著者
倉田 昌典 菅沼 明 牛島 和夫
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.373-385, 1989-10-16
被引用文献数
6

日本語文章推敲支援ツール『推敲』は,日本語文章ファイルを解析して,推敲に役立つ情報を書き手に提供することを目的としたツールである.われわれは,まずこれを,大型計算機上に開発した.しかし,大型機には使用上の制約があったり,ユーザーインタフェースが十分でなかったりして,文章作成のような個人的な仕事を大型機上で行うのは快適ではない.そこで,『推敲』の機能の強化やユーザーインタフェース向上,そして利用者層の拡大を期して,これをパソコン上で実現した. 『推敲』では,日本語文章の解析に文法解析や辞書を用いず,字面解析を行うことによって,素早い処理を可能にしている.文法解析をしないでも,推敲に役立つ情報をかなり抽出することができる.パソコン版『推敲』は,処理速度の速さと,ユーザーインタフェース設計の自由度が大型機と比べて大きいことも相まって,実用的なツールとなっている.また,『推敲』のコマンドを構成しているプリミティブな処理単位を,基本コマンドとしてユーザーに開放し,ユーザーがそれらを組み合わせることによって,多様な処理を行えるようにしている.
著者
野津 厚 山田 雅行 長尾 毅 入倉 孝次郎
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.4_209-4_228, 2012 (Released:2012-09-28)
参考文献数
40
被引用文献数
1

2011年東北地方太平洋沖地震の際、震源断層に比較的近い宮城県から茨城県にかけての多くの地点で観測された0.2-1Hzの帯域の速度波形は明瞭なパルスによって特徴付けられている。これらの強震動パルスは、構造物に対して影響を及ぼしやすい周波数帯域に現れているという点で、内陸地殻内地震による強震動パルスと共通の特徴を有していると言える。海溝型巨大地震がもたらす強震動パルスも構造物に大きな影響を及ぼす可能性があり、今後、海溝型巨大地震に対する強震動予測、特に耐震設計を目的とする強震動予測を行う場合には、強震動パルスの生成を意識した震源のモデル化を行うことが重要と考えられる。本稿においては、まず、海溝型巨大地震による強震動パルスの生成事例を示す。次に、それらの再現を目的として構築された既往の震源モデルを整理し、強震動パルスを生じたと考えられる領域(強震動パルス生成域)の諸特性と地震規模との関係を調べる。
著者
板倉 陽一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.846-849, 2015-08-15

2015年10月から,マイナンバーが住民票を有するすべての者に通知され,2016年1月から利用が開始される.すべての国民は,マイナンバーの利用から逃れることはできないが,マイナンバーの利用は厳格に規律されており,マイナンバー法に定められていない取扱いを行えば,直ちに違法となる.マイナンバーは①利用しないことが許されず,②取扱いを誤れば違法の評価を受けるものであり,しっかりとした予備知識を持たなければIT技術者にとって非常に危険な地雷となり得る.本稿では,以下,本誌読者が常識として知っておくべき①マイナンバー制度の概要,②施行スケジュール,③必要な準備(制度面),④必要な準備(システム面)を概観することとする.
著者
田島 公 尾上 陽介 遠藤 基郎 末柄 豊 吉川 真司 金田 章裕 馬場 基 本郷 真紹 山本 聡美 伴瀬 明美 藤原 重雄 稲田 奈津子 黒須 友里江 林 晃弘 月本 雅幸 三角 洋一 川尻 秋生 小倉 慈司 渡辺 晃宏 桃崎 有一郎 北 啓太 吉岡 眞之 山口 英男 金子 拓 遠藤 珠紀 原 秀三郎 神尾 愛子 名和 修 名和 知彦 内海 春代 飯田 武彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

東京大学史料編纂所閲覧室で東山御文庫本、陽明文庫本、書陵部蔵九条家本・伏見宮家本など禁裏・公家文庫収蔵史料のデジタル画像約100万件を公開した。高松宮家伝来禁裏本・書陵部所蔵御所本の伝来過程を解明し、分蔵された柳原家本の復原研究を行い、禁裏・公家文庫収蔵未紹介史料や善本を『禁裏・公家文庫研究』や科学研究費報告書等に約30点翻刻・紹介した。更に、日本目録学の総体を展望する「文庫論」を『岩波講座日本歴史』22に発表し、『近衞家名宝からたどる宮廷文化』を刊行した。
著者
山本 景子 橋本 光平 倉本 到 辻野 嘉宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.45, pp.211-216, 2012-05-15

