著者
Wataru Takahashi Toshiko Mizuno Kaori Hara Yoshiaki Ara Rikiya Hurutani Toshihiko Agatsuma Minoru Fujimori
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.9699-22, (Released:2022-08-20)
参考文献数
14
被引用文献数
2

Objectives The influential factors for anti-severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 spike protein antibody (S-ab) levels were assessed after the administration of BNT162b2 mRNA coronavirus disease-2019 (COVID-19) vaccine at short and medium terms. Methods A total of 470 healthcare workers (118 males, mean age 41.0±11.9 years) underwent serum S-ab level measurement at 3 and 8 months after two inoculations of BNT162b2 vaccine given 3 weeks apart, who had no history of COVID-19 were enrolled in this study. The changes and differences after vaccination due to gender and adverse reactions of S-ab were analyzed. Results Systemic adverse reactions incidence (48%) was significantly higher after the second dose than after the first dose (8%). S-ab levels decreased as the age increased (from the 20s to 60s) in both measurements. S-ab level 8 months after the second inoculation (median 476.3 [interquartile range {IQR} 322.4-750.6] U/mL) was significantly lower than that after 3 months (977.5 [637.2-1409.0] U/mL; P <0.001). The median decrease rate of S-ab levels in 5 months was 50.3 (IQR 40.3-62.6) % and those differences were not observed among all generations. Gender-associated differences in S-ab levels were not observed; however, a significant relationship between higher S-ab levels and the systemic adverse reactions was observed at both measurements. Conclusions The systemic adverse reaction is an independent factor for higher S-ab levels at short and medium terms after BNT162b2 vaccination as demonstrated in our data.
著者
柳 燁佳 金 明哲
出版者
日本分類学会
雑誌
データ分析の理論と応用 (ISSN:21864195)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-11, 2020-08-01 (Released:2020-10-06)
参考文献数
19

菊池寛には代筆疑惑を持つ作品がいくつか存在し,連載小説「受難華」がそのなかの1 つである.本研究の目的は,「受難華」の真の著者を明らかにすることである.「受難華」の代筆疑惑は川端康成の証言によって発覚した.川端によれば,「受難華」は横光利一の代筆であるが,他に代筆説を支持する証拠がないため,「受難華」の代筆問題が未だに解決されていない. 本稿では,計量文体学のアプローチで「受難華」の代筆問題を検証した.具体的に,菊池寛と横光利一のそれぞれ32 作品と「受難華」の22 回分の連載(全集では69 節からなるが,ごく短い節もあるため,連載時の回単位で分割した)から集計した読点の打ち方,形態素の品詞タグのbigram と文節パターンの特徴量データに対して,階層的クラスター分析,主成分分析,そしてランダムフォレスト,サポートベクターマシンをはじめとする7 つの分類器を用いて統合的に著者判別を行った.その結果,「受難華」の各回は菊池寛の作品だという結論に至った.
著者
市山 高志
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.5-8, 2010-02-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

「インフルエンザ脳症」は約10年前に疾患概念が提唱された比較的新しい病気である.本疾患は「インフルエンザの経過中に急性発症する意識障害を主徴とする症候群」と定義される.剖検脳では,著明な脳浮腫を認めるものの,炎症細胞浸潤やインフルエンザウイルスはみられない.従ってインフルエンザ脳炎ではなく,「インフルエンザ脳症」と命名された.当時は死亡率30%,後遺症率25%という極めて予後不良であった.その後の研究で,本疾患の病態に高サイトカイン血症が関与し,末梢血単核球の転写因子NF-κB活性化が明らかになった.抗サイトカイン療法としてステロイドパルス療法および免疫グロブリン大量療法が提唱され,普及した現在は死亡率10%弱に低下した.しかしインフルエンザ脳症の病態は単一でないことが明らかになり,現在は高サイトカイン血症が病態の中心でない「けいれん重積型脳症」といわれるタイプが,高率に神経学的後遺症を残すことから問題となっている.このタイプの病態は長時間のけいれんによる神経細胞に対する興奮毒性が主と考えられている.従って,ステロイドパルス療法や免疫グロブリン大量療法は有効でなく,なんらかの脳保護的治療が模索されている.しかし,現時点で有効性が証明された治療法はなく,効果的な治療法開発が今後の課題である.
著者
Masashi Ohe Ken Furuya Houman Goudarzi
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
Drug Discoveries & Therapeutics (ISSN:18817831)
巻号頁・発行日
pp.2021.01005, (Released:2021-02-19)
参考文献数
25
被引用文献数
1 5

