著者
中川 敦寛 工藤 大介 園部 真也 麦倉 俊司 久志本 成樹 冨永 悌二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.955-963, 2021-09-10

Point・現在の神経集中治療では二次侵襲を最小限にとどめ,生体の自己回復能力を最大限に引き出す環境を作ることに主眼が置かれている.・神経学的所見やモニタリングから得られる情報を統合し,頭蓋内圧亢進を的確に評価して治療のタイミングを逃さない.・今後,インフォマティクスなどがモニタリングや管理の質の向上を支援することが予想されるが,生理学,病態生理を深く理解することが本質であることには変わらない.
著者
中川 賢一
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究はレーザー冷却によって得られる極低温原子を用いてその量子力学的な運動状態、すなわち原子波を制御するための基礎的な物理および実験技術を研究することを目的として平成8年度から平成9年度の間行った。実験に関してはRb原子のレーザー冷却のための装置の開発を主に行い、これに用いる外部共振器型半導体レーザー光源およびガラスセルによる磁気光学トラップ用超高真空装置の開発を行い、これらを用いて数100μKのRb原子約10^8個を冷却・捕捉が達成された。今後、さらに偏光勾配冷却を行うことにより、数μk程度の極低温原子が得られる事になり、これによって原子波の波長は光の波長程度となり、その運動には量子力学的な振る舞いが顕著に現われるため、レーザーを用いてこれを観測し、さらにはこれを制御する実験が可能になると考えられる。理論に関しては二本のレーザー光とその中の極低温原子の相互作用に関して反跳誘導共鳴散乱と呼ばれる過程に関して詳しく解析し、この散乱過程において周期的光ポテンシャルの中の極低温原子の運動と散乱されるレーザー光の間には密接な相関があることを見い出し、さらにこれを用いることによりポテンシャル内の原子の量子論的な運動状態を制御可能であることを見出した。この反跳誘導共鳴散乱の詳しい理論的な考察結果は既に別に行われている実験結果を非常に良く説明するもので、またこの考察結果を基に光ポテンシャル中の原子の運動の制御の実験に関しても予備実験が行われ、理論的に予想された結果が得られている。このため、今後先のRb原子のレーザー冷却の実験装置を基にして実験を進めることにより、光ポテンシャル中の原子の運動の量子状態の観測およびその制御の実験が可能になるものと考えられ、これは原子波干渉計、原子リソグラフィーなどの原子光学において非常に有用な技術となると考えられる。
著者
中川 俊人
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.135, no.2, pp.84-86, 2010 (Released:2010-02-14)
参考文献数
15

ヒトにおける薬物動態予測は医薬品開発にとって非常に重要である.種々の予測法がある中,in vitro試験からの予測法は,動物種差を考慮せず,理論に基づく予測が可能であるため,様々な手法について,近年盛んに研究・報告されている.特に肝ミクロゾームや肝細胞などをもちいた代謝クリアランスの予測や薬物間相互作用の予測は,近年の低分子医薬品開発にとって非常に影響が大きい.それらを中心に,種々のin vitro試験からのヒト体内動態予測法について概説する.
著者
加藤 宏一 比嘉 隆 中野 紘 野村 俊介 中川 将徳 門山 茂 氏家 弘 寺本 明
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.185-189, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
17

出血発症の椎骨動脈解離(vertebral artery dissection: VAD)において,前脊髄動脈(anterior spinal artery: ASA)が解離側VA から2 本分岐しY 字型にfusion している症例を経験したので報告する.症例は43 歳男性.くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)で発症した破裂VAD で,解離部から1本,解離部より末梢の正常部位から1 本ASA が分岐し,fusion 後に下行していた.マイクロカテーテルを3 本使用しASA を温存しVAD のinternal trapping を行った.片側VA から2 本のASA が分岐しfusion するタイプの血管走行は今まで報告がなく本症例が初めてである.ASA の起始部にはvariationがあり,VA union 近くの塞栓術では脳幹への穿通枝とともにASA 分岐の詳細な観察が必要である.

