著者
藤原 岳 佐藤 格夫 石井 亘 橋本 直哉
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-33, 2022 (Released:2022-07-12)
参考文献数
5

タイ王国コンケン病院外傷センターに短期留学する貴重な機会を得たので概要を報告する.本邦では神経外傷をはじめとする重症外傷の症例数は,自動車工学の発展,ヘルメット着用や飲酒運転の厳罰化とそれらに伴う市民意識の高まりにより減少傾向である.本邦での神経外傷研修には限界があると考え諸外国での研修での補完を企図した.コンケン病院において神経外傷の研修としては日本人初の研修生であり,約1ヶ月間の研修で100例を超える神経外傷症例を経験し,12例の緊急手術に参加した.神経外傷の症例数の減少している本邦の若手脳神経外科医において有用な研修であると考えられた.
著者
川本 稔己 山崎 天 坂田 亘 佐藤 敏紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.131-136, 2021 (Released:2021-11-20)

本稿では、対話システムライブコンペティション4のシチュエーショントラックに提出した対話システムについて述べる。本システムはTransformerをベースとした言語モデルの「HyperCLOVA」を用いて応答生成を行った。言語モデルには対話履歴だけでなく、状況や発話者のペルソナをFew-Shotのプロンプトとして入力することでシチュエーションに沿った応答生成を可能にした。また、シチュエーションに沿わない応答を生成した場合に備えて、応答開始語句を指定した後に再度生成を行う機構を備えている。その結果、本システムは予選で2位の成績を収め、日本語の大規模言語モデルがシチュエーションに沿ったタスク指向対話の応答生成に有用であることを確認した。一方で、生成文には時折Hallucinationが起こることにより、発話の信頼性や対話の一貫性に未だ課題が残る。本稿では、予選の対話ログを参照し課題の議論を行う。
著者
池見 陽 筒井 優介 平野 智子 岡村 心平 田中 秀男 佐藤 浩 河﨑 俊博 白坂 和美 有村 靖子 山本 誠司 越川 陽介 阪本 久実子
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-12, 2019-03

自分の生きざまを動物に喩えて、その動物は何をしているのかなどと形容しながらペアで話し合うワークを考案し、それを「アニクロ」(Crossing with Animals)と命名した。本論では、その理論背景として実存哲学、メタファー論やジェンドリン哲学を含む体験過程理論について論じたあと、その実践を3つの側面から検討した。それらは、アニクロ初体験者に対するアンケート結果について、産業メンタルヘルス研修でのアニクロの応用について、そしてゲシュタルトセラピーにおけるアニクロの実践についてである。アニクロは多用な実践が可能であるが、その基本原理はフォーカシングであり、本論は最後に、アニクロを通してみたフォーカシングの基礎理論を考察した。
著者
佐藤 弘夫
出版者
リトン
雑誌
死生学年報
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-69, 2015-03-31

From the 14th century, Japanese people experienced an enormous shift in terms of intellectual history. The idea of “the other world,” which during the early part of the medieval period had been overpowering reality, went through a rapid process of decline. While a wave of secularization swept society as a whole, the image of a far away Pure Land as the place for one’s rebirth after death faded among people, and the view that this present world was the only reality, began to spread. As a result, peace for dead people was no longer found in setting off for a distant Pure Land, but in abiding in a specific spot in this world, waiting for periodic visits by descendants and listening to the chanting of sutras.The formation of a general social notion according to which the dead abided in their graves meant the rise of the belief that in the afterlife, one would also be able to keep an eye on the daily lives of one’s loved ones from inside the grave. The feeling of “resting under the sod” shared by modern people developed after this cosmological shift, gradually spreading throughout early modern Japanese society. These days, as the notion of a person’s death occurring at a specific point in time demonstrates, people think there is a clear line to be drawn between life and death. Most people nowadays have a general image of someone passing from the world of the living to that of the dead more or less in an instant. However this understanding which might now be thought to have been so familiar to people in the middle ages, is entirely peculiar to the modern and contemporary periods of human history.
著者
小宅 大輔 岡田 智幸 深澤 雅彦 佐藤 成樹 肥塚 泉
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.101, no.8, pp.617-620, 2008-08-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
10

