著者
岡田 二郎 本木 和幸 中川 哲 杉村 東陽 藤崎 顕彰 内田 誠一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、動物集団がしばしば示す同期的行動として、干潟で高密度に群生する短尾甲殻類チゴガニのウェービング(オスがハサミを繰り返し振上げる求愛行動)に注目した。近隣個体間におけるウェービング同期のメカニズムを明らかにするために、任意のタイミングで動作可能なウェービング模倣ロボットを開発し、実験室内でカニの行動とロボットの動作との時間的関係を調べた。個々のカニは対面するロボットに対して先行するようにウェービングを行うこと、カニ集団中におけるロボットの稼働はウェービングの同期の程度を変容させることを明らかにした。さらにウェービング遂行中のカニのハサミ運動筋から電気活動を記録することに成功した。

2 0 0 0 OA 臨床失行症学

著者
中川 賀嗣
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.10-18, 2010-03-31 (Released:2011-05-11)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

失行の (広義の) 定義では,非失行性要因による行為・動作障害を除外する必要性が示されている。そのため,まずどのような非失行性要因が,どのような形で行為・動作に影響するかを紹介した。さらに道具使用動作も含めて,対象操作に関連する行為・動作を 2 つの系に大別した。第 1 の系は,到達・把持動作を含み,どんな道具かによらず,非特異的に対象物を扱う動作の系である。また到達・把持後においても,「各道具に特異的な使用動作」以外の,非特異的な扱い動作もこの系に含めた。この系は使用手の対側半球が担っていると考えられる。第 2 の系は,道具を把持した後の,「各道具に特異的な使用動作」からなる系である。たとえばハサミの場合には,ハサミで「紙を切る動作」がこれにあたる。この系は左優位半球が両手に対して担うと考えられる。本稿では第 1 の系が選択的に障害され,第 2 の系は保たれていると見なし得た 1 例を示し,これを新たな失行型と位置づけ,暫定的に「到達・把持失行」と呼んだ。一方第 2 の系が選択的に障害され,第 1 の系が保たれた病態は,使用失行がこれにあたると見なしうる。
著者
杉本 祐介 佐藤 太一 土井 千章 中川 智尋 太田 賢 稲村 浩 内藤 克浩 水野 忠則 菱田 隆彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.50, pp.1-6, 2015-02-23

近年,インターネット上では,Facebook や Twitter における日記や amazon.com や食べログにおけるレビューなど,ユーザからの投稿を利用したサービスが数多く普及している.これらのサービスに寄せられる投稿の中には,楽しい,きれいといった感情を示す感情語が数多く含まれており,先行研究では,そういった感情語を利用した観光地のレコメンド手法の提案を行った.その際,喜びや楽しみ,好みなどのポジティブな感情語が 1 つのカテゴリに集中してしまうという問題があり,詳細な分類を行うためにはこの問題を解決する必要があった.そこで本研究では,ポジティブな感情語が 1 つのカテゴリに固まってしまう問題を解決し,レコメンドに適した感情語の分類方法の提案を行う.
著者
成澤 孝人 丸 祐一 蟻川 恒正 西土 彰一郎 石川 健治 成原 慧 坂井 大輔 小池 洋平 中川 律 福嶋 敏明
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、戦後憲法学を切り開いた奥平康弘の憲法学を、多面的、総合的に検討することによって、日本憲法学における奥平憲法学の足跡を改めて確認し、戦後憲法学の成果を奥平憲法学との比較において検討することを企図している。そのために、本研究は、奥平の死後、信州大学に寄贈された資料を整理した上で利用する。資料の中でも、奥平が所蔵していた図書は、すでに「信州大学奥平康弘コレクション」として信州大学付属図書館に所蔵されている。本研究は、奥平が遺した図書以外の資料を整理し、信州大学付属図書館の協力を得て、コレクションの拡充をおこなう。研究者は、コレクションを利用しながら、奥平憲法学の深部に迫る。
著者
和田 信哉 中川 裕之 岩田 耕司
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.69-80, 2017 (Released:2020-01-26)
参考文献数
21

