著者
水谷 令子 久保 さつき 西村 亜希子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-61, 1996-11-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
13

三重県における粥占いを調査し, 稲作農業との関連について考察した.1.粥占いは, 四日市から松阪までに分布しており, この領域は, 伊勢平野の稲作地帯とほぼ一致している.2.占いの対象は, ほとんどが, 稲作の早稲, 中稲, 晩稲である.一部では, 麦, 小豆, 野菜類が加わっている.3.粥占いはおそらく, 小正月に民俗行事として行われていたものが, 後になって, 五穀豊穣を願う神事としても行われるようになったと考えられる.4.ある地域では, 小豆粥を用いて占いが行われている.小正月に小豆粥やぜんざいを食べて無病息災を願う風習があることとの関連が考えられる.
著者
櫻井 基一郎 波木井 恵子 中川原 さつき 櫻井 裕子 村川 哲郎 及川 洸輔 城所 励太
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.40-46, 2021 (Released:2021-03-25)
参考文献数
5

2019年末から世界的に流行したSARS-CoV-2感染症(COVID-19)は母子間の垂直感染を積極的に示唆する所見には乏しい.しかし,出生時に母親がCOVID-19の疑いがある場合やSARS-CoV-2 PCRを検査中の場合,新生児は感染している可能性があると見なされ,院内感染防止のためにも出生直後からの感染対策が必要となる.感染症蔓延期におけるNICU病棟運営の現状と変更点を明確にすることで,今後の感染対策に活かすことを目的とする.入院症例に対して全例PCR検査を導入して以降,緊急事態宣言が解除されるまでの約1か月間におけるNICU病棟管理の変更点および,NICU病棟に入室し陰圧個室に隔離した新生児7名への対応や転帰を後方視的に調査した.院内感染防止のため,新生児蘇生は,個人防護具を装着した上で,母体から2m以上離れた開放型保育器で行った.蘇生後,児は直ちに閉鎖型保育器に収容後NICU内の陰圧個室へ搬送した.陰圧個室担当の看護師は専属とし,陰圧個室に1床入室につきNICU病床数は2床削減とした.父母の面会は交代制とし時間を制限した.対象となった母児にはいずれもSARS-CoV-2感染はなかった.感染症蔓延期におけるNICU病棟での感染対策を経験した.今回の経験をもとに平時から対策を想定しておくことで,今後の感染対策に活かすべきと考える.
著者
中川 さつき
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.252-274, 1998-10-20 (Released:2017-04-05)

"La clemenza di Tito" di Mozart (k. 621) fu rappresentata per la prima volta nel 1791 per l'incoronazione dell'imperatore Leopoldo II a re di Boemia. Il compositore non musico l'opera basandosi sul famoso libretto di Metastasio, rappresentato nel 1734 con la musica di Caldara, ma su un testo ridotto da Caterino Mazzola. Pur elogiando la musica di Mozart, fino a qualche anno fa, la maggior parte degli studiosi mozartiani giudicava il libretto di Metastasio convenzionale e fuori moda. A nostro avviso, questo giudizio e troppo parziale e influenzato dall'evoluzionismo, e in questo saggio, esaminando i due libretti di "La clemenza di Tito", cercheremo di chiarire la diversa concezione dell'opera lirica in Metastasio e in Mozart-Mazzola. Mozart-Mazzola apportarono due modifiche: una di forma e una di contenuto. Dal punto di vista formale, al fine di conformarsi alla tendenza di quegli anni, trasformarono il dramma metastasiano di tre atti in un'opera in due atti; accorciando poi i recitativi e inserendo i concertati, ovvero i duetti, i terzetti e i finali, diedero maggiore spazio alla musica. Per quanto riguarda il contenuto, Mozart-Mazzola trasformarono Vitellia e Tito, i personaggi idealizzati di Metastasio, in persone realistiche e umane. Vitellia e una principessa orgogliosa che sfruttando la fedelta di Sesto, vuole uccidere l'imperatore per salire al trono; tuttavia alla fine, per salvare la vita di Sesto, confessa la propria colpa. Nel testo originale, Vitellia agisce sempre con coerenza e consapevolezza, e sacrifica la propria vita per Sesto. Con grande padronanza di se, affronta la morte e nell'ultima aria canta "Getta il nocchier talora". Nella versione mozartiana, invece, e una donna debole che nel famoso rondo "Non piu di fiori vaghe catene" si lamenta per non essere in grado di sposare l'imperatore Tito. Mozart-Mazzola ridussero anche lo spessore dell'immagine di Tito, togliendo la sua dichiarazione di celibato a vita. I protagonisti idealizzati che nell'opera di Metastasio si sacrificano volontariamente per il bene degli altri diventarono cosi persone normali. In conclusione, mentre Metastasio privilegio la poesia sulla musica e realizzo immagini idealizzate, Mozart-Mazzola diedero maggiore importanza alla musica e crearono dei personaggi realistici.
著者
横山 さつき 大橋 明 土谷 彩喜恵 海老 諭香 福地 潮人 堅田 明義
出版者
人間福祉学会
雑誌
人間福祉学会誌 (ISSN:13465821)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.39-48, 2022 (Released:2022-06-03)