An outbreak of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) infection, which began in Wuhan, China in December 2019, has rapidly spread all over the world. The World Health Organization characterized the disease caused by SARS-CoV-2 (COVID-19) as a pandemic in March 2020. In the absence of specific treatments for the virus, treatment options are being examined. Drug repurposing is a process of identifying new therapeutic uses for approved drugs. It is an effective strategy to discover drug molecules with new therapeutic indications. This strategy is time-saving, low-cost, and has a minimal risk of failure. Several existing approved drugs such as chloroquine, hydroxychloroquine, doxycycline, azithromycin, and ivermectin are currently in use because of their efficacy in inhibiting COVID-19. Multidrug therapy, such as a combination of hydroxychloroquine and azithromycin, a combination of doxycycline and ivermectin, or a combination of ivermectin, doxycycline, and azithromycin, has been successfully administered. Multidrug therapy is efficacious because the mechanisms of action of these drugs differ. Moreover, multidrug therapy may prevent the emergence of drug-resistant SARS-CoV-2.
著者
三宅 幸子
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.19-24, 2014 (Released:2014-03-05)
参考文献数
15

Mucosal associated invariant T(MAIT)細胞は,T細胞受容体にインバリアントα鎖(マウスVα19 Jα33,ヒトVα7.2 Jα33)を発現するT細胞であり,MR1分子に抗原提示される.粘膜組織に多く存在し,自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする自然リンパ球として機能すると考えられている.ヒトでは,末梢血αβT細胞の数%を占める大きな細胞集団であり,CD8陽性もしくはCD4陰性CD8陰性の細胞が大部分である.細菌や真菌に反応し,感染症病態に関与することが報告され,腸内細菌の代謝産物が抗原として働くことが示されている.自己免疫病態との関連については,動物モデルを用いた研究で多発性硬化症のモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎では制御性に働くが,関節炎モデルでは病態悪化に関与する.自己免疫疾患では,多発性硬化症,関節リウマチ,全身性エリテマトーデスの末梢血ではその頻度が低下しており,自己免疫病態への関与が示唆された.
著者
林原 玲洋
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.23, pp.141-152, 2010-08-30 (Released:2015-06-12)
参考文献数
28

In 1993, the Japan Epilepsy Association criticized Tsutsui Yasutaka's novel “Robot Police” as discriminatory to epileptics, and sought to have it from a textbook published by Kadokawa Publishing. In response to the criticism, he declared a “Writing Strike” and appealed for freedom of expression. This declaration drew public attention, and raised a storm of controversy. The aim of this paper is to explicate the divergence of problem setting in the controversy. First, I will show that the declaration was situated in the context of victim contest. Then, I will demonstrate that the context was prepared through the shift of roles in the early stages of the controversy. Finally, I will present a rhetorical analysis of how the shift of roles occurred in the responsive context of the controversy.
著者
田中 智子 坂本 須美子 岩月 聡史 茶山 健二
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.375-380, 2011 (Released:2014-04-25)
参考文献数
29

セレンは必須微量元素の1つで健康増進作用や疾病予防作用,とりわけガンの発生や転移を抑制することで,注目を集めている元素である。食品中のセレン含有量を水素化物発生原子吸光法を用い測定した。測定条件は,NIST SRM-1568 aの米粉を用い認証値 380±40 ppbに対し,382±17 ppbで妥当性を確認した。41種類の豆腐中セレン含有量を測定した結果,国産と中国産大豆を用いた豆腐中セレン含有量は低く,カナダ・アメリカ産大豆を用いた豆腐は高かった。きな粉を測定した結果も,大豆の原産国がアメリカのセレン含有量は高く,国産大豆のきな粉は低くかった。
著者
入來 正躬
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.55-61, 1996-04-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
18
被引用文献数
2

