著者
村本 健一郎 播磨屋 敏生 久保 守 藤田 政之 椎名 徹
出版者
金沢大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

雲の中で成長した雪結晶は自分の重みで落下が始まり,雲粒の中を落下していく途中で雲粒が雪結晶に付着して種々の形に成長するが,落下速度は遅いので,すぐに空間密度が高まり互いに接触する割合が高く,しかも枝の構造が機械的にからみやすいため,いくつもの結晶の合体した雪片となる.この雪片同士が衝突併合には,雪片輪郭線の複雑さや落下運動の不規則さが関与していることが報告されているが,実際に雪片同士が衝突した瞬間の映像は捉えられていない.また,雪片が複雑な運動を伴って落下する理由も十分には解明されていない.本研究では,できるだけ自然に近い状態で落下中の雪片の映像を録画するシステムを製作し,次にそれらの映像を画像処理技術を使って定量化し,降雪現象の物理的特性を定量的に解明するシステムを開発することを目的として以下の実験を行った.(I)降雪雪片撮影システムの開発できるだけ自然現象に近い状態で落下中の雪片を観測するために4m(縦)×5m(横)×13m(高さ)の観測塔内で,地面に対して水平方向に1台,および鉛直方向に4台のCCDカメラを設置し,降雪雪片の落下中の運動を2方向から同時に撮影するシステムを開発した.(I)降雪観測と解析実際に、降雪中の切片を5台のカメラで撮影した.撮影した画像から降雪雪片の形状と3次元的な落下運動軌跡を求めた.
著者
濱田 正美 久保 一之 稲葉 穣 東長 靖 小野 浩 矢島 洋一 小野 浩 矢島 洋一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

中央ユーラシアにおけるイスラームの歴史的展開の全体像を通時的に把握することを最終目標として、歴史地理、イスラーム神学、イスラーム神秘主義哲学、文化史など、従来概ね歴史研究からは等閑視されていた分野に関する知見を組み込んだ歴史像を描く可能性への橋頭堡を築いた。
著者
大久保 弦
出版者
福井工業高等専門学校
雑誌
福井工業高等専門学校研究紀要. 自然科学・工学 (ISSN:03863352)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.130-124, 2005-11-25

Sarashina-nikki, as follows, can divide into four parts. The first is a diary of the travel to Kyoto from east country. The second is a record of life at the Kyoto home. In this, an article of the separation with older sister by death is included. The third is a record of court life. The fourth is an article of visit to various temples and shrine. In these parts, it can recognize that several diaries and essays (Tosa-nikki, Kagerou-nikki, Murasakishikibu-nikki, Makura-no-soushi so on) have an influence on Sarashina-nikki. From this, you can understand that this diary has the various elements. So, what constitutes a characteristic feature on this work? This dissertation discussed mainly it. In the first part of this diary, the travel is written as opposition of the light space and the dark space. In the next place, it is pointed out that Kyoto home belongs to the latter. As for this opposition of two spaces, in the article of court life and worships it exists likewise. And in it, you can see that stories, the moon and dreams have been mediated between two spaces.
著者
大久保 篤 市川 寿 田中 強 河野 智一 藤部 文昭
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.227-234, 2005-04-30

諏訪湖の沿岸では, 冬季夜間の著しい低温時に周期数十分, 変動幅数℃の大きな気温変動が観測されることがある.この現象を解明するため, 気象庁のルーチン観測資料を解析するとともに, 2003年1〜2月に諏訪湖周辺で野外強化観測を行った.気温変動は, 諏訪湖が全面結氷し積雪があり, 晴れて風が弱まった夜に発生していた.また, 気温変動はほぼ諏訪盆地内全域で発生しているが, 変動幅は湖岸に近い地点ほど大きく, 気温が急降下するタイミングは湖畔の方が早かった.気温変動に対応して風向も変動し, 湖からの風のときに前後の時間帯に比べて低温となる傾向があった.さらに, 気温変動の発生する時は, 地上から高度50m付近にかけて冷気層が存在し, 地上気温の変化と対応してその厚みが変動していた.これらは, 「諏訪湖上に現れる冷気層の崩壊・流出と再形成のサイクルが気温変動に関与している」可能性を示唆している.
著者
角田 英 久保 正哉
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.987-"992-2", 1935