本稿は,算術から代数への移行に関し,「初期の代数」の観点から算数へアプローチする研究の一環として,小学校第3学年「□を使った式」の授業構成について実証的に検討するものである。具体的には,児童の□の意味,式の見方,演算の相互関係の認識それぞれの変容を分析し,そこで現れる代数的推論を同定し,それらの変容とのかかわりを明らかにすることを目的とした。その結果,本授業構成では,一般的な指導とは異なり□を一般数として導入することで,児童たちは自然と□を使っていた。また,□の意味や式の見方,演算の相互関係の認識が相互作用的に変容して高まる姿がみられた。そしてその高まりには,代数的推論が密接にかかわっていることを示した。
著者
中川 尚史 中道 正之 山田 一憲
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.111-125, 2011 (Released:2012-01-19)
参考文献数
29
被引用文献数
6 7

Questionnaire on infrequently-observed behaviors (IOBs) in Japanese macaques (Macaca fuscata) were given to primatologists. This survey aimed to provide basic information on the degree of rarity of each behavior. The questionnaire consisted of questions for respondents themselves, (e.g., name, research carrier, daily observation time), focal group (name of group and local population, captive, provisioned free-ranging, crop-raiding or purely wild), and IOBs. Experience of direct observation of 36 candidates of IOBs was also requested to answer by yes, no, or impossible to answer because of ambiguous memory or unawareness of its behavior. In total, 39 answer sheets were obtained from 32 respondents. The top 10 IOBs and the number of those answering "yes" in parenthesis are as follows: mating interruption by juveniles (1), simultaneously nursing different-aged offspring (1), tool-use (1), single mount ejaculation (2), transporting the older offspring (2), nursing the older offspring (2), simultaneously transporting different-aged offspring (3), pulling the hair of female chin as a courtship behavior by male (4), twin birth (4), and (diurnal) birth (6). Some of IOBs, such as mating interruption by juveniles, seem to be due to ambiguous memory or unawareness of its behavior. Apparent inter-population differences in the percentage of respondents answering "yes" to the all the respondents giving definite answers were found in some behaviors, such as embrace-rocking behaviors, mating behaviors in birth season, stone-handling, and feeding on vertebrates. Some of them, like the latter two, seem to have something to do with provisioning. With the modification of three categories by Nakamichi et al. (2009), we proposed the following five categories of IOBs: I) behaviors which are difficult to be observed despite its common occurrence; II) behaviors which rarely occur in every population: III) behaviors which rarely occur in some populations, but frequently occur in the others; IV) behaviors which are difficult to identify and memorize despite its common occurrence; V) behaviors which rarely occur during the most of the time but temporally occur.
著者
西薗 秀嗣 中川 功哉 須田 力 斎藤 勝政
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.17-26, 1983-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20
被引用文献数
5 6 4

