著者
黒木 喜美子 喜多 俊介 前仲 勝実
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.80-95, 2016 (Released:2016-09-17)
参考文献数
19
被引用文献数
1

HLAは非常に遺伝子多型性が高く,多数の遺伝子ファミリーを形成することによって多重性も獲得し,自己・非自己認識を担っている糖タンパク質である。通常,幅広い抗原由来のペプチドをT細胞へ提示するが,さらに,様々な免疫制御受容体との相互作用を介して免疫応答を多面的に調節し,個体の恒常性を維持していることが明らかになってきた。このようなHLAが持つ多面的機能の理解には,X線結晶構造解析による立体構造の決定や物理化学的な相互作用解析が大きな貢献を果たしてきた。本稿では,HLAの分子構造から特にHLAクラスIと受容体群との分子認識機構に着目し,どのようにHLAが免疫反応を制御しているかを概説するとともに,疾患との関連を考察する。
著者
前嶋 信次
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-33, 1957-07

五 立化祖師六 従來の諸説七 黑龍江口上陸説八 中里機庵の説九 大都に入るの説
著者
金堀 哲也 岡本 嘉一 小倉 圭 前原 淳 島田 一志
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.217_2, 2017

<p> 成長期の野球選手における野球肘の有病率は非常に高く、野球肘の早期発見および予防の重要性が提言されている。野球肘の発症要因には酷使をはじめとして、ポジションや投球動作など、様々な要因が複雑に絡み合っている。Okamoto et al.(2016)は、学童期野球選手を対象にMRI診断を行った結果、41.9%に異常所見がみられたものの、投球数、投球頻度、ポジションとの関係性はなかったと報告している。すなわち、野球肘の発症要因において、投球動作との関連性は少なくないと考えられる。そこで本研究は、肩・肘に痛みのない学童期野球選手60名を対象に、肘関節MRI診断および投球動作の3次元動作解析を併用することで、MRI診断結果と投球動作の関係性について検討し、野球肘の発症要因となる投球動作を明らかにすることを目的とした。その結果、踏出足着地時の投球腕肩関節の外転角度においてMRI陰性群のほうが有意に小さかった。また、踏出足着地時の肩と腰の回転角度の差においてMRI陰性群のほうが有意に大きかった。以上のことから、踏出足着地時の姿勢がその後の投球腕の動作に影響を及ぼし、肘関節への過度な負荷を加えている可能性が示唆された。</p>
著者
前田晁 訳
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1914
著者
前場 康介 竹中 晃二
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.36-40, 2012 (Released:2014-07-03)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究の目的は、セルフ・エフィカシー(SE)の強化を意図した介入が高齢者の運動継続に及ぼす効果をメタ・アナリシスにより検討することであった。国内および国外における論文について、「高齢者(older)」、「運動(exercise)」、および「自己効力感/セルフ・エフィカシー(self-efficacy)」をキーワードとして検索した。論文の採択基準として、①60歳以上の高齢者を対象としていること、②SEの向上を意図した介入を行っていること、③ランダム化比較試験であること、④SEおよび運動継続に関する評価を行っていること、および⑤メタ・アナリシスに必要な統計量が記載されていること、という5つを設定した。これらの基準を満たす5件の研究を対象としてメタ・アナリシスを実施した結果、運動SEの強化を意図した介入が高齢者の運動継続に有効であること、さらに、その効果はフォローアップ時により顕著に表れることが明らかになった。高齢者を対象とした今後の運動介入研究においては、SEの強化を意図することが重要であるとともに、その具体的な介入方法について詳細に検討することが必要になると考えられる。
著者
前多 隼人
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.12, no.10, pp.503-508, 2012 (Released:2015-02-14)
参考文献数
30

フコキサンチンはワカメやコンブなどの褐藻類に特徴的に含まれる,カロテノイドの一種である。近年,抗肥満,抗糖尿病,抗酸化,抗がん,血管新生抑制作用など,フコキサンチンの様々な生理機能が報告されている。これらの機能の中でも脂肪組織を介した抗肥満,抗糖尿病作用は特に注目されている。 フコキサンチンは,肥満による様々な疾患の原因となる白色脂肪組織の肥大化を抑える。その作用機構としてuncoupling protein 1(UCP1)タンパク質の,白色脂肪組織での異所性の発現誘導が考えられている。また,脂肪組織から分泌され体内の組織のインスリン抵抗性の惹起に関わるアディポサイトカインの分泌調節や,筋肉組織での糖取り込みの正常化により抗糖尿病効果を示す。近年ではフコキサンチンの体内動態とそれら代謝物による作用も明らかになりつつある。本項では特にこのようなフコキサンチンによる脂肪組織や筋肉組織を介した抗肥満作用,抗糖尿病作用の作用機構について解説する。
著者
上前 真弓 上前 知洋 上條 正義
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.403-409, 2014 (Released:2014-04-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