有機色素ノ多クノモノハ芳香簇化合物ノ特性トシテ中腦又ハ延髓ニ於ケル運動中樞ヲ刺戟又ハ麻痺セシムル作用ヲ有シ,コレガ中毒ニ際シ末梢神經ニモ一種ノ障害ヲ及ボスコトハ夙ニ認メラルル所ナリ.而ルニ他方ニ於テ此等ハぱらじとろーぷニシテ從テ一定ノ制菌力乃至制腐力ヲ具有セルガ故ニ外科的領域ニ於テ細菌竝ニ病原性原生動物ノ防壓ニ旺ムニ利用セラルル所ナリ.角田船越ハ本誌第13卷第3號ニ於テ二三色素ノ藥物學的作用ノ新知見ト,コレラノ作用ハ恐ラク植物性神經系統特ニ迷走神經ニ中樞性竝ニ末梢性ノ刺戟ヲ與フル事ニ因スト結論セリ.コレヨリ曩ニ小澤氏ハ本誌第12卷第1號ニ於ルとりぱふらびんノ副作用ニ就テノ實驗的研究ニテ本劑ヲ家兎ノ靜脈内ニ體重1kgニ就キ0.005g以上宛ヲ繼續的ニ毎日注射スル時ハ家兎ハ下痢ヲ起シテ斃死シ,之ヲ剖檢スルニ心筋,輸尿管上皮,肝小葉等ニ脂肪變性,溷濁澎張變性ヲ見ルト報告セリ.余等ハ今般鳩ヲ使用シ,通常外科領域ニテ使用セラルルあくりぢん色素ノGentianavilett,Isamimblau,Brillantgrun等ノ一定同一量ヲ同一回數夫々異リタル鳩ノ靜脈内ニ注射シ人工的ニ中毒セシメタル後其ノ下肢ノ筋肉ヲ採取シ,Ramon-y-Cayal氏變法ニ依リテ鍍銀標本ヲ作リ,之ヲ鏡檢スル事ニヨリテ神經終末ノ變化状態ヲ確メ,且其レラノ強度ヲ相互ニ比較セリ.其ノ結果各色素ノ神經親和力ノ強サニ從テ之等ヲ配列セバ大體次ノ如シ.Isaminban>Trypaflavin>Gentianaviolett>Brillantgrun>Rivanol經末ノ變化;1)Isaminblauノ場合嗜銀性ハ輕度ニ減退シ,終枝ハ輕度ニ腫張シ,其ノ迂曲性又減退スル傾向アリ.終網ハ消失セルモノアルモ,其ノ變化ハ輕度ニシテ油浸装置ヲ使用シテ始メテ認メラルル程度ナリ.無髓纎維モ亦輕度ニ腫張スルモ,其他ニハ殆ド認ム可キ變化ヲ呈セズ.筋紡錘體,太キ有髓纎維,細キ有髓纎維或ハ無體纎維ニ於ケル變化ハ輕度ニシテ,極メテ輕微ナル腫張ヲ呈スルニ過ギズ.神經幹部ニ於ル各種神經纎維ノ嗜銀性モ亦低下ス.血管神經ニハ輕度ニ萎縮スルモノアルモ,嗜銀性ハ尚可良ナリ.2)Trypaflavinノ場合.一般ニ嗜銀性高マリ,終末ニハ輕度ニ腫張スルモノアルモ,終枝ノ多クハ邊縁粗造トナリ時ニ消失セシムトスルモノアリ.終網ハ濃染スルモノ多ク,副行無髓纎維(Akzessorisclle Faser)ハ輕度ニ萎縮スル傾向ヲ示スモノ多キモ,時ニ其ノ終末ニ於テ消失セムトセルモノアリ.血管神經ハ極メテ輕度ニ萎縮ヲ示セルモ,嗜銀性ハ尚良好ニ保持サル.神經幹部ノ各種神經纎維ノ多クハ著變無キモ其ノ嗜銀性ハ却テ増進スルモノアリ.3)Gentianaviolettノ場合終末ハ其ノ嗜銀性輕度ニ増進セルモノト減退セルモノト相半シ,終枝ハ經過單調トナリテ腫張セリ.終網ハ消失セルモノアリ.副行纎維ニハ著變無シ.筋紡錘體ニ於テハ太キ有髓纎維,細キ有髓纎維,無髓纎維何レモ輕度ニ腫張スルノミニテ其他ニハ著明ノ變化ヲ認メ難シ.神經幹部ニ於ケル各種ノ神經纎維ニハ嗜銀性ノ増進ヲ認ム.血管神經ニモ著變無シ.4)Brillantgrunノ場合終末ノ極メテ輕度ニ腫張シ嗜銀性ノ亢進セルモノアリ.終枝ハ稍々單調ナル經過トナレルモノノ如ク,終網ニハ時ニ消失セムトセルモノアルモ,筋紡錘體竝ニ血管神經ニ著變ヲ認メズ.神經幹部ニ於ケル各種神經纎維モ殆ド正常ニシテ,一般ノ變化程度ハ略Rivanolノ場合ノ其レニ匹適スルモノト察セラル.5)Rivanolノ場合終末装置ニハ著變ヲ缺クモノ多ク,唯極メテ罕レニ終枝ニ輕度ノ腫張ヲ示スモノアルニ過ギズ.終網ハ殆ド正常ニシテ筋紡錘體,無纎維,血管神經悉ク常態ヲ保テリ.又神經幹部ニ於ケル各種ノ神經纎維ニモ殆ド認ム可キ變化無シ.即チ神經ニ對スル毒性ノ點ヨリ觀レバ,余等ノ實驗セル範圍内ニ於テハIsaminblau最大ニシテRivanol最小ナリ.而モソノ順位ハ一般的毒性ノ其レト必シモ全ク一致セザルヲ知リ,且本實驗ニ基キテ余等ハ外科領域ニ於テとりぱふらびん連續使用時ニ屡々慢性中毒症状トシテ見ラルル筋肉痛,關節痛等ノ病理組織學的根據ヲ聊カ闡明シ得タリト信ズ.但,余等ハ以上ノ如キ實驗成績ニ基キテ決シテ輕々シク各種色素製劑ノ外科領域其ノ他ニ於ケル醫療的價値ヲ云爲又ハ否定セムトスルモノニ非ズ.唯同一劑ノ過量ヲ永續的ニ使用セムカ,中毒症状トシテ如上ノ結果ヲ人體ニ於テモ亦生ジ得可キヲ警告スルニ過ギザルナリ.
著者
鈴木 淳 上野 洋三 久保田 啓一 西田 耕三 井上 敏幸 山田 直子 上野 洋三 鈴木 淳
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