アーチェリーのシューティングについて, 日米のトップアーチャー2名並びに技術水準の異なる男子大学生アーチャー15名の上肢, 上肢帯, 体幹筋の筋電図記録, 動作分析を行い, 以下の知見を得た。1) 初心者及び経験5年程度の中級者では, セットアップ, ドローの初期から上肢の放電が著しく, フルドローに入って左右側の筋緊張が不安定な状態でリリースがなされる。これに対してトップアーチャーでは初期から上肢帯, 体幹筋の活動が大きく, フルドローでは左右側で均等な強い筋活動がみられた。さらに, フォロースルーで一定時間, 筋活動が安定して持続し, 合理的な筋の作用がなされていた。2) トップアーチャー2名において, リリースに先行して両側の三角筋肩峰部で筋放電休止期Silent Period (S.P.) が認められ, さらに1名で押し手 (左) 僧帽筋横部でも認められた。3) 大学生アーチャー12名について, 経験年数と成績から上級者, 中級者, 初級者に分け, 三角筋でのS.P.の出現率, 潜時, リリース反応時間について検討した結果, 初級者ではS.P.の出現は2名に認められたが出現率は低く, リリース反応時問は190~230msecと長く, かつ分散している。上級者では全員S.P.の出現があり, 出現率は70~100%と高く, S.P.潜時及びリリース反応時間の平均値はそれぞれ, 115msec, 175msecとなり, しかもばらつきが少ない。4) 引き手 (右) 三角筋のS.P.の出現と同側僧帽筋の活動増強の時期が, 特に上級者群でほぼ一致した。この両筋は神経支配が異なり, リリース動作での拮抗筋と考えられず, リリース動作での一連の主働筋と考えられる。これらのことから, アーチェリーのシューティングという複雑な動作で出現したS.P.は, 長期にわたるトレーニングによる巧緻性獲得過程にみる一つの合理的な神経筋機構であると考えられる。
著者
坪野 由美 飯山 志保 浦島 理恵 山田 孝子 小杉 久子 中川 真由美 澁谷 直美 大浦 栄次
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.240, 2008

〈はじめに〉平成17年の国民健康・栄養調査によると我が国の喫煙率は男性で39.3%で減少傾向、女性は11.3%で横ばいとなっている。しかし依然禁煙を実行しえない喫煙者が多く存在している。今回禁煙のきっかけ作りのために、身近な人の禁煙エピソードを収集し、その特徴をまとめたので報告する。<BR>〈方法・対象〉対象者は平成19年8月から平成20年1月までの6ヶ月間に、厚生連高岡健康管理センターで日帰りドックを受診し、禁煙アンケート調査に同意を得られた禁煙成功者(以下成功者とする)および禁煙失敗者(以下失敗者とする)(男100名・女10名)の110名である。アンケートは独自に作成したもので喫煙歴、禁煙のきっかけ、禁煙成功・失敗理由等の項目についての自記式調査用紙である。ケースによっては追加聞き取りも行った。<BR>(結果及び考察)対象の内訳は禁煙成功者92名、禁煙失敗者18名である。成功者92名中、男性85名女性7名であった。成功者の禁煙のきっかけ、成功理由を人間関係、健康上の理由、仕事、イベント、趣味・生きがい、金銭的理由、環境、その他の8つに分類した。一番多い禁煙のきっかけ、成功理由は表3に示すとおり健康上の理由が50例と多かった。人間関係では子供の誕生、友人と約束、仕事上ではお客様のため等、イベントでは結婚を機に、エイプリルフールに、ハワイ旅行で等があった。趣味・生きがいではサーフィンを続けるためが1例、金銭的理由ではタバコ税に頭がきて等、環境では職場が禁煙になり等があった。<BR>今回の成功者の禁煙成功の鍵は、健康上の理由が最も多いことがわかった。しかし、健康上の理由で禁煙が必要であっても、その気が全くない喫煙者も存在していることから、禁煙成功には各個人の健康に対する考えが大きく左右しているのではないかと考える。また色々な禁煙エピソードを読むことで喫煙者に共感や驚きが生まれ、禁煙の試みにつながると思われる。今までのように煙の害を啓蒙する、禁煙外来をすすめる等の禁煙支援の方法もあるが、今回の成功者には禁煙教室参加でやめたケースは1例にとどまり、禁煙外来で成功したケースもなかった。しかし、主治医のすすめで成功のケースは5例あり、医師のアプローチの重みは強い。今後保健、医療の両現場においての禁煙支援のひとつの手段に禁煙エピソードを取り入れ、喫煙者の禁煙への興味、関心を引き出し禁煙のきっかけ作りに利用していきたいと考える。
著者
中川 哲也
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.17-25, 1991-01-08 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
3