2 0 0 0 OA 京童 6巻

著者
中川喜雲
出版者
山森六兵衛
巻号頁・発行日
vol.[4], 1658
著者
鈴木 孝弘 田辺 和俊 中川 晋一
出版者
東洋大学自然科学研究室
雑誌
東洋大学紀要 自然科学篇 = JOURNAL OF TOYO UNIVERSITY NATURAL SCIENCE (ISSN:13468987)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.69-82, 2018-03

Elderly dementia would be considered as one of serious social issues in near future inJapan. A nonlinear regression method by support vector machine (SVM) was appliedto search factors related to patient rates of 47 prefectures among 34 kinds of lifestylehabit factors. Fourteen kinds of related factors were obtained; depression, alcohol,hyperlipidemia, hobby, fruits, stress disease, high blood pressure, soy product, cereal,fresh fish, cooking oil, exercise, fresh vegetable, and diabetes. Depression is the mostimportant factors to patient rates, and the relative significance of the related factors tothe patient rates of elderly dementia is discussed on the basis of their sensitivities. Theinformation obtained could be used for serving as a reference to factors which shouldbe verified in cohort or case-control studies for clarifying the causes of elderly dementiain Japan.
著者
中川 公恵
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.12, pp.1337-1341, 2013-12-01 (Released:2013-12-01)
参考文献数
20

Natural vitamin K is found in two forms: a plant form, phylloquinone (PK) and bacterial forms, menaquinones (MKs). PK is a major form of dietary vitamin K; however, the most prevalent form of vitamin K in animals and humans is menaquinone-4 (MK-4). Despite its high concentrations, the origin of MK-4 is yet to be defined. It is postulated that PK is converted into MK-4 and accumulates in extrahepatic tissues. The molecular mechanisms for these conversion reactions have been unclear. To identify the MK-4 biosynthetic enzyme, we screened the human genome database for prenylation enzyme. We found UbiA prenyltransferase domain containing 1 (UBIAD1), a human homologue of Escherichia coli prenyltransferase menA. The short interfering RNA against the UBIAD1 gene inhibited the conversion of deuterium-labelled vitamin K derivatives into deuterium-labelled-MK-4 (MK-4-d7) in human cells. We confirmed that the UBIAD1 gene encodes an MK-4 biosynthetic enzyme through its expression and conversion of deuterium-labelled vitamin K derivatives into MK-4-d7 in insect cells infected with UBIAD1 baculovirus. UBIAD1 was localized in endoplasmic reticulum. Our results show that UBIAD1 is a human MK-4 biosynthetic enzyme. This identification will permit more effective decisions to be made about vitamin K intake and bone health.
著者
淺倉 康二 中川 哲朗
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.125, no.5, pp.288-291, 2005 (Released:2007-02-02)
被引用文献数
1 1

