著者
野崎 義行
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.302-308, 1997 (Released:2013-02-19)
参考文献数
74
被引用文献数
3
著者
富永 京子
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.27, pp.122-133, 2014

The theory of social movements has studied political protests with regard to their occurrence, duration, development and participants. Previous research has clarified that diverse factors are involved in all of these elements. Although policing, arrests and interrogations are also essential elements, few researchers have examined them as they occur in contemporary Japan. In this paper, the author conducted a case study based on interviews with arrested activists and their colleagues. From the analysis, the author clarified that arrested protesters are labeled as "radical protesters" both by the police and by people they know in their private lives. On the other hand, policing plays a role in an initiation that makes these protesters more committed to social movements. An arrested activist is recognized as a hero by some protesters. In this way, social movements can develop their sense of solidarity. However, other organizations often regard those arrested as deviant fellow-participants.
著者
平松 達雄
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.34-48, 2022-06-25 (Released:2022-07-25)
参考文献数
39

Real World Data (RWD) にはさまざまな種類のデータソースがあるが,それぞれ異なる形式や用語コードで構成されているため,分析時に毎回煩わしい作業を繰り返すことになる.RWD の薬剤疫学的分析を一層進めるためには,データ形式や用語コードの標準化が重要である.OMOP Common Data Model (CDM) は世界規模でRWD の分析用標準化を実現するオープン規格であり,コミュニティであるOHDSI(オデッセイ)がその維持発展を担っている. OMOP CDM が他のデータ規格と際立って異なる特徴は,世界的に用語コードを統合して扱える仕組を作り上げたことと,個別の患者情報をデータ保持者の外に出さないで実施する分析方法である.これにより国際的な共同調査が容易に実施可能になっている.患者情報を外部に出さない方法は,第三者提供ができないが利用目的変更が容易な日本の仮名加工情報制度との親和性が高く,今後の活用が期待できる. 国際的な連携だけでなく,国内の連携,あるいはインハウスでの利用にもメリットが多い.特に疫学者やデータサイエンティストが国内でも国外でも慣れた同じ形式でデータが扱えるようになることで,留学や帰国,国際的な異動時のメリットが人材・組織両方にとって大きいものとなる. 世界的には70 カ国以上で取り組まれ,重複を推定除去して世界人口の10%にあたる8億人以上のデータがOMOP CDM 形式へ変換されており,関連するPubMed 掲載論文も年々増加し累計で250 本を超えている.一方,日本においての普及には支援する仕組や用語コードのマッピングなど課題が多い.国際水準に追いつくためには,幅広い分野からの力強い協力が必要である.
著者
栗栖 実 今井 正幸
出版者
生命の起原および進化学会
雑誌
Viva Origino (ISSN:09104003)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.3, 2023 (Released:2023-06-23)
参考文献数
333

Vesicles are membrane compartments in aqueous solutions consisting of self-assembled amphiphilic molecules such as lipids. Before the first living systems emerged from non-living forms of matter, functional macromolecules and vesicles must have assembled to form prebiotic self-reproducing compartment systems called “protocells.” Although we cannot observe protocells today, recent advances in soft matter physics, systems chemistry, and synthetic biology are making steady progress in our bottom-up understanding of what bridges non-living and living systems. In this review, we focus on the vesicular compartment aspect of recent protocell research and provide a membrane physics background that helps us understand how protocells reproduced themselves four billion years ago. In addition to prebiotically plausible reactions and dynamics, we also focus on the non-natural (or artificial) approaches that can achieve the same essential concepts of protocells in different ways from biological systems. Therefore, this review will provide knowledge on vesicles also for researchers and students interested in artificial cells and minimal cells.
著者
小村 和久
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.276-282, 1995-12-20 (Released:2010-07-22)
参考文献数
17
被引用文献数
1
著者
Natsumi Hookabe Yuki Oya Shinji Tsuchida Yoshihiro Fujiwara Rei Ueshima
出版者
The Japanese Society of Systematic Zoology
雑誌
Species Diversity (ISSN:13421670)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.199-204, 2023-08-31 (Released:2023-08-31)
参考文献数
23