創造的な活動において,制作者は対象に集中して作業を行っているため,その後の活動において有用な情報を付与する機会を失っている.そのため,自身の制作物に対してPVR(Post-Valued Recall)の問題が発生する.この問題を解決するために再発見(re-finding)に効果的なインタフェースを構築する必要があるが,創作の作業自体を妨害しないよう,活動プロセスにおける情報を充実させる必要がある.個人的活動の記録である日記においても,作成時に自身の感情をデータとして付与できれば,後の振り返り時に有用であるが,意図的にそれを行うことは感情の性質から困難である.そこで本稿では,日記作成時のキーボードの打鍵間隔時間から感情を推定する手法を提案する.感情ごとの打鍵情報の特徴を評価した結果,悲しみ・怒り・喜び・諦めの4感情のうち悲しみの感情を約7割の精度で推定することが可能であることがわかった.
著者
藤倉 恵一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.342-347, 2012-08-01
参考文献数
18

図書館においては,個人情報保護法の施行後も個人情報の流出・漏洩や紛失に関する事件・事故は後を絶たず,相当件数が発生している。個人情報の盗難や紛失だけでなく,図書館システムの不備に起因する情報流出事故も発生した。また,名簿などの個人情報を含む資料の扱いは図書館によって大きくゆれており,事件や報道の影響を受けて提供制限や受入停止をするなど図書館の根本的役割を自ら否定するような運用も少なくない。本稿では,図書館業務実務における個人情報保護のあり方について,図書館の基本理念である「図書館の自由に関する宣言」の視点を含めて検討する。
著者
名倉 秀子 長坂 慶子 高野 美幸 大越 ひろ 茂木 美智子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.49-58, 1996-01-15
被引用文献数
7

A questionnaire was designed to inquire the actual conditions of dietary life on the first 3 days of New Years 1986-1992. The data on 1986, 1989 and 1992 were picked out and analyzed by time series analysis in a two-way layout. Four hundred and forty questionnaires of female college students returned 3 years in total. The findings were summarized as follows : 1) The distribution of the numbers of taken dishes from time to time was shifted from 2 peaks to 3 peaks a day as shown by smoothing line. 2) There were no significant differences between yearly variances of staple diets, side dishes and "Shirumono" (a kind of soup) respectively, but significant differences between daily variances of these. Besides these, there were significant differences between yearly variances of drinks and others. 3) There were significant differences between daily variances of "Zoni," "Osechi," and "Toso" respectively. These typical traditional diets were obviously taken more on the first day than the second or third day of New Year. 4) The ratio of dining out of staple diets shifted increasingly year by year and day by day, and the numbers dining out were significantly different between yearly variances and daily variances. 5) The Japanese style dishes of dining in was on the decrease, besides another style dishes was on the increase from first day to third day.
著者
倉原 宗孝
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.64, no.520, pp.255-262, 1999
被引用文献数
21 1

Workshop by a participation has been in a city planning and design in recent years. This workshop is effective method that bring forth an excellent plan and design. By the way I think that workshop is opportunity as community making learnning for the people who are related there. The parpose of this paper is to evaluate the process of the serial workshop for Teine Station renewal project. Through this serial workshop participant's affection and sensitivity toward their living environment was raised, and trust relation between residents and administration raised mutually, and so on.
著者
前倉 俊也 相木 佐代 田宮 裕子 久田原 郁夫 櫻井 真知子 吉金 鮎美
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.177-182, 2023 (Released:2023-07-19)
参考文献数
13

【目的】進行がん患者のせん妄に対するアセナピン舌下錠の有用性について評価する.【方法】2019年10月1日から2022年9月30日までに当院に入院し,せん妄に対する治療としてアセナピン舌下錠を投与された進行がん患者を対象に,その有用性に関して電子カルテを用いて後方視的に調査を行った.せん妄による興奮症状の改善度を評価するためにAgitation Distress Scale(ADS)を用いて評価した.【結果】解析対象となった患者は20例であった.対象となった患者の投与前のADS値の平均値(範囲)は12(4–17),投与後の平均値(範囲)は7.9(0–18),p値<0.001であり投与前後で有意な低下が認められた.【結論】アセナピン舌下錠はせん妄に対する薬物治療の選択肢の一つとして有用な可能性が示唆された.
著者
笹倉 秀夫
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.1-49, 2020-03-20
著者
今井 雄太 肌勢 光芳 内橋 基樹 入江 大介 倉田 博之 中原 祥文 中村 隆志
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1476-1482, 2010 (Released:2012-04-24)
参考文献数
14

