著者
兒嶋 由子
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究課題ではFGF-2局所投与により誘導される歯周組織再生メカニズムを、血管新生の観点から検討した。FGF-2は歯根膜細胞からのVEGF-A産生を誘導した。また、FGF-2とVEGF-Aの共刺激により歯根膜細胞の遊走能は協調的に亢進した。さらにタイムラプス解析より歯根膜細胞は管腔形成する血管内皮細胞に寄り添うように遊走した。これらの結果よりVEGF-Aの誘導、歯根膜細胞と血管内皮細胞の細胞間相互作用は、FGF-2局所投与部の血管新生により歯周組織再生に適した環境を整えている可能性が示唆された。
著者
楠本 理加
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

DNA上の損傷はDNAポリメラーゼの進行を阻害し、不完全なDNA複製により、突然変異、がん化、老化、細胞死へとつながる。細胞はこれに対応するため、特殊なDNAポリメラーゼももっている。これらの特殊なDNAポリメラーゼはDNA損傷を鋳型にDNA合成を行うこと(損傷乗り越え複製)ができる。その中でもDNAポリメラーゼη(polη)は紫外線によって主に精製されるシクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)というDNA損傷を鋳型こ正しい塩基を導入してDNA合成を行うことができる。また、polηに欠損を示す色素性乾皮症バリアント群患者は、高頻度で皮膚ガンを発症する。しかし、試験管内の反応速度論的解析によるとpolη単独での損傷のないDNAの複製は誤りがちであった。このことから、通常細胞内では忠実度の高いpolα、δ、εがDNA複製を行っており、損傷に遭遇した際、polηにスイッチすると考えられる。私は、損傷部位でのDNAポリメラーゼのスイッチ機構の解明を目的として、ゲルシフト法を用いて、polη単独でのDNA結合活性を調べた。Polηは、一本頬、二本鎖、プライマー/テンプレート型DNAのうち、プライマー/テンプレート型DNAに最も強く結合した。また、CPDをテンプレートに含むプライマー/テンプレート型DNAにも、CPDを含まないプライマー/テンプレート型DNAと同じ活性を示した。このことからpolηは、少なくとも単独ではDNA鎖中のCPDに積極的にアタックすることができないことがわかった。
著者
寺沢 宏明
出版者
熊本大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

細胞の遊走機構を理解する上で、主要な細胞接着分子であるCD44と細胞外マトリックスの主要成分であるヒアルロン酸(Hyaluronic acid ; HA)やコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(PG)との相互作用を構造生物学的に解明することは重要である。本特定領域研究において、CD44のヒアルロン酸結合ドメイン(HA-binding domain ; HABD)の二次構造とHA結合部位を同定した。さらにHA結合に伴い、HA結合部位と異なる部位に構造変化が誘起されることを示した。次に、HA結合状態でのCD44 HABDの立体構造を決定した。その結果、リガンド非結合状態に比較して、CD44のC末端領域がランダム様に構造変化することを明らかにした。CD44は、低分子量HAの添加により、細胞外領域においてプロテアーゼによる切断が誘導されることが示されている。HA結合によるC末端領域のランダム様への構造変化とプロテアーゼによる切断との相関を調べるため、in vitroにおけるCD44のトリプシン分解を試みた。その結果、リガンド非結合状態に比較して、HA結合状態においてC末端領域における分解速度の亢進が見られた。さらに、HABDの立体構造に基づき、C末端領域の高次構造保持に重要と考えられるアミノ酸残基に変異を導入した。変異体のHA結合能を測定した結果、野生型と比較し、高い結合活性を有することを明らかにした。変異体はHA非存在下においてもC末端領域がランダム構造をとることがわかった。野生型において構造多型に由来する2組(major, minor)のNMRピークが検出され、minorピークのスペクトルパターンが変異体とほぼ一致することを明らかとした。以上の結果は、CD44が2状態間の平衡を有し、低分子量HAの結合に伴い、プロテアーゼ感受性が高い立体構造へと移行することを示唆する。
著者
松下 慶寿 大川原 真一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