酷暑といわれた1995年7月, 8月に山梨県で発生した熱中症の症例について, 山梨県医師会会員へのアンケート調査結果及び救急搬送データを用いて解析した.アンケート調査では発送490名, 回答66名, うち25名より27症例が報告された.救急搬送データでは34症例が報告されている.うち5例は両者でとり上げられていた.発症は, 27例中23例が晴天下での戸外の作業中又は運動中であった.環境温約30℃をこえると発症がみられ, 35℃をこえると発症数の著しい増加がみられた.発症は気温が急に上昇した日に最も多かったが, 気温の上昇が持続している間は発症がみられた.高齢者の症例は, 成人に比べやや多い傾向があった.ただ室内で発症した4例中3例は高齢者であった.高齢者の生活状態, 経済状態に特徴的な点は見当たらなかった.体内温 (直腸温または腋窩温) が40℃以上の症例4例中3例が死亡した.体内温40℃以下での死亡例はなかった.体内温40℃以下の症例では著しい発汗が, 40℃以上では意識障害や錯乱が特徴的にみられた.治療として輸液と体冷却 (体表冷却, 冷却点滴, 冷却胃洗浄など) 及び薬剤投与が行われて効果がみられていた.
著者
望月 康弘 大久保 秀夫 秦 大資 吉田 晃 細木 義郎 神田 成夫 仁科 徳啓 秋山 真人 塩澤 寛治 林 道明 杉枝 正明 村上 正博
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.52-60, 1989-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1

昭和61年9月~62年7月の間に静岡県立総合病院小児科を受診した腹痛, 下痢患者499例について糞便中の病原細菌の検索を行い, 47例よりCampylobacter jejuniを分離した.下痢発症前の食事内容, 調理器具の取り扱いなどを調査し, 患児と同年齢で家族内に最近2週間以内に下痢症のない対照群と比較した結果, 患者群では生肉を取り扱う際のまな板, 包丁を必ず洗剤や石鹸で洗う割合が対照群よりも少なく, 有意差が認められた.同居者, ペット動物の保菌状態を調査し, 下痢患者の祖母1例, 父2例, 母5例, 同胞6例より本菌を分離したが, 家庭で飼育しているペット動物からは分離されなかった.鶏肉を調理したあと, 家族内で集団発生した例が3家族あり, うち2家族において, 患者が摂食した鶏肉が冷凍保存されており, C.jejuniが検出された.患者から分離された本菌の血清型は, Pennerの方法で2型が多く, 市販の鶏肉分離株との間に共通性がみられた.静岡市内の小学校で飼育されている動物について広範に調査し, 387のうち10検体 (2.6%) より本菌を分離した.追跡調査により通常は比較的速やかに菌の消失をみた.飼育環境の悪い例では, 150日以上排菌が続いていたが, 飼育担当者のなかに下痢を発症した者はなかった.これらのデータより, 静岡市のような我国の平均的都市部では, 本症の発症原因として, 家族内での人から人への感染やペット動物からの感染は比較的少なく家庭内で生の鶏肉を取り扱う際の, 調理器具や, 手指を介する他の食品の汚染が最も重要な危険因子であり, 調理者に対する衛生教育と鶏肉の細菌汚染防止対策についての研究を進める事が, 最も重要と思われた.
著者
岡本 英生 森 丈弓 阿部 恒之 斉藤 豊治 山本 雅昭 松原 英世 平山 真理 小松 美紀 松木 太郎
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.84-93, 2014-10-18 (Released:2017-03-31)

大規模災害後の被災地では,ドアや壁が壊れて外部から侵入しやすくなった建物や,人々が避難して無人になった家屋や店舗が多くなることなどから,便乗犯罪が発生しやすい.また,災害によるダメージからの回復が遅れればそれだけ犯罪を誘発する要因が解消されず,犯罪は発生し続けることになる.逆に言えぼ,災害被害からの復旧・復興が速やかに進めば,犯罪発生は抑制されることになる.災害の被害が大きいほど,また災害被害からの回復が遅いほど犯罪が発生しやすいということは,阪神淡路大震災(1995年1月発生)のあとの被災地住民を対象とした調査では示されている.そこで,本研究では,地理的条件などが異なる東日本大震災(2011年3月発生)でも同様なことが言えるかどうかを調べた.東日本大震災のあとの被災地(宮城県及び福島県)の住民(n=1030)を対象にインターネット調査を実施し,ロジスティック回帰分析により検討したところ,震災被害が大きいと,また震災被害からの回復が遅いほど,「自転車・オートバイ盗」や「住宅への空き巣」が発生しやすいことなど,阪神淡路大震災後の調査と同様な傾向が確認できた.
著者
宍倉 正展 越後 智雄 行谷 佑一
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.53, pp.33-49, 2020-12-25 (Released:2021-07-11)
参考文献数
25

