著者
久保田 重之
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.114, no.3, pp.180-183, 1994-03-20 (Released:2008-04-17)
参考文献数
7
著者
水守 康暢 大久保 賢祐 岸原 充佳 山北 次郎 太田 勲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.62, pp.29-33, 2009-05-21

最近,主導波管にSIW(Substrate Integrated Waveguide)を用い,装荷素子として上部導体に設けたスリットと浮遊導体によって直列容量を構成したCRLH-TLが提案され,10GHz程度以上およびミリ波帯におけるCRLH-TLの基本構造のひとつとして期待されている.しかしながら,浮遊導体からの放射が無視できない.本稿ではこの放射を積極的に利用して,SIW型CRLH線路を用いた漏れ波アンテナを提案し,数値シミュレーションおよび試作実験によって放射特性の周波数依存性を明らかにしている.遷移周波数16GHzとして設計したSIW型CRLH線路の試作実験結果は理論値および数値シミュレーション結果と良く一致している.
著者
久保田正文著
出版者
大法輪閣
巻号頁・発行日
1967
著者
妹澤 克惟 久保 慧
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所報告
巻号頁・発行日
vol.11, no.136, pp.105-159,Pl.1-Pl.3, 1936-02

翼のフラッターの問題は既に多くの人々に解かれた爲に最早研究すべき何物も殘つてをらぬやうに思はれてをつた.我々もそのやうな考へから二三の特別の場合の研究をした以外は餘り手をつけず,單に今までの多くの研究の綜合報告をなした位のものであつた.しかし,フラッターの問題は多くは翼の自由振動の不安定な場合であるとされてゐるけれども,よく考へると非常にむづかしく強制振動の共振の性質がないでもない.その點をはつきり決定し,且つフラッターの性質を深く確める爲に條件をできるだけ簡單にした實驗を試み,又その數理的豫告計算の結果と比較してみたのである.數理と實驗とを比較することによつて種々のことがわかつたが,實驗だけにしても,極限空氣速度のみでなく,種々の速度に於ける振動振幅並びに振動數を確めることによつて,振動の性質を明かにするやうに努力したのである.振動が送風器,風洞の空氣の振動,空氣の擾流中での週期的性質に直接關係しないことは特に確めて置いた.而して種々研究の結果として,フラッターは部分的には翼の自由振動の不安定によるけれども,部分的には不規則な流れの中での撰擇性共振によることがわかつた.この撰擇共振は翼の状態が自由振動の不安定になるその境附近だけで特に振動の感度が大きくなるから起るのであつて,他の力學的問題では只今の場合程感度の大きくなることのないことが知られる.この研究で尚わかつたことは,捩り軸が翼の前縁にあればある程補助翼附近の振動の場合の追隨流の影響が多く,從つてその場合に補助翼の見掛の附加質量が大きくなり,旦つ補助翼の効果的迎角が違つてくることがわかつた.フラッターの性質に二種類あり,その一つのものでは,流れの速度が極限速度な越すと翼の振動數が少しづつ増加し,その振幅は少しづつ減ずるものである.このやうな種類では安定曲線が上の方から零の線の附近まで下つてきたものがその近所から再び上の方へ向き變るやうな性質がある.この種類のフラッターは共振強制振動に多少の自由振動の不安定が伴つてゐるものと考へられる.極限値より低い風速に對しても多少急激ではあるげれども,振動の漸減性が示される.他の一つの種類のフラッターでは風速が極限値を越しても翼の振動數が殆ど變らぬものであり,又,振動振幅も減少せず,寧ろ増加氣味のことが多い.この場合の安定曲線は零の線を越えてからも,益々負の方へ下る一方である.この種類の振動では主として自由振動の不安定が問題となり,極限値の附近だけに強制共振が含まれるものと考へられる.以上二つの場合に對して極限値以上の風速に對して振動勢力の一定性といふ見方も作られるけれども,これだけではすべての場合を説明し難いやうである.この研究はフラッターの綜合的性質を比較するといふことよりも寧ろそれを分解して一つ一つの性質を明瞭にしたものであり,且つその一つ一つの性質を實物大の翼に擴張することはその性質がわかつてゐるだけそれだけ容易であるから,應用性の廣いものといはなければならぬ.次の研究として,翼の振れと補助翼との結合せるフラッターを研究中である.その場合と比較することによつて只今の結論があまり無理のないことが一層よく確められるやうに思ふ.
著者
久保 博子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高齢者の睡眠環境に関するアンケート.調査を行い、高齢者が日常的におかれている睡眠環境・寝室の空調等と睡眠の実態を把握し、比較対照として、青年・中年群との年代的な比較考察を行った。調査内容は、(1)日常生活行動(2)睡眠状況、(3)寝室実態、(4)寝具状況とし、回収率は84%、有効回収率は83%で、20歳代から80歳代までの男女の冬期627票、夏期1447票の有効回答を得た。その結果、年齢により全体に朝型の者が増加するが、中途覚醒の増加などの睡眠様態も変化していることがわかった。また高齢であるほど、女性の方が寝床内暖房を使用し、寝室を暖房しなくても寝床内が暖かいと評価しており、満足感も高かった。しかし、中途覚醒等への影響は明らかでなく、必ずしも暖めていることが、睡眠に好影響を与えているとは言えなかった。中年群の方が、仕事や家事育児により睡眠の充足感が得られておらず、余裕のない生活が睡眠にまで影響を及ぼしていることが伺われた。実際の住宅での温熱環境および睡眠時の寝床気候の実測調査を行い、アンケート調査や人工気候室実験や実測調査の結果と比較検討し、睡眠度を推定した。その結果、寝床内温度は、足部皮膚温の上昇にともない上昇し、睡眠中は33℃〜36℃程度である。電気毛布を使用している者は、体動や心拍数より寝付きは速いと判断されるが、睡眠中に寝床内温度が36℃を越え、体動が増えて腕等を布団から出して寝床内温度を調節しているのが観察された。また、靴下を着用している被験者も、足部の皮膚温が他の部位より高い状況が観察された。
著者
久保田 珠美 藤井 満由美 末廣 淳 廣瀬 賢明 武智 あかね
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.B2S2027-B2S2027, 2009

