Cervusnippon)を対象に、繁殖成功とそれに影響を与える要因を分析した。なわばり雄の交尾数が多く、これらの雄の体重は重かった。しかし、劣位雄の一部も子供を残していた。雌の生涯繁殖成功度のばらつきは0-6で、体重と生存期間が影響していた。
著者
永沼 孝子 小川 智久 尾定 誠
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

4種のマベガイ外套膜レクチン(PPL-1~4)のうち、PPL-1は生体防御に関わること、PPL-2はカルシウム結晶化制御能、即ち貝殻および真珠層の形成に関与する他、生生体防御能も有することを明らかにした。PPL-4もカルシウム結晶化に関与することが分かった。このように、PPL群はマベガイ生体において、それぞれ異なる役割を果たし、健康な生体の維持に貢献していることが示唆された。