著者
好川 真以子 中山田 真吾 久保 智史 岩田 慈 阪田 圭 宮崎 佑介 鳥越 正隆 齋藤 和義 田中 良哉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.397a-397a, 2016 (Released:2016-09-03)

【目的】SLE末梢血ではメモリーB細胞が増加するが質的異常の詳細が不明である.今回,ケモカイン受容体発現によるB細胞の亜分類を試み,その誘導機構と病態との関連を検討した.【方法】健常人(HD)8例,関節リウマチ(RA)31例,SLE 56例の末梢血よりPBMCを分離,T・B細胞表面抗原,分化マーカー,ケモカイン受容体(CXCR3, CXCR5)を染色後,8 color FACSで解析した.また,HDから分離したB細胞を各種サイトカインで刺激し,ケモカイン受容体および転写因子発現の変化を8 color FACSで評価した.【結果】1)SLE末梢血B細胞ではHD,RAと比べ,エフェクターメモリー(EM; IgD−CD27−)B細胞が有意に増加した(p < 0.01).2)SLE末梢血B細胞ではHD,RAと比べ,CXCR5−およびCXCR3+の亜集団が有意に増加し,特にEM B細胞で顕著であった(p < 0.01).3)HDから分離したB細胞はIFNγ刺激でCXCR3発現が増強し,IFNβ刺激でCXCR5発現が減弱した(p < 0.05).4)HDから分離したB細胞はIFNγ刺激でT-bet発現が亢進した(p < 0.01).【考察】SLEではエフェクターB細胞が増加するのみならず,Type I IFNを介したCXCR5減弱,Type II IFNを介したT-bet発現誘導とCXCR3増強の両者を伴う質的異常が齎され,B細胞の病変組織への浸潤と炎症病態の形成に寄与する可能性が示唆された.
著者
山本 佳史 北原 糺 久保 武
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.397-401, 2006-05-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
18

Cervical lymph node swelling and high fever are common in patients presenting to the Department of Otolaryngology. Kikuchi's disease is an idiopathic necrotizing histiocyte lymphadenitis with the main clinical feature being adenopathy, generally in a cervical location. The disease is relatively rare and often misdiagnosed as lymphoma or lupus and inappropriately treated, potentially causing numerous medical consultations without relief of symptoms. The case described is that of a 28-year-old female with persistent cervical lymphadenitis and fever who presented to our department without an appropriate diagnosis at previous hospitals. All symptoms were quite resistant to antibiotics or NSAIDs. Laboratory results showed WBC decrease and AST/ALT increase, although common viral infectious diseases were denied. Finally, left cervical lymph node biopsy was performed under local anesthesia and the patient was diagnosed as having histiocytic necrotizing lymphadenitis or Kikuchi's disease. Since Kikuchi's disease is sometimes recurrent and coupled with collagen disease, long-term follow-up should be required.
著者
久保田 翠 Midori KUBOTA
雑誌
論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.89-110, 2015-12

作曲家クリスチャン・ウォルフ(1934-)は、1957-68年にかけて独自の図形楽譜を編み出し、その中で三つの特徴的な手法を用いた。すなわち、「比率ネウマ」「キューイング」「コーディネート線」である。「比率ネウマ」は、ある限られた数秒内に演奏する内容を示す手法である。予め規程された秒数(コロン左側の数字)の間に、予め指示された演奏内容(コロン右側の数字もしくは/及びアルファベット)を演奏しなければならない。「キューイング」は、「他者のこのような音が聞こえたら、どのように反応するか」ということを規定するものである。ウォルフの図形楽譜においては、白丸の中に音量や音域といった音の条件を書き込んだものが「キュー」として示される。該当する条件の音が他者の演奏から聞こえたと判断した際、奏者はすぐさまそのキューの傍らにある記号を演奏しなくてはならない。「コーディネート線」は、自分の音と他者の音をどのようにアンサンブルさせるかを厳密に規定するものである。音と音との間には垂線や水平線・斜線が引かれ、音の前後・同時関係や音長の決定方法を示す。ウォルフは五線譜の仕組みを下敷きとした図形楽譜作品から出発しながらも、「持続する直線(五線)=要素の連続性」を早々と放棄した。その後まずキューイングを導入したことにより、演奏経過時間を示す必要がなくなり、それにより音が拍子や作品全体を貫く時間軸から解放された。さらにコーディネート線を導入したことにより、音の同時的関係をより厳密に設定することが可能になった。音は「計測出来る時間」から解放され、一回毎の演奏の身振りや個々の音の様態がそのまま作品全体へと影響するようになったのである。
著者
久保田 徹 三浦 昌生
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.562, pp.89-96, 2002
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

