著者
高島 有香 守内 玲寧 白戸 貴久 和田 吉生 福澤 信之 原田 浩 清水 聡子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.11, pp.2373-2377, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
9

臓器移植患者は免疫抑制のため水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症のリスクが高く,重症化の恐れもあるが,これまで多数例の検討は少なく,治療基準も明確ではない.当施設で施行された腎移植548症例中VZV感染症を発症した81例につき,患者背景,発症頻度,移植から発症までの期間,臨床症状をレトロスペクティブに検証した.汎発型帯状疱疹を11例に認め,うち1例は脳炎を合併し死亡した.腎移植後のVZV感染症診療の際には,速やかな治療開始と慎重な観察が必須であるが,腎移植後1年間以内の患者や献腎移植患者では特に発症率が高く,より慎重な観察が重要である.
著者
清水 勇喜
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第5回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.45-49, 2008 (Released:2008-10-30)
参考文献数
13

法曹教育におけるコンピュータを用いた図的表現の活用を提案する。具体的な図的表現の例として、(1)条文間の関係等のグラフ構造での提示、(2)価値対立構造等の表での提示、(3)手続きの流れ等の動的な流れ流れ図による提示、(4)静的な構造の提示、(1)∼(4)の統合的な提示の重要性を述べる。またこれらを統合するインターフェースの必要性と、学習段階における提示する情報の絞込みの必要性について述べる。
著者
趙 南元 飯島 泰蔵
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J68-D, no.5, pp.1125-1132, 1985-05-25

一枚の複雑な画像が与えられたとき,あるいはある風景を眺めたとき,それを認識し,理解しようとすれば,人間はまずそれらを幾つかの簡単な画像に分けることから始めるであろう.人間の目は,無意識の中に,良い視点と視野を決め,自分にとって最も意味のある視覚情報を積極的に取り入れる.本論文ではこのようなプロセスを近似する一つの試みとして安定視点木法を提案する.本方法は,図形の基礎方程式にもとづく最適抑制法を土台にし,視点の安定性を視野を決める基準とすることによって,与えられた複雑な画像から特徴パターンを抽出する方法である.抽出された特徴は,扱い易い木構造となり,安定視点木と呼ばれる.本文では,ボケ変換を解析することにより,安定視点木の定義の正当性を論じ,その性質を明らかにした.本方法による画像の特徴抽出法は,画像の特質に依存しないため,汎用性のある特徴抽出法として,広く応用することが可能である,と考えられる.
著者
野崎 達生 加藤 泰浩 鈴木 勝彦
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.279-305, 2014-12-25 (Released:2015-01-06)
参考文献数
132
被引用文献数
1

Along with the progresses in analytical procedure and mass spectrometry, the number of papers using a Re–Os isotope system has rapidly increased, although Re and Os are trace elements whose typical concentrations in geological materials are ppt~ppb levels. Rhenium has two isotopes and 187Re is a radio isotope which generates 187Os through β- decay in the half-life of 41.6 Gyr. Since both Re and Os are highly siderophile and chalcophile elements, they are concentrated into sulfide minerals. Besides the 187Re–187Os decay system, Re is more incompatible than Os during a magma differentiation process, producing a large variety of the 187Re/188Os and 187Os/188Os ratios among various reservoirs on the Earth. The seawater 187Os/188Os ratio is mainly controlled by riverine flux having a high 187Os/188Os ratio (~1.4) and hydrothermal fluid/cosmic dust fluxes with low values (0.12~0.13). Thus, the Re–Os isotope system is a powerful tool for (1) geochronology of sulfide deposit, black shale and petroleum deposit using an isochron method, (2) geochronology of ferromanganese crust whose sedimentary age can be determined by fitting their 187Os/188Os ratios with the secular variation curve of the marine Os-isotope ratio, (3) decoding the trigger and processes of global climate change and impact event, and (4) unraveling the magma source and formation processes of volcanic rocks. Here, we review the recent geochemical study using the Re–Os isotope system and especially focus on a geochronology of the sulfide deposit.

