著者
星野 裕紀子
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.43, pp.S3-3, 2016

平成25年6月に閣議決定された日本再興戦略において国民の健康長寿の延伸がテーマの一つとして示された。これを受けて、健康・医療戦略(平成25年6月14日内閣官房長官・厚生労働大臣・関係大臣申合せ、平成27年7月閣議決定)ではその具体策としてPMDA自らが臨床データ等を活用して解析や研究を推進すべき旨が述べられている。このような状況の下、PMDAでは平成25年9月に次世代審査・相談体制準備室を設置し、電子データを利用した審査のパイロット(臨床試験成績に限る)を開始すると共に関連通知等の整備を経て、本年10月より、医薬品の承認申請時には原則として臨床試験成績については電子データの提出が求められることとなった。この電子データはCDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)の規格(以下、「CDISC標準」)への準拠が求められており、標準化された電子データの利用による審査の効率化や高度化、Modeling & Simulationを活用した品目横断的な検討等により、患者数が少なくデータの集積が困難な希少疾病医薬品等の開発促進が期待されている。<br>一方、将来的には、非臨床試験成績に関しても承認申請時にPMDAへの電子データ提出を求める方向であり、具体的な検討を開始したところである。検討に際しては、国内での臨床試験電子データの受入れ状況や、既にNDA申請等に際してCDISC標準に準拠した電子データの提出を非臨床試験に関しても義務化することを決定している米国の状況等に留意しつつ、その活用方針について議論する必要がある。<br>本講演では前述の点を踏まえ、日本における非臨床申請電子データの利用とその展望について述べたい。
著者
上原 信之 黒川 一郎 広瀬 崇興 熊本 悦明
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.6-11, 1994

MRSAおよび緑膿菌による院内感染は, 院内環境や医療従事者の手指を介しての交差感染であることが大きな要因であると指摘されている. 今回, 我々は実際の病棟環境において, 水拭き, 0.1%次亜塩素酸ソーダ液, 0.5%テゴー51液およびアクア酸化水などにより床の清拭・消毒を行い, 約2時間後のMRSAおよび緑膿菌に対しての除菌効果について検討した.<BR>MRSAについては, 各消毒液およびアクア酸化水ともに持続的な除菌効果は認められなかった. これらの結果から, 特にMRSAの床からの除菌は保菌患者がいる限り, 消毒薬を用いても困難であることが判明したことから, 通常の手洗いなどの徹底により環境の汚染菌を易感染患者に接触交差感染させないことが重要であることが再確認された. また, 緑膿菌は乾燥した病棟床からはほとんど検出されなかった.
著者
谷垣 宏一 徳本 修一 撫中 達司 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.2015, no.5, pp.1-8, 2015-01-12

語彙を限定しない語義曖昧性解消 (all-words WSD) のための新しい教師なし学習モデルを提案する.all-words WSD は,辞書知識を言語処理に活用する基礎技術として実用化が期待されるが,識別対象である語義は種類が膨大でかつ分布がドメインに強く依存する性質があり,ラベル付きコーパスの構築を前提とする教師あり学習では実用化を見込むことが難しい.提案法は,ラベルなしコーパスの語と膨大な語義の間に自然な対応を推定するため,2 つの制約をモデル化する: 1) 類似した文脈に出現する語群の語義は,互いの語義からの外挿に従う.2) 同じ語の各出現における語義は,単語タイプ毎の事前分布に従う.これらの相補的制約を単一の階層ベイズモデルに統合し,教師なし all-words WSD を実現する.SemEval データセットを用いた実験結果より提案法の有効性を示す.
著者
新納 浩幸 村田 真樹 白井 清昭 福本 文代 藤田 早苗 佐々木 稔 古宮 嘉那子 乾 孝司
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.319-362, 2015