光触媒反応に最適化されたマイクロチャネル型リアクター、および並列型マイクロ反応デバイスを開発した。酸化・還元による高付加価値化合物合成について、マイクロ反応場と光触媒反応の特性を組み合わせ、その特性を活かして最終生成物の酸化段階を制御することにより、収率、選択性を向上させ、マクロ式バッチ反応系では実現できない環境負荷低減型の新たな反応プロセスを構築できることを示した。
著者
櫻井 治男 齋藤 平 谷口 裕信 濱千代 早由美
出版者
皇學館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、明治維新を転機とする日本社会の変革状況のなか、新政府の下で実施された伊勢神宮の諸改革の影響による伊勢信仰の持続と変容の解明にある。特に神宮と在地とを繋いでいた御師の制度廃止と旧御師家の活動・生活実態につき岩井田家所蔵資料の活用を図った。その結果、①未公開資料約2万点のうち半数の目録化を完了し、資料の展示公開を行うことで研究及び資料の重要性を示した。②旧檀那地域の調査により、在地と岩井田家との関係が1930年代後半まで続き、伊勢信仰の持続性とかかわる点を明確にした。③参宮者の伊勢における宿泊面で、近代的な旅館業との競争原理のなかで旧師職家の役割が衰退する動向を明らかにした。
著者
豊田 敦 近藤 伸二
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、次世代型シーケンサー(Illumina)を利用してパーソナルゲノム上の多型を検出するための技術開発を行い、その技術を用いておもに家系情報のある脳神経疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、統合失調症など)患者の全ゲノム配列決定を実施した。筋萎縮性側索硬化症については、新規原因遺伝子であるERBB4(ALS19)を同定した。また、繰り返し配列の異常伸長や遺伝子コピー数多型、大きな挿入・欠失などの構造多型を精度高く検出するために、ロングリード(PacBio)の鋳型調製法や解析技術の開発を実施した。
著者
天田 城介
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、アメリカ合衆国(以下、米国と記す)において様々な高齢者団体・組織からの要求や異議申し立てとそれに対応する当該政府の政治的判断・選択・交渉を通じて形成される<高齢者医療福祉制度>をめぐる政治を構築主義の視点から読み解きつつ、米国の高齢者はいかにして諸制度を利用し、またそれらが人々の語りによって表象されているのかを明らかにすることを通じて「米国の高齢者医療福祉制度における老いと死をめぐる表象の政治」を解明することである。平成19年度においては、米国においてインテンシブな調査研究ならびに研究報告を行なった。また、平成17年度・平成18年度に引き続き、米国ならびに日本における高齢者医療福祉制度に対する社会政策に関する資料分析を中心に進め、広範な先行諸研究の文献研究を行った。その具体的成果としては、第一に、研究の認識論的ベースを確定するにあたり、老いの哲学的・倫理学的研究を行なった。実際に、日本倫理学会第58回大会シンポジウム「老い」にてシンポジストとして報告したところである。その成果も『倫理学年報』で報告した。第二に、米国における老いの倫理や政策をめぐる議論を踏まえつつ、2006年10月29日に開催された第25回日本医学哲学・倫理学会大会のシンポジウムの報告の成果として『医学哲学 医学倫理』に論文としてまとめた。上記以外にも上記のような老いをめぐる倫理学的研究を下地に幾つかの論文を報告しており、現在、その集大成として米国における高齢者医療福祉政策をめぐる老いと死をめぐる表象の政治学をまとめているところである。
著者
長谷川 利拡
出版者
独立行政法人農業環境技術研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

イネの交雑育種が組織的に行われるようになって100余年が経過した。この間に大気CO_2濃度はおおよそ80ppmも上昇したが、これまでの品種改良によって高CO_2濃度に適応した品種が作出されてきたかは明らかではない。今後さらに大気CO_2濃度の上昇が予測される中、これまでの品種の変遷と高CO_2に対する応答性との関連を明らかにすることは、将来の育種の方向性を検討する上で重要である。そこで、過去約100年間の遺伝的改良が高CO_2に対する応答に与えた影響を圃場条件で明らかすることを目的に、茨城県つくばみらい市のFACE実験施設で高CO_2処理(外気+200ppm)を2か年行い、明治時代から現在までに育成された新旧主要イネ品種の収量応答を比較した。供試品種は愛国(1882年品種登録)、農林8号(1934年)、コシヒカリ(1956年)、アキヒカリ(1976年)、あきだわら(2009年)の5品種である。籾収量はFACEにより有意に増加した(p=0.03)。FACEによる収量の増加率は、2ヵ年ともに農林8号が最も高く、アキヒカリが最も低かった。