症例は71歳, 男性. 左冠動脈前下行枝閉塞による急性心筋梗塞で入院し, 第6病日に右冠動脈の残存病変に対して待機的に経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行した. 右冠動脈近位部へのステント留置直後より心電図上V1~2においてcoved型ST上昇をきたし, 造影ではステントでjailされた円錐枝の閉塞を認めた. そのほかの血管に造影遅延や閉塞はみられなかった. ST上昇は持続していたが, 胸痛がなく小血管であったため治療を終了した. 帰室約1時間後に突然, 心室細動(ventricular fibrillation; VF)を発症したが, 迅速な蘇生術により心拍は再開し, 第24病日に独歩退院した.近年, 右室流出路(right ventricular outflow tract; RVOT)を灌流する冠動脈円錐枝の単独虚血によりBrugada症候群に極めて類似した心電図変化が出現することが報告されている. 今回, われわれは冠動脈円錐枝の閉塞によりBrugada型心電図とそれに続く致死性不整脈を発症した症例を経験した. 右冠動脈近位部に対するPCI時には, 冠動脈円錐枝にも注意を払い, 右側胸部誘導のST上昇をきたした際には, 催不整脈性を示すRVOTの虚血が不整脈を誘発するリスクが高いことを念頭に置き, 心室性不整脈の発生にも十分注意すべきである.
著者
倉田 忠男
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.207-213, 1983-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
23
被引用文献数
2
著者
名倉 卓弥 秋山 英三
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.B-N11_1-9, 2023-07-01 (Released:2023-07-01)
参考文献数
28

Communication through SNS (Social Networking Services) and function of SNS platform can cause two phenomena polarization and echo chambers. In previous study [sasahara 21] about the communication on SNSs regarding a single topic, it has been shown that there is a correlation between these two phenomena and also that SNS functions facilitate the occurrence of these phenomena. In this study, focusing on the fact that real SNS users often deal with multiple topics on a daily basis, we analyzed an agent-based model of SNS communication regarding multiple topics. The analysis revealed that polarization of opinions occurs even when the number of topics increases but that echo chambers are less likely to occur as the number of topics increases. We have also found that there is little correlation between polarization and echo chamber under the condition with more than certain number of topics. Additionally, some functions of SNS such as user recommendations and reposts was found to facilitate echo chambers regardless of the number of topics. This result implies that the findings of previous research are robust even in multiple topics environment. These results suggest that topic diversity and function of SNS platform amendment may be a means of reducing the occurrence of echo chambers. In this model, we cannot take into account the impact of an individual’s interest in a specific topic on such as unfollowing behavior. In future research, we should expand our model to implement these user’s real behavior.
著者
赤峰 生朗 大高 亜生子 保倉 明子 伊藤 勇二 中井 泉
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.863-871, 2010 (Released:2010-12-21)
参考文献数
17
被引用文献数
9 12

実験室レベルで高感度な分析が可能な三次元偏光光学系蛍光X線分析装置を用いて,コーヒー豆の微量元素を定量し,統計解析を行った.産地判別に有用な元素を明らかにし,簡易・迅速な産地判別法として確立することを目指した.産地の指標となる6元素(Mn,Fe,Ni,Rb,Sr,Ba)を高感度に分析するために測定条件を最適化した結果,各元素において直線性のよい検量線を作成することができ,各元素の検出限界は,サブppmレベルとなった.コーヒー生豆75試料中の6元素を定量し,主成分分析を行った結果,6産地(ブラジル,コロンビア,ベトナム,インドネシア,タンザニア,グアテマラ)の生豆を特性化することができた.また,同ロットの生豆と焙煎豆の各元素濃度を比較した結果,これらの6元素について大きな差は見られなかったため,今回の産地判別手法における焙煎の影響は小さいことが分かった.本手法では,試料の前処理は10分程度,測定時間は2時間30分であり,自動連続測定が可能であることから,簡易・迅速な実用性の高い分析手法として,コーヒー豆の産地判別への応用が更に期待される.