語義曖昧性解消の誤り分析を行う場合,まずどのような原因からその誤りが生じているかを調べ,誤りの原因を分類しておくことが一般的である.この分類のために,分析対象データに対して分析者 7 人が独自に設定した誤り原因のタイプを付与したが,各自の分析結果はかなり異なり,それらを議論によって統合することは負荷の高い作業であった.そこでクラスタリングを利用してある程度機械的にそれらを統合することを試み,最終的に 9 種類の誤り原因として統合した.この 9 種類の中の主要な 3 つの誤り原因により,語義曖昧性解消の誤りの 9 割が生じていることが判明した.またタイプ分類間の類似度を定義することで,統合した誤り原因のタイプ分類が,各自の分析結果を代表していることを示した.また統合した誤り原因のタイプ分類と各自の誤り原因のタイプ分類を比較し,ここで得られた誤り原因のタイプ分類が標準的であることも示した.
著者
東野 督子 神谷 和人 藤井 徹也
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.135-140, 2015

医療施設において耐性菌で最も多く分離されるmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA )は、材質によっては30 日以上の生存が確認され、殺菌効果があるとされる銅や真鍮においても牛胎児血清が加わるとS. aureus の15日以上の生存が示された(東野・神谷、2011、2012)。本研究では、療養環境に生存する病原微生物を除去できる住宅用洗剤の使用に関する検討を行う。 方法は、EN 13697(European Norm:欧州標準規格)を踏まえて、日本石鹸洗剤工業界の方法を参考にして、牛胎児血清が加わったMRSA などの疑似汚染における水拭き清掃と環境消毒剤含有の環境用合成洗剤を使用した細菌の生菌数の減少率を比較した。試験菌の付着片作成法:非耐性株であるmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus〔MSSA( ATCC29213 株)〕、及びMRSA であるATCC43300 株を用いた。試験菌の付着片は、ステンレス片を2cm× 2cm 大にカットし滅菌した後に牛胎児性血清を含む菌液を滴下しデシケーター中で乾燥させ作成した。試験菌の回収は、供試薬剤100μℓ を1 分間作用させた後、消毒効果を止めるための中和剤の使用の有無の比較で行った。 四級アンモニウム塩の効果は1 分以上の作用を必要とする。四級アンモニウム塩を含む環境用合成洗剤であっても、1 分より短い接触時間で乾燥する程度の使用量では、四級アンモニウム塩配合の効果を期待できない。 Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), the most frequently isolated resistant bacterium in medical institutions, has been demonstrated to survive for over 30 days, depending on the materials on which they grow. S. aureus has been shown to have the ability to survive for over 15 days even on copper and brass, which are said to be bactericidal, in the presence of fetal bovine serum (FBS) (Higashino and Kamiya,2011,2012). In this study, the efficacy of environmental detergents in eliminating pathogenic microbes surviving in medical treatment environments was evaluated. Based on EN 13697 (European Norm), taking into account the method recommended by the Japan Soap and Detergent Association, the rates of decrease of the viable bacteria were compared between wiping with water alone and wiping with a environmental detergent containing an environmental disinfectant for pseudo contamination, such as MRSA growing in FBS. Method of preparation of the small pieces of material carrying the test bacteria: Methicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA [ATCC29213]), which is non-resistant strain, and the MRSA strain, ATCC43300, were used. Small pieces carrying the test bacteria were prepared by cutting a stainless steel plate into 2 cm × 2 cm pieces, sterilizing the pieces, dropping bacterial solution containing FBS on them, and then drying the pieces in a desiccator. The test bacteria were recovered after applying 100 μℓ of the test detergent to the pieces for one minute and then using a neutralizing agent. Environmental detergents containing quaternary ammonium salt were bactericidal only when the application time was longer than one minute. Bactericidal effects cannot be expected of environmental detergents, even when they contain quaternary ammonium salt, if the contents of these compounds are so small as to cause drying of the detergent within one minute of application.
著者
田宮 誠司 森 一幸 草原 典夫
出版者
長崎県総合農林試験場
雑誌
長崎県総合農林試験場研究報告 農業部門 (ISSN:03888398)
巻号頁・発行日
no.34, pp.91-115, 2008-03