登録年と収量増加率の関係では、現代品種のあきだわらを除き、旧品種(愛国、農林8号)と新品種(コシヒカリ、アキヒカリ)を比較した場合、旧品種の収量増加率が高かった(p=0.01)。収量構成要素では、単位面積あたりの穂数の増加率が旧品種ほど高い傾向がみられたのに対し、1穂籾数の増加率は新品種ほど高い傾向がみられ、これまでの遺伝的改良によりCO_2増加に対する応答が穂数の増加から穂のサイズの拡大に移行したことが示された。登熟歩合の増加率は、粗籾収量と同様の傾向であった。稔実籾数に登熟籾1粒重を乗じて計算した登熟シンクキャパシティーと実収量との間には、年次・品種・CO_2処理にかかわらず非常に高い正の相関がみられた。この結果から、シンクサイズのCO_2応答性が収量応答を決定していたと推察された。
著者
榊 陽 小倉 未基
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

1.ヒメマスの磁場中における行動実験:磁場見地機能確認のためにベニザケの陸封種であるヒメマス成魚を水槽に入れ、電撃印加の前触れとして磁場を加えてその反応を調べた。また対照実験として磁界の代わりに光を用いた。その結果光の前触れには学習効果があったが、磁場に反応するためにはかなりの時間が必要らしいことがわかった。これらの実験結果から、ヒメマスの感覚としては視覚が優先し、磁気感覚は優先順位としてはかなり低位にあるものと判定される。2.外洋におけるシロザケに磁場外乱を与えた場合の行動追跡実験:日本に回帰中のシロザケの成魚を釧路沖で捕らえ、外乱磁場発生用コイル、コイル電流制御装置および追跡用超音波発信器を取り付けて放流しその行動を調査した。追跡中に外乱磁場が発生したにも拘らず、サケの行動にはそれ以前と顕著に異なる変化は見いだせなかった。従ってサケはこの海域では方位の決定に磁気を最優先的に用いているわけではないと推定される。なおサケが遊泳方向を変える場合には、一旦速度を落としていること、母川方向からはずれても海流に沿って行動している、などの新しい知見を得ることができた。行動追跡実験で得られた新しい知見は、今後サケの回遊を考える上で何らかの手がかりを与えるものであろう。2.サケ頭部からの磁性物質の抽出:磁性微粒子と磁気感覚器官との関係を知るため、組織と磁性物質がついたままの状態での試料の抽出を試みた。この結果期待したような試料を得ることができたが、磁性物質の分析や組織の正確な部位の特定は未完の状態にあり、今後の更なる研究が必要である。
著者
柴田 里程
出版者
慶応義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は,従来のモデル選択理論をより体系化するとともにニューロネットワーク,ウエーブレットなどこれまでの伝統的な推測法と異なった側面をもつ計算機依存型の推測法に対しても適用可能な形に拡張し,十分実用に耐える根拠と効力を持つ汎用なモデル選択法を確立することを目的として開始した研究である.まず最初の目的は,Springer-Verlag社から依頼されていたモノグラフ"Statistical Model Selection"の執筆を通じて1つの体系的なアプローチを探索することによりかなり達成できた.特に,BICやABICさらにはMDLに代表されるモデル選択法をベイジアンの立場から統一的に扱うことが判明したことは,今後のこの分野のさらなる発展につながるばかりでなく,ニューロネットワークのノード数の選択などに無反省にこれらの方法が適用されている現状に対する警鐘としても重要な意味を持つ結果である.二番目の目的に対しては,主に離散データに対する統計モデルの選択を中心に研究を進めた.多くの計算機依存型の推測法がこのような離散的な値をとるデータを対象としているからである.その結果,連続的な値をとる場合によく用いられるAICに代表されるモデル選択法をそのまま用いるのは必ずしも適切でないことが明らかになった.その主な理由は,離散分布の場合には推定量の分布の漸近分布への収束が極めて遅く,また一様ではないためである.そこでどんな修正が適当かを探索するとともにそれぞれについて検証を重ねた.その結果いわゆるブートストラップ法による修正項の推定がかなり広範囲に有効であることが判明し,そのために必要なアルゴリズムも開発した.さらに,実際問題への適用例として従来から研究対象としてきた7種類の金利時系列を取り上げ,多変量ARモデルのモデル選択の実証研究を行った.そのためには,変量とラグの自由な組合せでのモデル選択を行えるソフトウエアが存在しなかったためその開発から始める必要があった.このソフトウエアを用いて様々な期間についてモデル選択を行ったところ,バブルの時期も含め様々な期間について共通がモデルを選択できることが判明した.これは実際問題での統計的モデル選択の重要性とその有効性を示す結果である.
