著者
南石 晃明 土田 志郎 飯国 芳明 二宮 正士 山田 優 金岡 正樹 淡路 和則 内山 智裕 八木 洋憲 西 和盛 澤田 守 竹内 重吉 藤井 吉隆 木下 幸雄 松下 秀介 佐藤 正衛 星 岳彦 吉田 智一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究の目的は、次世代農業経営革新の基礎となる人材育成システム構築に有益な知見を、学際的かつ国際的な視点から体系化することである。主な研究成果は以下の4つに区分できる。第1にスイス、フランス、ドイツ、デンマーク、イギリス、オランダ、スペイン等の欧州主要国の職業教育訓練の現状と課題について明らかにした。第2に、わが国の先進農業経営に人材育成の実態と課題を統計分析と事例分析を組合わせて明らかにした。第3に知識・情報マネジメントの視点から、情報通信技術ICT活用および農作業熟練ノウハウ継承について明らかにした。第4にこれらの知見の基礎的考察と含意を考察し、次世代農業人材育成の展望を行った。
著者
佐藤 博幸
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.23-35, 2019-03

障害者差別解消法施行下における障害者福祉に関する市民意識調査を実施し、障害当事者71人を含む180人から回答を得た(回収率70.59%)。この結果、市民の間で法律や制度に関する理解は一定の理解が進んでいるものの、近所づきあい等地域生活の場面や社会参加の機会に障害に根差した差別を体験したことのある障害当事者が60.56%に及び、障害の種別により被差別体験に差があることが明らかになった。障害当事者の地位向上を図るために、厳しい雇用環境の改善と併せ日常生活における合理的配慮の提供の理念が広がっていくことが望まれた。合理的配慮の提供を感じる人の割合は、直接的なコミュニケーション場面で高く、文書による連絡など間接的なコミュニケーション手段では低い傾向がみられた。一方、ノーマライゼーションが進展していると考える者は全回答者の36.67%にとどまり、法律や制度に対する認知度と障害者福祉の充実度に対するとらえ方に開差がみられた。今、障害者福祉は、障害者差別解消に向けノーマライゼーション理念の浸透を実感できる共生社会の実現に向けた取り組が求められている。障害当事者の活動を制限し、社会への参加を阻んでいる社会的障壁を取り除くことは、障害者福祉の直面してきた大きな課題である。障害の社会モデルを土台にした合理的配慮の提供の広がりは、この課題解決に向けこれからの障害者福祉を進展させていく大きな力になるものと考えられる。
著者
南條 壮汰 佐藤 夏雄 穂積 裕太 細川 敬祐 片岡 龍峰 三好 由純 大山 伸一郎 尾崎 光紀 塩川 和夫 栗田 怜
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

国際宇宙ステーション(International Space Station: ISS)に搭載されたデジタル一眼レフカメラ(デジカメ)を用いて、オーロラの連続カラー画像が撮影されており、NASA のウェブサイトで公開されている。我々は、それらの画像の中でも、オーロラの高さ構造を同定できる地球をリム方向に撮影した画像を解析的研究に活用することを提案してきた [Nanjo et al., 2020, submitted]。ISS は約 90 分の周期で地球を周回しているため、MLT 方向に 4-5 時間程度のオーロラの大規模な構造をスナップショットとして観測することができる。大規模構造の一例として、オーロラオーバルの朝側領域において、輝度の高い領域が波を打ったような構造になるオメガバンドが広く知られている。これまでに、オーロラを真下/真上から撮影する様々な地上/衛星観測によりオメガ構造の西側(夜側)は東側(朝側)に対して輝度が高くなることが指摘されている [e.g. Opgenoorth et al., 1994; Amm et al., 2005]。しかし、これらの観測はオーロラを二次元的に捉えるため、高さ構造については明らかにされてこなかった。ISS のリム方向デジカメ観測では、オーロラを斜めに捉えているため、高さ構造を識別できる。その結果、いくつかの事例でオメガ構造の明るい領域の西端と暗い領域の境界線上に、南北方向に 300-600 km 伸びる高さ 200-300 km 程度の壁状のディスクリートオーロラ( “Great Wall” )が存在することがわかった。図に示す通り、Great Wall は、底部が緑色で、上部が赤色に発光する。また、Great Wall は南北半球で共通する現象であることもわかった。磁力線方向に伸びる赤と緑の発光は、広いエネルギー帯の電子が加速されていることを意味するが、これは Amm et al. (2005) の UV 観測で見積もられた降り込みエネルギーの 2-5 keV という狭い範囲の数値とは一致しないものである。これは、彼らが用いた観測機器の時空間分解能が低く、Great Wall の部分を切り分けることが難しかったためであると考えられる。また、オメガ構造の内部では、活発な脈動オーロラが観測されることが多いが、THEMIS 衛星との同時観測により、これらがコーラス波動との波動粒子相互作用により降り込む典型的な脈動オーロラであることがわかった。大会では、オメガ構造に現れる Great Wall を作る電子のエネルギー帯やそれらから示唆される磁気圏-電離圏結合系の電流系ついて議論を行う予定である。
著者
佐藤 宏昭 中村 一 本庄 巖 藤田 明彦 高橋 晴雄 林 正彦
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.1383-1387, 1988-09-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2 7