The purpose of this study is to investigate the effect of clothing pressure on physiological and psychological responses, to create an evaluating method of the clothing comfort. We have investigated the physiological and psychological responses to the clothing pressure in both situations which eyes open and eyes closed. The pressure amounting to 90% of the subjects' waist size was applied to their abdominal region by the waist belt. The influence of clothing pressure on physiological and psychological responses were evaluated by the following measurements: sensory test, electrocardiogram, electroencephalogram and blood pressure. Consequently, when subjects were fastened by waist belt, sympathetic nerve activity increased in case of eyes closed. On the other hand, parasympathetic nerve activity increased in case of eyes open. The physiological and psychological responses are different in eyes closed and eyes open conditions. The results mean that the clothing comfort on the pressure requires a sensory multimodality evaluation.
著者
高橋 浩晃 前田 宜浩 笠原 稔
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学)
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.399-410, 2009-03-15

We investigate the characteristics of great earthquakes occurring in the central Kuril Islands on 1915, 1918, 2006 and 2007. Comparisons of seismic intensity distributions, tsunami data and waveforms of above four events were made. Though magnitudes of these earthquakes were almost the same, only the 1915 event did not generate observable tsunami. This fact may be due to deep focal depth of this earthquake. Similarities of seismic intensity distributions between the 1915, 1971 and 2008 deep-focus earthquakes also imply that the 1915 event was the deep-focus event in the northeastern Okhotsk Sea. Waveform properties of the 1915 and 2008 events supports above hypothesis. We conclude, therefore, that the 1915 earthquake was not the event in the central Kuril Island but in the Okhotsk Sea with deep depth. Large tsunami and widespread felt area of the 1918 earthquake show that this event was a typical shallow-dipping thrust event on plate boundary as indicated by previous studies.
著者
美和 千尋 島崎 博也 出口 晃 前田 一範 水谷 真康 川村 陽一 森 康則
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.106-111, 2016-05-31 (Released:2016-07-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1

部分浴は体に一部を入浴する方法で,足浴と手浴がよく用いられている.部分浴は温められた部分の大きさにより温熱効果が異なると思われるが,その詳細は明らかとなっていない.そこで,この論文では,足浴と手浴における体温応答がどのように異なるのかを検討する.若年健常者10名(平均年齢23.2±1.3歳)の被験者を対象とし,座位にて安静5分間,足浴として一側と両側の下腿部を,手浴として一側と両側の前腕部を42°Cの湯に15分間浸け,さらに終了後5分間安静を行った.測定項目は鼓膜温,皮膚血流量,発汗量と主観的変化として温熱感と快適感を申告させた.鼓膜温についてはサーミスターにより外耳道の皮膚温を,皮膚血流量として右側の上腕部(非浸水部)をレーザードップラー血流計で,発汗量として右側の上腕部(非浸水部)をカプセル換気法で測定した.両側の足浴と手浴時の鼓膜温は,有意に上昇し,最大上昇温度は入浴しないときに比べ,有意に上昇した.皮膚血流量と発汗量は,全ての負荷条件で有意な増加は認められなかった.温熱感と快適感は全ての入浴負荷で,入浴しないときに比べ,有意に,「暑い」,「快適である」と申告した.温熱感においては両側の足浴,手浴で一側と比べて,「暑い」と申告した.これらの体温応答の変化は,同一身体部位においては温める表面積の大きさに依存し,異なる身体部位では,様々な要因により異なることが示唆された.
著者
前田 晴良 上田 直人 西村 智弘 田中 源吾 野村 真一 松岡 廣繁
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.11, pp.741-747, 2012-11-15 (Released:2013-04-04)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

高知県佐川地域に分布する七良谷層の模式層序周辺の泥質砂岩中から,最上部ジュラ系を示す2種類のアンモノイド化石を発見した.そのうちAspidoceras属は,テチス海地域の最上部ジュラ系から多産し,Hybonoticeras属は同地域のキンメリッジアン−チトニアン階境界付近を示準するタクサである.これらの化石の産出により,七良谷層は最上部ジュラ系(キンメリッジアン−チトニアン階)に対比される可能性が高い.この結論は放散虫化石層序とおおむね調和的である.これまで七良谷層は,上部ジュラ系−下部白亜系鳥巣層群の層序的下位にあたる地層と考えられてきた.しかし七良谷層から産出したアンモノイドの示す時代は,鳥巣層群産アンモノイドのレンジと明らかに重複し,アンモノイド化石からは両岩相層序ユニットの時代差は識別できない.したがって,今後,七良谷層と鳥巣層群の層序関係を再検討する必要がある.
著者
谷合 信一 前新 直志 田中 伸明 栗岡 隆臣 冨藤 雅之 荒木 幸仁 塩谷 彰浩
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.192-198, 2015 (Released:2015-05-21)
参考文献数
14

