著者
栗田 多喜夫 加藤俊一 福田 郁美 坂倉 あゆみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.1373-1383, 1992-11-15
参考文献数
28
被引用文献数
180

利用者の主観を反映させた印象語からの絵画データベースの検索法を提案する。「ロマンチックで暖かい」というような視覚的印象は 利用者の好み 文化的背景などの違いにより個人ごとに異なっていると考えられるので そうした要求からの検索を実現するためにはシステムはその利用者にとって「ロマンチックで暖かい」とはどういうことなのか評価できなければならない.このとき データベースに蓄えられるすべての絵画に対して 利用者ごとの主観的属性をあらかじめ登録することは困難である.本積では 各利用者に学習用の絵画に対して印象語を付けてもらい その結果から正準相関分析により印象語と画像特徴との相関関係を学習し それを検索に利用する方法について述べる.各利用者の印象語と画像特徴との主観的態対応関係を学習しておくと 印象からの検索はもちろん 類似画検索や未知の絵画に対して印象語を推定することなども可能となる.印象派の絵画を対象とした画像データベースに対して 提案した手法による検索実験を行い良好な結果が得られた.
著者
山崎 雅英 朝倉 英策 尾崎 由基男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.2974-2982, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1

凝固・線溶系血液検査は出血性素因・周術期止血管理とともに,日本人の死因の1/3を占める血栓症の早期発見・治療において重要である,凝固時間の延長が見られる場合には,クロスミキシング試験をおこない,凝固因子欠乏と循環抗凝血素の鑑別を行う.凝固・線溶活性化の最も簡便な指標はFDP,D-ダイマーであり,これらが異常高値を示した場合にはTAT,PICなどの分子マーカーを測定することにより病態解析が可能である.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断にはADAMTS-13活性測定が有用である.
著者
飯倉 洋一
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.24-35, 2012-10-10 (Released:2017-12-29)

かねてより、私は、近世文学の一領域として「奇談」を提案してきた。もちろん、私の提案に対して、反対の意見もある。反対意見へのコメントを含めて、あらためてこの問題を考えたい。とくに「奇談」における語り(咄)の場の設定について検討し、あわせて、近世仮名読物史に「奇談」という領域を仮設することの意義を述べる。
著者
松永 康生 神田 径 高倉 伸一 小山 崇夫 齋藤 全史郎 小川 康雄 関 香織 鈴木 惇史1 4 木下 雄介 木下 貴裕
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

草津白根山は群馬県と長野県の県境に位置する標高2000mを越える活火山であり、その山頂部は2つの主要な火砕丘で構成されている。そのうち、北部に位置する白根山では、火口湖である湯釜を中心に活発な活動が観測されていることから、これまで地球化学的研究を中心に様々な研究が行われてきた。一方で、白根山の2kmほど南に位置する本白根山では、歴史時代に火山活動が観測されていないこともあり、幾つかの地質学的な研究を除いてほとんど研究されておらず、地下構造や火山熱水系については不明な点が多い。たとえば、本白根山の山麓には草津温泉、万代鉱温泉、万座温泉など湧出量が豊富な温泉が分布し、それらの放熱量は湯釜周辺からのものを大きく上回ることが知られているが、熱の供給源の位置については未だに不明である。また、本白根山は1500年前にマグマ噴火が起こったことが最近の地質学的研究で明らかにされたものの、マグマ溜まりの状態・位置についてはほとんど分かっていない。本白根山における噴火の発生可能性を議論する上でも、本白根山周辺のマグマ熱水系を解明することは重要である。そこで本研究では、白根山南麓を含む本白根山周辺の23点において広帯域MT観測を行い、地下比抵抗構造の推定を試みた。MT法は電磁気探査手法の一つであり、地下のメルトや熱水など高導電物質に敏感であるため、マグマ溜まりや熱水系の観測に適している。MT法データの3次元解析によって得られた最終モデルから、白根山から本白根山の地下1-3kmにかけて低比抵抗体が広がっていることがわかった。この上部に火山性地震の震源が分布することから、この低比抵抗体は流体に富んだ領域であり、ここから流体が浅部へと上昇し、地震を引き起こしていると考えられる。先行研究において、山麓温泉(草津温泉、万代鉱温泉、万座温泉)は、高温火山ガスと天水が混合してできた初生的な温泉水が、分別過程を経ずに湧出したものであると解釈されていること、この低比抵抗体の他に目立った火山性流体の存在領域が見られなかったことから、本研究ではこれを山麓温泉の流体供給源と考え、以下のようなモデルを提案する。(1)低比抵抗体の下深くには何らかの熱源が存在し、上部に熱と流体を供給する。(2)熱の供給を受けた低比抵抗体内の流体は山頂下へと上昇し、火山性地震を発生させる。(3)流体の一部は断層に沿って本白根山の東斜面へと上昇し、表層に変質領域を形成する。(4)この流体と天水が混同してできた温泉水は東斜面の溶岩中を流れ下り、万代鉱温泉、草津温泉として湧出する。一方、本白根山の直下では、マグマの存在を示すような特徴的な低比抵抗体は解析されなかった。しかし、現状では深部構造を詳細に議論できるほど測定・解析精度が十分ではないので、今回の解析結果からは火山直下にマグマ溜まりが存在しないと結論づけることはできない。今後、マグマ熱水系の推定精度を向上させるため、追加の観測やシミュレーションを実施していきたい。
著者
塩崎 一紀 籏谷 広司 嶋倉 一實 横山 真太郎
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成17年 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1633-1636, 2005-07-25 (Released:2017-08-31)