著者
久保田 和男
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究期間中,前半に手がけたことは,宋都開封における,北宋時代後期の変容の追求であった。変容の要因として,政治の大きな変革があげられる。周知のように北宋神宗時代は,王安石新法の時代であり,その影響が国都の景観にどのような影響を与えたのか特に,城壁を中心に分析した。それと並行して行った作業が,北宋徽宗時代の政治状況と,国都の状況の関係である。この関係も優れて密接なものであることが判明した。次に,行幸という皇帝の政治行為が首都空間といかなる関わりを持つのかという問題点を追求する事になった。北宋時代に分析は止まったが,大変興味深いことに北宋皇帝は,ほとんど首都空間から離れなかった。したがって,首都空間におけるパフォーマンスが重要となる。皇帝は,大体一ヶ月に一度ずつ,首都に点在する道観仏寺を参拝し,民のために幸福をいのる。そして,目的地と宮殿との往復の過程で,皇帝は首都住民にその身体をさらすことになる。そのことは,宋代に発達した情報網によって,地方にももたらされ,皇帝の実在性が普及した。北宋皇帝にとって王権の維持のために,不可欠の行為の一つだった。中国皇帝の伝統的政治行為として田猟という儀礼的狩猟がある。この田猟についても検討した。歴代の北宋皇帝は,田猟を中止することで,逆説的に王権を強化したという興味深い結論に達した。すなわち,軍事より文化を優先する国是を顯かにするためには,田猟は余りふさわしいものとは考えられなかったのである。最後に,北宋開封に15年間だけあった玉清昭応宮という巨大な道観の興亡について検討した。この宮観の再建をめぐって,皇帝権力(皇太后摂政)と宰相をはじめとする官僚集団が真っ向から対立した。結果,皇太后は譲歩して,官僚集団が,皇帝権力の恣意的な行使に対して一定の枠をはめることに成功した事件である。これをきっかけに,北宋の皇帝-官僚の関係は,以前とは変質したと考えられる。
著者
渡辺 祐子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近代以降の日中関係にキリスト教がどのように介入したのかという研究課題に関しいくつかのテーマについて考察を行ったが、論文公刊という形で成果を発表できたのは、「20世紀初頭の中国人学生留日事業とキリスト教のかかわり」および「日本人キリスト教宣教師の満州伝道」のふたつである。前者はキリスト教超教派組織YMCAが中国人留学生事業を通じ日中交流を積極的に担ったことを明らかにし、後者は戦後礼賛されてきた旧満州熱河地方における日本人宣教師による中国人・蒙古人伝道が、軍の宣撫活動の一端に明らかに位置づけられていたことを検証しつつ、この伝道事業を1860年代にはじまるプロテスタント満州伝道史にどのように位置づけるべきかを論じた。
著者
澤田 和彦
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は以下の論点に沿って進めた。1 プチャーチン提督の秘書として長崎に来航した作家ゴンチャローフの『日本渡航記』にうかがわれる、ロシア人の観た幕末の日本及び日本人観 2 日本最初のプロのロシア語通詞・志賀親朋の生涯と活動 3 市川文吉、黒野義文、二葉亭四迷、川上俊彦など、東京外国語学校魯語科関係者のロシアとの関わり 4 コレンコ、グレー、ケーベルといったロシア人教師や、ピウスツキ、ラッセルのような亡命ロシア人、ポーランド人の日本における事跡と日本観 5 日露戦争 6 1917年のロシア革命後に来日した白系ロシア人の事跡調査最終年度に論文集『日露交流都市物語』(成文社)を刊行した。
著者
松吉 大輔
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