2 0 0 0 OA 芸者虎の巻

著者
松の屋常磐 著
出版者
井上定吉
巻号頁・発行日
1894
著者
伊藤 貴啓
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.303-326, 1993
被引用文献数
2

本研究は愛知県豊橋市におけるつま物栽培の地域的性格を工業的農業という観点から検討した.つま物栽培農家は豊橋市の市街地隣接地区に集積する.その農業経営は利潤を目的に家族労働力と雇用労働力で経営内分業をしながら,施設化・装置化に基づいた計画的周年生産を特色とした.それによって,生産の季節性,生産と労働の時間的差異や土地の制約という農業の特殊性は克服されていった.また,つま物栽培は土地集約型・労働集約型・資本集約型農業の性格も示した.つま物栽培地域は土地利用の集約性と粗放性,後継者と男子専従者の存在.労働力多投農家の集中,高い土地生産性と労働生産性,高販売金額農家の集中によって特色づけられ,都市化地帯にありながら積極的に農業を維持していた.それは市街地隣接地区という立地をいかした女性労働力の雇用と専門農協の強力な共選共販による大都市圏出荷を基盤としていた・この点から,本地域は輸送園芸産地としての性格も有する.
著者
竹内 郁雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.p192-199, 1979-03-15
被引用文献数
1
著者
中西 正和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.11, no.10, pp.619-623, 1970-10-15
被引用文献数
1
著者
名城 邦夫
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.1-88, 2015

ヨーロッパ貨幣史を国家貨幣の分裂,計算貨幣の発展の視角から分析する。カール大帝は支配の単位として国家貨幣・銀貨デナリウスを導入した。その後,貨幣高権は分裂し,ヨーロッパに無数の貨幣流通圏が成立する。国王や領邦諸侯さらには都市当局によって支えられた特権的市場経済・指令慣習経済が成立し,その内部経済として北イタリア商人によって貨幣高権を超える商業ネットワークと信用決済システムが形成された。 16世紀を境に,ネーデルランドで商品取引所と為替取引所が設立され,ネーデルランドを中心に北西ヨーロッパで自由な市場経済圏が成立することになった。この市場経済の決済はアムステルダム為替銀行の計算貨幣バンコ・ギルダーによって行われた。こうして,北西ヨーロッパ市場圏の国際商品は銀行貨幣バンコ・ギルッダー建のもと自由に需要と供給によって価格が決定した。同時に,独立によって領土と国民が確定したオランダ共和国において卸売価格が決定し,最終的に共和国の小売価格がバンコ・ギルダーの価値に基づいて決定された。つまり,資本主義世界経済の決済貨幣・バンコ・ギルダーは共和国の国内価格を支配する為替貨幣となる。
著者
河野 哲
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.128-133, 1989-08-25
被引用文献数
1 33

ポット植えしたダイズに3種のカメムシを放飼し,放飼時のカメムシの齢期と被害,放飼時のダイズの生育期と被害,カメムシの種類と被害などの関係,さらに品質・収量への影響について検討した。<br>1) ホソヘリカメムシによる被害粒率は,1・2齢ではごくわずかであったが,3齢になると急増し,雌成虫が最大となった。被害程度の重い子実の占める割合の高いのは,4齢,雌成虫,雄成虫であり,3齢以下の幼虫ではその割合は低かった。<br>2) ホソヘリカメムシならびにイチモンジカメムシによるダイズ子実の吸汁被害は,莢伸長中期∼子実肥大初期が最も大きく,それ以降は子実の肥大ならびに硬化にともなって減少した。<br>3) ホソヘリカメムシの雌成虫による被害粒率はブチヒゲカメムシより高かったが,雌雄の平均で比較すると両種の被害粒率はほぼ同じであった。被害程度の大きい子実はホソヘリカメムシのほうがブチヒゲカメムシより多く,イチモンジカメムシによる被害は,子実肥大初期以外ではホソヘリカメムシとほぼ同じであった。<br>4) 1日1頭当り加害粒数は,ホソヘリカメムシの発育態では,雌成虫(2.07個)が,ダイズの生育期では莢伸長中期(雌雄込みにして1.7個)が最大であった。ブチヒゲカメムシは子実肥大初期には1日1頭当り雌雄とも約1個の加害能力があった。<br>5) ホソヘリカメムシによる莢伸長中期の加害が収量に最も強く影響し,28.1%の減収となったが,品質においては,その時期よりもやや莢の発達した子実肥大初期の影響が大きい傾向がみられた。