The present study describes improvement methods for indoor microbial contamination in urban public facilities. We investigated the effects of low concentration of hypochlorous acid water on influenza virus with the tissue culture infectious dose 50 (TCID-50) assay using Caco-II cells and hemagglutination test. And experiment of applying system reducing airborne microbe to a primary school is introduced. Experimental results showed the validity on improvement of both relative humidity and airborne bacteria and fungi. In addition bactericidal effects of low concentration of hypochlorous acid water against Legionella bacteria in hot spring water as well as in distilled water are demonstrated.
著者
高倉 祐樹 大槻 美佳
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.226-237, 2021-12-25 (Released:2022-01-12)
参考文献数
77

Ardilaの新しい失語症分類に対する有用性の検討を軸として,失語症に関する最近の知見について概説した.失語症分類については,従来のカテゴリー的な分類を解体し,発話運動・音韻・意味などの言語システムを構成する要素的症候に基づいて,多次元的に病像を捉える方法が有用であることを指摘した.評価法については,課題の正答率ではなく,「誤り方」から障害パターンを分析する新たな検査(Mini Linguistic State Examination:MLSE)の開発が進んでいることを紹介した.最後に,オープンサイエンスとAI(artificial intelligence)時代の失語症研究においては,失語症の症候学の重要性はむしろ増大していることを指摘した.
著者
倉橋 耕平
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.153-171, 2009-01-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
19

Our concern i s to examine i ssues relating to the falsification of the NHK televisionprogram“ ETV 2001” broadcasted on Jan. 30, 2001. But here we limit ourdiscussion to the matter of press freedom. The judgment each pronounced bythe Supreme Court and the Tokyo High Court i llustrate the point. The formertook account of“ the freedom of expression” i ndemnified by the Constitution ofJapan, the latter condemned an i llegality of NHK for dereliction of i ts duty as acorporate body. It i s clear that there are substantial discrepancies betweenthem i n the concept of freedom.
著者
原田 朋佳 山野 希 北尾 陸将 横山 大輔 増田 泰之 足立 厚子 嶋倉 邦嘉 千貫 祐子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.132, no.10, pp.2339-2350, 2022-09-20 (Released:2022-09-20)
参考文献数
21

獣肉アレルギー患者10例を対象に抗原検索を行い臨床的特徴をまとめた.方法:問診にて病歴,ペット飼育歴やマダニ咬傷歴,居住地を含む患者背景,臨床症状を確認し,プリックテストおよび抗原特異的IgE検査,ウエスタンブロット法による血清学的解析を行った.結果:10例中7例はgalactose-α-1, 3-galactoseによる獣肉アレルギー,2例はハムスターまたはネコ被毛に感作されたpork-cat syndrome,1例はコラーゲンを原因抗原とし,獣肉のみならず鶏や魚にも反応した稀な症例であった.
著者
大倉 比呂志
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.828, pp.2-10, 2009-10-01
著者
三津家 貴也 辻 俊樹 鍋倉 賢治
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.18040, (Released:2019-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

An individual’s anaerobic capacity is evaluated in terms of the maximal accumulated oxygen deficit in the supramaximal test. The present study was conducted to validate the method used for evaluation of anaerobic capacity using an index calculated from the aerobic test (a submaximal test conducted 5 or 6 times in 3-minute stages and a maximal test of 4-6 minutes). Seventeen well-trained Japanese middle- and long-distance runners including elite athletes participated in the aerobic test on one day and in the supramaximal test of 2-4 minutes on another day. The mean accumulated oxygen deficit in the maximal test was 30.6 ± 10.0 mlO2/kg, and the mean maximal accumulated oxygen deficit in the supramaximal test was 55.7 ± 16.1 mlO2/kg. There was a significant positive relationship between accumulated oxygen deficit and the maximal accumulated oxygen deficit (r=0.82, p<0.001). A stronger positive relationship between the above 2 parameters was evident in 10 middle distance runners (r=0.94, p<0.001). These results suggest that maximal accumulated oxygen deficit can be evaluated in terms of the accumulated oxygen deficit in the maximal test.