これまでの視覚的ワーキングメモリ研究は、ヒトは常に3-4個の物体を保持できると仮定してきた。しかし、申請者の研究は、その仮定が必ずしも正しくない事を明らかにした。具体的には、従来3個程度の物体を保持できていた人であっても、大量の物体を呈示された場合には2個程度しか保持できなくなることを見出した。また、高齢者においてはそれがより顕著であり、通常は2個の物体が保持できるにもかかわらず、大量の物体が呈示されると、1個しか保持できなくなることが明らかになった。そして、この記憶不全は、頭頂葉ではなく後頭葉の活動低下により媒介され、頭頂葉から後頭葉への信号伝達の失敗に起因している可能性を示した。
著者
嶺井 明子 関 啓子 遠藤 忠 岩崎 正吾 川野辺 敏 水谷 邦子 森岡 修一 福田 誠治 松永 裕二 澤野 由紀子 大谷 実 高瀬 淳 木之下 健一 タスタンベコワ クアニシ デメジャン アドレット ミソチコ グリゴリー アスカルベック クサイーノフ セリック オミルバエフ 菅野 怜子 サイダ マフカモワ 伊藤 宏典 アブドゥジャボル ラフモノフ ズバイドゥッロ ウバイドゥロエフ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中央アジア4カ国は独立国家樹立後、国連やユネスコ加盟を果たし、脱・社会主義、民主的法治国家の樹立をめざし教育改革に着手した。国外からの協力と援助(ユネスコ、国際援助機関、ロシアなど)、及び国内事情(多民族国家、イスラム的伝統、都市と農村の格差、経済の人材需要など)の葛藤の中で教育政策が推進されている。初等中等教育の高い就学率、教育の世俗制、多民族への配慮などソ連時代からの正の遺産を多く継承しているが、教育へ市場原理が導入され競争的環境が強化されている。高等教育ではボローニャ・プロセスに対応した改革が進んでおり、無償制は後退している。
著者
森 明彦
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

平安時代銭貨の小型化・粗悪化の原因を料銅不足とする通説は説得力に欠ける。本研究は鋳造実験を通して関係史料を見直し、平安時代貨幣制度崩壊の原因を考究した。その成果は次の三点である。すなわち、①平安時代最初の銭貨隆平永寳に関する『日本後紀』の欠字部分の推定を行い、『出土銭貨』33号に奈良朝銭貨から隆平永寳への転換に対する新見解を発表し、②工房和銅寛での鋳造実験で、銭貨粗悪化と料銅不足および小型化との関係が直接的ではない事を確かめ、内容の一部を続日本紀研究会記念論文集に投稿し、③平安時代銭貨の料材に古和同も含まれるとの説に対し、金属組成・同位体比の点から成立しないことを発刊予定の著書に組込んだ。
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本では北アイルランドの小説は演劇と詩に比べて研究されることが少ないが、ジョージ・A・バーミンガムとグレン・パタソンを中心に北アイルランド小説の研究を続け、その普遍的な意義と価値を解明した。バーミンガムの多くの作品は、深い意味を持たない軽いユーモア小説と見なされる傾向にあるが、実際には彼の深いキリスト教的寛容と博愛に基づいて、人間同士の融和に必要なものは何かを訴えかけている。一方、パタソンの小説は、北アイルランドのナショナリスト(アイルランド派)とユニオニスト(イギリス派)の対立というローカルな問題を描く一方で、北アイルランドの持つコズモポリタン的な普遍性を示しているということを実証した。
著者
吉田 睦 高倉 浩樹
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ロシアの極北地域におけるトナカイ牧畜文化は、ソ連邦崩壊後、集団化企業体制の崩壊するなかで地域的民族的な特質を示しつつ変容した。当該文化の担い手は少数先住民族であり、そのうち西シベリアのネネツ人と東シベリア(サハ共和国)のエヴェン人における実態を、経済・社会構造の変化、環境変化への適応と文化的再構築という現象的側面から現地調査した。その結果、当該文化が、諸局面に柔軟に対応する民族文化の重要な一要素として機能していることが確認できた。
著者
山田 廣成 霜田 光一 高山 猛 伊藤 寛 保坂 将人 浜 広幸 西沢 誠治 三間 國興
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