【はじめに】重症心身障がい児・者に対しての腹臥位の効果は染谷らが主張しており、当センターでは呼吸機能に問題を有する経管栄養の入所者に対し、数年前から積極的にその導入を試みている.その対象である10名のうち7名が、日中の数時間から睡眠時に腹臥位を導入している.今回、その中でも腹臥位の受け入れがよかった1例と慣れにくかった1例の呼吸機能と胸郭の変形について経時的変化を追ったので報告する.なお、今回の研究では保護者の了解を得ている.<BR>【方法】呼吸機能はSpO<SUB>2</SUB>、胸郭の非対称性は烏口突起から上前腸骨棘までの距離とCobb角で測定した.<BR>【症例】<U>症例1</U>: 6歳女児.インフルエンザ脳症後遺症による四肢麻痺.GMFCSレベル5で喉頭軟化症を認める.胸椎右凸Cobb角21°・胸腰椎左凸Cobb角20°の側彎を呈している.2歳時、上気道喘鳴があり、痰・唾液の量も多かった.座位保持椅子に座らせられないほど常に反り返っていたため、前傾座位から練習した.3歳時での入所に伴い病棟でも股関節を軽度屈曲位の四つ這い様姿勢で過ごすようになった.5歳時より夜間の導入もはじめ、現在一日90分を4回行っている.結果として、呼吸機能ではSpO<SUB>2</SUB>が94%以下に下がる日数は減ったが、胸郭の非対称性は若干の増悪を認めた.<U>症例2</U>:8歳女児.脳性麻痺による痙直型四肢麻痺.GMFCSレベル5.胸椎左凸Cobb角60°・胸腰椎右凸Cobb角58°の側彎を呈している.H19年よりPT場面で四つ這い様の腹臥位の検討を開始したが、感覚の過敏性があることでけいれんの頻発やSpO<SUB>2</SUB>が80%台に下がるなど拒否が強く週2回のPT場面でしか実施できなかった.しかし、下顎の後退に伴う呼吸状態の不安定性を改善するためH20年5月に本人用の腹臥位装置を完成させ2ヶ月間PT場面で使用することでSpO<SUB>2</SUB>が安定してきたため、7月より病棟での使用を開始し、現在一日40分を2回行っている.結果として、呼吸機能ではSpO<SUB>2</SUB>が94%以下に下がる日数が減り、胸郭の非対称性も減少した.<BR>【考察】重症心身障がい児・者にはバリエーションの多い姿勢をとらせることが必要であると考えられるが、腹臥位は窒息などの心配から日常生活の姿勢としては受け入れられにくい.しかし、当センターの活用状況をみると、頭部のコントロールが難しく嚥下や呼吸に課題のある場合には、気道の正中位保持や痰が従重力に排出されるなど、まず健康状態の改善が図れたことで病棟での活用の幅・時間が増えた.同時に腹臥位では、骨盤・下肢の重みからくるねじれが防止でき、本人に適した腹臥位装置で体幹の短縮部を持続的に伸張することで、変形の進行を防止する一手段になると思われる.今後もこの2症例に対し、継続的に経過を追っていきたいと考える.
著者
丹沢 安治 久保 知一 石川 伊吹 北島 啓嗣 大野 富彦
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

