著者
石川 欽也 新美 祐介 佐藤 望 網野 猛志 水澤 英洋
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.1122-1124, 2011 (Released:2012-01-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Spinocerebellar ataxia is a group of neurodegenerative disorders clinically presenting adult onset cerebellar ataxia. To date, 21 different genes (SCA1, 2, 3, 5, 6, 7, 8, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 17, 23, 27, 28, 31, 35, 36 and DRPLA) and additionally 10 different gene loci (SCA4, 18, 19, 20, 21, 25, 26, 29, 30 and 32) are identified. Among these, SCA6 and SCA31 are the two common diseases clinically presenting as a relatively predominant cerebellar syndrome, whereas Machado-Joseph disease/SCA3, DRPLA, SCA1 and SCA2 are SCAs often associated with extra-cerebellar manifestations. SCA31 is a late-onset purely cerebellar ataxia caused by a complex pentanucleotide repeat containing (TGGAA)n lying in an intronic region shared by two genes, BEAN (brain expressed, associated with NEDD4) and TK2 (thymidine kinase 2). In situ hybridization analysis in patients' Purkinje cells demonstrated that pentanucleotide repeats transcribed in BEAN direction form RNA aggregates ("RNA foci"), and essential splicing factors, SFRS1 and SFRS9, bind to (UGGAA)n, the transcript of (TGGAA)nin vitro. Our preliminary data also demonstrated that (UGGAA)n is toxic when expressed in cultured cells. These findings may imply that RNA-mediated pathogenesis is involved in SCA31. Further studies are needed to explore precise mechanism of this disease.
著者
佐藤 暢 松本 泰典 那須 清吾
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.2_144-2_154, 2017 (Released:2018-01-18)
参考文献数
25

本稿では,高知工科大学社会連携部と高知県工業会が初めて組織的に連携した事例を取り上げ,研究開発体制の構築に至った背景と経緯について報告した.そして,この産学官連携の体制構築に当たり,組織としてのコーディネート部門およびそこに属する個人としてのコーディネータが果たした役割を述べ,地域イノベーション創出における産学官連携コーディネート活動のありかたについて考察した.その結果,産学官連携コーディネート活動をより効果的,効率的に進めるために,関係する組織間の意思決定が必要であり有効であることが示された.また,組織間連携に支えられることで,個々のコーディネート活動の公平性と透明性が確保されることも示した.そして,産学官連携コーディネート活動に内在する要素である,「生きた情報」と「密なる人的ネットワーク」をより有効に活用するためには,組織間の意識共有と意思決定が重要であることが,本事例から示された.

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著者
佐藤 毅
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.86-89, 1978-02-28 (Released:2009-10-13)
著者
田岡 三希 佐藤 哲 鎌田 勉 奥村 浩
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.82-90, 1988-09-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
8 11

1 北海道の大黒島でコシジロウミツバメOceanodroma leucorhoaの鳴声がどのような状況で発せられるかを調べた。2 鳴声のレパートリーは主にChatter-call,Purr-call,Screech-callの三種で各々雌雄共に鳴く。このうちPurr-callとScrreech-callは特定の状況下でのみ鳴かれ,状況特異性が見られた。3 Purr-callが鳴かれる巣穴には必ず雄,雌の二羽がおり,また卵や雛はいない。従って,この鳴声は求愛行動や番形成に関係していると思われる。4 Screech-callは同性の二羽の間で鳴かれ,おそらく闘争に伴って鳴かれる鳴声と思われる。5 Chatter-callは様々な状況下でまた他の鳴声と共に鳴かれるが,飛翔個体はほとんどこの鳴声しか鳴かない。しかしながら,Chatter-callの鳴かれる状況をそれに伴って鳴かれる鳴声に従って分類すると状況特異性が見られた。このことはこの鳴声が状況の違いにより複数の機能を持ちうることを示唆する。事実,この鳴声の再生実験を巣穴中の個体に対して行ったところ,様々な反応を誘起した。
著者
佐藤 寧洋 河合 勇輝 阿多 信吾 岡 育生
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.12, pp.1043-1057, 2017-12-01

Software-Defined Networking (SDN)では,データプレーンとコントロールプレーンを分離し,ネットワーク全体を集中制御することで,柔軟なネットワーク構成を可能にしている.しかし,ネットワーク規模が大きくなるにつれてネットワーク内の機器数が増加するため,集中制御によるネットワーク管理ではスケーラビリティに乏しいという問題がある.そのためSDNコントローラを分散化させる手法が提案されているが,分散コントローラ同士のネットワーク情報の一貫性を考慮する必要がある.本論文では,データベースを用いた一元管理によるSDNの動的構成手法を提案する.ネットワークに関する全ての情報をデータベースで一元管理し,データベースの情報をもとに独立して動作する機能コンポーネントによってネットワーク制御情報を非同期的に生成・更新することを目的とする.非同期処理やトランザクション処理に優れたデータベースシステムを利用することで,ネットワーク設定の一貫性を容易に維持することが可能となる.そのために,基本となるデータベースのデータ構造を設計・構築し,具体的な処理を行う機能コンポーネントを実装する.最後に,OpenFlowネットワークにおけるベンチマーク評価により本提案手法の基本性能を示す.
著者
山口 剛史 中込 一之 宇田川 清司 高久 洋太郎 佐藤 長人 杣 知行 萩原 弘一 金澤 實 永田 眞
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.657-664, 2009-06-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
19

