著者
倉沢 郁子 Ikuko Kurasawa
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
no.29, pp.57-64, 2019

本稿は、留学生のメンタルヘルスの維持・向上のために、どのような支援ができるかを語学教師の視点から考えるものである。まず本学、関西外国語大学の留学生の受け入れに関する状況と体制を振り返り、留学生に精神的・身体的に何か不調をきたした時の「介入」の考え方、留学生の不適応の特徴、留学生の特殊性を先行研究から概観する。そして語学教師としてどのような支援ができるのか、「つなぐ」役目の理解、エンパワメントとしての環境づくり、そしてポートフォリオの活用について言及した。
著者
竹中 英紀 倉沢 進
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.36, pp.p5-23, 1989-03

本稿では,東京・練馬区光が丘パークタウンで実施した調査結果を素材として,大規模ニュータウンにおける<住宅階層>の問題について論じた。主なファインデイングスは次の通りである。第1に,所得の不平等を住宅の平等化として是正するはずの公的住宅政策は,階層的区分を誰の目にも見えるように「空間化」することによって,あらたな差別の形態を生み出している。第2に,このことによる居住者の相対的な均質化と相互隔離が,各住宅階層に固有な<生活様式>の下位類型分化を促進する作用をおよぼしている。そして第3に,地位や生活水準の格差のみならず,こうした生活様式の異質性が,ニュータウンにおける社会的葛藤・紛争を生起させる大きな要因となっている。
著者
川上 宏之 天倉 吉章 堤 智昭 佐々木 久美子 池津 鮎美 稲崎 端恵 久保田 恵美 豊田 正武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.258-263, 2010-10-25 (Released:2010-11-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2

天然/畜養クロマグロおよび畜養ミナミマグロの赤身,中トロおよび大トロのダイオキシン類および総水銀を分析し,部位,畜養/天然および種差について検討した.検討の結果,ダイオキシン類濃度は,脂質含有量との間に正の相関が見られ,部位別濃度は赤身<中トロ<大トロであった.クロマグロは,畜養と天然産で差がなく,畜養ミナミマグロに対して約2~10倍ほど高い値を示した.総水銀濃度は,脂質含有量との間に負の相関を示し,部位別濃度は赤身>中トロ>大トロであった.畜養クロマグロの総水銀濃度は,天然産と同レベルの蓄積であったが,畜養ミナミマグロの約2~3倍高い値を示した.
著者
棚次 亘弘 成尾 芳博 倉谷 健治 秋葉 鐐二郎 岩間 彬
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-106, 1983-03

The Institute of Space and Astronautical Science (ISAS) has developed the two thrust level of LH_2/LOX propulsion system; one is the 7-ton thrust level one and the other is the 10-ton thrust level one. The 7-ton thrust level engine was aimed at usimed at using for the second stage of the Mu vehicle. And the 10-ton thrust level engine is planned to back up the H-1 project being performed by the National Space Development Agency (NASDA). The both engines are the gas generator cycle which consists of the tubular wall thrust chamber, the "ISAS Arrangement" turbopump, the "reverse-flow" type gas generator and the solidpropellant turbine spinner. The development of the 7-ton thrust level engine has started in 1976. By 1980 have almost finished the development tests of its major components. In early 1980 the engine system has been integrated and then the verification tests have been carried out. On the other hand, the development study of the 10-ton thrust level engine started in 1979. In midyear 1981 the engine system has been completed. The both engines were combined with the battle-ship type of tank system, and stage firing tests were carried out successfully from Sep. 1981 through Apr. 1982. The 7-ton thrust level engine worked well within the range from 78% to 1l8% of its rated power. And the 10-ton thrust one worked well within the range from 75% to ll3%. In the present paper, an outline of the LH_2/LOX engine systems developed in ISAS, the progress in the establishing of an operation of engine systems and the performance capability of two systems are described.
著者
本 秀紀 愛敬 浩二 森 英樹 小澤 隆一 植松 健一 村田 尚紀 木下 智史 中里見 博 小林 武 上脇 博之 奥野 恒久 近藤 真 植村 勝慶 倉持 孝司 小松 浩 岡田 章宏 足立 英郎 塚田 哲之 大河内 美紀 岡本 篤尚 前原 清隆 中富 公一 彼谷 環 清田 雄治 丹羽 徹 伊藤 雅康 高橋 利安 川畑 博昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

比較憲法研究・憲法理論研究を通じて、(1)先進諸国が「ポスト・デモクラシー」という問題状況の中でさまざまな問題を抱えていること、(2)各国の政治状況・憲法制度の差異等が原因となって、その問題の現れ方には多様性があること、の2点が確認された。そして、「ポスト・デモクラシー」の状況の下で国内・国際の両面で進行する「格差社会」化の問題は、今日の憲法制度・憲法理論において有力な地位を占める「法的立憲主義Liberal Democracy」の考え方では、適切・正当な対応をすることが困難であることを明らかにした。以上の検討を踏まえて、民主主義をシリアスに受け止める憲法理論の構築の必要性が確認された一方、「政治的公共圏」論を抽象論としてではなく、(日本を含めた)実証的な比較憲法研究との関連において、その意義と問題点を検討するための理論的条件を整備した。
著者
倉橋 愛
出版者
日本南アジア学会
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.29, pp.124-143, 2017-12-31 (Released:2018-10-31)
参考文献数
17