Monostiliferous nemerteans are mostly benthic and free-living, but a few are recognized as commensal and parasitic species. We describe Tetrastemma carneum sp. nov. based on five specimens found from demosponges collected by the use of remotely operated vehicle at a depth of 398 m, off Ofunato, Japan. The new species resembles T. appendiculatum Chernyshev, 1998 described based on specimens discovered from demosponge Esperiopsis digitata (Miklucho-Maclay, 1870) (now accepted as Amphilectus digitatus) trawled at depths of 40–60 m in Peter the Great Bay, in having a pale-colored body with four conspicuously large eyes (approximately 50 µm in the maximum width). However, it is differentiated from T. appendiculatum in possessing a mid-dorsal line on the dorsal surface of the head as well as the number of proboscis nerves. In our molecular phylogenetic tree based on partial sequences of 16S rRNA, cytochrome c oxidase subunit I, 18S rRNA, 28S rRNA, and histone H3 genes, Tetrastemma carneum sp. nov. was nested in the clade of Tetrastemma Ehrenberg, 1828 as a sister taxon to Tetrastemma sp. IP Iturup reported from Peter the Great Bay.
著者
柴崎 直明
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.267-282, 2015-09-25 (Released:2017-05-12)
被引用文献数
4

2011年東北地方太平洋沖地震により引き起こされた,東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故から4年が経過したにもかかわらず,汚染水問題は解決していない.この問題は原発の廃炉作業のために解決しなくてはならないものの,かえって汚染水に関係する様々な問題が発生している.たとえば,原子炉およびタービン建屋に流入する地下水量を減らすための対策として運用されている地下水バイパスは,当初の想定よりも効果が低い.敷地付近の複雑な地質・地下水条件に関する調査や理解が不足して,東電や国が作成した水文地質断面図や地下水シミュレーションモデルは極めて単純なものになっている.そこで,福島第一原発敷地内の公開されたボーリング柱状図を活用して,主に泥岩や砂岩からなる大年寺層D4の層相を解析し,局所的な範囲でも層相が大きく変化するとともに,地下水の流動状況を左右する可能性があることを明らかにした.また,福島第一原発の地質概要や汚染水のタンクの地盤問題,地質や地下水データの問題やそれに関係する地下水モデル解析の問題をレビューした.さらに,現在進めている建屋への地下水流入量削減のための地下水バイパスや凍土壁の建設,サブドレンの運用等に関する地質学的課題を指摘した.
著者
尾川 達也 藤本 修平 小向 佳奈子 杉田 翔
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.53-59, 2018-06-20 (Released:2018-06-26)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

目的:リハビリテーション領域におけるShared Decision Making(SDM)に必要な要素について,療法士の行動に焦点を当てて調査した.方法:理学療法士,作業療法士の計5名を対象にフォーカスグループインタビューを行った.分析はテーマ分析を用いてSDMに必要な療法士の行動について抽出した.結果:SDMに必要な行動として16個が抽出された.行動の特徴から情報提供(障害の説明,患者役割の説明,リハビリ目的の説明,選択肢の提示,患者意見の考慮,納得のいく説明)と,情報収集(知識の確認,好みの確認,期待の確認,生活方法の確認,希望の確認,理解の確認,質問の確認,提案に対する意見の確認,相違の確認,合意の確認)の2つに分類できた.結論:リハビリテーション領域における意思決定状況を踏まえた要素が抽出され,SDMを実践する際に必要な療法士の行動を示すことができた.
著者
神田 忠仁 柊元 巌
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.219-230, 2006 (Released:2007-04-20)
参考文献数
66
被引用文献数
7 6

HPVは8000塩基対の環状2本鎖DNAをゲノムとする小型のウイルスで,エンヴェロープは無い.表皮基底細胞に侵入し,核内エピゾームとして潜伏持続感染する.感染細胞が表皮形成の分化を始めると,HPVゲノムの複製に利用するため,E6蛋白質がp53を分解し,E7蛋白質がpRbの機能を阻害して細胞のDNA合成系を再活性化する.通常ウイルス増殖後に感染細胞は死滅する.ごく稀に細胞DNAにE6,E7遺伝子が組み込まれ,ウイルス増殖ができないにもかかわらずE6及びE7蛋白質が継続的に高発現することがある.このような細胞は不死化し,さらに変異が蓄積して癌化する.100以上の遺伝子型のうち,このような機構で子宮頚癌に関わるものは16型や18型等の13の型(高リスク型)である.主要キャプシド蛋白質のみを細胞で高発現させると,自律的に集合してウイルス様粒子ができる.6,11,16,18型のウイルス様粒子を抗原とするワクチンの臨床試験が行われ,これまでの成績は型特異的な感染予防効果を示している.
著者
本多 照幸
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.91-101, 2000 (Released:2013-02-19)
参考文献数
77
著者
小坂 直輝 小林 哲則 林 良彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin477, 2020 (Released:2020-06-19)