A questionnaire survey on the consciousness of the residents living in the mid-to-high-rise apartment houses in the commercial district near Kawaguchi station was administered. The sunshine hours at the same apartment houses was also measured by a computer simulation. Results shows that nearly 70% of the answerers in the commercial district demand sunshine more than now. And the priority of the convenience was not related to such residents' demands for the sunshine. Therefore, the standard for the sunshine in commercial districts is necessary. In this survey, 5 sunshine hours were found to be necessary for the residents even in commercial district.
著者
山室 公司 久保田 賢一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Suppl., pp.1-4, 2010-12-20 (Released:2016-08-07)
参考文献数
11
被引用文献数
3

本研究の目的は,教育工学の研究方法と研究対象について分析し,今後の研究の方向性を展望することである.2003年度から2008年度まで6カ年分の「日本教育工学会論文誌」に記載された論文を対象に研究方法と研究対象について分析を加えた.研究方法に関しては,量的研究法が約4分の3を占めていた.質的研究法のデータ収集法としてはインタビューが多用され,量的・質的両方を併用している研究もある.研究対象の校種別では高等教育が6割以上を占めている.量的研究の場合は被験者が学習者である研究が多く,校種は万遍なく分散しているが,質的研究の場合は研究対象が教授者もしくは高等教育の学習者に偏在していることなどが明らかになった.
著者
久保田 哲
出版者
日本法政学会
雑誌
法政論叢 (ISSN:24321559)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.35-52, 2016-02-25 (Released:2017-11-01)
著者
法宗 布美子 大久保 三四朗 大森 照夫 木下 光博 酒本 裕明 杉山 典正 都築 涼香 西田 彩子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.21-26, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

本研究では, 知育玩具にAR(拡張現実)技術を適用したAR知育玩具について, ITベンチャー企業がビジネスモデル主導で新規事業を創出することを想定し, ①事業アイデアが市場視点からビジネスシーズとなり得るかの判断, 及び②具体的な製品の提案を行った. ①について, ARの市場, 知育玩具の市場がそれぞれ拡大傾向にあること, また, 両者を組合せた場合に相乗効果が見込まれることから, AR知育玩具市場の有望性が確認された. ②について, テキストマイニング・トピックモデル分析を用いて, 全体を概観するマクロ分析からセミマクロ分析へ, さらにはミクロ分析へと展開する新たな手法を試みた. その他, ブログを対象としたニーズ分析などを行い, AR知育玩具と親和性の高い要素として, 「積み木」, 「英語学習」, 「Tangible Interface」に着目した. これらの要素をもとに, 「積み木を用いた Tangible Interface 型の幼児向け英語学習玩具」を提案した.
著者
小久保 秀之 山本 幹男 河野 貴美子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.40-62, 2007-03-01

手かざし治療の実践者10名(初心者5名と中堅・ベテラン5名)について、その非接触ヒーリング作用の効果を、植物切片(白いぼきゅうり)の極微弱生物光で測定した。ヒーリング作用の量的指標は、実験試料と対照試料の発光強度比の対数(J値)を用いた。また、186項目の質問紙法によって実践者の当日の実践内容、過去の経験やその自己評価を調べた。結果、J値は、初心者群は0.072であったのに対し、中堅・ベテラン群は0.166となり、中堅・ベテラン群が初心者群よりも大きなヒーリング効果を示した(p=0.025、片側)。肩・背中・腰痛に対する施術効果の評価点がJ値と相関したことから(r=0.57、p=0.043、片側)、測定されたヒーリング能力は、痛み抑制効果の能力に深く関係すると考えられた。また、J値は実践者の年齢と正相関し(r=0.63、p=0.049、両側)、特に初心者群ではr=0.92(p=0.025、両側)と非常に強く正相関した。J値は年齢関数と初心者・ベテラン関数の1次結合式でよく近似できた。また、性格特性項日「そそっかしい-慎重」が能力発揮に重要であると考えられた。得られた知見から、著者らは次のようなヒーリング能力の生物学的仮説を提唱する。仮説:(1)加齢によって生ずる痛みを抑制するために、痛み抑制の自己ヒーリング能力が向上する。(2)痛みを抑制する非接触ヒーリングは、自己ヒーリング能力を他者に向けて転用したものである。
著者
久保田 将史 小林 琢也
出版者
岩手医科大学歯学会
雑誌
岩手医科大学歯学雑誌
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.51-68, 2015