高齢者介護に従事する介護職の倫理的行動に影響すると推定される共感的反応・行動の因子構造を明らかにす ることを目的として、A県下の特別養護老人ホームと介護老人保健施設(総数270施設)のうちの76施設(総数の28.1%) の介護職全数(3,142名)を対象として、独自作成の94項目から成る無記名自記式質問紙調査を実施した。有効標本 1,161(有効回答率40.0%)のデータを用いて探索的因子分析をした結果、20項目から成る 6 因子構造を抽出した。 6 因子の Cronbach’sα係数は.852~.934(全体.904)で、各因子の内的整合性が認められた。 6 因子を、「 1.ネガティ ブな感情の共有」、「 2.インテグリティ」、「 3.他者感情に対する敏感性」、「 4.協調性・融和性」、「 5.ポジティブな感 情の共有」、「 6.他者視点取得と共感的関心」と命名した。いずれも介護職の共感的反応・行動として解釈可能であり、 内容的に妥当であると考えられた。また、「インテグリティ」と「協調性・融和性」は介護職独自の因子であった。
著者
塚越 大智 山本 周平 和田 洋典 寺島 さつき 大澤 竜司 松森 圭司 伊藤 駿 中村 幸男 長峰 広平 池上 章太 堀内 博志
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.92-98, 2022-01-18 (Released:2022-04-13)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Coronavirus disease 2019 (COVID-19) has been spreading globally since 2019;however, comprehensive rehabilitation of elderly patients with COVID-19 pneumonia remains a challenge. A 76-year-old American woman with COVID-19 pneumonia was admitted to our hospital. Because her disease was complicated by acute respiratory distress syndrome (ARDS), she was treated with intensive care, including invasive ventilation and extracorporeal membrane oxygenation (ECMO). During and after intensive care, she exhibited physical symptoms such as weakness, pain, shortness of breath, and difficulty in movement and exercise. Furthermore, during approximately 3.5 months of hospitalization, she received swallowing and speech therapies along with physical therapy. These rehabilitation therapies enabled her to get home in the United States. Her rehabilitation schedule had to be carefully planned according to her symptoms and infectiousness of COVID-19. This paper highlights few important points regarding the difficulty in rehabilitation including that of physical function, mental health, and cognitive function of patients with COVID-19. Furthermore, this report provides a problem-solving approach for long-term rehabilitation in elderly patients with COVID-19 pneumonia.
著者
富川 拓海 國吉 杏子 伊藤 史織 佐久川 さつき 石川 輝 齋藤 俊郎 小島 尚 朝倉 宏 池原 強 大城 直雅
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.190-194, 2022-10-25 (Released:2022-11-03)
参考文献数
32
被引用文献数
3

