著者
田上 諒 越前 谷博 荒木 健治
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2018-NL-238, no.2, pp.1-6, 2018-12-04

本報告では,対訳辞書などの高品質な対訳知識を用いることなく,コンパラブルコーパスから対訳文を自動抽出する手法を提案する.提案手法では,単語分散表現を用いて翻訳行列と類似度計算を行うことで対訳文を抽出する.その際,類似度計算には Earth Mover's Distance を用いる.更に,提案手法では文長の違いを重みとして類似度に用いることで抽出精度の向上を図っている.ニュース記事のコンパラブルコーパスを用いた性能評価実験の結果,全記事の平均の F 値はベースラインで 0.13, EMD のみのシステムと提案手法にける文長を考慮しない場合では共に 0.42,文長を考慮した場合は 0.49 となった.これらの結果から,文長を考慮した提案手法の有効性が確認された.
著者
西川 信廣 前馬 晋策
出版者
京都産業大学教職課程講座センター
雑誌
京都産業大学教職研究紀要 (ISSN:18839509)
巻号頁・発行日
no.1, pp.47-61, 2006-03

1999年に制定された「地方分権一括法」により、教育行政の地方分権化も促進される事が期待されている。しかし、実態は行政的分権のレベルに留まり、財政的分権、立法的分権は遅々として進まないという現状である。教育改革が学校レベルまで浸透したものになりにくいことの理由の一つがここにある。 教育、とりわけ義務教育は本来地域と子どもの実態に応じた柔軟で創意工夫溢れるものでなければならない。そのためには、地方政府のリーダーシップに基づく地方による地方のための改革が進められる必要がある。本論は、大阪府摂津市の教育改革への取組を取り上げ、教育改革における地方教育委員会の果たしうる役割について考察する事を目的としている。摂津市は教育長のリーダーシップのもと、「せっつ・スクール広場」「学校経営研究会(管理職対象)」「教育フォーラム」「学力実態調査」等々の施策を展開し、積極的な教育改革を展開している。取組から3年を経過した現在は、それらの取組の成果に対する評価(check)の段階でもある。 摂津市と京都産業大学は平成 16年3月に包括連携協定を締結し、摂津市立小中学校の教員研修や校内研修会への本学教員の派遣や、摂津市教育委員会指導主事による本学教職課程履修者に対する講座開催等の協力関係が構築されている。本論もその連携活動の一環に位置付くものである。本論は5章構成であり、第1章、第5章は西川信康が、第2章、第3章、第4章は前馬晋策がそれぞれ分担執筆した。
著者
立花 綾香 加地 剛 七條 あつ子 高橋 洋平 中山 聡一朗 中川 竜二 前田 和寿 早渕 康信 香美 祥二 苛原 稔
出版者
日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.155-159, 2016-05

純型肺動脈閉鎖(pulmonary atresia with intact ventricular septum:以下PAIVS)の治療方針の決定には右室の大きさ,肺動脈の閉鎖様式に加え,冠動脈が右室内腔と繋がる異常交通(類洞交通)の有無や程度が重要とされる.今回胎児期に類洞交通を評価できたPAIVSの一例を経験したので報告する.超音波検査にて胎児の右室が小さいことを指摘され妊娠23週に紹介となった.初診時の超音波検査にてPAIVSと診断した.また右室心尖部に心筋を貫通する両方向性血流を認め,類洞交通の存在が疑われた.その後冠動脈を起始部から系統的に描出することで,左冠動脈前下行枝からの大きな類洞交通であることを確認した.右室が高度の低形成でかつ大きな類洞交通があることから単心室修復が必要となることが予想された.児は出生後,心臓超音波検査,心臓血管造影にて同様の診断がなされ,単心室修復に至った.胎児超音波で冠動脈を起始部から系統的に観察することで,類洞交通の評価が可能となりそれにより,出生前から治療方針の検討ができ,家族への説明に有用であった.
著者
前田 真之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.8, pp.995-1000, 2021-08-01 (Released:2021-08-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