高齢者人口の増加に伴い,味覚障害患者が増加している.味覚障害の病態と原因は多岐にわたり,歯科領域では口蓋を被覆する床義歯を装着した患者がしばしば味覚障害を訴えることがある.しかし,その因果関係は未だ明らかでない.本研究で義歯装着による味覚障害の原因を明らかにすることを目的に,従来までの主観的評価による検討ではなく,上位中枢より客観的評価が可能な非侵襲的脳マッピング法の1つであるfunctional Magnetic Resonance Imaging (fMRI)を用いて,口蓋の被覆が味覚応答に及ぼす影響を脳機能応答の観点から検討した.実験は,口蓋単独での味覚応答を脳機能応答として捉えるため,右利き健常有歯顎者15名を対象とし,口蓋に限局した味刺激を与えた.次に,口蓋被覆が味覚応答に及ぼす影響の検討を行うため,右利き健常有歯顎者14名に口蓋を被覆しない状態(コントロール)と口蓋を被覆した状態(口蓋被覆)で味刺激を与えた.両実験は,味刺激試液として各被験者の認知閾値に設定したキニーネ塩酸塩,洗浄用試液として人工唾液(25mM KCl, 25mM NaHCO_3)を用いた.本研究より,口蓋へ限局した苦味刺激により一次味覚野の島と前頭弁蓋部に賦活が認められた.また,口蓋被覆時の刺激では,コントロールと同様に一次味覚野の島と前頭弁蓋部,そしてさらに二次味覚野の眼窩前頭皮質に賦活が認められた.しかし,両条件間の脳活動範囲と脳活動量を比較したところ,口蓋被覆により一次味覚野と二次味覚野での賦活範囲は有意な減少が認められ,脳活動量においても一次味覚野で有意な減少が認められた.以上より,口蓋での味覚刺激応答が上位中枢で行われていることを客観的に捉えることができた.また,義歯による口蓋粘膜の被覆が,脳内の味覚応答を低下させることが明らかとなり,床義歯装着が味覚障害を惹起させることが示唆された.
著者
村岡 宏祐 田中 達朗 久保田 浩三 森本 泰宏 横田 誠
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.121-128, 2008-06-28
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

本症例は, 慢性歯周炎広汎型の患者で, 歯周基本治療により, 咬合機能が改善された際, functional MRI(fMRI)のBOLD(blood oxygeneration level dependent)信号で咬合状態の改善を示す信号変化が確認されたので報告する。患者は60歳女性で, 全顎的な歯周治療を希望して来院した。既往歴は, 高脂血症である。臨床診査およびX線診査によって, 慢性歯周炎広汎型と診断した。歯周基本治療は, Tooth Brushing Instruction, Scaling, Root planingのみとし, 咬合調整は一切行わなかった。患者の同意を得て, 初診時と再評価時に, 咬合力の診査とfMRIを撮影した。初診時のfMRIでは, 噛み締め時に, 弱いBOLD信号を片側大脳皮質一次体性感覚野のみに認めた。歯周基本治療を行うと, 歯周組織, 咬合力の改善を認めた。同時に, fMRIによる脳血流を示すBOLD信号は, 左右対称性を示すと同時に増加傾向を認めた。<BR>この結果は, 慢性歯周炎広汎型の患者に対する歯周基本治療により片側のみの弱い咬合から両側性の強い咬合状態に変化したことをfMRIによりとらえた可能性を示唆する。<BR>日本歯周病学会会誌(日誌周誌)50(2) : 121-128, 2008
著者
久保 金弥 岩久 文彦 小野塚 実
出版者
日本教育医学会
雑誌
教育医学 (ISSN:02850990)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.335-340, 2008-06
著者
市橋 幸子 荒川 容子 倉田 知香 飯沼 光生 田村 康夫 久保 金弥 岩久 文彦
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.87-92, 2008-02-20
被引用文献数
1