山形県鶴岡市致道博物館所蔵の、庄内藩第7代藩主酒井忠徳の和歌・俳諧資料は、大名の文事研究の基礎固めのために、全資料を漏れなく集成することを前提として、和歌・俳諧の二つに分け、和歌については、和歌資料目録と同翻字篇(詠草その他・短冊・書簡)に、また、俳諧についても、俳諧資料目録と同翻字篇(俳諧之連歌・一枚刷・詠草その他・短冊)にまとめ、それぞれに解説を付した。この忠徳の和歌資料は、大名家における和歌製作時の、また、和歌修業の実際を伝えるものであると同時に、冷泉家と日野家が入れ替る当時の堂上歌壇の変化を生々しく写したものであり、他に類例を見出しえない貴重な資料であることが判明した。また、俳諧資料は、断片類までの全てが、大名の点取俳諧の実際を具体的に伝えるものであり、この資料の出現によって、初めて大名の点取俳諧の実際、俳諧連歌の創作の場、宗匠と連衆達の遣り取り、点を付け、集計し、賞品を贈るという点取俳諧の手順の実際等々が明らかとなったといえる。長野県長野市松代藩文化施設管理事務所(真田宝物館)、および国文学研究資料館史料館所蔵真田家文書、並びに同館真田家寄託文書中の真田幸弘の和歌・俳諧資料の調査は、ようやく全体を見渡せる地点に達したといえるが、資料の蒐集整理は、その作業に着手したばかりである。現在の進捗状況を示しておけば、 1,百韻620余巻分の詳細調査カード 2,『引墨到来覚』の翻字(全7冊中の3冊分) 3,『御側御納戸日記』全8冊よりの抄出翻字 4,幸弘追善俳書『ちかのうら』の紹介 5,和歌・俳諧・漢詩詠草類リストその他である。真田幸弘の俳諧資料は、総体では10万句を越える厖大なものであり、現時点において日本第一の大名点取俳諧資料だということができる。今後この真田家資料と酒井家資料とを重ねてみれば、大名の点取俳譜の全貌が見えてくる筈である。また、大名家の文事が、親しい大名仲間を核として、和歌・俳諧、さらには漢詩へと広がっていることが特に注目される。酒井家・真田家資料全体の調査研究を通して、新しい近世文学史の構築が期待できるように思う。研究はこれから始まるといってよいであろう。
著者
井上 武夫 新井 久保
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.207-213, 1997-11-30