「西海31号」は、アントシアニンを含み、肉色が赤色で、利用適性の高い品種の育成を目標として1999年秋に、高でん粉の「96016-8」を母、赤皮・赤肉で大いもの「長系115号」を父として交配し、交配種子を得た。2000年春作から交配種子を播種し選抜を開始し、2003年春作で「長系118号」の系統名で、収量性、病虫害抵抗性、系統適応性について検討し、2003年秋作から「西海31号」の地方番号を付し、さらに特性調査、加工試験などを実施し、その結果、2006年に品種登録の出願を行った。出芽期は春作・秋作とも「デジマ」より早く、初期生育も「デジマ」より早い。茎葉の黄変時期は春作・秋作ともに「デジマ」よりも早い。上いも数は春作・秋作ともに「デジマ」よりも多く、平均1個重は「デジマ」よりも小さい。上いも重は春作で「デジマ」の87%程度、秋作で72%と少ない。でん粉価は春作・秋作とも「デジマ」よりも高い。塊茎の皮色は赤、形は楕円〜長楕円で揃いが良い、目が浅く、生理障害が少ないため、外観が良い。肉色は淡赤で、赤い色が均一に分布する。蒸しいもの肉質は中〜やや粉で食味は中である。ポテトチップやフライドポテトなどの油加工に適する。
著者
猪瀬 直樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.463, pp.48-49, 2009-01-09

2005年に道路公団が民営化した。大まかに言えば2兆円規模の公共事業にメスを入れた。株式会社にすることで、予算の世界から決算の世界に変わり、年度末の予算消化などの無駄がなくなった。今度は国道で、これも直轄部分は事業費で2兆円の規模だ。民営化できないのだから、自治体へ移管して無駄遣いをなくすしかない。──無駄遣いがなくなる根拠は。
著者
山口 政信 佐野 百合子 浦 和雄
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.12, pp.133-135, 2005-07-23
被引用文献数
1
著者
内藤 淳 於保 健吉 斎藤 宏 坪井 正博 高橋 英介 輿石 晴也 沖津 宏 永井 完治 雨宮 隆太 澤柳 久嘉 赤田 荘一 阿部 公彦 河内 堯 河村 一太
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.176-181, 1991-03-25

低線量率もしくは高線量率気管気管支腔内照射療法は, 手術適応のない気管気管支悪性腫瘍に対する補助療法として, 近年脚光を浴びてきた。また, Nd-YAG Laser治療と気管気管支腔内照射療法との合併療法も注目されている。今回, 我々は気管右主気管支に広範に発育した腺様嚢胞癌に対し, 内視鏡的Nd-YAG Laser療法による気道開大とfull doseのLinac外照射療法後に, ^<60>Co気管気管支高線量率腔内照射療法(腔内照射)を追加し, 腔内照射終了後約10日目に, 内視鏡的に腫瘍の消失を認めた。しかし, この症例は腔内照射終了後5カ月目に喀血死した。剖検により, 喀血の原因は, 喀血3週間前に挿入されたY-T tube先端による, 右主気管支壁の圧迫壊死に伴う肺動脈気管支瘻であることが確認された。しかし, 腺様嚢胞癌の遺残は認めなかった。以上より, 腔内照射が, 気管気管支腺様嚢胞癌に対する合併療法の一つとして, 有用であることが示唆された。
著者
田中 耕平 堂薗 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.328, pp.83-88, 2007-11-11
参考文献数
4
被引用文献数
1

音楽情報の自動分類システムの1つとして,MIDIによって作られた楽曲を,自己組織化マップを用いて分類する実験を行った.MIDIは楽曲の譜面情報を電子化したもので,楽曲を再生するためのすべての情報を表現することができる.本研究においては,MIDIのデータから1小節ごとあるいは曲全体を入力ベクトルに変換し,自己組織化マップに学習させることで,ロック,ジャズ,ブルース,カントリー,ラテンのようなジャンルごと,または曲ごとに分類され学習することが可能であるか実験を行った.