著者
新倉 貴仁
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.86, pp.143-160, 2015-01-31

In 1952, the Treaty of San Francisco ended the Allied occupation of Japan, and it was during the same year that the Japan Society for Journalistic Studies-predecessor of The Japan Society for Studies in Journalism and Mass Communication-first published the Japanese Journalism Review. As the subtitle of this journal, "Devoted to Research Studies in the Field of Mass Communication" showed, postwar Japanese society began with the formation of mass communication studies and a mass society. The purpose of this article is to shed light on the introduction of automation technology into postwar Japanese society through a historical analysis of discourses collected from publications from that period. As new technological innovations were made during World War II, automation was an industrial and technological condition for forming a mass society in postwar Japan. Furthermore, automation technology accompanied the concept of business administration, and it promoted the dissemination of the notion of management among not only business leaders but also academic intellectuals. First, the formation of a consumer society is reconsidered regarding management through business computing, one of the essential aspects of automation technology. Second, the historical process of the spread of automation technologies among postwar Japanese society is described. This includes the establishment of the Japan Productivity Center, the installation of IBM's circulators, and the outset of the research and development of nuclear energy. Finally, the ideological significance of automation technology among academic intellectuals such as Maruyama Masao is revealed by tracing how the issues of organization and productivity are accepted and focused upon. Automation technology in postwar Japanese society has been discussed less than its real effects on society. In other words, this article may contribute by adding a new facet to the previous discourse on postwar Japanese society.
著者
佐倉智美著
出版者
現代書館
巻号頁・発行日
2006
著者
田中 光太郎 高橋 けんし 戸野倉 賢一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.78, no.789, pp.1003-1007, 2012 (Released:2012-05-25)
参考文献数
7

A near-IR laser based spectrometer for continuous measurement of stable carbon isotopes in CO2 has been developed. 12CO2 and 13CO2 are detected with wavelength modulation spectroscopy and a Herriott-type multi-pass cell with a optical path length of 29.9 m using a distributed feedback laser diode in the 2-μm wavelength region. To measure the isotope ratio precisely, the influence of pressure and temperature variation in δ13C was evaluated. The limit of detection for 12CO2 in our system was 16 ± 1 ppbv. The precision in the determination of δ13C was 0.1‰ for 120 seconds signal integration time at ambient concentration levels. We demonstrate that our system enables automated continuous measurements of δ13C of CO2 in ambient air without any complex operation by users.
著者
倉持 利明 北 潔
出版者
国立科学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

芽殖孤虫とはヒトの芽殖孤虫症を引き起こす幼条虫に対して与えられた名称であり、Ijima(1905)による発見以来世界から14症例が報告されている。芽殖孤虫および芽殖孤虫症のきわだった特徴は、この幼条虫がヒト体内で無秩序な分芽増殖を起こし、あらゆる臓器組織に侵入することにあり、上記14例のいずれもが死亡例である。芽殖孤虫はこの医学的な重要性にもかかわらず成虫が見出されていないばかりか、自然界における終宿主や中間宿主等の生活史は知られていない。マンソン裂頭条虫は、その幼条虫がヒト体内で様々な程度の幼虫移行を主徴とするマンソン孤虫症を引き起こすことから、古くから芽殖孤虫との類縁性が検討されてきたが、NADH脱水素酵素サブユニットIII遺伝子を解析した最近の研究によれば、芽殖孤虫はマンソン裂頭条虫と近縁ではあるが、同遺伝子の塩基配列は両者で異なることを示した。そこで本研究は芽殖孤虫の種の決定を最終目標に、裂頭条虫科条虫の分子系統解析を行った。はじめに芽殖孤虫、マンソン裂頭条虫、日本海裂頭条虫(裂頭条虫科)シトクロームc酸化酵素サブユニットI遺伝子について配列決定し、円葉目条虫を含めた系統解析を行った。その結果芽殖孤虫はマンソン裂頭条虫との類縁性を示しつつ、擬葉目条虫に含まれることが明らかとなった。続いて野外調査を通して得られた海棲哺乳類由来の海産裂頭条虫6種を解析に加え、芽殖孤虫と一致する配列を持つ種、あるいはより近い類縁性を示す種の検索を試みた。海産裂頭条虫は芽殖孤虫、マンソン裂頭条虫とは異なったクラスターに配置されこの試みは成功しなかったが、この両種と海産裂頭条虫とは早期に分岐したこと、さらに両種間の遺伝的な距離は、他の海産裂頭条虫種間の距離に匹敵もしくはむしろ遠いことが示された。これらは芽殖孤虫が淡水域を起源とする裂頭条虫に由来するものであり、またマンソン裂頭条虫とはおそらく異なる種に含まれることを示唆している。
著者
藪原 明彦 下島 圭子 保倉 めぐみ 石田 武彦 川合 博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.494-501, 2004-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