Marine terraces (probably Holocene terraces) divided into three levels of L1 to L3, representing the activity of off-shore active faults, have been developed along the northern coast of the Noto Peninsula, central Japan. To evaluate the mean vertical displacement rate and recurrence interval of off-shore active faults, this study tries to estimate the emergence age of terraces using an idea of time predictable model with the rate of relative sea-level fall. In the Saruyama-oki segment off the northwestern coast, assuming the ages of the L1 terrace to be 6,000 or 3,500 years ago based on previously reported peak age of post-glacial transgression, it is inferred that the mean vertical displacement rate is 0.87 mm/year or 1.49 mm/year, and recurrence interval is 2,000 or 1,200 years. However, the emerged sessile assemblages indicate the shortest interval of 300 years because the height and age suggest that two uplift events of 0.7 m and 0.8 m occurred in the 9th century and 12th to 13th centuries, respectively. In the Wajima-oki and Suzu-oki segments off the north-central to northeastern coast, the height distribution of the lower terraces indicates undulating deformation with two peaks, which is consistent with the height distribution of the late Pleistocene terrace. This suggests the characteristic displacement and its accumulation due to the fault activity of these segments. Under the same assumptions for estimating the age of terraces, the mean vertical displacement rate and recurrence intervals are 0.67-0.72 mm/year or 1.14-1.23 mm/year and 900-1,400 years or 500-800 years respectively. The age of emerged sessile assemblage indicates that the latest event of the Wajima-oki segment can be correlated to the historical earthquake of AD 1729.
著者
服部 孝彦
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.31, pp.100-103, 2021-01-01 (Released:2021-09-17)
参考文献数
16

早期英語教育の考え方の理論的根拠として臨界期仮説をあげることができる.しかし現在まで,臨界期があるかどうかについては明確な結論は出ていない.本研究ではまず母語習得と臨界期の先行研究を概観する.その上で第二言語習得に関する臨界期の先行研究を概観し,研究動向を掌握する.そして臨界期が今後解明すべき課題について,言語習得環境からの視点も踏まえながら考察を行う.それらを踏まえ,2020年4月から全国の公立小学校で実施されている英語教育の有効性について,第二言語習得理論の立場から検討をする.
著者
小野 雅章
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.542-553, 2007-12-28 (Released:2018-12-26)

本稿は、1935年の天皇機関説事件を契機に近代天皇制と教育との関係に大きな質的転換があったことを、御真影と学校儀式の取り扱いを検討する中で明らかにしようとするものである。具体的には、国立公文書館所蔵の文部省関係資料を再検討するとともに、筆者が調査した府県庁文書をその検討の対象に加え、(1)昭和天皇・皇后御真影下付手続きに関する諸事項とそのとき発覚した御真影汚損の実態とそれに対する府県レベルでの対応、(2)上述の事態を深刻に受け止めた文部省が各府県に係官を派遣し「御真影奉安状況視察」を実施し「奉護」形態状況把握に努め、その上で「行政指導」とでもいう形で御真影「奉護」規程の「統一化」を図ったこと、(3)さらに、1936年以降の文部省は、神社様式奉安殿の普及に努めると共に、「強制」下付という形で高等教育機関から初等教育機関すべてを対象に御真影の「強制」下付を実施するのと同時に、四大節学校儀式挙行を通牒で強制的に推進したことを明らかにした。
著者
西田 公昭
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.18-29, 1995-09-15 (Released:2016-12-04)