The therapeutic guideline for psychosomatic disorders, which was edited by the Medical Strategy Committee of the Japanese Society of Psychosomatic Medicine in 1970,has been cited and utilized on many occasions. Hewever, following the progress of medicine, there have been increasing numbers of opinions, which insist on the necessity of revised criteria of psychosomatic disorders and introduction of new therapeutic approaches to the guideline among the members of the above-mentioned Society. Under such circumstances, Dr. Ikemi, the chairman of the Board of Directors and also the chairman of the Committee of Medical Education and Training, started working on the revision of the therapeutic guideline. After consulting with the members of the Board of Directors and councillors several times, he pointed out the fundamental problems concerning the revision of the therapeutic guideline in December, 1989. As the chairman of the Committee of Medical Education and Training, succeeded to Dr. Ikemi, I proceeded with the work and at the 31st Congress of the Japanese Society of Psychosomatic Medicine I would like to propose the outline of newly revised guideline for diagnosis and treatment in psychosomatic medicine as the presidential address. The main items of the new guideline are as follows. 1. The concept of psychosomatic medicine 2. The developmental background of modern psychosomatic medicine 3. Behavioral medicine and psychosomatic medicine 4. Consultation-liaison psychiatry and psychosomatic medicine 5. Classification of mental disorders by DSM-III and DSM-III-R. 6. Psychosomatic disorders 7. Doctors who engage themselves in the practice of psychosomatic medicine 8. General principles in the practice of psychosomatic medicine 9. Psychosocial evaluation a) Interviews b) Psychological tests 10. Psychophysiological examination 11. Psychosomatic diagnosis 12. Psychosomatic treatment modalities 13. Summary of psychosomatic treatments 14. Terminal care From now on, after discussing and arraging the proposed draft for the new guideline with the members of the Comittee of Medical Education and Training, I will announce the final form of the revised guideline for diagnosis and treatment in psychosomatic medicine to all the members of the Japanese Society of Psychosomatic Medicine. Ideeply appreciate many constructive opinions and supports by the councillors of the Japanese Society of Psychosomatic Medicine and the present and former staff members of our Department of Psychosomatic Medicine.
著者
中川 忠宣 佐藤 真由美
出版者
大分大学高等教育開発センター
雑誌
大分大学高等教育開発センター紀要 (ISSN:18842682)
巻号頁・発行日
no.7, pp.95-109, 2015-03

大分大学高等教育開発センター主催の本講演会は、「協育」ネットワーク推進事業の一環として開催され、学生の教養としての学びを深めるとともに、地域でのボランティア活動として大切にされている「読み聞かせ」などの読書支援ボランティアについての意識の醸成を目的としています。今回は、長年にわたり、本と人をつなぐ仕事をされてこられた川島久美子氏に、昨年度、本学においでいただいた『童話作家あまんきみこ氏』の魅力や作品を友人の立場から語っていただき、また、東北の方言による「語り」の実演を交え、「語りと絵本の世界」のご講話をお願いしました。講演会終了後、同じ講演を聞いた者同志、読書支援に関わることにおいての喜びや悩みなどを語り合い、横の繋がりをつくりながら、これからの活動に役立てていただければと願って、前回同様、交流会を企画しました。
著者
阿部 真也 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4Rin135, 2019 (Released:2019-06-01)

時系列予測の観点から株価を予測するために深層学習を用いる研究が多数行われてきた。 一方で、クロスセクション予測(マルチファクターモデル)の観点から、深層学習を用いて株価を予測する研究は少なく、特に世界の株式市場における有効性を実証する研究は存在しない。 そこで本稿では、グローバルな株式市場においてクロスセクション予測の観点から深層学習を用いたマルチファクターモデルに基づく相対的な魅力度の有効性を検証する。 分析の結果、次の結論が得られた。 1.深層学習による株価予測モデルはランダムフォレストやリッジ回帰に比べリターン/リスクの面で優れている。2.特に低リスクという観点で、深層学習モデルは優れている。3.市場の効率性が低下すると、収益機会が増える可能性がある。