シガテラ魚類食中毒は,シガトキシン類(CTXs)を含有する魚類による動物性自然毒食中毒で,主に熱帯・亜熱帯で発生している.日本では,沖縄県を中心に発生報告があるが,日本本土の太平洋岸産魚類による食中毒事例も散発的に発生し,原因魚種のほとんどがイシガキダイOplegnathus punctatus の老成個体である.イシガキダイにおけるCTXsの含有状況を調査するために,本州,四国,九州,奄美,沖縄,および小笠原の沿岸産176個体(標準体長:13.1~60.0 cm,体重:100~6,350 g,年齢:0~11歳)を収集し,LC-MS/MSによる分析を実施した.そのうち沖縄産2個体(全試料の1.1%)からCTXsが検出され,沖縄産14個体に限定した検出率は14%であった.CTXsが検出された2個体の魚肉中の総CTX含量は,0.014 μg/kgおよび0.040 μg/kgであり,いずれも米国FDAの推奨値0.01 μg CTX1B equivalent/kg以上であったが,ヒトの最小発症量(10 MU, CTX1B換算で70 ng)に達するには,1.5 kg以上の摂食が必要であるため,シガテラ魚類食中毒発症のリスクは高くないと考えられる.沖縄産イシガキダイのCTXs組成はCTX1B系列のみで,バラフエダイやバラハタなどの肉食魚が含有するCTX1Bおよび52-epi-54-deoxyCTX1Bに加えて,渦鞭毛藻が産生するCTX4AおよびCTX4BがCTX1Bと同程度のレベルで検出された.なお,CTX3C系列は検出されなかった.
著者
佐野 真由子 有賀 暢迪 飯田 豊 市川 文彦 井上 さつき 君島 彩子 辻 泰岳 牧原 出
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は、研究史の空隙となっている第二次大戦後の万国博覧会史に取り組むものであり、時期的対象は、万博を統括する政府間組織BIE(在パリ、1931年発足)が大戦終結を受けて活動を再開した1945年から、植民地独立を主要因とする国際社会の変容を背景に、今日も有効な万博の新定義を打ち出すに至った1994年までである。その目的は、催事としての万博それ自体を詳解することではなく、万博史研究というレンズを通じて、国際情勢から開催・参加各国内の政局、関係業界の動向、関係者個々人のミクロな経験までを途切れなく見通し、かつ、自ずと世界の多様な視点に立脚する、新たな戦後世界史叙述の可能性を提示することにある。
著者
高橋 俊明 井根 省二 竹内 雅治 伏見 悦子 関口 展代 木村 啓二 林 雅人 斉藤 昌宏 高橋 さつき
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.749-754, 2003 (Released:2005-03-29)
参考文献数
15

1995年から2001年の6年間に4例の劇症型心筋炎 (男2例, 女2例, 年齢21~67歳) を経験した。診断は臨床症状, 心電図, 心エコー所見などから総合的に行い, 3例では病理学的に確定診断された。4例全例が発熱などの感冒症状で発症し, 1例は心肺停止で来院し, 蘇生できなかった。残り3例は初発から5~7日後にショック状態で入院し, 一時ペーシング, カテコラミン, ステロイドパルス療法, そのうち1例では経皮的心肺補助 (PCPS) を導入したが, 3例とも入院1~10日後死亡した。心電図では心室調律, 異常Q波, ST上昇, 低電位を呈した。血清酵素の著明な上昇, 代謝性アシドーシス, DICは予後不良の徴候と考えられた。劇症型心筋炎の救命のためには, まず本症を早期に的確に診断すること, そして積極的に補助循環を導入し, 急性期を乗り切ることに尽きる。
著者
上星 浩子 岡 美智代 高橋 さつき 恩幣 宏美 原 元子 村瀬 智恵美 茶円 美保 宮下 美子 柿本 なおみ
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_21-29, 2012-03-20 (Released:2012-03-30)
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

