著者
前園 泰徳
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集 (ISSN:13451510)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.155-158, 2009

Environmental education is defined as an essential education for human sustainable development. Recently, environmental problems have been getting more serious and manifold, therefore, global environmental education is clearly and immediately needed. However, in Japan, continual environmental education has not been established yet. To change this situation, an innovative education project named "DEEP AMAMI" has started at Tatsugo town in Amami Island since 2006. This project aims 1) to maintain human mental health, 2) to develop sustainable societies, and 3) to conserve the nature not only in Amami but also in the earth. This time, I introduce the system of our DEEP AMAMI project, several programs, and some remarkable results. I also propose you a new life style which can create a true sustainable world.
著者
出口 一郎 荒木 信夫 前島 伸一郎 武田 英孝 古屋 大典 加藤 裕司 棚橋 紀夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.749-754, 2008 (Released:2008-10-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

症例は59歳女性.突然の眩暈,嘔吐のため当院へ救急搬送された.頭部MRI拡散強調画像上,左上小脳動脈灌流域に急性期脳梗塞所見を認め,加療を開始した.入院後上記症状の改善を認めたが,入院5日後に施行した神経心理学的検査では記憶・遂行機能などの認知機能の著明な障害を呈し,SPECTでも両側基底核,小脳,側頭葉,頭頂葉および前頭葉におよぶ広範な血流低下がみられた.入院約1カ月および2カ月後の神経心理学的検査では認知機能の著明な改善を認め,SPECTでも上記部位の血流は改善していた. 本症例は小脳梗塞にて認知機能障害を呈したCerebellar cognitive affective syndromeと考えられた.従来,認知・行動障害は小脳後方領域の障害,また感情障害は虫部の障害と関連があるとする報告や,認知障害は後下小脳動脈領域の障害で生じ,上小脳動脈領域の障害では生じないという報告があるが,本症例では上小脳動脈領域の梗塞で遂行機能障害を呈し,情動性変化は認められなかった.
著者
前之園 信也
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.35-41, 2017-01-10 (Released:2017-01-23)
参考文献数
19

Magnetic nanoparticles (MNPs) have become readily available thanks to the development of a range of synthetic techniques. In addition, various multifunctional hybrid MNPs have been recently developed for biomedical applications. We review the progress of research on biomedical multifunctional MNPs.
著者
筒井 俊春 前道 俊宏 飯塚 哲司 鳥居 俊
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.151-157, 2020-04-30 (Released:2020-06-05)
参考文献数
21

本研究は野球選手の発育に伴う慣性値の変化を暦年齢ならびに相対発育の2つの発育指標から明らかにし,肘障害予防の一端を担うことを目的とした.対象は小学生から大学生までの野球選手133名とした.DXA装置を用いて全身スキャンをし,Ganleyの慣性モーメントの算出法に準じて,前腕・手部慣性値を算出した.また,肩甲帯部除脂肪量に対する前腕・手部慣性値を示す慣性値比,野球ボール保持想定での慣性値比を求めた.さらにアロメトリー法を用いて身長に基づく相対発育の観点から慣性値比および野球ボール保持想定での慣性値比の変位点を求めた.慣性値比は12歳頃,または身長約150cmでピークとなり,この時期には肘障害のリスクが高まることが示唆された.
著者
藤本 隆弘 房前 浩二 岡本 昌規 高田 光代 藤原 宏美 岩田 昌太郎 合田 大輔
出版者
広島大学附属福山中・高等学校
雑誌
中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.145-156, 2004-03-22

本校では1982年より「生涯体育に視点をおいた授業実践」に取り組んできた。「体育の学び方を学ばせ,体育・スポーツの生活化」を目指し,「自ら学び,自ら考え」,自己を成長させていく「自己教育力」の育成をねらいとして実践してきた。今回の授業では,サッカーを通して,個やチームの課題を明らかにし,課題を解決するために意欲的に思考し,工夫する授業に取り組んだ。攻撃戦術(壁パス,オーバーラップ,スルーパス,スイッチプレー)を学習し,ゲームを楽しむために「練習(2対1)-試合(4対4)-課題練習-試合(4対4)-課題練習-試合(8対8)」というプログラムを組んだ。4対4,8対8のゲームの中で相手を意識したプレーを課題として思考し,工夫し,技能を高め,また,攻撃に対しての防御の仕方についてもグループで考え,課題をみつけ,工夫し,学ぶことができた。個・チームが課題解決のために,意欲をもって思考したり,メンバーの特長を把握したり,戦術を考えることができた授業になったと思う。
著者
前澤 聡 中坪 大輔 津川 隆彦 加藤 祥子 柴田 昌志 高井 想生 鳥居 潤 若林 俊彦 齋藤 竜太
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.847-856, 2021-07-10