黄色と赤色はベアータアグリアス裏面の基本色ではあるが,ペルー産の表面に現われることは稀であり,後翅前縁第7室に黄色斑をともなうA.b.stuarti var.fulvescens Rebillardが唯一記載されているにすぎない.著者らは1984年以来ペルー国内で500頭以上のベアータアグリアスを収集してきたが,雌1頭,雄7頭の前翅前縁に黄色または赤色紋を認めた.写真1,2は1987年9月22日にイキトスで採集された雌で,前翅前縁と第12翅脈との間の第12室,および第11,12翅脈間の第11室に黄褐色紋が認められる.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第11,12室に認められ,中室にも広く散見される.また,第10翅脈上にも少数認められる.写真17はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaela(Biedermann)と同定できる.写真3,4は1986年8月3日にイキトスで採集された雄で,前翅前縁第11室に黄褐色紋が認められる.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第11室に認められ,第10,12室と中室,および第10翅脈上にも認められる.写真18はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaelaと同定できる.写真5,6は1987年1月31日にイキトスで採集された雄で,前翅前縁基部に黄褐色紋が認められる.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第12室基部に認められ,少数は第11室,および第12翅脈上にも認められる.写真19はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaelaと同定できる.写真7,8は1993年8月にイキトスで採集された雄で,前翅前縁第11,12翅脈が黄褐色になっている.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第11,12翅脈上に認められ,第9,10翅脈上にも散見される.また,前縁と第12室基部にも多数認められる.写真20はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaelaと同定できる.写真9,10は1993年9月にヤバリ河で採集された雄で,前翅前縁基部に黄褐色紋が認められる.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第11,12室基部,および第11,12翅脈上に認められる.写真21はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaelaと同定できる.写真11,12は1991年11月13日にペバスで採集された雄で,前翅前縁基部に赤色紋が認められる.拡大写真では多数の赤色鱗粉が前縁と第12翅脈上基部に認められ,少数は第11,12室にも認められる.第11,12室には青色鱗粉も認められる.写真22はその裏面であり,後翅基部の鮮紅色は大きく,中室内に退色した黒色斑を認め,A.b.beatifica var.incarnata Michaelと同定できる.写真13,14は1996年10月1日にアタラヤで採集された雄で,前翅前縁第11室に赤色紋が認められる.拡大写真では多数の赤色鱗粉が第11室に認められ,第10,12室と中室にも認められる.第11室基部には青色鱗粉が認められる.写真23はその裏面であり,後翅基部の赤色斑は中室基部まで拡がっておりA.b.beata f.staudingeri Michaelと同定できる.写真15,16は1996年9月5日にサティポで採集された雄で,前翅前縁第11室に赤色紋が認められる.拡大写真では多数の赤色鱗粉が第11室に認められ,第10,12室と中室にも認められる.第11室基部には青色鱗粉が認められる.写真24はその裏面であり,後翅基部の赤色斑は小さくA.b.beata Staudingerと同定できる.以上,ペルー産ベアータの5変異体のうちA.b.beata f.pherenice Fruhstorferを除く4変異体の前翅前縁に黄色または赤色紋を認めた.ブラジル産のA.b.hewitsonius Batesには前翅前縁に大きな黄色斑が出現することは周知の事実であるが,ペルー産では知られていなかった.A.phalcidon fournierae var.viola Fasslを連想して,著者らはこれら8頭をpseudoviolaと呼んでいる.
著者
清水 実嗣 山田 俊治 村上 洋介 両角 徹雄 小林 秀樹 三谷 賢治 伊東 伸宜 久保 正法 木村 久美子 小林 勝 山本 孝史 三浦 康男 山本 輝次 渡辺 一夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.389-391, 1994-04-15
被引用文献数
31