フォート・ウイリアム・カレッジ(FWC)は、1800年にインド総督ウェルズリー(Richard Wellesley, 1760-1842)によって、カルカッタ(現コルカタ)に設立された。このカレッジの目的は、インドの政府機関に配属される予定のイギリス東インド会社若手官吏に、インド統治業務に必要な教育を行うことであった。しかし、会社取締役会からの反対を受け、FWCは最初の5年程で、その規模を縮小せざるを得なくなった。 縮小命令後も開講が許されたのは、インド諸語科目であった。特に、ペルシア語とヒンドゥスターニー語が、FWC内では重視された。ベンガル語は当初重視されていなかったが、学生の関心が高く受講者も多かった。また、アラビア語はペルシア語やイスラーム法の研究のため、サンスクリット語はインドの伝統的な思想を学ぶ上で不可欠であるとして、教育が続けられた。 FWCは、縮小命令を受けながらも約半世紀の間存続した。教育内容がインド諸語のみに制約されながらも多くの官吏を輩出したことは、FWCが残した功績の一つであると言える。
著者
大河内 勇 大川畑 修 倉品 伸子
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.125-129, 2001-05-16
被引用文献数
3

道路側溝への両生類の転落死は両生類減少の一因として問題とされている。それを防止するために, 簡易な後付けスロープ型脱出装置をつけた場合の効果, 脱出装置の改良方法を調べた。スロープ型脱出装置をつけた場合, アズマヒキガエルでは側溝からの脱出数が多くなるという効果がみられたが, ニホンアカガエルでは装置がなくともジャンプによる脱出が可能なため効果はわからなかった。脱出装置は, 一部の種とはいえ効果があるので, 道路側溝につけるべきである。移動力の弱いアズマヒキガエルの幼体を用いた脱出装置の改良実験では壁面の角度が30度以下になると, 壁面が乾燥条件でも全個体脱出できた。これらから, 100%脱出可能な側溝は, 角度が30度より浅いV字溝になることを示した。

5 0 0 0 OA 日本古刻書史

著者
朝倉亀三 編
出版者
朝倉亀三
巻号頁・発行日
1909

5 0 0 0 OA 栄花物語

著者
名倉煕三郎 校
出版者
図書出版
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1891
著者
根本 裕太 倉岡 正高 野中 久美子 田中 元基 村山 幸子 松永 博子 安永 正史 小林 江里香 村山 洋史 渡辺 修一郎 稲葉 陽二 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.719-729, 2018-12-15 (Released:2018-12-27)
参考文献数
35

目的 本研究では,若年層(25-49歳)と高年層(65-84歳)における世代内/世代間交流ならびにそれらの組み合わせと精神的健康との関連について検討することを目的とした。方法 2016年に地域住民を対象とした質問紙調査を実施した。有効回答を得た若年層3,334人(回収率24.6%)および高年層3,116人(回収率46.0%)を本研究の解析対象者とした。精神的健康については,WHO-5を用いて,合計点数が13点未満もしくはいずれかの設問に対し1点以下の回答をした者を「不良な健康状態」と判定した。世代内/世代間交流については,親族や仕事関係の人を除いた者との交流頻度を調査した。若年層においては「20-40代」,高年層においては「70代以上」との交流を「世代内交流」,若年層における「70代以上」,高年層における「20-40代」との交流を「世代間交流」とした。また,これらの組み合わせとして両世代との交流がある者は「両世代交流あり」,両世代とも交流がない者を「交流なし」とした。統計解析においては,精神的健康を目的変数,世代内/世代間交流を説明変数,性別,年齢,最終学歴,婚姻状態,同居者,主観的経済状況,地域活動への参加,就労,健康度自己評価,手段的日常生活動作能力を調整変数としたロジスティック回帰分析を行った。結果 若年層3,334人のうち,精神的健康が良好な者が61.5%,「世代内交流あり」は51.3%,「世代間交流あり」は21.9%,「両世代交流あり」が16.5%,「交流なし」が42.7%であった。一方,高年層3,116人のうち,精神的健康が良好な者は65.8%,「世代内交流あり」は67.9%,「世代間交流あり」は34.3%,「両世代交流あり」は29.9%,「交流なし」は21.1%であった。ロジスティック回帰分析の結果,いずれの世代においても「世代内交流あり」,「世代間交流あり」は交流していない者と比較して精神的健康状態が良好であった。世代内/世代間交流の組み合わせと精神的健康との関連では,両世代において,「世代内交流のみ」と比較して「交流なし」は精神的健康が有意に劣り,「両世代交流あり」は良好であることが示された。結論 若年層と高年層において世代内交流ならびに世代間交流が良好な精神的健康と関連し,両世代と交流している者はさらに精神的健康が良好であることが示唆された。