著者
朝倉 伸司 照喜名 重治 加藤 謙吉 瀧 滋彦 浅野 泰
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.1443-1452, 1987

Rats with puromycin-aminonucleoside (PAN) induced nephrosis (PAN rats) exhibit disruption of the components of the GBM, visceral epithelial glycocalyx, loss of podocyte pedicles, and degeneration of renal tubules. NAG activity and proteins in urine were assayed to evaluate the degree of renal tubular damage in PAN rats. PAN nephrosis was induced in male wistar rats weighing 150 g, with the cutaneous injection of 0, 5 mg/100 g Ba W. PAN for 7 days. The NAG activities in urine and renal tissue were assayed by MCP-NAG methods. Urinary protein was analyzed by SDS-PAGE. Urinary NAG activity significantly increased from the 5th day with its peak on the 14th day. The NAG activity was detected not only in the cortical tissue but also in iso-lated glomeruli The NAG activity in renal tissue was decreased from the 2nd to 4th weeks after PAN injection as compared with that in the normal control rats, However, the activity was recovered to the normal control level by the 9th week, The major component in the urinary proteins of PAN rats was albumin in the majority of the rats, but in several rats, low molecular weight proteins (37 K, 52 K daltons) were detected as the major components in the early stage after PAN injection, Chemical analysis of these low molecular weight proteins were performed, Immunoblotting indicated that these proteins were also found in the serum, However, the following evidence indicates that these proteins are apparently derived from renal tissue: 1) Very small amounts of these proteins are found in the blood. 2) In the urine of some rats, these proteins were found at higher levels than albumin. 3) These proteins are also found in renal tissue.Further investigation is necessary to characterize these proteins.
著者
金森 岳広 竹下 有美枝 御簾 博文 加藤 健一郎 太田 嗣人 金子 周一 篁 俊成
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.803-808, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
16

症例はCMT病の48歳,男性.45歳時から口渇・多飲多尿を認め,46歳時の検診でHbA1c 10.8 %(NGSP)を認めた.当科に第一回入院時,身体所見で内臓脂肪型肥満(体重84 kg, BMI 28.1 kg/m2,腹囲101 cm)と四肢遠位部の筋萎縮を認め,高インスリン正常血糖クランプ検査はMCR 4.38 ml/kg/分と末梢組織における高度のインスリン抵抗性を示した.また,肝生検にて肝線維化を伴う非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断した.食事・運動療法とインスリン療法を開始し,1年半の外来経過中に19.6 kgの減量(体重64.4 kg, BMI 21.8 kg/m2,腹囲75.5 cm)に成功し,HbA1c 5 %台の良好な血糖コントロールを得た.第二回入院時にMCR 6.86 ml/kg/分とインスリン抵抗性の著明な改善を認め,肝生検ではNAFLDの所見が消失した.CMT病合併糖尿病も肥満を伴う症例では,食事・運動療法による減量がインスリン抵抗性の改善と血糖コントロールに有効と考えられた.
著者
次田 一代 村川 みなみ 渡辺 ひろ美 加藤 みゆき 川染 節江
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】香川県の伝統的家庭料理を暮らしの背景とともに記録し、それを次世代に伝え継ぐことを目的とした。</p><p>【方法】県内各地の食生活改善推進委員協力のもと、その地域に30年以上居住し、家庭の食事作りに携わった60歳以上の人を対象として、日本調理科学会作成の調査様式に従い、2013年12月〜2015年3月に聞き取り調査を行った。</p><p>【結果・考察】調査から得られた香川県内の行事食は以下の通りである。①正月:あんもち雑煮、②春の初めに豊凶を占う祭礼:甘酒、押し抜きずし、ばらずし、ゆだめうどん、③ひな祭り:よもぎ餅、ひなあられ、わけぎ和え、④端午の節句:ちまきやかしわ餅、赤飯、⑤鰆の収穫時(4〜5月頃):鰆の押し抜きずし、カンカンずし、⑥半夏生:半夏のはげ団子、打ち立てうどん、⑦夏の土用:どじょう汁、⑧盆:米粉団子にあんをまぶしたもの、⑨秋祭り:ばらずし、天ぷら、酒の肴にあじの三杯、しょうゆ豆、⑩ため池の水抜き後(12〜2月頃):てっぱい、⑪小豆島にて農村歌舞伎の時(5月頃):わりご弁当。このように、さまざまな食材を用いた多彩な行事食が一年を通して食べられてきた背景には、香川県の地理・気候・風土の関与が大である。香川県は県土のおよそ半分に平野が広がり、温暖な気候であるため、米の裏作に小麦が栽培され、降水量が少ないことからため池が多く、その水ぬき作業などを共同で行ってきた。瀬戸内海では季節に応じた漁業も盛んである。行事食はこれらの農水産物や作業と関わり、貴重な米や麦の有効利用、季節ごとに収穫される大根、まんば、なんきん、いも、豆等の野菜、ため池や川の淡水魚、沿岸部での鰆、たい、ちぬを使った料理も見られた。これらの行事食を、今後も伝えていくことが重要であると考える。</p>
著者
成田 亮子 白尾 美佳 赤石 記子 伊藤 美穂 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】平成24,25年度特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和35〜45年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施し、次世代に伝え継ぐ家庭料理における行事食の特徴を検討した。</p><p>【方法】東京都23区(台東区・世田谷区・中野区・杉並区・品川区・板橋区・練馬区)、都下(日野市・奥多摩町)、島しょ(新島・式根島)の3地域に分け、70歳以上の都民を対象に、家庭料理を聞き書き調査した。その結果より正月、節分、桃の節句、端午の節句、七夕、お盆、土用、お彼岸、月見、七五三、大晦日などの行事食について抜出した。</p><p>【結果・考察】正月は雑煮が食べられていたが、23区と都下でも地域によって食材が異なり特徴がみられた。お節料理では、黒豆、紅白なます、昆布巻き、数の子、きんとん、田作りなどが重詰めにされて食べられていた。節分では23区でイワシの焼き魚、煎り豆、都下で福茶が飲まれていた。桃の節句では蛤の潮汁、ひなあられ、端午の節句では島しょでしょうぶ、いももち、お彼岸ではぼたもちの他に、都下で海苔巻きずし、いなりずしが食べられていた。お月見では月見団子の他に島しょであおやぎ、七五三では都下で、とりの子餅、大晦日では23区で年越しそば、すき焼きなども食べられていた。不祝儀や仏事では23区で白和え、島しょでひら、忌明けだんごが食べられていた。ひらは祝儀と不祝儀で盛り付け方を区別して用いていた。東京23区、都下では行事食で食べられているものは現在と変わらないものが多かった。島しょでは特徴があるものがみられた。聞き書き調査を行い、昭和35年ごろから現在まで行事食は変わらず受け継がれていることが分かった。</p>
著者
山本 竜大 王 立 加藤 信介
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成27年度大会(大阪)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2015 (Released:2017-11-15)