ヘコヘコ病発病豚の病原学的検索を行った.その結果,血清と肺よりPRRS ウイルスが,また肺よりMycoplasma hyorhinis(Mhr)が高率に分離された.無菌豚に分離ウイルスChiba92-1株を接種したところ,全葉性の増殖性間質性肺炎が再現され,ウイルスが長期間回収された.肺炎はMhrとの重感染例において重度化する傾向にあった.以上の成績から,わが国にPRRSウイルスが存在し,本病の発生に同ウイルスが関与することが明らかとなった.
著者
久保 博子
出版者
奈良女子大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

夏期に温熱的快適となる冷房温度範囲,特にスカートを着用した女性にとって好ましい冷房温度を求め、冷房温度の基準化のための基礎データを得ることを目的とし,約30名の青年女子を被験者として夏期の温熱的快適性を測定する実験を人工気候室で行った。まず,好みの温度を選択する実験を行い,その平均値とばらつきを測定した。また,あらかじめ調節された温度を評価する実験と、好みの温度を選択する実験とでは快適性に違いがあるかどうか、同じ被験者で同時期に実験を行い検討した。さらに個人差が体格、生理的機能の違い、生活習慣等と関係あるか要因分析を行った。その結果以下の点が明らかになった。(1)30名の青年女子被験者に選択された気温は,23.5℃から30.5℃の範囲で約7℃の気温差が認められ,平均値は約27℃であった。その時の皮膚温は選択した気温と相関が認められるが,どの被験者も温冷感は「-1:やや涼しい」から「-2:涼しい」,快適感は「+2:快適」の申告で,選択した気温による差はなかった。(2)設定気温の評価実験では,気温選択実験における高温選択グループと低温選択グループで皮膚温には大差が認められなかったが,高温選択グループでは同じ温度でもより寒く感じ,28℃で最も快適と感じているが,低温選択グループでは同じ温度でもより暑く感じ,24℃付近でもっとも快適と感じている。(3)自己申告である「暑がり」「寒がり」には選択気温にも設定気温評価にもあまり差は認められなかったが,普段の生活で冷暖房機器の使用には差が認められた。(4)一定の環境評価での快適温度より快適な自由選択気温の方が個人差は大きかった。
著者
久保 加織 尾嶋 美沙紀 山本 健太郎 堀越 昌子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.123-131, 2003-02-15

栄養調整食品の利用状況についてのアンケート調査と,その栄養評価を行い,栄養調整食品の栄養学的意味について検討した.1)栄養調整食品は,大学生の中で食事代わりやおやつとして広く利用されていた.2)栄養への関心は男性より女性で高く,男女とも,栄養への関心の高い人ほどサプリメントなどポイント補給型栄養補助食品をよく利用し,栄養調整食品の利用も高かった.3)栄養調整食品の多くは,たんぱく質含量が低く,脂質エネルギー比率が高く,食事代わりとしての利用には問題があると判断した.4)栄養調整食品は,製品ごとの栄養成分が大きく異なり,大きく3つのグループに分けることができた.なかには,栄養素のアンバランスな摂取や脂質の過剰摂取を引き起こす可能性のある製品もあった.5)栄養調整食品の脂肪酸組成は,洋菓子類のそれと類似しており,n-6/n-3比が大きかった.
著者
柿崎 竹彦 横山 裕貴子 夏堀 雅宏 唐沢 梓 久保 聡 山田 直明 伊藤 伸彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.361-365, 2006-04-25

犬における血漿中プロベネシドの測定と共にその血漿蛋白結合特性および薬物動態学的パラメータを求めた.血漿中プロベネシド濃度はHPLCによって良好な直線性および添加回収率が示され,血漿試料の定量限界はS/N比3として約50ng/mlまで塩酸とメタノールによる簡便な試料処理によって測定された.プロベネシドは犬血漿蛋白と高親和性低結合容量および低親和性高結合容量の2相性の結合特性を示し,この結果より犬血漿中ではその後in vivoで観察された濃度範囲(<80μg/ml)で80〜88%のプロベネシドが血漿蛋白との結合型で存在することが示された.プロベネシド(20mg/kg)静脈内投与後の血漿中消失プロフィールより,2コンパートメントモデルがもっともよく適用され,その血漿クリアランスは0.34±0.04ml/min/kg,定常状態の分布容積は0.46±0.07l/kg,消失相の半減期は18±6hr,平均滞留時間(MRT)は23±6hrであった.プロベネシドは酸性薬物に対する腎尿細管での強力な能動分泌阻害薬であることと,その血漿蛋白結合率が高いために,血漿蛋白結合および薬物動態に関する著者らの知見は,本薬物による犬や他の動物種における薬物相互作用の基礎的情報を提供すると考えられる.
著者
小川 貴代 Kordzo Kpesese Wogbe 中辻 浩喜 諸岡 敏生 秦 寛 近藤 誠司 大久保 正彦 朝日田 康司
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.75-84, 1996-02-15