23 0 0 0 OA 『蟹工船』へ

著者
倉田 稔
出版者
小樽商科大学
雑誌
小樽商科大学人文研究 (ISSN:0482458X)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.1-26, 2000-09-29
著者
奈倉 正宣 大越 豊 箕浦 憲彦 田坂 雅保
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

PVAにアニオン性、カチオン性及び中性で且つ水溶性のポリマーをそれぞれブレンドして得たハイドロゲル中には3つの状態の水、即ちポリマーへ結合した不凍水、大きな空隙に含まれるであろう通常の水と同じ性質の自由水、および極めて狭い空間に存在し自由水より極めて制限された運動性を有し、且つ水同士の水素結合が弱められている水が存在することを明らかにした。研究された全てのブレンドハイドロゲルはPVAのみから製膜されたゲル膜よりも高酸素透過性を有する事、そしてその理由は単に水分率に依存するのではないことを明らかにした。そして酸素透過係数のブレンド分率依存性はアニオン、及びカチオン性ポリマーのようなイオンを有するハイドロゲル膜では不凍水以外の水の量にも依存せず、その依存性は自由水より制限された運動性を有する水の中を透過するため、その運動性の大小に依ることを明らかにした。一方、中世ポリマーをブレンドしたハイドロゲル膜では大きな空隙の存在が観察されこの存在の有無により透過係数が影響する事を明らかにした。これらのハイドロゲル膜中、アニオン性と中性のポリマーをブレンドしたハイドロゲルでは、ブレンドされたポリマーの全ての分率にわたっては細胞付着・増殖性が見られない事を明らかにした。一方、細胞付着性を増加させると予想されるカチオン性ポリマーをブレンドしたハイドロゲルではブレンド分率が低いときには非付着性・非増殖性を示し、ある分率を越えるとコラーゲンよりも優れた細胞付着・増殖性を示すことを明らかにした。

23 0 0 0 OA 楷林

著者
岩倉, 家具
出版者
北尾善七[ほか1名]
巻号頁・発行日
1793
著者
谷内 一彦 櫻井 映子 岡村 信行 倉増 敦朗
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.112, no.3, pp.99-103, 2009 (Released:2010-06-03)
参考文献数
6
被引用文献数
1

アレルギー疾患に対して抗ヒスタミン薬 (ヒスタミンH1受容体拮抗薬) は即効性のある標準的な治療法である. 日本では抗アレルギー薬として分類されている薬に強力なH1拮抗作用を持つものが多く, 注意を要する. 第一世代抗ヒスタミン薬はイタリアの薬理学者Daniel Bovetにより1930-40年代に最初に開発され, 多くの中枢神経系作用薬 (抗精神病薬や抗うつ薬など) の原型になった. 1957年にBovetはその薬理学的業績によりノーベル医学生理学賞を受賞している. さらにヒスタミン研究領域ではH2受容体アンタゴニスト (胃・十二指腸潰瘍治療薬) を開発したJames Blackがその30年後 (1988年) にノーベル医学生理学賞を受賞している.初期に開発された抗ヒスタミン薬は強力な中枢抑制作用があるために, 1980年代から非鎮静性抗ヒスタミン薬の開発が開始されてきた. 花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患にも中枢移行性の少ない第二世代抗ヒスタミン薬が推奨されているが, 日本では特に欧米と比較して第一世代鎮静性抗ヒスタミン薬やステロイド含有鎮静性抗ヒスタミン薬が使用されることが多く, 欧米人から大変奇異に見られている. ちなみに日本では現在でも成人で20-40%, 小児で80-95%が第一世代鎮静性抗ヒスタミン薬を医師により処方されている. さらに日本ではOTC薬として花粉症薬やかぜ薬に多くの抗ヒスタミン薬が含まれており, しかもテレビや新聞などマスコミでの宣伝が自由で, 一般の方にその危険性を知らせないために事故などに関係することも知られている. 医師や薬剤師は鎮静性抗ヒスタミン薬の危険性を十分に患者などに啓蒙する必要性があり, また処方する場合にはその鎮静作用の有無を十分に検討してから薬剤を選択することが重要である. できるかぎり中枢神経抑制作用が少ない非鎮静性抗ヒスタミン薬を第一選択薬とすべきである. なぜならその効果は第二世代抗ヒスタミン薬の間ではほぼ同じであるからである. 本総説ではヒスタミンの薬理学について最新の考え方を紹介する.
著者
板倉 陽一郎
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.184-195, 2020-12-20 (Released:2020-12-25)

裁判において、一方当事者が、個人データが含まれる証拠を裁判所に提出することは、しばしば生じている。本稿では、個人データが含まれる証拠の裁判所への提供について、従来の整理を確認した上で、法23条1項2号に該当し、適法であるとの解釈について、条文解釈、訴訟法上の救済手段、十分性認定及び欧州法の解釈との関係から適切であることを論証する。