This study retrospectively investigated the value of both endoscopically visible oropharyngeal secretions in the hypopharynx and miss-swallowing frequency in the prediction of food and liquid aspiration. Videoendoscopy was performed in Fourty-three patients. A four-level rating scale was employed to determine the severity of accumulated oropharyngeal secretions. On this secretion scale patients graded 0 and 1 could eat, but those graded 3 could not. It was found that the accumulation of endoscopically visible oropharyngeal secretions located within the laryngeal vestibule was highly predictive of the aspiration of food or liquid. The Results are discussed in terms of integrating this information with clinical bedside examinations.
著者
横山 裕 佐藤 晋哉 横井 健
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.78, no.690, pp.1359-1365, 2013-08-31 (Released:2013-11-30)
参考文献数
9

Floor-slipperiness is a crucial factor in designing buildings for cohabitation with pets. This study proposes an indicator of floor slipperiness applicable to small-breed indoor dogs prone to skidding accidents. The incidence of skidding was recorded by applying load elicited by movements of 12 dogs on 6 flooring materials with different Coefficient of Slip Resistance (CSR). The relationship between recorded incidence and floor materials' CSR revealed that dogs slowed their movements to avoid skidding on low CSR floors. A range of CSR that does not slow dogs' movements was determined and its minimum value is proposed as the required lower limit.
著者
佐藤 一憲
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.19-23, 2014 (Released:2019-10-31)
参考文献数
3

米国およびカナダにおいては,福島第一原発事故以降も原子力を温室効果ガスのほとんど出ないクリーンエネルギーと位置付け,エネルギー・ポートフォリオの重要な要素として引き続き利用してゆく方針である。一方,数年前には予測されていなかったシェールガス革命と呼ばれる状況は原子力発電所の新規建設の環境を一変させている。このような環境下での両国での原子力開発や発電等の動向について解説する。
著者
荒川 武士 石田 茂靖 佐藤 祐 森田 祐二 下川 龍平 煙山 翔子 岡村 唯 新野 直明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11486, (Released:2018-11-30)
参考文献数
48
被引用文献数
1

【目的】本研究の目的は,脳血管障害者の嚥下障害の関連要因について,おもに運動要因に着目して検討することである。【方法】対象は回復期病棟入院中の脳血管障害者90 名(嚥下障害あり45 名,嚥下障害なし45 名)とした。調査項目は,基本属性の他に上下肢の運動麻痺の程度,歩行自立度,舌圧,舌骨上筋群の筋力,喉頭位置,頸部可動域,脊柱後弯度,体幹機能,呼吸機能,握力などの運動要因を評価した。単変量解析にて有意な差があったものを説明変数とし,嚥下障害の有無を目的変数とした二項ロジスティック回帰分析(尤度比検定:変数減少法)を実施した。【結果】脳血管障害者の嚥下障害に関連する運動要因は,舌骨上筋群の筋力,頸部伸展可動域,脊柱後弯度であることが明らかとなった。【結論】本報告は,理学療法士でも嚥下障害に介入できる可能性を示すものになると考えられ,臨床場面でも応用可能な有益な情報になるものと考えられた。
著者
大久保 柚希 村岡 丈一郎 佐藤 美恵 橋本 直己
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.394-400, 2023 (Released:2023-05-01)
参考文献数
21

近年,VR技術の発展により,容易に人の外見を変化させる体験が可能となった.それに伴い,アバタを用いてVR空間に没入することで自己認知が変化し,重さ知覚にも影響を及ぼすことが示されている.しかし,それらの報告の多くは,限定的なアバタを用いた定性的な評価に留まっている.そこで本研究では,ユーザがアバタに抱く力強さの印象を数値で表現するための指標を作成し,多様なアバタを用いてVR空間に没入したときに,ユーザが受ける力強さの印象と重さ知覚の関係を定量的に分析する.実際の室内環境を再現した仮想空間にアバタを用いて没入した状態で,一定の重さの物体を持ち上げる実験を行った結果,アバタの力強さの印象と,同じ物体をより軽く感じる重さ錯覚の間には,特定のアバタに依存しない相関関係が確認できた.
著者
兼岡 麻子 荻野 亜希子 井口 はるひ 七里 朋子 松﨑 彩花 佐藤 拓 後藤 多嘉緒 山内 彰人 齊藤 祐毅 上羽 瑠美
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.85-95, 2023 (Released:2023-04-29)
参考文献数
35
被引用文献数
1