リングは、97年9月までにほとんどの要素の製作と単体テストを完了し、岡崎分子研の入射器室にて組立を開始して11月までに完成した。1ターンコイルであるパ-タベータの4500A励磁と加速空洞への平均500Wパワー投入に成功し、入射実験を開始した。クリスマスイブには少なくとも100μsの間電子が周回するのを確認した。蓄積電流値はあきらかではないが、遠赤外線モニターはピーク値で300mW以上を示した。パ-タベータによる電子のキャプチャーを確認したわけである。高周波加速は、ランプアップ時の反射の調整はまだ成功していない。パ-タベータは2台設置しおり、1台は外側の電子を外側へ、1台は内側の電子を外側へキックしている。パルス電源は、sin半波を生成し、ピーク電流4500Aのとき30kVの電圧が発生する。幅は4μsである。我々は、これをさらに磁気圧縮してパルス幅を0.4μsにすることに成功した。加速空洞は、特異な形をしているが、基本的にはリエントラント型であり、TM01モードの発生に成功した。加速周波数は、ハ-モニクス8に対して2.45GHzで、ソースとしてCWマグネトロンを使用している。2台の加速空洞へのパワーをT型同軸管で分岐して投入している。2台の加速空洞はカップリングしている状態であるために、2台の固有周波数は、正確に一致していなければならない点と、同軸管のカップリングも正確に等しくしなければならないが、我々はこの調整方法を見いだし、パワーの長時間投入に成功した。ミラーは、SiC焼結体で製作し、その真円度を1ミクロン以下に押さえることができた。ミラーを設置したレーザー発振実験は今後のスケジュールを待っている状態であり、残念ながら期間内に実験を終えることができなかった。一方、ハードX線の発生実験を東大物性研SORで行った結果、電子軌道に細線を挿入しても数秒のビーム寿命があることを確認した。これにより、高輝度小型X線源の道が開けた。
著者
伏見 譲
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

耐熱性T7RNAポリメラーゼを用いて1.4Mトレハロース存在下で50℃の等温過程でDNA/RNAを増幅する系を構築した。この系で、A, T, Gの3塩基からなるランダム領域を含み3SR増幅機構をコードしたライブラリーを初期プールとして、適応度を比増殖速度とする自然淘汰型進化リアクターを運転した。勝ち残る配列はランダム領域がAT-richとなる傾向を示す。また、以前からしばしば観測された、より速い増幅機構であるRNA-Z増幅機構をコードした突然変異体が進化してくることはなかった。また、T7プロモータの50℃の最適配列をRNA-Z法進化リアクターを用いたin vitro selectionで求めた。37℃の野生型プロモータとハミング距離2だけ離れた配列であった。in vitro virusのゲノムに載せるべき初期ランダムライブラリーは、終止コドンを含んでいてはならず、また、対象に応じてアミノ酸組成が自由に設計できることが望ましい。DNA合成機を3台並列に運転してスプリット合成するMLSDS法は配列多様性が10^<16>に達する。このライブラリーの実際の合成物を複数種いろいろな評価関数で評価しその高品質なことを確認した。また、長鎖化法を検討した。人為淘汰型や自然淘汰型の進化リアクター中で、富士山型やNKモデル型などの適応度地形を山登りするダイナミクスを理論的に研究した。突然変異率と集団サイズで決まるゆらぎの効果を「進化温度(T)」というパラメターで表す。いずれの地形でも、Tが高いときは、歩行者は適応度(W)最大を目指すのではなく、「自由適応度(G)」の最大をめざすというリャプノフ関数Gを定義できる。また、獲得したシャノンの意味の情報量(情報のextent)以外に、ΔW/Tは獲得した適応度情報量(情報のcontent)、ΔG/Tは進化の過程で獲得した生命情報の量、という解釈ができることがわかった。以上を統合して、生存アルゴリズムを自動的に創出する人工生命というべき自律的に進化するin vitro virusを実体として構築するまでには至らなかった。