著者
熊谷 樹一郎 大林 成行 松島 康人 寺山 充生
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-62, 1997

近い将来の労働人口の減少から生じる活力の低下に対して建設構造物の維持管理にかかる労力を極力少なくすることが急務となっている。このような社会背景のもと、本研究では広域的な視野から大規模土工事に伴う地形改変が侵食進行地域に及ぼす影響を評価するための支援システムを構築した。本システムは計画者や施設管理技術者の意志決定に大きく貢献することが期待されている。ここでは、シラス等の特殊土で構成される侵食進行地域での地形改変前・後を対象とした数値地形モデル (DTM) の新たな活用アルゴリズムを提案・開発した。具体的には、地形改変によって水系が分断された地点についてDTMから計算した水系線合流本数の変化量を表した集水変化特徴画像を提案・作成している。計画対象構造物の周辺だけでなく、分水嶺までを対象とした広域的評価を実データを用いて実施すると同時に、提案画像が各施設の計画検討に有用な情報を提供することを検証している。さらに、本年中のサービス開始が期待されている高解像度衛星リモートセンシングデータの適用を前提とした地形改変の影響評価支援システムの要件を整理し、具備すべき機能群を取りまとめている。
著者
宮地 傳三郎
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.71-86_1, 1935

今回採集した薹灣の4湖沼の生物相は驚くべき貧弱さであつたが,これは薹灣の陸水全般の特性ではないかと想像せられる。鯉魚池に近いろう溪の採集をしたが,その動物相も貧弱である。尚この調査は本年中に上野。奥川兩氏によつて繼續せられるからその上で一暦明かになると思ふ。<BR>臺灣の湖は18~19℃で循環するらしく,4月には既に厚い無酸素暦を形域してをる。島山頭貯水池は本邦に稀なアルカリ性の湖で無酸素層でpHの逆轉をみなかつた。
著者
西本 昌弘
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.107, no.2, pp.192-218, 318-319, 1998-02-20

Introduction and Overview of the Two-volume Set Entitled Nenchu-Gyouji in the Collection of the Higashiyama Bunko : An Existing Version of Fujiwara-no-Yukinari's Shinsen Nenchu-Gyoji
著者
紅林 亘 藤原 寛太郎 中尾 裕也 池口 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.69, pp.87-90, 2013-05-20

共通のノイズ外力によって複数の系が同期する現象をノイズ同期現象といい,リミットサイクル振動子のノイズ同期現象については,既に理論的な解析法が確立されている.一方で,カオスなどのより一般の系については,未だ理論的な定式化が存在しない.本稿では,まず,従来の位相縮約法の概念を拡張し,ノイズ外力を受けるカオス振動子に対して適用できる新しい位相縮約法を提案する.そして,新しい位相縮約法をカオス振動子に適用し,そのノイズ同期現象について解析する.これにより,共通のノイズ外力に駆動される2つのカオス振動子の位相差の確率分布を導出することができ,ノイズ同期現象の統計的性質を理論的に予測することが可能となる.
著者
河井 良浩 植芝 俊夫 富田 文明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.315-316, 1997-09-24
被引用文献数
1

マイクロマシン技術において, その基礎のひとつである計測評価法の確立が求められている。形状測定に関しては, 市販品としてレーザ顕微鏡, 触針式の形状測定機, 触針式の段差測定機, 原子間力顕微鏡などがあるが, 3次元的な複雑形状部品の測定, 評価には適していない。また, 微生物などの動物体の3次元形状測定において, レーザ顕微鏡は生命体を殺傷してしまうなどの理由で適当ではない。光学顕微鏡から得られる画像を解析するシステムに関しては, 単眼の画像をイメージフォーカスを利用して3次元形状を復元するシステムが市販されている。しかし, 精度, 動物体を扱えないなどの短所がある。そこで2眼のステレオ画像を扱うことで3次元形状を計測するステレオ顕微鏡の研究が行われている。今回, 我々は光学顕微鏡に2台のカメラ, x-y-zステージを組合わせ, 立体形状を柔軟に測定できるステレオ顕微鏡システムを開発した。対象物体を拡大したステレオ画像を解析し, 3次元微細構造の復元を行う。ステレオ法に関する技術については我々の研究・開発してきた処理モジュールを組み合わせることで行っている。[2]のシステムとの相違は, x-y-zステージとの組合わせにより, (1) カメラキャリブレーションを容易に行え, (2) 高倍率時の焦点深度の変化に対応可能な点である。本発表では, システムの概要を紹介し, カメラキャリブレーション法や復元手法について述べる。
著者
柴田 澄雄
出版者
国際教養大学
雑誌
国際教養大学アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
no.1, pp.27-35, 2015-06-30