積雪・寒冷地における乳用雌牛の放牧を取り入れた周年粗飼料主体育成を検討するため、北海道大学農学部附属農場と附属牧場においてホルスタイン種雌牛計92頭を供試して8年間にわたる一連の試験を実施した。供試牛を、4ヵ月齢から初回分娩時まで通年舎飼で濃厚飼料を2kg/d給与した対照群(C群)および放牧時は濃厚飼料無給与で舎飼時の濃厚飼料給与量を1kg/d以下とした粗飼料主体群に配置した。粗飼料主体群はさらに春夏(4〜9月)生まれのGM群と秋冬(10〜3月)生まれのGE群に分類した。育成期間を4〜10ヵ月齢の前期、11〜16ヵ月齢の中期および17ヵ月齢〜初回分娩時までの後期に区分し、育成ステージ別の成長と繁殖成績を調査した一初回分娩以降は全群同一の飼養管理を行ない、乳生産成績を調査した。結果は以下の通りである。1)分娩時の体重および牛体各部位の測定値に3群間で有意な差はなかったか、全育成期を通じた日増体量はGM群とGE群でそれぞれ0.61、0.62kgであり、C群の0.72kgに比べ有意(P<0.05)に低かった。2)粗飼料主体群の日増体量は舎飼時に低く放牧期に高いパターンを示し、育成前期と後期はGM群か有意(P<0.05)に低く、育成中期はGE群が有意(P<0.05)に低くかった。3)舎飼時の日増体量は濃厚飼料給与量か少ないほど低く、その傾向は育成前期で顕著であった。4)放牧を育成前期に取り入れた場合の日増体量は、育成中期および後期の放牧した場合に比べ低い傾向にあった。5)放牧時の日増体量と放牧前の舎飼時における日増体量との間に有意(P<0.01)な負の相関が認められた。6)粗飼料主体群は初回種付け月齢がC群より1ヵ月以上遅延し、GM群は授精回数か多く受胎率が低い傾向にあった。7)初産乳期における乳生産量に3群間で有意な差は認められなかった。8)積雪・寒冷地における乳用雌牛の放牧を取り入れた周年粗飼料主体育成において、秋冬生まれの牛は4ヵ月齢から粗飼料のみでの育成か可能であるか、春夏生まれの牛では育成前期の舎飼時に濃厚飼料の補給か必要であることか示唆された。日本家畜管理研究会誌、31(3) : 75-84.1996.1995年8月28日受付1995年11月2日受理
著者
高橋 透 大久保弘崇 粕谷 英人 山本 晋一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.35, pp.41-48, 2006-03-23
被引用文献数
2

XSDML は,CASE ツールで利用される情報がマークアップされたソースプログラムの XML 表現である.本稿では,木に対する差分抽出アルゴリズムをXSDML に適応させた XSDML Diff を提案する.XSDML Diff を用いることでプログラムのバージョン間の木構造を意識した差分を CASE ツールで扱えるようになる.XSDML Diff の特徴は,一般に大きな計算量を必要とする木の差分抽出アルゴリズムに対して実用的な時間で動作すること,差分を構成する編集操作がプログラムに対する編集の操作に対応していること,そしてCASEツール応用に適した差分表現の出力形式を持つことである.This paper presents XSDML Diff that is an algorithm for detecting changes for XSDML, which is XML representation of source program for CASE tool platform. XSDML Diff compares two files with concentrating on their tree structures. Features of XSDML Diff are : (1) it works in practical time, while usual tree diff algorithms require large amount of time. (2) tree edit operations are chosen to match source program edit operations. (3) its output format suits CASE tool applications.
著者
久保田 善明
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2008-11-25

新制・課程博士