【目的】頭頸部癌への化学放射線療法(chemoradiation therapy, CRT)に伴う嚥下障害に対する予防的リハビリテーションにおいて,行動変容手法を用いたハンドブックを導入し,患者アドヒアランスの向上度を検証した.【方法】対象は,頭頸部癌に対するCRTを完遂した患者.ハンドブックを用いてトレーニングを行った患者を導入群,過去にハンドブックを用いずに行った患者を対照群とした.自主トレーニングの実施率が80%以上の患者を高アドヒアランスとした.【結果】高アドヒアランスは導入群15名中4名(26.7%),対照群15名中7名(46.7%)で,両群に有意差はなかった.CRT終了時の口腔粘膜炎グレードは,導入群で有意に高かった.その他の因子は両群に差はなかった.【結論】ハンドブックの導入により,患者アドヒアランスは向上しなかった.ただし,口腔粘膜炎等のトレーニングの阻害要因が重度な場合,ハンドブックは患者の意欲維持やトレーニング継続に寄与する可能性がある.
著者
佐藤 環
出版者
常磐大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

近世諸藩における弓術師範の養成・登用において,業績主義的要素がいかに投影されたかを実態として明らかにすることが本研究の目的である。弘前藩ではまず藩外から高名な射手を登用し弓術師範となした段階,次にその移入師範の教導により弘前藩士による弓術師範の再生産が可能となった段階,そして全国規模の競射会である「通矢」参加によりそこでの成績が弓術師範任用基準として重視される段階へと進んでいった。水戸藩学弘道館では弓の腕前の試験である「見分」が実施され,業績主義的な教育の制度化が試みられている。
著者
佐藤 光秀
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-13, 2017-01-15 (Released:2018-09-20)
参考文献数
54

ピコ・ナノ植物プランクトンは外洋における主要な一次生産者であり,食物網の起点である。本論文ではピコ・ナノ植物プランクトンの組成と分布,栄養獲得,被食過程について著者らが行ってきた研究の内容と成果を概説する。はじめに,フローサイトメトリーにより代表的なピコ・ナノ植物プランクトングループの分布やサイズ組成を明らかにし,その生理的な特徴や環境因子と分布を関連づけた。つづいて,ピコ・ナノ植物プランクトンが多様な群集組成を呈する要因の一つとしてリンや鉄の利用に着目し,特に,外洋域で重要となる有機態リンと有機配位子に結合した鉄の利用について現場での実験をもとに新知見を得た。また,植物プランクトン群集を形作る要因としての被食過程に着目し,サイズ分画から植物プランクトンの被食速度を見積もる手法を開発した。これらの結果から,外洋,特に貧栄養海域におけるピコ・ナノ植物プランクトンの特徴的な栄養獲得戦略を明らかにした。
著者
望月 祐志 中野 達也 坂倉 耕太 渡邊 啓正 佐藤 伸哉 奥脇 弘次 秋澤 和輝 土居 英男 大島 聡史 片桐 孝洋
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.106-110, 2022 (Released:2023-04-29)
参考文献数
33
被引用文献数
1

We have been developing the ABINIT-MP program for fragment molecular orbital (FMO) calculations over 20 years. Several improvements for accelerated processing were made after the release of Open Version 2 Revision 4 at September 2021. Functionalities were enhanced as well. In this short report, we summarize such developments toward the next release of Revision 8.
著者
福岡 捷二 渡辺 明英 新井田 浩 佐藤 健二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.503, pp.59-68, 1994-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
11 7

洪水流や航行する船の造る波の河岸侵食力に対し, 河岸に生育しているオギやヨシがどの程度の河岸侵食軽減機能を有するかを現地観測によって調べている. オギやヨシの生育環境, これらの植生が河岸侵食を軽減する機構を明らかにした上で, オギやヨシを河岸保護に活用する場合, 保護機能が発揮される限界流速を理論的に算定し, これが工学上有効であることを現地観測結果によって, 明らかにしている.