著者
前田 香 関口 真有 堀内 聡 Justin W. Weeks 坂野 雄二
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.113-120, 2015-03-31 (Released:2015-05-29)
参考文献数
17
被引用文献数
5 6

他者からの肯定的評価への恐れは,社交不安症の認知的特徴である。本研究の目的はFear of Positive Evaluation Scale(FPES)日本語版の信頼性と妥当性を検討することであった。対象者は324名の大学生であった。確認的因子分析の結果,原版と同様に8項目1因子構造が確認された。また,内的整合性と5週間の再検査信頼性は原版と同様に高いことが示された。妥当性を確認するために,他者からの否定的評価への恐れ,および対人交流への不安との関連性を検討した。その結果,予測された関連性が確認された。第一に,対人交流への不安,他者からの否定的評価への恐れとの間に正の相関が認められた。第二に,他者からの否定的評価への恐れを統制した場合に対人交流への不安を予測した。したがって,FPES日本語版の信頼性と妥当性が確認され,その有用性が議論された。
著者
神前 暁 八木 啓介 池田 克夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第58回, no.人工知能と認知科学, pp.41-42, 1999-03-09
著者
早川 史子 前田 昭子 水野 浄子 南 幸 渋谷 里美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.176-182, 2001-09-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
27

2000年7月~10月佐賀県の栄養士を対象に茶粥に関する調査を実施し, 次のことが明らかになった1) 茶粥の習俗は佐賀市, 佐賀郡, 小城郡, 藤津郡, 神埼郡, 西松浦郡, 東松浦郡に分布していた. 東松浦郡以外の地域は藩政時代, 鍋島藩の統治下にあった. これらの地域では, 「コメの節約のため朝食に茶粥を食べるように」と強いた藩の命によって食べられるようになったと考えられる.2) 茶粥を食べたことがあると答えた者と食べたことがないと答えた者の間には, 有意差が認められなかった. 食べたことがあると答えた者の中で, 現在も継続して食べている者の割合は, 現在は食べていない者の割合に比べて低く, 佐賀県における茶粥の習慣は薄らいでいることが示唆された.3) 茶粥の呼び名はチャガユ (63%) が最も多く, 次いでチャガイ (18%) であった4) 佐賀県の茶粥には具を入れない場合が多いが, 入れる場合に共通したものはサツマイモと餅である.5) 米の豊富な現在でも茶粥の習慣が残っているのはおいしさと習慣性によるみのと考えられた.
著者
前田 繁男 無敵 剛介
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.385-390, 1991-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14

経穴部の鍼通電刺激時における電気的特性の検討を非経穴部と比較して行い, また, 鍼通電刺激中の皮膚血流変化から経絡の流注の方向と陰イオンの流れる向きとの関連について考察し以下の見解を得た。(1) 経穴部 (合谷と手三里) 及び隣接した非経穴部に刺針し電気鍼刺激を行い電気鍼施行中に針の間に流れる電流波形を分析し, 両者のインピーダンスを比較すると経穴部の方が非経穴部よりインピーダンスは小さく, またベクトルインピーダンスメーターでもこのことが確かめられた。(2) 鍼通電刺激時の電流の向きと皮膚血流量変化の関連については, 陰イオンの流れが経絡の流注と同方向の場合に有意な血流量の増加がみられた。
著者
前田 竜孝
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.319-331, 2020 (Released:2020-11-10)
参考文献数
23
被引用文献数
2

本稿では,兵庫県南あわじ市南淡漁協の水産物流通を事例に,販路開拓の歴史と集出荷に関わる諸活動を考察する.南淡漁協では,長らく出荷先が二つの流通業者に限られていた.しかし,2012年にその片方のS水産が倒産すると,漁業者は販路の減少による魚価の低下を懸念するようになった.そこで,漁協は,新たな試みとして自らで水産物を荷受けして,関西地方から北関東の卸売市場までの幅広い地域へ水産物を出荷する取組みを始めた.販路はこれまでS水産が構築してきたものを利用した.一方,集出荷作業は地元の労働者が,配送作業はS水産の家族企業であるS運輸が担った.遠隔地への水産物の配送は,さまざまな主体が関わり,彼らの活動が生産地から消費地まで連鎖することで可能となった.
著者
丹羽 靱負 前田 正人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.61-71, 1983-02-28 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