Over the past few decades, the effectiveness of antibiotics has been diminished owing to the emergence of antimicrobial resistance resulting from the overuse of antibiotics. Antimicrobial stewardship aims to improve the appropriateness of antibiotic use to reduce antimicrobial resistance and benefit patients. Antimicrobial stewardship requires structural prerequisites for implementing antimicrobial stewardship programs (ASPs), such as the presence of a multidisciplinary antimicrobial stewardship team (AST), to ensure appropriate antimicrobial use at healthcare facilities. However, manpower shortage for ASTs in most Japanese hospitals has resulted in limited implementation of ASPs. Our study provided a directive for promotion of comprehensive ASPs including various outcome measures. Our findings would provide useful benchmarks for hospitals planning to implement ASPs in Japan as well as around the world. This review provides a framework for evaluating the outcome measures and benchmarks of ASPs based on our study.
著者
徳本 静代 武井 直已 瀬川 和幸 毛利 久夫 古前 敏明
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.381-388, 1985

1976~1983年の間, 広島県の一看護i学校に在籍した女子学生941名 (延1,939名, 18~24歳) を対象に各年1回HBV関連抗原・抗体を追跡調査し, HBV感受性者の動向と健康者集団でのHBV水平感染の実態を血清学的に検討した.<BR>延対象のHBs抗原陽性率 (RPHA法, EIA法) は1.7%, HBs抗体陽性率 (PHA法) は14.7%で, これらを3力年移動平均でみると前者が1.4~2.1%の間でほぼ横ばいの, 後者が18.7~10.4%で年々1~ 2%の減少の傾向を示した.学科別では第2臨床看護i学科 (夜間部, 昼間は医療業務に従事) のHBs抗体陽性率19.1%は臨床看護学科の11.0%に比較して有意に高率 (x2test, p<0.01) であった.<BR>1学年時のHBs抗体陽性率は調査前半 (1976~1979年) が16.3%, 後半 (1980~1983年) が9.3%で, 入学前のHBV感染状況は減少の傾向を示した.学科別では第2臨床看護学科が有意な低下 (X<SUP>2</SUP>test, p<0.05) を示していた.<BR>一方, HBe抗原陽性carrierは6名認められた.しかしながら対象内のHBV水平感染については, 調査期間中に3例 (0.4%, 1: 265) の新感染例を確認したがそらが対象集団内における水平感染であるとする証拠は血清学的な追跡からも, 在籍調査からも得られなかった.<BR>なお, 200倍希釈血清におけるHBc抗体価 (EIA法) はcarrierではIH%90%以上であり, 感染初期ではIH%30%以下であった.
著者
前田 更子
出版者
史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)
雑誌
史林 = The Journal of history (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.155-187, 2021-01