1969年にイネ花粉嘱息について報告されたが,現在はイネ花粉のアレルギー発症への関与は少ないと理解されている.8月上旬に喘息または鼻結膜炎症状を認めた小児のアレルゲン感作状況と居住地を検討し,原因抗原として推測されたイネ花粉に対する特異IgEを測定した.対象は気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎/結膜炎の小児88例(男57例,女31例,8.5±2.9歳)で, 8月上旬に症状を認める群(21例)と認めない群(67例)とに分けて比較検討した.症状を認める群ではカモガヤ花粉に対する感作陽性率が高く(81%,P=0.008),水田地帯に居住する症例が多かった(86%,P<0.001).8月上旬はイネ花粉の飛散時期に一致するため,同時期に症状を認めた8例においてイネ花粉特異IgEを測定したところ,全例が陽性であった.また,イネ花粉とカモガヤ花粉を用いたRAST抑制試験からは両者に一部共通抗原性があるものの,イネ花粉に特異な抗原部位が存在することが示唆された.以上から,水田地帯で8月上旬のイネ花粉飛散時期にみられるアレルギー症状の発現に,イネ花粉が原因抗原として関与していると考えられた.

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著者
矢野 寿文 渡辺 千典 紫雲 千鶴雄 赤祖父 辰夫 鳥栖 四郎 佐藤 俊一 佐藤 久 寺田 義久 末広 正己 倉山 俊 村尾 尚彦 岩沢 栄 河口 琢逸 岸 功 須賀 清勝 川内野 隆 渡部 稔 立山 正 久保 藤雄 武安 義勝 木村 伊和夫 安永 哲雄 野見山 栄 野上 辰之助
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.74, no.843, pp.669-714, 1958-09-25 (Released:2011-07-13)

One of the essential problems of the Japanese coal mining industry is how to elevate its productivity. This is why we have been exerting ourselves to proceed concentration of working places.places. It goes without saying that the most important way to concentrate working places is to improve transportation services.This report was intended to show recent development of transportation equipment in and out of Japnanese coal mines. It will also give a forcast what type of development in future.All the transportation equipment which are refferrel to in this report show the top level techniques of this country.As a whole, it may be said that the Japanese transportation devices have been taking and will eakea straight way toward larger scale and automation running.
著者
鎌田 東二 島薗 進 津城 寛文 河合 俊雄 永澤 哲 井上 ウィマラ 鶴岡 賀雄 野村 理朗 倉島 哲 稲葉 俊郎 古谷 寛治 奥井 遼 林 紀行 町田 宗鳳 棚次 正和 篠原 資明 齋木 潤 金 香淑
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本科研研究プロジェクトは、「こころの荒廃」から抜け出るための手がかりを瞑想や修行や儀礼や芸能などの「身心変容技法」という宗教的リソースに求め、その意味・意義・機能・はたらき・諸相を明らかにしようとするものである。2017年度は、9回の定例公開研究会(第56回身心変容技法研究会~第63回身心変容技法研究会)、2回のフィールドワーク(2017年5月の東北被災地追跡調査(第12回目目)と2018年2月の天河大辨財天社の鬼の宿・節分祭・立春祭調査)、多摩美術大学芸術人類学研究所との特別合同シンポジウム「大地の記憶を彫る」、毎月1度の定例分科研究8「世阿弥研究会」を行ない、その成果をHP:http://waza-sophia.la.coocan.jp/と、2018年3月発行の科研成果報告書『身心変容技法研究第7号』(全272頁)に掲載し、社会発信した。そこで問いかけた諸問題は、①オウム真理教事件を事例とする霊的暴力や魔や悪魔の問題、②身心変容(技法)と芸術・芸能との関係、③身心変容(技法)の科学、④身心変容(技法)の哲学、⑤身心変容(技法)と教育、⑥身心変容(技法)と聖地ないし場所などなどの諸問題である。こうして、「身心変容(transfomation of body & mind)」や「霊的暴力(spiritual violence)」や「霊的虐待(spiritual abuse)」の概念を明確にしつつ、その負の局面を分析・考察した。カトリックや禅や瞑想「悪魔」や「魔境」やバランスの崩れの問題を問いかけるとともに、縄文時代の身心変容や古代の洞窟(洞天)が果たした象徴機能や役割やそこにおける諸種の身体パフォーマンスについて考察の目を向け、理論的研究と事例的研究と認知神経科学的な実験的研究の突合せと整理を行ない、認知神経科学における「畏怖・恐れ」の問題の実験的研究に一歩踏み込んだ。
著者
鎌倉 幸子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.300-305, 2014-08-01

ファンドレイジングは資金調達をするだけではなく,支援者と受益者とをつなぎフレンドレイジングをする貴重なツールとなる。その間にいる架け橋がファンドレイザーの役割だと考える。ファンドレイジングは闇雲に実施しては非効率である。シャンティ国際ボランティア会は,限られた時間や人材というリソースの中で,効率的に管理,運営するためにドナーピラミッドを活用している。団体を知らない人たちに認知してもらうことが最初の一歩となる。支援者の負担が少ないメールマガジンの登録から,イベント参加,物品の寄贈,単発寄付,マンスリーサポーターのような継続寄付,大口寄付とドナーピラミッドの底辺から頂点までステップアップしていくためのプログラムを紹介する。
著者
酒井 由紀子 國本 千裕 倉田 敬子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.82-95, 2015-06-30 (Released:2017-04-30)