本研究は,高次脳中枢の中でストレスによる影響を最も受けやすいといわれている海馬にスポットをあて,老化促進モデルマウスP8系を用いて,咬合不全が海馬機能に与える影響を検討した。咬合挙上は,マウスの上顎臼歯部に歯科用光重合レジンをもることにより行った。はじめに,ストレス物質である血中のコルチコステロン(CO)濃度を測定した。その結果,老齢期の咬合挙上マウスでは,血中CO 濃度が顕著に上昇していたため,咬合挙上がストレッサーとして作用していることが確認された。次いで,海馬の記憶機能が測定できるモリス水迷路学習テストを行い,咬合挙上と空間認知能との関係を検討した。また,Fos 陽性細胞の発現率から記憶運動にリンクした海馬への情報入力量を検討した。その結果,老齢期の咬合挙上マウスでは,水迷路テストによりプラットホームへの到達時間が延長するとともに,Fos 陽性細胞数が減少していたことから,咬合挙上により海馬への情報入力量が減少し,空間認知能が低下することが示唆された。次に水迷路テスト終了後,咬合挙上と老化プロセスとの関連を検討するため,海馬神経細胞数の計測を行った。老齢期の咬合挙上マウスでは,海馬神経細胞数の減少がみられたことから,咬合挙上が海馬の老化を促進させることがわかった。最後に,海馬におけるグルココルチコイドレセプター陽性細胞とグルココルチコイドレセプターmRNA の発現状況を調べ,咬合挙上が視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA-axis)に与える影響を検討した。咬合挙上マウスでは,GR 陽性細胞とGRmRNA の発現が減少したことから,海馬からHPA-axisへのネガティブフィードバック機構が抑制されていることが判明した。本実験により,咀嚼機能の維持や咬合不調和の改善は,「食べることができる」ようにするということだけでなく,海馬機能(記憶能力)の維持に重要であることが脳科学的に証明された。また,歯の喪失している高齢者の有病率や認知症発症率が高いという疫学調査の結果を考え合わせれば,高齢化が進む我が国において咬合の維持・回復は認知症予防につながる可能性があると期待される。
著者
松岡 優 吉村 栄子 伊勢 正夫 久保 雅宏 山下 和子
出版者
徳島医学会
雑誌
四国医学雑誌 (ISSN:00373699)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4-5, pp.244-249, 2003-10-25

We studied the onset of allergic diseases and allergy march in 1,029 children aged from 3 months-old to 18-years old.A clinical study showed the close relationship between atopic dermatitis and asthma,and between asthma and allergic rhinitis. Specific IgE to house dust, mites, pets and pollen was recognized to be positive in early infants aged 4- or 5 months-old.This finding is earlier than the previous report, indicate the recent increase of allergic disease. Allergy to food allergens, inhalanted allergens and contact allergens are linked each other, and tend to be IgE-mediated sensitization to multiallergen.
著者
川久保 剛 Tsuyoshi Kawakubo
出版者
麗澤大学経済学会
雑誌
麗澤学際ジャーナル = Reitaku Journal of Interdisciplinary Studies (ISSN:09196714)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.1-36, 2008-09-30

This article examines the thought of Tsuneari Fukuda both before and during World War II. It focuses on his ideas regarding ethics of the common man, and it is an attempt to clarify the place and meaning of Fukuda's thought within the history of ideas.
著者
川久保 剛 Tsuyoshi Kawakubo
出版者
麗澤大学経済学会
雑誌
麗澤学際ジャーナル = Reitaku Journal of Interdisciplinary Studies (ISSN:09196714)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-14, 2011-03-10

This article examines what Tsuneari Fukuda was interested in in his youth,especially in his primary, lower secondary and high school time according to his new materials.Fukuda got a liberal education - what is called a Taishou liberal education- during his primary and lower secondary schools. In his high-school time, student movements were prevalent among his generation. However, Fukuda was not involved in those movements because his primary concern was drama. At that time, although leftist dramas were very popular, he was not interested in them. Rather, he was interested in dramas of art for arts sake. From this perspective,he sympathized with the theatrical company, Tsukijiza.Mr. Fukuda was also interested in literary criticism at that time. The prominent critic, Hideo Kobayashi's anthology of literary criticism brought Fukuda into this arena.