敬虔なカトリックの女性信者は、ライシテに価値を見いだすフランス共和国で何を考え、どのように生きたのだろうか。それが国民統合の使命を担った公立学校の教師だったとするとさらに問題は複雑であろう。本稿では、アルプスの山岳地帯を拠点とし、主に両大戦間期に活動した女性カトリック・グループ「ダビデ」を取り上げる。彼女たちのネットワークは雑誌や図書館制度、巡礼を通して全国に広がり、一九二〇年代末には公立小学校に勤務する女性教員の一割ほどを惹きつけた。共和国の小学校教師としての使命を果たしつつ信者として生き抜くことは、ダビデにとって両立可能であり相互補完的でさえあった。共和国とカトリシズムはともに、彼女たちに人との親密なつながりをもたらし、自己を主張し防衛する手段をも与えた。本稿では、第三共和政期フランスの小学校教師の日常世界を明らかにし、宗教の社会的意義をジェンダーの視点から考察する。This article considers the ideas and activities of the Davidées, a group of Catholic female teachers who worked in public schools. This is firstly an attempt to clarify the daily lives of female teachers in rural France during the Interwar period, and secondly an effort to present one case to help us understand how pious individuals adapted to the modern nation state that promoted laïcité as a national principle. The historical sources employed in this study are chiefly letters written by Marie Silve and Marthe Lagarde, who were leading members of the Davidées, records of the interviews of Marie Silve by the Catholic intellectuals Jean Guitton and Emmanuel Mounier, and the monthly Aux Davidées, published by the group itself. The Davidées were created in 1916 in the sanctuary of Notre-Dame du Laus, located in the Southern Alps, where six female teachers, who were newly graduated from the teacher-training college in Digne, met with the veteran teacher Mélanie Thivolle. These women were fervent Catholics, but at the time in the sphere of elementary educators there was, on the one hand, a powerful leftist teachersʼ union that would not recognize the teachersʼ faith, and, on the other hand, the Catholic church that condemned public schools as "schools of the devil" and encouraged the faithful to join private schools. Given these circumstances, the women founded the Davidées in order to fulfill their duties as public school teachers and at the same time to keep and even enhance their faith. The Davidées network, which valued their occupation and faith equally, gradually spread throughout the nation via their periodicals, library system and pilgrimages, and by the end of the 1920s they had attracted to their ranks approximately 10% of the female elementary teachers working in public schools. Carrying on their faith while fulfilling their mission as public school teachers for the Republic was for the Davidées something that could not only coexist, but in fact be complementary. Furthermore, both the Republic and Catholicism provided them intimate links to various people and gave them the means to advocate for and protect themselves. This article attempts to throw new light on the previous understanding of teachers in the time of the Third Republic from the viewpoints of religion and gender.
著者
前川 雄一
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.129, no.10, pp.1170-1173, 2009-10-01 (Released:2009-10-01)
参考文献数
7