近年,インターネット上で個人が小説を投稿できる,小説投稿サイトが多数開設され,数多くの作品が投稿されている.こうした作品はweb小説等と呼ばれ,これらの中には商業用に書籍化・映像化される作品も存在している.一方でこれらweb小説に関して,その作品数の多さから読者が好みの作品を探すのが難しいという問題や,人気の作品や最新の作品といった限られた少数の作品に大多数の読者が集中し隠れた良作が出来てしまうという問題がある.本研究の目的は,上記問題点を解決し,ユーザが作品を探すのを助ける推薦システムを実現することである.具体的には,作品の本文とジャンルやキーワードといった付属情報から,作品の類似度や質を推定することで,読者の評価情報が無い作品の推薦や,ユーザによる推薦基準の操作が可能な推薦システムを試作し評価を行った.結果として,作品の類似度や質を一定の精度で予測でき,試作したシステムが隠れた良作を発掘するのに有用であることが示唆された.
著者
工藤 豪
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.57-73, 2013-07-10 (Released:2017-02-14)
参考文献数
46

本稿は、隠居制家族が現代日本の家族構造を理解するにあたって重要な意義をもつという立場から、これまでの研究が隠居制家族をどう捉えてきたのかを整理するとともに、隠居制家族を「同質論」・「異質論」という議論の枠組みの中にどのように位置づけるべきなのかについて考察を試みたものである。     社会学、民俗学、社会人類学において展開されてきた研究を踏まえて、清水と上野による整理を土台としながら新たな視点を加えて考察を行ったところ、家族構造・社会構造および隠居制家族と東北日本型・西南日本型に関する六つの考え方が存在することが明らかになった。以上の結果、隠居制家族の位置づけにおいて、家族構造についての捉え方が同質論か異質論か、隠居制家族について重点をおく部分は相続か生活単位か、そして「西南日本型」に関する理解と用い方、この三点が重要な指標になってくるのではないかとの結論に達した。
著者
安藤 温子 安藤 正規 井鷺 裕司
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.77-89, 2020 (Released:2020-05-21)
参考文献数
36

DNAメタバーコーディングは、複数の生物由来のDNAが混在するサンプルについて、特定のDNA領域の塩基配列を次世代シーケンスによって大量並列的に解読し、データベースと照合することでサンプルに含まれる分類群を同定する手法である。糞のDNAメタバーコーディングによる食性研究は、対象種の詳細な食性を非侵襲的に評価する手法として注目されており、植食性動物については哺乳類を中心に研究が蓄積されつつある。本稿では、本手法に興味を持つ研究者に実践的な技術提供を行うことを目的とし、著者らが実際に行った分析手法を紹介する。本稿では農地で採食する水鳥と森林で採食するニホンジカ、カモシカを対象とし、糞のサンプリング、DNA抽出、糞を排泄した動物種の判別、次世シーケンサーを用いた食物DNAの塩基配列解読と分類群同定、食物の候補となる植物のデータベース作成までの各工程について、詳細なプロトコルを公表する。これらのプロトコルを多くの研究者に実践していただくことで、本手法の精度が向上し、多様な研究テーマに活用されることを期待したい。
著者
石井 夏生利
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.271-285, 2015-07-01 (Released:2015-07-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

本稿は,「忘れられる権利」をめぐる一連の議論から明らかになった論点と,今後の課題を論じることを目的とする。具体的には,グーグルに検索結果からのリンク削除を命じた欧州司法裁判所の判決,英国貴族院の報告書,第29条作業部会の指針,グーグルの諮問委員会意見書の概要,および日本のヤフーが公表した有識者会議報告書および同社の対応方針を取り上げた。欧州司法裁判所の判決は,EUと米国のプライバシー保護に関する対立軸の中で下されたものであり,権利者保護に偏った判断といわざるをえない。同判決の判断基準が日本の法解釈に大きな影響を与えるともいいがたい。また,過去の情報の暴露は古典的なプライバシー侵害の問題であり,「忘れられる権利」は過去の議論の延長線上の問題としてとらえるべきである。他方,本判決およびその後の一連の議論は,検索エンジン事業者に削除基準を検討させる契機を与えるとともに,表現の自由や知る権利との関係で,削除した旨をWebサイト管理者や検索エンジン利用者に通知すべきか否か等の問題を提起した点において意義が認められる。