著者
加藤 文彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.307-315, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

DBpediaは主にWikipediaから構造化データセットを抽出してリンクトデータとして再公開するコミュニティープロジェクトである。まず,DBpediaやDBpedia日本語版の成り立ちについて解説する。その後にデータモデルやデータ抽出といったDBpediaの技術的側面について述べる。現在日本語版のトリプル数は1.1億程度である。また,Wikipedia内でのテンプレート出現数に対するマッピングのカバー率は49.1%である。日本語版の利用調査を2015~2016年にかけて行った結果,日本語版にリンクするデータセットが18件,日本語版のアプリケーションが26件,研究利用が65件あることがわかった。また,DBpediaとウィキデータの関係も述べる。
著者
佐藤 美紀子 原 祥子 福間 美紀 加藤 真紀
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20190603055, (Released:2019-09-11)
参考文献数
115

脳卒中患者のセルフマネジメントに関する研究の動向と実態を明らかにすることを目的に,文献レビューを行った。医中誌,PubMed,CINAHLにおいて,国内文献7件,国外文献98件が抽出された。研究は2000年以降に報告されており,過去5年間の国外の介入研究が増加していた。国内では,実態調査と文献レビューのみであったが,国外では,尺度開発,支援ツールの開発,介入プロトコル,介入研究,介入プログラムの評価も行われていた。セルフマネジメントのプロセス全体を評価した実態調査は十分に行われておらず,介入プログラムも開発段階であった。適切なセルフマネジメント行動により,心身機能やQOLの向上が期待できる一方で,退院後の療養支援環境が十分に整っていないことが一因となり,適切な行動がとれない患者が一定割合で存在する実態が明らかになった。プロセス全体を評価できる指標や尺度の開発,実態に基づく介入プログラムの開発が求められた。
著者
加藤 司
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.171-180, 2005

The main purpose of the present study was to elaborate on coping behavior toward romantic break-ups, and to examine the relationship between coping and mental health. First, in order to establish the items for this study, a pilot survey of 950 undergraduates was conducted in order to collect free responses describing coping behavior toward romantic break-ups. Second, 455 undergraduate students completed scales for assessing coping behavior, the extent of romantic love toward the ex-partner, and mental health (duration of recovery period from the break-up, and the resulting distress). Factor analysis of the coping items produced six factors : Regret, Grudge, Dissolving Relationship, Positive Reappraisal, Displacement, and Distraction. Structural equation modeling was conducted, suggesting that coping behavior influenced mental health even after the effects of the recovery period were controlled. It was also found that Regret and Grudge/Dissolving Relationship influenced mental health negatively.
著者
山野井 徹 門叶 冬樹 加藤 和浩 山田 努 鎌田 隆史 今野 進
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.12, pp.637-652, 2016-12-15 (Released:2017-03-15)
参考文献数
72
被引用文献数
1 5

庄内砂丘のイベント堆積物は古砂丘(縦列)と新砂丘(横列)の間に挟まれるが,その最高位は37.9mに達する.イベント層は,北部砂丘ではTo-a(915年)の下,南部砂丘では上にあり,14C年代は,北部は700年代後半から800年代,南部は1000年代から1100年代前半にある.イベント層の成因は現世津波堆積物との比較などから津波と考えられる.この津波は遡上流の滞留で泥質,戻り流れで粗粒な堆積物を残した.対応する古地震は,北部では「850年出羽地震(嘉祥地震)」があるが,南部で相当する記録は見当たらない.ただし,周辺遺跡を変形させた地震が対応するであろう.イベント堆積物は新砂丘の下底に極めて良好に保存されているが,それは各イベントの直後に海浜環境が急変し,飛砂が堆積を再開したからである.すなわち,庄内砂丘の新砂丘は,両イベントを契機に堆積を始め,我が国有数の規模の海岸砂丘へと成長している.
著者
加藤 真紀 鐘ヶ江 靖史 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所 第1調査研究グループ
巻号頁・発行日
2012-03-08 (Released:2012-08-07)