This paper describes an outline of the Honshu-Shikoku Interconnecting Transmission Line which includes the first large-scale cable line. The most significant feature of this transmission line is the installation of 500kV cables along various types of bridges. This brought many previously unknown technical hurdles such as techniques to overcome movements and vibrations of a series of large bridges. These hurdles were cleared through various efforts and techniques by the concerned parties.
著者
小竹 諭 井野 拓実 大角 侑平 上原 桐乃 吉田 俊教 前田 龍智 鈴木 航 川上 健作 鈴木 昭二 森口 智也 大越 康充
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1393, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】扁平足や回内足に伴う下肢アライメント異常は膝関節のストレスを増加させる一因とされており,その治療として内側アーチサポート(medial arch support:以下MAS)の着用が有効であるとの報告が散見される。演者らはMASが有効であった下肢アライメント異常を伴う膝痛症例の運動学的解析を行い,MAS着用により歩行立脚期における脛骨の内旋変化量が減少し,これが膝痛改善の一因であると報告した。しかしMASが奏功する運動力学的メカニズムについては十分に解明されていない。本研究の目的は,下肢アライメント異常に起因する膝痛症例においてMAS着用による歩行の運動力学的変化を解明することである。【方法】平成20年8月から平成21年3月までの期間,運動後の膝痛を訴えて当院を受診した症例でMRIを施行したものは40例であった。そのうち理学所見とMRI所見から半月板損傷と靭帯損傷が否定された症例は35例であり,さらにknee-inと回内扁平足の下肢アライメント異常が両側に認められた症例が31例であった。それらの症例でMASが処方されたものが25例であった。そのうち経過観察が不可能であった7例を除外しかつ症状の改善が得られた18例中,動作解析を実施し得た11例22膝(男性5例,女性6例,年齢15.4±1.7歳)を対象とした。疼痛改善の指標としてVisual Analog Scale(以下VAS)を用いた。MAS着用により運動後のVASが平均6.9±1.2から3.3±2.6へと有意に改善していた。下肢アライメント異常は熟練した医師および理学療法士により視認されたknee-inや回内扁平足とした。Knee-inの定義は片脚スクワット時に前額面上において膝関節が足部の前後軸に対して内方に偏位するものとした。また,回内扁平足は荷重時に距骨下関節が過度に回内し,内側縦アーチが著しく低下するものとした。内側縦アーチ低下はWilliamsらの舟状骨高を用いて評価した。全症例において舟状骨高は正常値より低値を示した。研究で用いたMASは8mm高の内側縦アーチを原則としたが,第3中足骨頭部の中足骨パッドおよびヒールカップも追加された。計測は三次元動作解析システム(赤外線カメラ4台,床反力計2枚,各々120Hz)を用い定常歩行を計測した。ポイントクラスター法および逆動力学計算により外部モーメントを算出した。さらに床反力計により足圧中心位置を確認した。算出されたデータは一歩行周期を100%として規格化し,足関節と膝関節におけるモーメントのピーク値および平均値,そして足圧中心位置について,各々MAS着用とMAS着用なしで比較検討した(paired t-test,p<0.05)。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に則り,倫理委員会の承認,また計測前に十分なインフォームド・コンセントを得て実施された。【結果】外部足関節外反モーメントはMAS着用により立脚中期において有意に減少した。また,そのピーク値も有意に減少した。外部膝関節内反モーメントはMAS着用により立脚中期において有意に増加し,またそのピーク値も有意に増加した。外部脛骨内旋モーメントはMAS着用により立脚中期において減少傾向であった。足圧中心位置は立脚期全体を通してMAS着用により11.9±2.8mm有意に内側へ移動した。【考察】本研究結果から,歩行立脚期においてMAS着用により外部足関節外反モーメントは減少し,外部膝関節内反モーメントは増加した。さらに,外部脛骨内旋モーメントは減少する傾向であった。また,MAS着用により足圧中心位置はより内側へ移動した。以上より床反力ベクトルの作用線は足関節中心へ近接し,かつ膝関節のより内側を通過したと推察され,この変化が関節モーメントの変化の主要因と考えられた。MAS着用による外部足関節外反モーメントの減少は足部の過回内を抑制し,また外部膝内反モーメント増加や外部膝内旋モーメント減少は,よりhigh demandingな動作においてknee-inのような下肢アライメント異常を抑制する可能性が考えられた。扁平足やknee-inなどの下肢アライメント異常によって膝蓋腱や膝周囲筋付着部は過度な張力を受ける。オーバーユースによるこれらの張力の蓄積は腱炎や腱周囲炎を惹起することが考えられる。MAS着用による運動力学的変化はこれらの張力の蓄積を軽減し,運動により生じる膝痛軽減に有効であることが考えられた。【理学療法学研究としての意義】下肢アライメント異常に起因する膝痛症例においてMAS着用が膝痛の軽減に有効であるメカニズムは十分に解明されてこなかった。本研究はMAS着用により足関節のみならず膝関節においても運動力学的変化が生じることを示した。これはMASの有効性におけるメカニズムの一端を明らかにしたと考えられる。
著者
前田 充洋
出版者
大阪市立大学大学院文学研究科
雑誌
人文研究 : 大阪市立大学大学院文学研究科紀要 = Studies in the humanities : Bulletin of the Graduate School of Literature and Human Sciences, Osaka City University (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.69-85, 2020

本論文の目的は、ドイツ鉄鋼業企業クルップ社の19-20世紀転換期における軍事技術代理であった、A. シンツィンガーの日本での活動を、駐日公使の報告書から明らかにすることにある。クルップ社の日本における軍需品販売やA. シンツィンガーの活動については、1920年代のものはこれまでの研究のなかで言及されてきたものの、19-20世紀転換期、とくに1895年から1902年におけるその活動については、十分に注意が向けられてこなかった。本稿では、フランス企業やイギリス企業といったクルップ社の競争相手が優勢であった、当時の日本の軍需品市場に割り込み、確保したそのシェアを守るために、A. シンツィンガーが日本でいかなる活動を展開したのかを明らかにする。そしてそれによって、19-20世紀転換期におけるクルップ社の対外事業における新たな側面を明らかにすることの一助としたい。
著者
鶴田 啓亮 關 匡彦 井上 剛 至田 洋一 淺井 英樹 倉 知彦 中野 健一 川井 廉之 前川 尚宜 福島 英賢 奥地 一夫
出版者
日本神経救急学会
雑誌
日本神経救急学会雑誌 (ISSN:16193067)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.35-39, 2016-06-11 (Released:2016-09-01)
参考文献数
10