2001年10月に運航が始まった秋田=ソウル間の定期便(大韓航空)は利用者数の低迷が続いている。当該便はビジネスニーズでの利用が少なく、路線維持が観光ニーズに依存している。秋田からの外国旅行者数が長期的な減少傾向にある中で韓国への旅行者数の増加に大きく期待することは困難であり、人口規模の大きなソウル特別市や仁川広域市から、いかにして秋田県への訪問者数を増やすかが路線維持の可否を左右することになる。本稿では、近年の訪日韓国人観光客数の推移と、その中で本県を訪問する韓国人観光客数の推移を検討した上で、本県への韓国人観光客の誘致にいかなる方策があるかを論じ、さらに、2015年1月から3月にかけて、国際教養大学および韓国の中央大学校との間で実施した課題解決型学修プログラムにおいて、学生たちが秋田とソウルの観光・物産販売等の促進について論じた内容を紹介する。
著者
鈴木 勇一郎
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.137-149, 2010-03

現代の日本では、さまざまなところでおみやげが売られているのを目にすることができるが、世界的に見れば必ずしも一般的な光景とは言えない。とりわけその土地の名物とされる饅頭や団子などの食品類の種類の豊富さは他に類を見ない。本稿では、このような近代日本のおみやげを近世からの展開をふまえ、鉄道の発達との関係性から検討することを目的とする。近世日本では神社仏閣への参詣の際に、その証としてのおみやげが発達したが、その多くは、軽くて嵩張らない非食品であった。また神社仏閣の門前や街道筋などでは饅頭や団子などの名物がさかんに売られるようになっていたが、基本的にその場で食されるもので、おみやげとされるものではなかった。明治時代になり鉄道が開通し旅行時間が短縮されると、これら近世以来の名物は持ち帰りができるおみやげに転化していくようになった。その際には、駅構内での販売権の確保が知名度向上の大きな要素であったが、同時に保存性の向上や容器の改良など、おみやげとするのにふさわしい形へと変容していった。こうした創意工夫を奨励し、知名度の向上に大きな役割を果たしたのが、各地で開催された博覧会や共進会であった。このように、近代日本のおみやげは前近代からの系譜の上に成り立ちつつも鉄道や博覧会といった近代的な装置を媒介として独自の展開を遂げていったことが大きな特徴といえる。Study of Souvenirs in the Modern Period : Focusing on Tokaido
著者
佐藤 宏子
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.67-67, 2000

本書は、「21世紀の日本の最も大きな社会問題は、若年・中年・老年という三世代の金銭的・物質的・サービス的・情報的・愛情的な交流がうまくいくか、それとも逆に世代間の対立が激化するかの点にあると信じて疑わない」と考える著者が、16名の共同研究者と共に3力年にわたって行なった「世代間交流」の研究成果をもとに、1989年から1998年の間に執筆した「世代間交流」の理論化に寄与する6編の論文を集めたものである。<BR>本書の構成は、第1章 : 高齢化社会における世代の問題、第2章 : ボランティア活動の意味、第3章 : 長寿社会の生涯学習、第4章 : 意味の深みへ-方法論によせて、第5章 : 白秋・玄冬の社会学、第6章 : 家族の来し方行く末を考えるとなっており、薪しい研究分野である「世代間交流」が非常に幅広い視点から論じられている。内容を簡単に紹介すると、長寿化しつつある先進諸国では世代相互間の断絶・抗争が発生しやすくなっており、顕在化した「世代の断絶」や「世代間抗争」に対処するためには、家族を超えた社会的レベルで三世代間の交流システムを再構築する必要があり、全体社会的レベルの世代間交流としてボランティア活動の重要性、生涯学習の意味や必要性などが述べられている。また、エリクソンが老年 (成熟) 期への移行過程の発達課題としたインテグリティ (「充全性」) に到達するためには、高齢者が自分と同じ老年の世代と接触するだけでなく中年や若年の世代と接触し、それらの人びとのために働くという手立てが有効であり、さらに「長寿社会」から「成熟社会」に達するためには、すべての世代がすべての世代と接触し、損得を離れて相互に奉仕し合う「世代間交流」が「必要条件」の一つであると指摘している。また、本書の後半では著者自身の老後感、ライフパニック、臨死体験、参禅における悟りの境地、遺伝子操作が論じられたり、現時ヒト科の古生物学・考古学的研究・霊長類の動物生態学的研究・狩猟採集民の人類学的研究の成果から、ヒトにとって言語の獲得と家族の形成が不可欠なものであったことが導かれており、経験と学識の豊かな著者ならではの示唆に富んだ良書である。ただ、私は著者らのライフパニック調査における有配偶男性の身の回りのことや家事に関する生活自立能力の低さは、著者の言葉を借りるならば「健常者の平和時の日常生活世界」の問題であって、危機管理としての問題ではないと感じること、「夫婦が負担を平等に分け合いながら共生しようとしたときの二つの生き方」には共感しかねることを正直に付け加えさせていただきたい。
著者
藤井 建夫
出版者
食品化学新聞社
雑誌
月刊フ-ドケミカル (ISSN:09112286)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.12-16, 2007-11
被引用文献数
1