本報告書では2010年度に実施した「博士課程修了者の進路と就職活動に関する調査」(有効回答数2,265人)を基に、我が国の博士課程修了者の大学院における修学と経済状況を分析した。この結果、国内学会に3回以上登壇した回答者の割合は8割近くであり、国外学会で1回以上発表した者は6割以上であることが示された。国外での研究経験がある回答者は2割であり、うち期間が1ヶ月以上である者が8割以上を占めた。分野別に見ると人文系や社会系は他分野よりも海外研究の期間が長い。一方、回答者のうち8割は国外研究をしておらず、この理由として必要性と時間の欠如を挙げている。また本調査回答者は米国の博士号取得者と比較して、大学院で学費を免除される人数比率が低く、最も多くの金額を利用した資金種別は自己資金である者が多い。また多くの回答者がTAやRAとして雇用されていたが、これで生活費や学費等を賄うには不十分な状況が示唆された。
著者
加藤 政洋
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、主として東京・岐阜・大阪・神戸・那覇をフィールドに、昭和戦後期都市政策のなかで生み出された、さまざまな場所とその景観の社会的・地理的性格を検討することを通じ、都市の復興(再建)ならびにそれにつづく新たな都市建設に固有の理念と空間的論理を明らかにした。対象となった具体的な場所ないし景観は、戦災都市の食料品市場(自由市場、闇市など)、露店街、スクウォッター地区(引揚者の集住地区)、そして特殊飲食店街であり、いずれも敗戦後の都市空間に空隙を縫うようにして形成されたところばかりである。当初、それらは体系的な都市政策が実施されないなかで空地を占拠するかたちで確固たる地盤を築いていたものの、復興の進捗に合わせて取り払われるべき「不快」な景観として認識され、最終的には再開発すべき対象として都市政治の焦点となり、実際に移転ないし取り払われるまでの経緯を明らかにしている。
著者
是永 論 浅岡 隆裕 柄本 三代子 金 相美 岡田 章子 清水 真 酒井 信一郎 重吉 知美 池上 賢 加藤 倫子
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本社会および日本人に関して、「劣化」という表現が言説上について頻繁に使用されているという状況を踏まえ、メディア言説上における劣化表現のありようを解明するために、活字メディアを中心に内容分析を行ったほか、一般のメディアの受け手に対する質問紙およびインタビュー調査から得られたデータの分析結果から、言説どうしが形成する関係と、言説が人々に消費される具体的な過程を明らかにした。
著者
西野 貴裕 加藤 みか 下間 志正 北野 大
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.149-160, 2015-09-04 (Released:2016-03-18)
参考文献数
43
被引用文献数
1

We measured 13 perfluorinated compounds (PFCs) in the groundwater in Tokyo. PFCs with nine carbons or fewer were frequently detected. PFOS and PFOA were detected at high concentrations, despite discharge reduction measures taken since 2010. Chromatograms of PFOS showed variations in the peak area ratio between linear-PFOS and branched-PFOS with the sampling points. To investigate the cause, leaching experiments were conducted for the 13 PFCs and branched-PFOS isomers. The results show that branched-PFOS penetrated the soil faster than linear-PFOS, and shorter chain PFCs faster than longer-chain PFCs. Long chain PFCs with more than 10 carbons were expected to remain in soil.
著者
鈴木 恵輔 加藤 晶人 光本(貝崎) 明日香 沼澤 聡 井上 元 中島 靖浩 前田 敦雄 森川 健太郎 八木 正晴 土肥 謙二
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.611-615, 2020-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
10

ジフェンヒドラミンは抗アレルギー薬,風邪薬,睡眠改善薬などとして用いられている。今回,ジフェンヒドラミン4,990mgを内服した急性中毒例に対して血液透析を施行し,血中濃度測定を行った症例を経験した。症例:22歳,女性。意識障害のため当院に搬送され,眼振や痙攣を認めた。現場に落ちていた空包からジフェンヒドラミン中毒を疑い,人工呼吸器管理,血液透析などの集中治療を行った。第4病日には抜管し意識清明となり,本人よりレスタミンUコーワ錠®などを内服したことを聴取した。その後,合併症なく経過し第8病日に自宅退院となった。血中濃度測定を行うと腎排泄だけでなく,効果が乏しいと考えられていた血液透析によってもジフェンヒドラミンが除去されることが示唆された。したがって,重症のジフェンヒドラミン中毒例では血液透析を考慮してもよいかもしれない。