Cerebral Fat Embolism (CFE) is known as potentially fatal complication of bone fracture. Patients with CFE develop variable and nonspecific clinical manifestations like a headache and disturbance of consciousness. Brain MRI has been reported to be the most sensitive method for diagnosing CFE, but conventional MR sequence is not sufficient for detecting CFE because some kind of pathological changes shows similar findings. We report a 74-year-old female with unstable pelvic fractures and diffuse axonal injury from traffic accident subsequently associated with cerebral fat embolism successfully diagnosed using susceptibility-weighted imaging (SWI). Brain MRI performed on day 6 revealed multiple high intensity lesions on diffusion-weighted imaging (DWI) in gray-white matter interface which may indicate cytotoxic edema due to DAI. We confirmed the diagnosis of CFE to find the presence of numerous petechial hemorrhages located predominantly in the white matter on SWI.
著者
前田 清一 江口 貞也 佐々木 裕
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.166-170, 1960

1. L-リジン塩酸塩1.25%溶液(pH 4, 7, 8, 9, 11)を121℃, 2時間加熱したが,きわめて安定であった。<BR>2. 糖類が共存する場合加熱するとブドウ糖と果糖共存時でのリジンの破壊は酸性側ではみられないが,アルカリ側に移行するにしたがい増大する。しかし蔗糖共存時ではなんら影響を受けないように思われる。<BR>3. 破壊リジン溶液を酸処理すると,破壊リジンの一部はリジン定量菌に反応するようになるが,人工胃液処理の場合は反応しないと考えられる。<BR>4. リジン強化コッペパンは醗酵工程ならびに焙焼中においては添加リジンは安定であった。<BR>5. リジン強化食パンは醗酵工程中で添加リジンは破壊されず安定であったが,焙焼中には17%破壊され,トーストするとさらに10%破壊された。<BR>6. 炊飯時において添加リジンは15~20%, 6時間放置後で,さらに10~15%破壊された。炊飯直後のご飯をpH 2, 37℃で1時間振盪すると添加リジンの10%が賦活された。<BR>終りにリジン強化パン製造に御協力いただいた東京栄養食糧学校ならびに日清製粉K.K.中央研究所に厚く謝意を表します。
著者
前田 勇樹
出版者
国立大学法人 琉球大学島嶼地域科学研究所
雑誌
島嶼地域科学
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-61, 2021

本稿は,明治後期(1890~1910年代)の沖縄での感染症流行と,それに対する防疫対策や衛生対策について新聞資料および松下禎二(京都帝大教授)による衛生視察記録を中心に分析を行ったものである。明治期の沖縄では感染症流行に対する前近代的な慣習や患者の隠蔽などが根強い一方で,この時期になると基礎的な防疫対策(清潔法と隔離)の浸透が見受けられる。その背景には,日清戦争後から始まる沖縄の同化政策の本格化と新聞による情報の流布が挙げられる。また,近代日本の植民地となった台湾との間での人の移動の活発化は,沖縄の感染症対策に大きく影響を及ぼすものであった。
著者
宝沢 光紀 只木 槙力 前田 四郎
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.893-898,a1, 1969-09-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
9
被引用文献数
6 7

単一孔から生成する液滴の大きさに関する研究を液々系について行った。実験の結果, 液滴径dpとノズル径d0の比は, ノズル流速V0がほぼ0のときも, またV0MのときもBond数 (=d02<>g△ρ/σ) のみの関数であることが確められた。(V0Mは最小液滴径を与えるときのノズル流速である。) つぎに実験データを (dp3<>g△ρ/σd0) 1/3対V0/V0Mで整理した結果, (dp3<>g△ρ/σd0) 1/3は0/V0Mが0と1の間の任意の値においてもボンド数の関数となることが見出された。以上の実験結果を用いて, V0=0~V0Mにおける液滴径に及ぼす諸因子の影響を一枚の無次元線図にまとめることができた。