中国における産業クラスター/集積の育成政策に焦点を置いて研究を行った。2009年8月の西安市、2010年8月、成都市、2011年青島/武漢等の「高新技術園区」における調査を通じて、中国の地方政府と開発区管理委員会、現地中国企業、日系企業など各アクターによるイノベーションを生み出す活動が、産業クラスター/集積を生み出すメカニズムを明らかにした。イノベーションミックスという計画当初の視点は、地域間競争を軸とした開発区モデルが、地域経済の「重層的ガバナンス構造」を形成していることを明らかにした。
著者
田久保 憲行 石井 正浩 鳥居 央子 加藤 チイ 横山 美佐子 大津 成之 木村 純人 田久保 由美子 陶山 紀子 伊東 真理 壬生 和博 亀川 大輔 依田 綾香 佐藤 里佳
出版者
一般財団法人脳神経疾患研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では3年間にわたり、中等度~重度肥満児で同意が得られた延べ11名(5歳~12歳、男5名/女6名)(OB群)と健常小児12名(NOB群)ならびにその家族に対し、肥満解消のための実践的な介入を実施した。運動生理面で握力と等尺性膝伸展筋力の検討では、OB群はNOB群と比べ全身の筋力が低下している可能性が示された。また血管内皮機能の検討では、OB群はNOB群と比べ有意に低値を示し血管拡張能が低下している可能性が示された。栄養面では、野菜摂取量を増やす実践的な手法を考案し、介入後に野菜摂取が増える傾向を認めた。家族看護の介入では、小学生版QOL尺度を用い、介入後の子どものQOLが上昇傾向を認めた。
著者
田中 求 大久保 実香
出版者
高知大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

国内の和紙原料生産は激減しつつある。本研究は山村の変容と問題点を明らかにするとともに、和紙原料栽培の多面的機能の活用策を検討することが目的である。和紙原料栽培は、生業と買い取り価格の変化により衰退していた。焼畑でのミツマタ栽培も植林により激減した。雇用労働が収入源となり栽培者が減る中で、栽培作業も雇用労働化した。輸入コウゾが増加し、高齢化で管理が不十分な畑が増え、買い取り価格の買い取り価格は下がり、獣害で農家の栽培意欲が削がれていることがわかった。その一方で、和紙原料栽培が景観形成・獣害回避・蜜源・庇陰植物機能を有していることも明らかになり、今後はその具体的な活用策の普及が重要である。
著者
大久保 貢 田上 秀一 谷口 秀次 森 幹男
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、これまでの高大連携活動で実践した経験を基に、高校教員と大学教員との連携により「学びの基盤」を育てる高大接続教育を創造する課題探求型の実践を行うことを目的に平成21年度~23年度の3年間で実施した。平成21年度~平成22年度は高校生と高校教員を対象として大学研究室(物理系研究室と化学系研究室)への体験入学を実践した。この体験入学により課題研究活動に関する知的好奇心の喚起や問題解決能力、論理的思考力、プレゼンテーション能力などの重要性について感じ取ったことが明らかになった。
著者
大久保急鑑秀興, 本林伊祐 作
出版者
柏屋仁右衛門
巻号頁・発行日
1678

江戸で刊行された奈良名所案内記。刊記に「江戸之住大久保急鑑秀興 南都之住本林氏伊祐 両作」とある以外、著者の経歴は未詳。「むさし男初旅して奈良の京春日のさとに」と、『伊勢物語』をもじった序文から始まる。挿絵の作者は記されていないが、画風から菱川師宣と推定されている。本書は、鈴木真年、渡辺霞亭、横山重の旧蔵。第2巻の1冊のみ、途中で取り合わされたようである。初版初刷りの天理図書館本とは一部絵の異なる部分があり、やや後の刷りとみられる。
著者
松村 千鶴 雨宮 加奈 雨宮 さよ子 雨宮 昌子 雨宮 良樹 板垣 智之 市野沢 功 伊藤 拓馬 植原 彰 内野 陽一 大川 清人 大谷 雅人 角谷 拓 掃部 康宏 神戸 裕哉 北本 尚子 國武 陽子 久保川 恵里 小林 直樹 小林 美珠 斎藤 博 佐藤 友香 佐野 耕太 佐野 正昭 柴山 裕子 鈴木 としえ 辻沢 央 中 裕介 西口 有紀 服巻 洋介 吉屋 利雄 古屋 ナミ子 本城 正憲 牧野 崇司 松田 喬 松本 雅道 三村 直子 山田 修 山田 知佳 山田 三貴 山田 祥弘 山田 玲子 柚木 秀雄 若月 和道 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-180, 2003-12-30
被引用文献数
2