BCG, picibanil, levamisoleなどの免疫賦活剤は, 腫瘍や自己免疫疾患の治療に広く使用されている.これらの薬剤の薬理作用は, リンパ球の面からしばしば研究結果が報告されている.丸山ワクチンも, その薬理作用は不明であるが, 制癌剤として臨床家に使用されている.近年食細胞の産生する活性酸素(OI)が, 強力な抗菌作用を有し, 自己防衛上重要な役割を演じていることが明らかにされてきた.更に, 制癌剤Bleomycinなどの制癌作用も, OI中最も強力な作用を有するといわれているOH・の産生を増強させ, OH・が癌細胞内の核を破壊させることにより癌治療に有効であると報告されている.一方, OIの過度な増加は, SLEやリュウマチ(関節液)などにおけるリンパ球障害や異常なリンパ球の反応性の何らかの原因となっていることも証明されている.以上の事実より, われわれは, これら4剤のヒト好中球の貪食能, ライソゾーム酵素(β-glucuronidase, Lysozyme)分泌能および, OI(O^-_2, H_2O_2, OH・) およびchemiluminescence産生能に与える影響を中心に検索した.結果, BCGの使用全濃度と低濃度丸山ワクチンは著明にOIを増強させ, 一方, levamisole全濃度と高濃度丸山ワクチンは高度にOIを減産させた.
著者
前梶 健治
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.251-257, 1978 (Released:2008-11-21)
参考文献数
14
被引用文献数
12 16

コンニャクマンナン(KM)のゲル化機構を明らかにするため,ゲル化過程におけるレオロジカルな変化の速度論的な解析を試みた. 1. KM溶液(約1%)のゲル化過程をアミログラフで追跡し,再現性あるアミログラムを得た.このアミログラムの形状は,ゲル化過程で観察される現象とよく対応した. 2. ゲル化過程で,凝固剤添加時からゲル化の開始時までの時間を誘導期(tC)とし,これを脱アセチル化反応と仮定すれば,ゲル化の現象を合理的に説明することができた.しかし,他の測定値からはそのようなパラメーターは得られなかった.そして,1/tCを誘導反応の速度に比例する値と仮定して反応の活性化エネルギーを求めると11.6kcal/molとなった. 3. KMを鹸化し,そのときの活性化エネルギーを求めると11.8kcal/molとなり,アミログラフを使用して求めた誘導反応のそれとよく一致した. 4. 以上の結果から,アミログラフで測定されるtCの値は,脱アセチル化に要する時間で,1/tCはその反応速度定数に比例する値と考えられる.したがって, KMのゲル化における誘導反応については1/tCを用いて速度論的に解析することが可能と思われる。
著者
原 幹周 吉田 英樹 片石 悠介 谷脇 雄次 花田 真澄 前田 貴哉 照井 駿明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.63-68, 2015 (Released:2015-03-18)
参考文献数
17
被引用文献数
2

〔目的〕生理学的指標に基づいたTENSの疼痛軽減効果の検討に加えて,TENSの刺激強度の違いによる疼痛軽減効果への影響を明らかにする.〔対象〕健常者16人とした.〔方法〕人為的な疼痛に対して周波数100 Hzでの高強度(運動域値以上)TENSと低強度(感覚閾値レベル)TENS,およびTENSを一切実施しない条件(コントロール)を実施した.各条件間での疼痛軽減効果を主観的指標であるNRSと,生理学的指標である前頭前皮質の脳血流量および自律神経活動を用いて各条件間を比較した.〔結果〕交感神経活動には明らかな違いが認められなかったが,NRSと前頭前皮質の脳血流量の結果では高強度TENSの疼痛軽減効果が最も高かった.〔結語〕高強度TENSが,主観的にも生理学的にも優れた疼痛軽減効果を示した.
著者
藤本 隆宏 前川 諒樹 岩尾 俊兵
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0180315a, (Released:2019-02-15)
参考文献数
36

本稿は、産業競争力の概念を明らかにした上で、生存時間解析のシミュレーションによって、産業競争力の類型と発現過程に関する洞察を得ることを目的とする。ここで競争力とは「選ばれる力」と定義され、「収益力」「表の競争力」「裏の競争力」という多層的な競争力の構造が示される。次に、広義のものづくり論にもとづき、「産業」を同類の設計の製品の集合体、あるいはそれを生産する現場の集合体と規定する。以上の概念規定をおこなった上で、国内・国際競争の軸と競争強度の軸による四つの競争状況についての予想を示し、シミュレーション・モデルによって四つの状況における一定期間競争後の予想生産性分布が再現できることを確認した。さらに、競争強度と現場生存率との間に累積指数分布に近い関係が観察された。また、国際競争における2国の賃金率と現場生存率との関係を調べ、リカード的コスト競争において平均すれば比較劣位な国の現場も「緩やかな競争」では生存可能性が高まるという「越境」現象を確認した。
著者
前川 卓哉 西川 晃司 吉田 進太郎 酒井 健嗣 西川 秀司
出版者
一般社団法人日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.6-9, 2020-12-31 (Released:2020-12-11)
参考文献数
6