本記事に「抄録」はありません。
著者
中川 慧 大鶴 直史 猪村 剛史 橋詰 顕 栗栖 薫 中石 真一路 河原 裕美 弓削 類
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】臨床現場においても,難聴者とのコミュニケーションに難渋することが多い。高齢による難聴の多くは感音性難聴といわれており,内耳から脳への伝達経路での障害が原因と考えられている。一般的に感音性難聴を評価する際には,音の聞き分けができるかどうかの主観的評価が用いられているが,加えて大脳皮質応答を客観的に評価することも重要と考えられる。そこで本研究では,聞き取りやすさの条件を変更することで音の聞き分けに対する大脳皮質応答が変化するのかを検討し,感音性難聴を客観的に評価するシステムを確立することを目的とした。【方法】実験に先立ち,難聴者9名を対象に57-S語表(日本聴覚医学会)を用いた50音の聞き取り検査を行い,聞き取りの難しい音・簡単な音を調査した。結果,聞き取りの正答率が最も高い音は『ル』,最も誤答が多かった組み合わせは『ミ』と『ニ』であったため,これらの音を用いて課題を作成した。課題は,約20%の確率で逸脱音を呈示するoddball課題とし,難課題(標準音『ニ』,逸脱音『ミ』)と易課題(標準音『ル』,逸脱音『ミ』)の2課題を設定した。計測は,健聴者10名を対象に,シールドルーム内にて,被験者前方3mの位置のスピーカーから700ms間隔で呈示される音(70dB)を聴いた際の聴覚誘発脳磁界を記録した。スピーカーには,音の指向性および高音域の音圧を高め,聞き手が聞き取りすくなる構造を持つ『COMUOON<sup>Ⓡ</sup>』(ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社)および同一の素材で作られた標準的なスピーカーを使用した。なお計測中,被験者には音に注意を向けないように指示した。各条件500回程度加算し,逸脱音と標準音の差分波形(ミスマッチ反応:mismatch field)をもとに,等価電流双極子推定法を用いて左右聴覚領域それぞれの活動源を推定し,各条件での電流モーメントを比較した。【結果】音の呈示に伴い,刺激後100msをピークとする活動源が両側上側頭回付近に推定された。逸脱音から標準音の応答の差を求めると,易課題では,スピーカーの種類に関わらず100ms(N1m)と220ms付近(P2m)にピークを持つ波形が記録された。一方,難課題ではN1mの振幅が小さく,P2mの潜時が平均288msと遅かったが,『COMUOON<sup>Ⓡ</sup>』を用いることでP2mの潜時が平均259msと短縮した。【結論】感音性難聴の客観的評価システムの導入を目的に聞き分けの難しい言語音を用いた課題を作成し,聴覚誘発脳磁界を指標としてその有用性を検証した。その結果,話し手側から聞き取りやすい音を伝える高精度のスピーカーを用いると,音の認識に関与すると考えられるP2mの出現潜時が短縮した。これは本手法が感音性難聴の客観的評価に対する一つとして有用である可能性を示している。今後は,難聴者を対象に計測を行い,評価システムの確立を目指したい。
著者
吉川 周作 水野 清秀 加藤 茂弘 里口 保文 宮川 ちひろ 衣笠 善博 三田村 宗樹 中川 康一
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.505-520, 2000-12-01
被引用文献数
17 32

神戸市東灘区魚崎浜で掘削された東灘1,700mボーリングコアの火山灰層序を明らかにした.本コアは,基盤の花崗閃緑岩(深度1,545.7m以深)と,それを不整合に覆うK1-L層・K1-U層から構成される.淡水成のシルト・砂・砂礫主体のK1-L層(深度1,545.7~691.8m)は,朝代火山灰層に対比できるK1-1382火山灰層を挾み,大阪平野地下の都島累層と陸上部の大阪層群最下部・下部下半部に相当する.海成粘土層と淡水成の砂礫・砂・シルトの互層からなるK1-U層(深度691.8~23.3m)は,31層の火山灰層を挾み,大阪平野地下の田中累層と大阪層群下部上半部~段丘堆積層に相当する.本層中のK1-648,K1-566,K1-537,K1-488とK1-486,K1-444,K1-422,K1-351,K1-348ないしK1-347.4,K1-245,K1-223,K1-175,K1-141,Kl-101,K1-26火山灰層は,イエローIIないしIII,ピンク,光明池III,山田III,アズキ,狭山,今熊II,八町池I,八町池II,カスリ,港島I,鳴尾浜IV,八田,甲子園浜III~VI,平安神宮の各火山灰層に対比された.この火山灰対比により,19層の海成粘土層を,それぞれMa-1,Ma0,Ma0.5,Ma1,Ma1.3,Ma1.5,Ma2,Ma3,Ma4,Ma5,Ma6,Ma7,Ma8,Ma9,Ma10,Ma11(1),Ma11(2),Ma11(3),Ma12層に対比した.
著者
高倉 祐樹 大槻 美佳 中川 賀嗣 大澤 朋史 谷川 緑野
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.411-421, 2011-12-31 (Released:2013-01-04)
参考文献数
31
被引用文献数
1