Point・集束超音波治療(FUS)は皮膚切開を必要としない最新の定位・機能神経外科治療であり,その凝固術は本態性振戦およびパーキンソン病に対して保険適用となっている.・集束超音波の特性と治療法の原理を十分理解し,安全性を考慮しながら,最適な標的部位に十分なsonicationを行うことで,良好な治療効果を得ることができる.・脳深部刺激療法(DBS)や他のモダリティの特性も理解し,十分なインフォームド・コンセントに基づいた患者選択を行うことが重要である.
著者
山口 順也 天谷 直貴 前田 千代 佐藤 岳彦 森下 哲司 石田 健太郎 荒川 健一郎 宇隨 弘泰 李 鍾大 夛田 浩
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.SUPPL.3, pp.S3_54-S3_60, 2013 (Released:2015-01-09)
参考文献数
10

発作性房室ブロックは, 心房興奮が予期せず突然に心室に伝導しなくなる病態と定義され, 長時間の心停止を生じるため, 繰り返す失神や突然死の原因となることが知られている. 本例は63歳, 男性. 主訴は眼前暗黒感・意識消失. 2010年 5月に意識消失発作あり近医を受診. 非通常型心房粗動と房室伝導能低下に伴う心室ポーズを認め, 当院に紹介. 心臓超音波検査では軽~中等度の僧帽弁狭窄を認めた. 当院入院後には心房粗動下に最大13秒の心室ポーズがみられ, その際には失神前駆症状を伴っていた. 恒久ペースメーカーの適応と判断したが, まずは心房粗動の治療を優先し心臓電気生理検査を施行. CARTOを用いてマッピングしたところ, 左房天蓋部に瘢痕領域を認めた. Activation mapにて左房天蓋部の瘢痕領域と右上肺静脈の天井との間を後壁側から前壁側に旋回する心房粗動と同定した. 瘢痕領域から右上肺静脈の天井にかけての線状焼灼にて心房粗動は停止し, 以後心房粗動は誘発不能となった. 洞調律に復帰後にはAH・HV時間の延長なく, また, 房室伝導能も正常であった. さらに, 治療後には房室ブロックに伴う心停止は消失した. その後は房室ブロックの再燃なく, ペースメーカーなしで経過している. 僧帽弁狭窄に伴う非通常型心房粗動で, 心房粗動時にのみ発作性房室ブロックした稀有な 1例を経験したので報告する.
著者
久住 知裕 岡田 誠之 前田 信治
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成25年度大会(長野)学術講演論文集 第1巻 給排水・衛生 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.177-180, 2013 (Released:2017-11-18)

浄水場での塩素の多量添加を受け、水道水中に発がん性生成物が発生している現状を防止するためには、建物内の配管において遊離残留塩素濃度の減少が把握しなければならない。そこで本研究は、建物内の配管における遊離残留塩素濃度の減少を実験的に解明した。
著者
前田 学 藤沢 智美 日置 加奈 永井 美貴
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.7-10, 2005-02-01
参考文献数
24

症例は両下腿の丘疹・紅斑及び紫斑などを主訴とする16歳の女学生。2001年8月より両下腿に痒みを伴った丘疹及び紫斑が出現し,上肢にも拡大した。初診の1週間前より再燃し,2002年5月7日当科を受診した。既往歴・家族歴には特記すべきことはなかった。血液検査ではWBC 10300/mm<SUP>3</SUP>とやや上昇,赤血球528万/mm<SUP>3</SUP>とやや多血症傾向で,IgE上昇(950IU/ml)以外は異常所見はなかった。左下腿部の病変から皮膚生検を施行したところ,表皮は不規則に延長肥大し,表皮内に海綿状変化を認め,真皮には上層に限局して好酸球を混じた単核球の細胞浸潤が目立った。自験例が使用していた靴下止め糊(ソックタッチ<SUP>®</SUP>)の皮膚貼布試験は48,72時間共に小水疱を伴う紅斑を形成し,本邦判定基準で陽性(+++)と判定したが,各成分別の同試験は患者の同意が得られなかったために未施行。躯幹の皮疹は自家感作性皮膚炎(イド反応)として矛盾しないものと考えられた。ソックタッチ<SUP>®</SUP>は白元(株)製のアクリル系粘着剤の液体靴下止めで,スティックのり状になっており,接着剤成分としてポリアクリル酸ナトリウム・トリエタノールアミン塩の混合物(CH<SUB>2</SUB>・CH・COONa)n,(CH<SUB>2</SUB>・CH・COON(C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>OH)<SUB>3</SUB>)nのジュリマーを5~15%含有し,局方エチルアルコール10~30%,グリセリン15%以下,香料微量,精製水残量から構成されていた。
著者
前田 仁一郎 斎藤 清克
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.75-85, 1997-04-24
参考文献数
55
被引用文献数
4