This paper reports an analysis of enhancement and maintenance of one's belief system by means of using cult mind-control techniques. The study analyzed mainly using a questionnaire administered to 272 persons of former cult members, furthermore with the use of content analysis of textbook on dogma, video tapes of the dogma and interviews wiht the former cult members. The result of factor analysis from the questionnaire data revealed that the cult mind-control techniques have produced following six situational factors for enhancement and maintenance of one's belief system; namely they are 1) restriction of freedom, 2) restriction of sexual emotion, 3) physical exhaustion, 4) avoidance of outgroups, 5) reward and punishment and 6) time pressure. It could be concluded from this result and other studies that the following three psychological factors influence the enhancement and maintenance of one's belief system that controls behavior; 1) conditioning, 2) self-deception, 3) cognitive dissonance. Furthermore, the controls of information processing operate in the following four dimensions; 1) gain-loss effect, 2) systematization, 3) priming effect and 4) threatening messages. In addition, the reinforcement of group memberships were enchanced by 1) selective exposure to stimuli and 2) strengthening social identity. It was also found that factor of physiological stress facilitates these controls.
著者
真坂 一彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.332-341, 2013-12-01 (Released:2014-03-03)
参考文献数
132
被引用文献数
1 2

侵略的外来種ニセアカシアについての言説を整理し, 社会心理学的な視点から検討した。ニセアカシアは窒素固定菌と共生することで土壌に窒素をもたらし, 林内に外来の好窒素性植物を繁茂させ, 在来種を駆逐すると説明される。しかし, 報告されている調査事例は因果関係と相関関係の取り違えという試験設計上の問題をかかえ, ニセアカシアの影響を評価できない。一方で, 在来樹種の林内の種多様性と大きな差異がないという報告もある。ロジックに不備がある説明が受け入れられる背景には, 「仮説確証型の情報処理傾向」に基づく「選択的認知」が指摘できる。ニセアカシアの侵略性を紹介する資料の中には明瞭な虚偽記載も認められた。河川敷やクロマツ海岸林への侵入は, 人為的な土地改変や植生管理の停止という影響が大きい。人畜等への毒性については, 事例が限定的なうえに断片的な情報も多く, 「偶然の過大評価」や「証拠隠し」が疑われた。ニセアカシアは養蜂業を通して果樹野菜の花粉交配に貢献している。ニセアカシアの管理においては, 公正な情報に基づいた議論による社会的合意が必要とされる。
著者
砂川 芽吹
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.87-97, 2015 (Released:2017-06-20)
参考文献数
24
被引用文献数
1

自閉症スペクトラム障害(ASD)の女性は,知られている有病率の少なさと,ASDの症状が分かりにくいことから,これまで焦点が当たってこず,見過ごされている可能性がある。本研究では,①ASDの女性を見えにくくする要因は何か,及び,②ASDの女性は診断に至る過程のなかでどのように生きてきたのか,という2つの問いを明らかにするために,大人になって初めてASDの診断を受けた成人女性12名を対象としたインタビューを行い,GTAによって質的に分析した。その結果,【「大人しさ」のベール】,【就労状況のベール】,【家庭のベール】,【精神症状のベール】という,周囲からASDの女性を見えにくくする4つの社会環境的な要因が見いだされた。さらに,これらのベールの下で,ASDの女性が適応の【努力と失敗の繰り返し】から【社会適応のスキルを学習】することもまた,周囲がASDの女性を認識し難くなる要因となっていることが示唆された。一方で,ASDの女性は,診断に至る過程であらゆる失敗経験を〈自分に原因帰属〉しているために,【自尊心の低下】が起きていた。そのため,ASDの女性は表面的な社会スキルによってASDであることが周囲から見えにくくなっているが,自尊心が低く,支援が必要な状態だと考えられた。本研究を通して,ASDの女性が障害を持つことを見えにくくする要因と適応過程を見いだし,ASDの女性におけるアセスメントや支援についての示唆を得た。
著者
鈴木 ひとみ 山本 昭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第6回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.105-109, 2009 (Released:2009-10-01)
参考文献数
5

戦後日本国内で、外国の理工学図書の海賊版が作られ、広く使われていた。1980年代には姿を消した。広く流布していたにもかかわらず、その非合法性から実態が記録されることはなかった。本研究では、新聞記事等の文献、実際にそれらに接した研究者からの聞き取り、実物を入手しての原本との比較の三つの面から、物理的特徴、原本入手から、発注、印刷、頒布までの作成・流通過程等の実態を明らかにした。