高齢で突発した心因性吃音の症例を経験した.症例は70歳男性,肺炎で他院入院中に突然吃音を発症.当科初診時,口腔・咽喉頭に器質的異常なく,構音障害や失語症も認めなかった.語頭音のくり返しを主症状とする吃音を認め,随伴症状を認めた.訓練は,発話速度低下訓練とカウンセリングを併用した.訓練実施後から吃音症状は徐々に軽減し,訓練開始3ヵ月半でほぼ消失した.本例の特徴は,吃音が獲得性で突然発症している,発話は語頭音のくり返しが多い,随伴症状がある,数ヵ月の訓練で著明に改善している,画像所見で突発した吃音を説明できる病変がない,発症誘因と推察される入院に伴う強いストレスがある,吃音の原因となる他疾患の可能性がないことがある.これらの特徴から,本例は心因性吃音であると考えられた.
著者
小野 芳朗 前田 健太郎 石田 潤一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.289-294, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
28
被引用文献数
2

大阪市の御堂筋は北は阪急前(大阪駅前)から南の難波駅まで1920年代の都市計画の中で設計された。その並木は汚染された大阪の大気を浄化する目的があった。近年、御堂筋のイチョウは大阪のシンボリックな景観として認識されている。しかし当初の御堂筋並木は、北方はプラタナスであり、南方がイチョウであった。本論文では、この御堂筋並木の設計案、工事の実態、その建設と設計に関わった関係者について大阪市の都市計画公文書により実証した。
著者
前杢 英明
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.231-240, 1988-10-28 (Released:2017-04-20)

Around Cape Ashizuri, evidences for former sea levels are recognized as notch, wave cut bench and calcareous remains of organisms living in tidal zone. This paper aims to clalify coseismic crustal movement during Holocene based on geomorphological and biological sea-level indicators around Cape Ashizuri. Based on vertical distribution of former sea level indicators, four former sea levels are distinguished at Cape Ashizuri, i.e. I:4.7m, II:3.5m, III:2.0m, IV:unknown in height. These former sea levels are aged as I:around 4800 y.B.P., II:at least 2730 to 2430 y.B.P., III:around 1770 y.B.P., IV:unknown by means of radiocarbon dating. The earthquakes having caused these abrupt drops of former sea levels are named event 1 to event 4 in counter chronological order. Event 2 to event 4 occurred at 1770 to O y.B.P. , 2430 to 1770 y.B.P., 4800 to 2730 y.B.P. respectively. Judging from radiocarbon ages and distribution of amount of uplift, earthquakes (event 4 and event 3) in Ashizuri region could be correlated to earthquakes (event 6 and event 4) in Muroto region (Maemoku, 1988) respectively. These earthquakes are assumed not to be interplate, but to be intraplate ones.
著者
宮前 珠子 藤原 瑞穂
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.533-539, 2001-12-15

「これまで質的研究は,人類学,歴史学,政治学領域のみで使われてきたが,最近ではそれ以外の,伝統的には“量的研究”の領域であった心理学や,社会学,教育学,行政学,そして都市工学においても使われてきている」1)(Bailey,2001,p.40)と言われ,多くの学問領域は「現象学的アプローチに近づいてきており,実験的アプローチからは離れつつあり,厳密さには多少欠けるがより現実的になっている」8)(Yerxa,1991,p.201)とも言われる.保健医療分野での質的研究の先駆けは,米国人社会学者GlaserとStrauss(1965)による「死のアウェアネス理論と看護」2)であり,ここで初めて使われたのがグラウンデッドセオリーアプローチであった.これを機に,看護領域では急速に質的研究が注目され広く行われるようになる.作業療法領域ではこれから遅れること十数年,1980年代はじめよりごく一部の研究者によって質的研究が行われ始め,1990年代に広くその適切性,重要性が認識され多くの研究が発表されるようになってきた.但しこれは米国のことであり,我が国ではそれから遅れること約10年,1990代の終わり頃になってようやく質的研究が注目されるようになり,学会発表でも見られるようになったばかりである. この小論は,1966年から2000年まで35年間のThe American Journal of Occupational Therapy(以下,AJOTと略す)における質的研究に関する文献を,MEDLINEで検索しまとめたものである.質的研究に関連する論文としては,「質的研究について述べた文献」と「質的研究方法を使った研究」の2つに分けることができる.
著者
前田 重義
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.615-625, 1983-09-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
87