日高火成活動帯では古第三紀の苦鉄質深成岩体が白亜紀後期から古第三紀初期の付加体の中に貫入している。日高山脈には苦鉄質深成岩類・高温型の変成岩類・アナテクサイトからなる日高火成活動帯の地殻断面が露出している。この地殻断面から2つの性質の異なったマントル由来未分化マグマ, Nタイプ中央海嶺玄武岩(N-MORB)質と高Mg安山岩(HMA)質, が見いだされた。N-MORBとHMAの組み合わせは海嶺と海溝の衝突モデルによって説明することができる。すなわちNMORBはクラー太平洋拡大軸にそって上昇するアセノスフェア(レルゾライト質, ε_<Sr>-27. 79, ε_<Nd>-+10. 71)に由来し, HMAは海嶺沈み込みによってもたらされた熱異常によって上盤プレートのくさび状マントル(ハルツバーガイト質, ε_<Sr>=+2.17, ε_<Nd>=+2.84)から発生した。マントル由来未分化マグマの付加体底部への透入によってグラニュライト相に達する高温型変成作用とアナテクシスが発生し, 珪長質の変成岩類とカルタアルカリ質のマグマが形成された。マントル由来未分化マグマの地殻内での分化作用は付加体構成物の同化作用を伴った。マントル由来マグマとアナテクシスによる地殻由来メルトとの混合もまたカルクアルカナ質の火成岩類をもたらした。すなわち, 以上のようなプロセスの複合によって未成熟大陸地殻が前弧域で形成される。付加体と衝突する海洋底拡大軸の火成作用と変成作用は, 玄武岩組成の海洋地殻が形成される通常の中央海嶺でのそれらとは著しく異なる。これら2つのセッティングの比較から, 大陸地殻の形成にとって厚い堆積岩類が本質的に重要な役割を果たしていることが示される。海嶺の沈み込みは始生代の大陸地殻の成長にとって重要な事件であったであろう。日高火成活動帯で観察されたマントル由来マグマの迸入によって誘発される地殻内マグマプロセスは火成弧深部のそれのアナログである。
著者
前田 充紀 近藤 民代
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.125-128, 2021 (Released:2021-07-24)
参考文献数
7

本研究の目的は、定額住み放題サービスを利用した多拠点生活者の居住動態パターンと要求、その生活がもたらす利点にはどのようなものがあるのかを明らかにすることである。多拠点生活をホーム・定額住み放題サービス利用の有無から4 つに分類した。定額住み放題サービスの主要事業者であるADDress の会員を分析対象とし、住居や仕事場、サービスの利用状況から考察した。定額住み放題サービスを利用し生活する目的は自然の豊かな場所で過ごすことに加えて快適な環境でリモートワークをすることである。さらに、拠点や多拠点生活が魅力に感じるかどうかは家守や他のHS 利用者などの人と出会いどのように関わるかが影響する。
著者
早川 和樹 野口 律奈 前原 大輝 松田 桃香 庭池 知里 本柳 圭亮 山口 圭太 小山 徹 伊村 智 大西 伽枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【背景】南極での食事は以下のような特殊性を持つ。①南極到着後食糧の補給はなく、一度持ち込んだ食糧のみで食生活を維持する。②保存性・貯蔵性に乏しい食品(野菜・果物など)は、食せない時期(越冬後半)がある。③メニューは調理隊員が決定し、個人による選択の余地はない。④ゴミ減量化、排水制限等の制約がある。⑤南極生活での数少ない楽しみの1つであり、隊員同士の紐帯の源である。こうした特殊性は、災害時の食事と共通点が多い。南極調理隊員による食糧の選択と配分、食べられない食品の代替メニュー等は、災害用備蓄や災害時の食事に活用できると思われる。さらに、隔離・閉鎖された空間である南極での食事が、隊員にとってどのような存在か、調理隊員は何を心がけているのかを知ることは、災害時の食事を単なる栄養補給ではなく、被災者に寄り添う食として捉える上で重要であると考える。</p><p>【目的】本研究の目的は、南極越冬隊の食事の特徴を明らかにし、災害食への応用を検討することである。本発表では、南極での献立の特徴について報告する。</p><p>【方法】第1次隊(1956-58年)から第60次隊(2018-20年)までの日本南極地域観測隊報告書を対象とし、献立に関する記載を記述的に分析した。</p><p>【結果】朝食はバイキング、昼食は短時間で食べられる麺類か丼もの、夕食は定食スタイルであった。お菓子は、持参した分が最後までなくならないよう、調理隊員が管理して配分していた。BARが定期的に開かれ、お酒が自由に飲めるようになっていた。さらに、曜日感覚を維持するために毎週金曜日はカレーとする、季節感感覚を維持するために日本の季節に合わせた特別食を実施する(7月に流しそうめん等)などの工夫がされていた。</p>
著者
神前 あい
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.72-74, 2020-10-30