The clinical usefulness of Tsumura-Saireito, which was judged by tympanoaudiometric tests, was compared with that of cepharanthin in 64 ears of 42 children with otitis media with effusion. The trial was a randomized controlled study.The efficacy rate for the 32 ears treated with Tsumura-Saireito was 43.8% and that for the 32 ears treated with Cepharanthin was 18.8%; the difference was significant (p<0.05). No side effects were observed in either group.These results indicate that Tsumura-Saireito is more effective in children with otitis media with effusion than Cepharanthin.
著者
木村 容子 佐藤 弘 伊藤 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.22-28, 2018 (Released:2018-07-04)
参考文献数
20

片頭痛の治療では発作時の痛みだけでなく,ストレス,月経,疲れなど誘発・増悪因子の治療も重要である。陰虚証で過度の疲労や寝不足,更年期症状などが重なると気血両虚を背景として月経後期に頭痛が起こるがある。全体の経血量が多くない場合でも月経2-3日目で比較的多く出血した後,月経4-5日目から起こる頭痛に補気補血作用のある十全大補湯が有効な症例を経験した。症例1から4を具体的に提示する。症例1では日々の服用を温経湯から十全大補湯に変更し,他の症例では月経期間の7日間のみ,十全大補湯を当帰四逆加呉茱萸生姜湯に追加(症例2)あるいは当帰芍薬散から十全大補湯に変更(症例3-4)した。十全大補湯で月経後期の頭痛が改善した9症例では,冷え(9/9例),易疲労感(9/9例)や乾燥症状(7/9例)を認めた。月経後期の片頭痛には十全大補湯が有効な場合があるが,投与量や服用期間は気血両虚の程度で調整する必要がある。
著者
高橋 典明 佐藤 良博 清水 哲男 橋本 修
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.175-178, 2014-08-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
9

肺がんにおける緩和ケアは他のがんと基本的に同じである.ただし,肺がんはがんのなかでも予後が不良で,他のがんよりも疼痛ばかりでなく咳や呼吸困難などの呼吸器症状が伴いやすい.そのため病名告知されるだけでも精神的負担は特に強い.したがって,肺がんにおいて身体的,精神的,社会的およびスピリチュアルな苦痛に対する緩和ケアはきわめて重要であり,早期から緩和ケアを実施することは肺がん患者の延命にもつながる重要な要素である.肺がん終末期の身体的苦痛として呼吸困難の頻度は高く,臨床的に問題となることも多い.呼吸困難の治療は原因病態に対する治療が第一であるが,複数の原因が絡み合い難治性で不可逆的なことも多い.その呼吸困難に対する薬物治療としてモルヒネは第一選択とされ,日本緩和医療学会の「呼吸器症状の緩和に対するガイドライン」でも推奨されている.しかし,その有効性については一定の見解は得られていないのが実情である.そのことを踏まえて,肺がん終末期医療の実情について,呼吸困難に対するモルヒネ投与を例にとって検討し,さらに非がん性呼吸器疾患に対する終末期医療との比較についても述べる.
著者
大野原 良昌 佐藤 慎也 伊藤 雅之 皆川 幸久
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.235-238, 2005-02-10

はじめに 処女膜閉鎖症は比較的稀な疾患で,その発生頻度は0.03~0.1%とされている1).本症には完全に処女膜が閉鎖したいわゆる処女膜閉鎖(imperforate hymen)と処女膜に小孔を伴った小孔処女膜(microperforate hymen)2~7)が存在する.今回われわれは,小孔処女膜であったために初経から4年間周期的な月経が発来し,急性腹症発症を契機に診断された処女膜閉鎖症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
著者
近藤 誠 佐藤 陽祐 稲津 將 勝山 祐太
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