Flower visitations by both native and exotic bumblebee species were investigated at 21 monitoring sites in various regions of Japan in the spring and summer of 2002. The investigation was part of a long-term program that has been in progress since 1997 to monitor the invasion of an alien bumblebee, Bombus terrestris L. (Hymenoptera: Apidae). Flower visitation by B. terrestris was ascertained at two monitoring sites, one in Shizuoka and one in Hokkaido, where a large number of colonies of this species have been commercially introduced for agricultural pollination.
著者
久保田 哲也 篠原 慶規
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

強い地震の場合には森林斜面の崩壊が予想されるが、その場合の森林地上荷重および根系の影響を明確にし、山地斜面の安定に対する地震時の森林の影響を明らかとした。同時に、地震後の強雨が森林斜面安定に与える影響、つまり、震後の強雨時における、地震動および地震で生じた亀裂や森林の影響とその影響の持続期間を解明し、崩壊危険箇所調査や警戒・避難など災害対策に応用できる崩壊発生危険雨量=警戒避難基準雨量も明確とした。さらに、地球温暖化にともなう豪雨の増加が心配されており、地震振動の基準雨量への影響を比較検討し、警戒避難システムの改良を考える上で有意義な成果を得た。
著者
植村 幸生 薩摩 雅登 小島 直文 尾高 暁子 松村 智郁子 久保 仁志 佐竹 悦子 塚原 康子
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学附設の民族音楽アーカイブを拠点とし、地域の邦楽器製作者や販売者らとの協働を前提に、邦楽専門家を擁する拠点大学の地の利を生かして、当該地域の児童生徒や学内学生むけ地域文化プログラムの開発と提案を行った。具体的には、下町の邦楽器製作業者/職人への取材をもとに、楽器製作や技の継承をめぐる今日的課題を明らかにし、これに関する問題意識を次代を担う若い世代に喚起すべく、展示と実演の場を設けた。同時に、邦楽を含む下町の伝統芸能や儀礼について、広義の担い手・上演場所・機会を項目とするデータベースを作成し、邦楽を育んだ土壌を通時的に俯瞰する手だてを、アーカイブから発信する準備を整えた。
著者
上久保 敏
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本文化講義は文部省が教学刷新事業として昭和11年(1936年)に帝国大学や官立大学、高等学校、専門学校などの直轄諸学校に必修科目として実施を求めた官製講義である。本研究では、日本文化講義の実施事例をできるだけ多く収集することによりその諸相について考察を行った。また、戦時期における経済学者の思想善導への動員・関与について明らかにするとともに日本文化講義を担当した経済学者と日本諸学振興委員会経済学会との関わりについても考察した。
著者
古川 雅子 久保 博子 岡田 愛理 安岡 絢子 杉崎 智子 竹谷 伸行
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.36, pp.71-74, 2012-11-21

本研究の目的は、オフィス空間において省エネルギーかつ快適な温熱環境を作り出すために、実際のオフィスにて実測調査及び執務者にアンケートを実施し、執務者の温熱的快適性を検討することである。オフィス6ヶ所にて、2011年12月~2O12年3月に温湿度・風速・グローブ温度の実測調査及び、執務者に温熱環境評価アンケートを実施した。その結果、執務時間の温湿度はおよそ20~23℃、40%に制御されていた。上下温度分布は、0.1mと1.1mではおよそ2~4℃の温度差があった。快適とされている範囲においても、執務者は、寒い・不快側の申告をしていた。
著者
児玉 ひとみ 竹宮 孝子 竹内 千仙 加藤 郁子 村越 薫 大久保 由美子 斎藤 加代子 大澤 真木子 岡本 高宏 小原 孝男
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.65-68, 2010-03-25
被引用文献数
1

多くの医師(特に女性医師)にとって仕事と育児の両立は難しい。そのため、乳幼児を対象とした保育所の整備や保育支援が進められてきた。しかし、小学校低学年の学童児を対象とした保育(学童保育)については選択肢が極めて少なく、女性医師の離職や職場変更につながることも少なくなかった。そこで、女子医大では、平成19年3月に同学50歳以下の医師1069人と医学部学生500人を対象に学童保育設置の必要性に関するアンケート調査を行った。調査には、医師315人、学生56人が回答し(回収率各29.5%、11.2%)、「学内に学童保育施設があれば、すぐに利用したい」31人(全て医師)、「今後利用するかもしれない」135人(医師111人、学生24人)、「利用はしないがあった方がよいと思う」205人(医師173人、学生32人)であった。学童保育の利用を検討した医師は、早朝、夜間、土・日曜日を含む長時間保育を希望していることがわかった。この結果は、医師に対する学童保育支援の必要性を強く示した。学生に対しては、育児と仕事の両立、学童保育の必要性など将来的な問題提起の機会になった。