【背景】局所麻酔薬に対する副反応は,しばしば,局所麻酔薬アレルギーと診断されているが,これらのほとんどは非アレルギー性の機序によることが明らかとなっている.【方法】局所麻酔薬に対する副作用の既往があり,歯科治療を予定している20名に対し,リドカインなどの局所麻酔薬に対する,皮膚テスト(プリックテスト,皮内テスト)及び漸増皮下注射で行うチャレンジ・テストにより,局所麻酔薬アレルギーの有無について評価した.【結果】17名(85%)で,リドカインに対する即時型アレルギー反応が陰性であった.これらの症例では,同薬による局所麻酔が可能となった.一方,3名(15%)ではリドカインに対して陽性反応を示した(プリックテストで1名,皮下注射で2名).【結語】局所麻酔薬アレルギーが疑われた患者における,局所麻酔薬に対する即時型反応の頻度は少ないが稀ではないと考えられる.従って,局所麻酔薬アレルギーを確認する診断アプローチは,臨床的に重要であり,今後はより多くの集団を対象に検討する必要があると思われる.
著者
蒲 豊彦 土肥 歩 山本 真 戸部 健 倉田 明子 石川 照子 佐藤 仁史 魏 郁欣
出版者
京都橘大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、近代中国におけるキリスト教の展開という視点から横断的地域史研究を行った。時期としては19世紀中葉から20世紀初頭ごろまでを対象とし、中国沿海部の4地区―①北京・天津地区、②江南デルタ地区、③福建から広東にいたる南部沿海地区、④広州・香港の珠江デルタ―を選定した。アメリカや香港などからも研究者を招いてシンポジウムを開催して意見を交換し、キリスト教の視点が地域史研究にきわめて有効であることをあらためて確認することができた。
著者
田中 守 中家 美千代 佐藤 伸一
出版者
比較眼科学会
雑誌
比較眼科研究 (ISSN:02867486)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.29-33, 2013-12-27 (Released:2015-03-28)
参考文献数
6

近年、緑内障治療薬の開発の高まりにより、緑内障モデル動物が注目されている。カニクイザルは眼球構造がヒトに近く、これまでのところレーザー誘発高眼圧モデルとして多く用いられてきた。緑内障の判定は眼圧を測定することで行われてきたが、測定値にバラツキが大きいことが問題であった。さらに、最近の研究では緑内障であっても必ずしも高眼圧を呈さないことがわかっており、眼圧以外の指標による緑内障の判定法が求められていた。ヒトにおいては日本緑内障学会の「緑内障性視神経乳頭・網膜神経線維層変化判定ガイドライン(以下、ガイドライン)」1)が発行されており、眼圧に依存しない評価が利用されている。また、カニクイザルにおける無麻酔下での眼圧測定には事前に測定環境への長い馴化期間を要する2)ことから、より簡便で測定環境に影響されにくく、眼圧に替わる数的な指標による緑内障の判定は有用であると考えられる。このような背景のもと、ガイドラインのカニクイザルへの応用の可能性を検討する第一ステップとして、無処置カニクイザル97匹(♂:48匹、♀:49匹)の両眼194眼のデジタル眼底写真を撮影し、緑内障性変化有無の判定に有効とされる、質的判定及び視神経乳頭陥凹の最大垂直径と最大垂直視神経乳頭径の比(以下、垂直C/D比)3)の計測を行なった。なお、本実験の目的は眼底写真による垂直C/D比を用いた緑内障の判定であったことから、スリットランプのスリット光による視神経乳頭部周囲の凹凸については観察しなかった。その結果、カニクイザルの視神経乳頭は垂直方向に縦長の楕円形であった。視神経乳頭陥凹は視神経乳頭のほぼ中心に位置し、垂直方向にやや縦長の楕円形であった。リムの形状は乳頭の上方及び下方がやや厚いが、全周にわたってほぼ均等であった。垂直C/D比の平均は、雄の左眼で0.56±0.08、右眼で0.55±0.08、雌の左眼で0.59±0.08、右眼で0.60±0.08であった。両眼の垂直C/D比の差は、いずれの動物においても0.00~0.07であり、平均は0.02であった。これらの結果から、緑内障と判定された動物は見られなかった。以上のように垂直C/D比計測の結果、カニクイザルにおける緑内障性変化の判定に本ガイドラインを応用することは可能であると考えられた。
著者
津田 幸穀 福士 純一 松本 光司 佐藤 太志 菊池 克彦 本村 悟朗 井口 明彦 伊藤 康正 岩松 陽一郎 佐本 信彦 泊 真二
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.652-655, 2008-09-25 (Released:2008-11-20)
参考文献数
6

比較的稀な外傷である上腕三頭筋腱皮下断裂を経験したので報告する.症例は69歳女性.二分脊椎に伴う両下肢不全麻痺のため,両松葉杖歩行中,転倒し右肘痛を生じた.近医を受診し,上腕三頭筋腱断裂の診断で当科紹介された.初診時,右上腕遠位に腫脹・圧痛・皮下出血,肘頭近位に陥凹を触知.可動域制限,筋力低下はあるも,肘伸展は可能であった.MRIで三頭筋腱の連続性消失,周囲にT2高信号の浮腫,出血像を認めた.腱縫合術を施行し,肘頭に骨孔を作成し断端を縫着した.術後3週間のシーネ固定を予定したが安静を保てず,術後17日目に再断裂を確認.再度肘頭に縫着し,人工靭帯で補強を行った.再手術後は3週よりROM訓練開始し,術後8週にはROM 20~120°となり,筋力も回復した.上腕三頭筋腱皮下断裂の治療では腱縫合が推奨され,一般に予後も良好である.再断裂の報告は少ないが,慎重な後療法を行う必要がある.