発症時から失語症を認めず, 言語性短期記憶 (Short-Term Memory : STM) に選択的な障害を呈した 1 例を報告した。本例の知見から, 言語性 STM の解剖学的基盤は優位半球の側頭弁蓋~横側頭回近傍と示唆された。本例は数唱に比べ, 明確な意味を伴い, かつ同じ音韻系列を持つ文の復唱が良好 (例 : “8-2-3-1”の数唱は困難だが, “蜂に刺されて散々な一日だ”という文の復唱は可能) , 桁数付き数字の復唱が良好 (例 : “7-2-3”の数唱は困難だが, “ななひゃくにじゅうさん”の復唱は可能) , 無意味語系列に比べ有意味語系列の再生が良好であった。以上から言語性 STM における「容量」は必ずしも音韻情報量に依存せず, 意味の付与や情報のチャンク化の効率により決定されると考えられ, 既報告を支持した。さらに, 刺激提示の時間間隔や素材の変化により把持成績には差異が生じており, 援用されるストラテジーもそれぞれ異なる可能性が示唆された。
著者
新津 勇助 谷 征興 上田 孝爾 和田 哲夫 中川 清
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.1698-1706, 1990-12-20

放送局設備の自動化は合理化, 省力化, 事故防止などを目標としている.システムの自動化と各機器の固体化による信頼性向上との相乗効果により放送事故の件数は大幅な減少傾向をみせている.一方, システムの高度化により1件あたりの事故は大型化する事例も散見される.本稿では送出の分野を中心に放送局設備の自動化について概説する.
著者
田中 英夫 野上 浩志 中川 秀和 蓮尾 聖子
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.929-933, 2002-09-15

<b>目的</b> 全国の薬局,薬店で喫煙者の鎮咳,去痰剤として販売されている紙巻きたばこ型薬用吸煙剤(ネオシーダー,製造:アンターク本舗,千葉県,以下 NC と表す)の医薬品としての妥当性を,製品のニコチン含有量と,これを試行した者および連用者の尿中コチニン量から評価検討した。<br/><b>方法 1</b> NC および,コントロールとしてマイルドセブンエクストラライト(以下 MSE と表す),マイルドセブンスーパーライト(以下 MSS と表す),セブンスター(以下 SS と表す)の葉0.25 g を蒸留水10 m<i>l</i>で 5 分間振とうし,遠心分離後に抽出液を発色反応させ,高速液体クロマトグラフィーで分析した。<br/><b>方法 2</b> 喫煙中であった32歳医師を被験者とし自記式問診とともに,禁煙時,NC 使用時,禁煙継続かつ NC 不使用時の 3 点で尿中コチニン量を測定した。<br/><b>方法 3</b> 外来患者の中でタバコの代替物として NC を継続使用していた 2 人の連用者を見出し,自記式問診と採尿を実施し,尿中コチニン量を測定した。<br/><b>成績 1</b> 製品 3 cm(実際の 1 本当たり消費量)当たりの平均ニコチン含有量は,NC; 0.79 mg (n=6), MSE; 5.04 mg (n=2), MSS; 4.91 mg (n=2), SS; 5.55 mg (n=2)。<br/><b>成績 2</b> 被験者の喫煙中の Fagerstrom Test for Nicotine Dependence は 3 点。禁煙の開始から最終回の採尿までの期間の受動喫煙はなし。尿中コチニン量は,禁煙開始 7 日目10.0 ng/m<i>l</i>。NC を 3 日間で17本使用後47.2 ng/m<i>l</i>,禁煙継続かつ NC 不使用 3 日目8.4 ng/m<i>l</i>。<br/><b>成績 3</b> 53歳男性:喫煙当時の FTND は 6 点。調査期間中の受動喫煙はなし。NC を 1 日平均40本連用中の尿中コチニン量は937 ng/m<i>l</i>。75歳女性:喫煙当時の FTND は 7 点。NC を 1 日27本連用中の尿中コチニン量は2724 ng/m<i>l</i>。NC 中止96時間後では27.7 ng/m<i>l</i>。<br/><b>結論</b> NC は非麻薬性で習慣性がみられないと説明されているものの,ニコチンを含有していること,使用により本剤に含有するニコチンが体内に移行することがわかった。また,本剤の使用によってニコチンへの依存性が生じ,長期連用を引き起こしていたとみられる 2 例を報告した。