目的:慢性腎臓病(CKD)対象者に非盲検ランダム化比較試験におけるEASEプログラムを実施し,血圧,血圧測定実施率およびセルフマネジメント行動や自己効力感が向上するかどうかを検証した.方法:介入群(n=19)はEASEプログラムを12週間実施し,対照群(n=12)は従来の教育を実施した.介入の効果指標は,4週ごとの平均血圧値および血圧測定実施率,セルフマネジメント行動,自己効力感である.結果:2群間における効果指標に有意差は認められなかったが,介入群のセルフマネジメント行動は介入前後で有意に向上した.自己効力感の中央値は介入群で上昇し,対照群は低下した.血圧測定実施率は両群とも1~4週に比べ,9~12週が有意に低下した.とくに対照群における測定実施率の低下は大きかった.結論:ランダム化比較試験の結果,効果指標に有意差は認められなかった.しかし介入群のセルフマネジメント行動は向上した.よってEASEプログラムはセルフマネジメント行動に効果があることが示された.
著者
高村 仁知 山口 智子 林 恵理奈 藤本 さつき 的場 輝佳
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1127-1132, 1999-11-15
被引用文献数
11

The change in radical-scavenging activity while cooking curry made from spices, vegetables, and meat was analyzed by the 1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl-HPLC method. Fifteen kinds of spices generally used in curry all possessed radical-scavenging activity. In particular, the activity of clove, allspice, and cinnamon was extremely high and comparable with that of vegetables. After heating, the radical-scavenging activity of the combination of vegetables and meat increased, while that of mixed spices decreased. Vegetables as well as spices contributed the radical-scavenging activity of curry. In the present research, one serving of curry and rice contained 363 μmol Trolox eq of radical-scavenging activity. The spices contributed approximately 45% of the total radical-scavenging activity of curry and rice.
著者
水谷 令子 久保 さつき 西村 亜希子 Reiko MIZUTANI Satsuki KUBO Akiko NISHIMURA
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 = Journal of Suzuka Junior College (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.59-64, 1996-01-01

三重県安濃町萩野地区で祭礼の御馳走として作られる「コノシロの腐れずし」は,すしの古い形である「なまなれずし」である。今回その漬け込みを見学するとともに,「すし」に関連ある事項について聞き取り調査をした。「コノシロの腐れずし」は塩漬けしたコノシロを塩出しした後,冷ました白飯を水で洗ってからコノシロの腹に詰めて漬け込む。漬け込み期間は75日間で,出来上がった「すし」は骨や頭までやわらかになっている。前報の音羽の「コノシロずし」とは漬け方や食べ方が異なっていた。
著者
寺島 秀夫 斎藤 昌宏 高橋 さつき 平山 克
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.1848-1851, 2002
被引用文献数
2

まれな大網原発類上皮血管内皮腫の1例を報告する. 症例は58歳の女性で, 臍周囲の不快感を主訴に来院した. 約5cmの弾性軟な腫瘤が臍周囲で腹壁に近く触知された. 精査により原発性腹膜腫瘍が疑われたが, 呼吸性移動を示すことから特に大網由来の可能性が考えられた. 1999年11月22日に手術が施行された. 腫瘍は明らかに大網内に存在し, 胃壁と固着しており, 胃壁を部分切除し腫瘍の完全摘出を施行した. 光顕像では, 腫瘍は類上皮血管内皮腫に一致する特徴を有し胃筋層へ浸潤していた. 免疫組織化学染色では, 血管内皮系マーカー (CD34, F-VIII) が一部陽性を示した. 以上より, 大網から原発した類上皮血管内皮腫と診断された. 術後経過は順調で, 30か月後も再発を認めていない.<BR>大網原発類上皮血管内皮腫に関して英語文献検索を行ったところ, 過去の報告は1例のみであり, 極めてまれである.