目的:本研究の目的は,日本における健康医学情報の探索行動の実態を明らかにすることにある。方法:2013年11〜12月に戸別訪問質問紙留置調査を実施し,全国の15〜79歳の男女1,200人から回答を得た。2008年調査との比較も含め結果を分析した。結果:有効回答1,197人の内48.0%が過去2年間に実際に健康医学情報を探していた。探索主題として5割を超えたのは,病気(77.2%)と医師や病院(56.3%)である。情報源は,インターネット(58.7%)が医師(53.4%)を上回った。得られた情報の影響は「安心感を得た」(46.2%)が最も多い。「医学論文を読みたい」という回答はやや減少したが,英語と日本語,有料と無料を合わせ49.2%であった。結論:インターネットの利用の割合は増えたが,健康医学情報を探索する人の割合は変わらなかった。医学論文が一般の人々の情報源となる可能性も,引き続き示唆された。
著者
坂倉 裕治 SAKAKURA Yuji 隠岐 さや香 OKI Sayaka 松波 京子 MATSUNAMI Kyoko
出版者
名古屋大学附属図書館研究開発室
雑誌
名古屋大学附属図書館研究年報 (ISSN:1348687X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.13-17, 2018-03-31

The original edition of Jean-Jacques Rousseau's Émile, published in duodecimo by Duchesne and preserved in the Nagoya University Library, does not contain leaf P, which should be placed at the end of the third volume, and leaf V, which should be placed at the end of the fourth volume. These sheets were inserted at the last moment of printing. It was the errata and the privillège. These sheets are missing in the copy annotated by Rousseau himself, now preserved in the Geneva Library. In addition, some manual inscriptions found in the copy held by Nagoya University suggest that this copy was offered to Alfred-Auguste Cuvillier- Fleury(1802-87) by Louis Bonaparte, Earl of Saint-Leu(1778-1846), father of Napoleon III, in 1820 in Florence, where Cuvillier-Fleury worked as a secretary for Earl of Saint-Leu.
著者
満倉 靖恵 神崎 晶 浜田 望
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

耳鳴りの音を外部から推定することは困難である.耳鳴り患者は医師にその音を"キーン","ジイジイ"と鳴る,などの表現で伝えるが,医師にその音は判らない.これまではピッチマッチ法装置を用いて音の推定を行って来たが,ピッチマッチ法は病院のみで扱える特殊機械であり,音が日によって変化する耳鳴りを正確に知る方法としては相応しくなかった.そこで本研究課題では,簡易に計測できる脳波計を用いてスマートフォン上で取得した脳波を用いて耳鳴り音の特定を行うことを第一の目的とした.また,耳鳴り音として聞こえている周波数の逆位相を持つ音を出すことで,耳鳴りを軽減することができるかどうか,検証する事を第二の目的とした.
著者
林 衛 加藤 和人 佐倉 統
出版者
裳華房
雑誌
生物の科学 遺伝
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.30-34, 2005-01

科学コミュニケーションとは何か,それがいままでの「科学普及」や「科学啓蒙」とどう違うのか,なぜその概念が有効なのか,とくに生命科学でこれを考えることの意味をさぐるのが,本特集のねらいである.科学をいままで以上に深く考え楽しみながら,専門家と非専門家,あるいは一般市民がつながりをもって社会の中に本当に必要な科学を育んでいけるようになるために,いま双方向・多方向の科学コミュニケーションが求められている.そのためには,情報を共有し,交流をしながら,研究者も一般市民も同時に高まっていけるしくみが必要だ.
著者
倉 真一
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-15, 2012-03-02

本稿では、紀元二千六百年奉祝の一環として、1940年に大阪・枚方遊園で開催された「肇国聖地日向博覧会」(日向博)をとりあげる。日向博はこれまで言及されることがほとんどない、いわば忘却された博覧会であるが、残された資料をもとに考察した結果、以下の点が明らかになった。第一に、紀元二千六百年奉祝事業をめぐる地方間、新聞社間、鉄道会社間の競争と対抗関係から、宮崎県一大阪毎日新聞一京阪電鉄の間に連携が生じ、この連携のなかで同博覧会が開催されたこと。第二に、同博覧会は「聖地巡拝」という名の観光(聖蹟観光)をテーマとしており、それは「肇国の聖地・日向」の立体パノラマによるスペクタクル化によって表象され、都市中間層を聖蹟観光に動員しようとするものであったこと。第三に、「おきよ丸」による神武東遷の再現航海事業と日向博が結びつけられていたこと。その背景には、ともに神話あるいは肇国の聖地のスペクタクル化であるという両者の共通性が存在すること。第四に、日向博における都市中間層の動員、「聖蹟観光」における皇室ブランドの活用などは、戦後の宮崎観光(新婚旅行ブーム)に姿を変えて引き継がれていった可能性が示唆されたこと。