- 著者
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佐藤 泰
田中 善晴
- 出版者
- 公益社団法人 日本農芸化学会
- 雑誌
- 日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.2, pp.115-123, 1973 (Released:2008-11-21)
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
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皮蛋製造の基礎研究として,比較的に性質が知られているゼラチンゲル(GG)を比較対照しつつ,アルカリ変性オボアルブミンゲル(OG)の性質を把握するため,3% GGと10% OGについてクリープ実験を行なった. OGは4要素模型, GGは3要素模型であらわすことができ, OGのクリープコンプライアンスには,瞬間弾性コンプライアンスと1個の遅延弾性コンプライアンスのほかに,定常流粘性コンプライアンスが関与していた. GGとOGの瞬間弾性率は3.2~3.3×104 dyne/cm2で,ほとんど同じであったが, OGの遅延時間は162秒,遅延弾性率は3.2×104 dyne/cm2で, GGのそれらの値より低かった.永久流動の粘性率から計算すると,小さな降伏値1.2×102 dyne/cm2をもつビンガム塑性体と考えられた. OGの剛性率と粘性率は,温度上昇により次第に減少した. 0.1M NaCl添加により剛性率は増加し,遅延スペクトルの分布の広がりがみられた. 2M尿素添加では,遅延時間の短い機構ができ,粘性率が増加した. O.1MのNa2SO3添加では粘性率も剛性率も増加するが, 0.2~0.5添加すると,剛性率は0.5M NaCl添加のときと同じ値まで減少し,粘性率はもとのOGの粘性率と同じになった.しかし遅延スペクトルには,ほとんど変化が見られなかった.以上の結果から, OGの特色ある流動性をもつゲルの構造について考察した.