治療法の概要 甲状腺眼症は,甲状腺自己抗体による自己免疫性炎症性疾患で,外眼筋,涙腺,脂肪織に炎症性の腫大が起こる。そのために,複視,眼瞼腫脹,眼球突出などの眼症状が出現する。主に甲状腺機能亢進症のBasedow病に併発するが,甲状腺機能が正常のBasedow病(euthyroid Graves' disease)や橋本病でも甲状腺自己抗体が陽性であれば,眼症状が出現することがある。Basedow病などの甲状腺疾患の発症前後3か月〜1年以内に眼症状が発症することが多いが,アイソトープ治療後や甲状腺全摘出後であっても自己抗体が上昇する症例では眼症状が出現する可能性があり,眼科での精査加療が必要になる。眼症状が軽症の場合は経過観察となるが,中等症以上の眼症状が出現した場合は,基礎疾患の治療と並行して,眼症状の治療が必要になる。 球後に炎症のある活動期の治療としてステロイドパルス治療があり,投与方法としてはソル・メドロール® 500mg×3日を3クール投与するdaily法と,週に1回500mg×6回+250mg×6回投与するweekly法が行われている。甲状腺自己抗体のうち,甲状腺刺激抗体(TSAb)が最も眼症状と相関するので1),TSAbの推移に留意しながら経過をみる必要がある。球後病変の精査はMRIにて行うことが望ましい(図1)。T1強調画像による外眼筋肥大や脂肪織の腫大と併せて,脂肪抑制のT2強調画像を撮影することで外眼筋の炎症を評価できるため,活動期や治療効果の判定が容易となる。
著者
清水 洋 松本 聡 酒井 慎一 岡田 知己 渡辺 俊樹 飯尾 能久 相澤 広記 松島 健 高橋 浩晃 中尾 茂 鈴木 康弘 後藤 秀昭 大倉 敬宏 山本 希 中道 治久 山中 浩明 神野 達夫 三宅 弘恵 纐纈 一起 浅野 公之 松島 信一 福岡 浩 若井 明彦 大井 昌弘 田村 圭子 木村 玲欧 井ノ口 宗成 前原 喜彦 赤星 朋比古 宇津木 充 上嶋 誠 王 功輝 ハザリカ ヘマンタ 矢田 俊文 高橋 和雄
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2016-04-22

2016年熊本地震について、地震活動や地殻変動、活断層、火山活動への影響、地震災害の特徴などを調査した。その結果、熊本地震は布田川・日奈久断層帯の右横ずれ運動によって発生したが、複数の断層面と複雑な断層形状を持つことを明らかにした。また、建物被害や土砂災害の地盤との関係、特に、地盤の過剰間隙水圧が地すべりの発生要因であることを明らかにした。さらに、災害情報や災害過程、被災救援、エコノミークラス症候群などについての調査から、広域複合災害の問題点と対応策を提示した。
著者
鮫島 達夫 前田 岳 土井 永史 中村 満 一瀬 邦弘 米良 仁志 武山 静夫 小倉 美津雄 諏訪 浩 松浦 礼子
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.126-133, 2000

神経ブロック, 各種薬物療法などの効果なく, 反応性にうつ状態を呈した帯状疱疹後神経痛 (PHN) 10例に対し電気けいれん療法 (ECT) を施行し, その長期観察を行なった. 全例で持続性疼痛, 発作性疼痛, allodynia がみられ, 意欲低下, 食思不振など日常生活に支障をきたし, 抑うつ症状がみられた. 第1クールでこれらは改善したが, 7例に2~26カ月で疼痛, allodynia の再発がみられた. Allodynia の再発は, 知覚障害のある一定部位にみられ, 徐々に拡大した. しかし, 抑うつ症状の増悪はなかった. ECT第2クールは, 第1クール後5~26カ月後に施行し, より少ない回数で同様の効果を得ることができたことから, ECTの鎮痛効果に耐性を生じにくいことが示唆された. 以上より, ECT鎮痛効果は永続的ではないが, 1クール後数週間に1回施行する維持療法的ECT (continuation ECT: ECT-Cまたは maintenance ECT: ECT-M) を施行することで, 緩解維持できる可能性が示された. 対象に認めた抑うつ症状は疼痛の遷延化による2次的なものであり, 抑うつ症状の改善もECTの鎮痛効果による2次的産物であることが示唆された.<br>ECTは「痛み知覚」と「苦悩」の階層に働きかけるものであり,「侵害受容」,「痛み行動」には直接効果を示さないことから, その適応には痛みの多面的病態把握, すなわち生物-心理-社会的側面からの病態評価が必要となる.