This study evaluated microphysical schemes implemented in a meteorological model SCALE (Nishizawa et al. 2015; Sato et al. 2015) targeting midwinter snowfall events in Hokkaido. Cloud microphysical schemes of a 2-moment bulk scheme (Seiki and Nakajima 2014: SN14), a 1-moment bulk scheme of Roh and Satoh (2014: RS14), and that of Tomita (2008: T08) were evaluated with the simulation for events, based on ground-based measurement by disdrometer. Our analysis elucidated that SN14 successfully simulated the measured relationship between the particle size and terminal velocity distribution (PVSD). On the other hand, T08 overestimated the frequency of graupel with fast fall velocity, and underestimated particle diameters. RS14 also overestimated the frequency of the graupel, but reproduced the fall velocity of graupel particles. Sensitivity experiments indicated that RS14 scheme can be improved by the modification for the slope parameter, mass-diameter(m-D) relationship, and PVSD relationship of graupel.ReferencesNishizawa, S., H. Yashiro, Y. Sato, Y. Miyamoto, and H. Tomita, 2015: Influence of grid aspect ratio on planetary boundary layer turbulence in large-eddy simulations. Geosci. Model Dev., 8, 3393–3419, https://doi.org/10.5194/gmd-8-3393-2015.Roh, W., and M. Satoh, 2014: Evaluation of precipitating hydrometeor parameterizations in a single-moment bulk microphysics scheme for deep convective systems over the tropical central pacific. J. Atmos. Sci., 71, 2654–2673, https://doi.org/10.1175/JAS-D-13-0252.1.Sato, Y., S. Nishizawa, H. Yashiro, Y. Miyamoto, Y. Kajikawa, and H. Tomita, 2015: Impacts of cloud microphysics on trade wind cumulus: which cloud microphysics processes contribute to the diversity in a large eddy simulation? Prog. Earth Planet. Sci., 2, https://doi.org/10.1186/s40645-015-0053-6.Seiki, T., and T. Nakajima, 2014: Aerosol effects of the condensation process on a convective cloud simulation. J. Atmos. Sci., 71, 833–853, https://doi.org/10.1175/JAS-D-12-0195.1.Tomita, H., 2008: New microphysical schemes with five and six categories by diagnostic generation of cloud ice. J. Meteorol. Soc. Japan, 86A, 121–142, https://doi.org/10.2151/jmsj.86A.121.
著者
寺本 昌弘 曽根 岳大 高田 耕平 小縣 開 齋藤 啓太 和泉 拓野 高野 昂佑 長尾 茂輝 岡田 陽介 田地 規朗 河村 俊邦 加藤 章一郎 前川 隆彰 小林 彩香 小林 真一 佐藤 謙 木村 文彦
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.598-604, 2020 (Released:2020-07-03)
参考文献数
18

2011年1月から2018年2月までに再発indolent B-cell lymphomaに対し,当科で施行したrituximab併用bendamustine(BR)療法の治療成績を後方視的に解析した。病型は濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma, FL)42例(67%)が多く,FL症例で治療を完遂した群の無増悪生存期間(progression free survival, PFS)の中央値は未到達であった。また治療開始から5年間のCD4陽性T細胞数を解析したところ,長期にわたり200/µl前後を推移する症例が多かった。BR療法は再発indolent B-cell lymphomaに対し有用な治療であり,特にFLにおいてはBR療法を完遂することがPFSの改善に重要である。また治療後は細胞性免疫不全が顕在化するため,5年程度は感染症の発症に注意するべきかもしれない。
著者
加藤 寛之 佐藤 和信 工位 武治
出版者
日本缶詰協会
雑誌
缶詰時報 (ISSN:04109716)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.269-278, 2011-03
著者
佐藤 有紀 大山 昌憲 興戸 正純
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.108, 2012-02-01 (Released:2012-10-05)
参考文献数
5

Interfacial impedance method was applied to evaluate the interface stability of solder joints. Results showed that the surface treatment on rolled copper strongly influenced the solder joint interface structure. The composition and interfacial impedance between rolled copper and solder were also influenced by the surface treatment of the copper. Especially, a correlation was found between the surface treatment and time dependence of the interfacial impedance value. The admittance spectra of interfacial impedance between as-rolled copper and solder showed strain from the semicircular shape, although the plasma ashed copper or thermally oxidized copper showed no such strain over time. The strain probably represents solder joint instability. The interfacial impedance method can be useful for evaluation of the solid metal interface, not only the interface between the liquid and solid.