A 13-year-old intact male Shih-Tzu presented with a 2-month history of gastrointestinal signs. A mechanical ileus developed due to an obstruction from an intramural tumor in the small intestine that was surgically resected. The tumor was diagnosed as a high-grade intestinal T-cell lymphoma with incomplete margins and serosal and mesentery extension. CHOP chemotherapy (vincristine, cyclophosphamide, doxorubicin, and prednisolone) was applied, but during the CHOP protocol, the dog developed a nodule on the skin in the scapular area. Histopathological examination of a punch biopsy revealed a high-grade cutaneous T-cell lymphoma. Lomustine was administered and the cutaneous T-cell lymphoma was surgically resected and histologically diagnosed to have complete margins. However, the dog experienced progressive disease. With adjuvant chemotherapy including dexamethasone, melphalan, actinomycin D, and cytosine arabinoside (DMAC), and chlorambucil, methotrexate, and prednisolone (LMP), the patient lived for 571 days in relatively good health condition. No evidence of recurrence nor metastasis was revealed at necropsy. This case suggests the benefit of surgical resection for both intestinal and cutaneous T-cell lymphoma lesions. However, further studies are required to investigate the effect of chemotherapy, remission rate, survival time, and impact on the quality of life.
著者
伊勢田 知子 松前 祐司 岩崎 晴美 斎藤 兆古 堀井 清之
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1Supplement, pp.291-294, 2000-07-01 (Released:2009-09-03)
参考文献数
7

The colors on picture books by Dick Bruna have been analyzed by using computer.Fundamental colors including red, blue and green specified by Bruna himself are revealed to be not pure fundamental colors. These picture books have taken reposeful colors that mixed one fundamental color to another fundamental one. The thread of narrative is made a development along the changes of these reposeful colors that increases the charm of picture books by Bruna.
著者
島津 貴幸 柴田 哲成 中野 優恵 前田 英児
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101163, 2013

【はじめに、目的】変形性膝関節症(以下:OA) において、大腿脛骨関節(F-T joint)のみでなく膝蓋大腿関節(P-F joint)の重要性について報告が散見される。臨床でも、OAのF-T jointよりP-F joint に問題を抱える症例を経験する。一方、レントゲン画像 (X線) 評価では、関節裂隙の狭小化と骨棘形成の重症度分類,下肢アライメント評価が主に用いられている。そこで今回、変形性膝関節症と診断され膝関節鏡視下術の術前X線を用いて膝関節周囲の骨アライメントについて内側広筋の機能を加え比較・検討したのでここに報告する。 【方法】対象は、平成24年1月から8月までに当院で膝関節鏡視下手術を施行したOA群29膝(女性20名・男性9名、平均年齢60.5±14.7歳)、コントロール群として膝に既往のない当院スタッフ10膝(女性5名・男性5名、平均年齢26.2±2.66歳)を健常群とした。レントゲン評価は、腰野によるOA分類、Femorotibial(FTA)、Q-angle、膝蓋骨の形態の分類(Wiberg)、膝蓋骨高位(Patella height)、滑車面角(Sulcus angle)、適合角(Congruence angle)を計測し健常群と比較した。加えて、超音波にて内側広筋筋腹の収縮前後を計測し除算したものを収縮率とし各々X線との関係性を検討した。統計学的分析では、Mann-Whitney U検定、ピアソンの積率相関係数を用い危険率を5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には事前に研究の十分な説明の上、レントゲン画像の使用の同意を得た。【結果】OA分類の内訳はGrade0:27.6%,Grade1:44.8%,Grade2:27.6%だった。Patella heightはOA群1.05±0.14健常群0.95±0.11、Sulcus angleはOA群134.7±6.09°健常群129.2±5.51° 、Congruence angleはOA群20.44±8.99°健常群11.4±3.86°と有意差(p<0.05)がみられた。Q-angle、FTA、Wibergには有意差はみられなかった。内側広筋の収縮率と比較するとPatella heightとの間に有意な相関(r=-0.49、p<0.05)がみられた。【考察】今回、初期OAのX線ではF-T jointよりP-F jointに有意差がみられ、パテラアライメントに問題を抽出しやすいと示唆された。特に、Patella heightでは内側広筋の収縮が起こりにくい結果となった。OAは内側広筋機能不全を伴い大腿直筋・外側広筋・腸脛靭帯の短縮または過剰収縮が起こると報告があり、膝蓋骨の位置を構成する組織として大腿四頭筋・膝蓋靭帯・膝蓋大腿靭帯・半月大腿靭帯・腸脛靭帯とされている。今回の結果から、従来軽視されていたX線でのパテラアライメント評価が、筋・靭帯の異常の指標の一つとなると考えられる。今後、パテラ位置の評価から運動療法の効果判定まで一連しての研究を行っていきたい。【理学療法学研究としての意義】本研究により初期OAのレントゲン画像上、膝関節周囲の骨アライメントはP-F jointに異常所見を抽出されやすいことが示唆された。このことから、パテラの位置の確認が一評価として重要であり、考慮した運動療法のプログラム立案が必要だと考える。