多孔質材料は構造の種類に応じて、吸着の性状が異なるが、内部の拡散係数が大きければ、拡散速度が速くなり、蒸散支配型の挙動を示す。本報告では、チャンバー実験により得られた拡散係数を部品内部に与え、内部からのトルエンの拡散を考慮し、物質伝達率の試験材料表面近傍における放散速度への寄与を検討することを目的とする。
著者
黒綺 富裕 矢野 真司 加藤 徹 若月 淳也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.9, pp.955-961, 1990-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
36
被引用文献数
3

リン酸エステル堪型両親媒性モノマーである,phosphate (Cn-AHMP-Na)Sodium alkyl 2-hydroxy--3-thethacryloyloxypropylを,リン酸二水素アルキルの-ナトリウム塩(Cn-MAP-Na)とメタクリル酸2,3-エポキシプロピル(EPM)の反応により合成した。HPLC分析や31P-NMR分析の結果,C12-AHMP-NaはEPMのエポキシ基のβ開裂体であった。AHMP-Naモノマーの種々の物理化学的諸物姓(種々Cのn-溶荊への溶解性,臨界ミセル濃度(cmc),cmcにおける表面張力(γcmc),ミセル形成自由エネルギー(∠Gmic),分子占有面積(A))を測定した。さらにC12-AHMP-Na/水の2成分系の相図を作成した。36%以下の濃度では等方性のミセル溶液,39~62%ではミドル相,67~72%でラメラ相85%以上では結晶であった。水溶液中で重合したC12-AHMP-Naのホモポリマ-は,水,メタノ-ルを増粘した。また,ポリエチレングリコールジアクリラートで橋かけしたCn-AHMP-Naのポリマーは水,メタノールを吸液し零たが,エタノールはほとんど吸液しなかった。ミドル相の固定化を目的に,C12-AHMP-Na/水の2成分系相図のミドル相領域で重合を試みたが,重合物は等方性となり,ミドル相の固定化はできなかった。
著者
加藤 俊介 野城 智也 村井 一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.135-138, 2022-02-01 (Released:2022-02-25)
参考文献数
7

1 つの建物において,テナント毎に要因が異なる環境価値低下に対し,Building Element(以下,B.E.)の関係性を形式化して意味構造を把握し,その上で状況をモニタリングして改善活動に展開することが有用と考える.本稿では,将来の統合・拡張に耐えうる情報基盤となる必要性からセマンティックデータモデルを用いた意味構造記述を提案した.そして,大学の一室のCO2 濃度モニタリングシステムに関わるB.E. の意味構造をモデルで記述した上,周辺システムのモデルと統合する検証をし,部屋などの共通ノードを結節点にグラフ構造が統合されることを把握した.
著者
石田 直子 石榑 清 加藤 公一 林 直美 平井 敦 福山 隆一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.2588-2591, 2010 (Released:2011-04-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

症例は68歳,男性.嘔吐,腹部膨満感を主訴に受診.画像検査で著明な胃拡張を認めた.経鼻胃管で減圧をはかったが,まもなく急激な腹痛を訴え腹膜刺激症状が出現した.再度の画像検査で多量の腹腔内遊離ガス像と腹水が認められ,上部消化管穿孔の診断の下緊急手術を施行した.胃体部に裂創を認め,腹腔内は食物残渣で広範に汚染されていた.裂創部を含む胃部分切除と腹腔洗浄ドレナージを行った.術後ショック状態に陥り集中治療を要した.胃の過膨張に伴い破裂が生じた本症例は,発症直後から腹腔内が広範に汚染され重篤な汎発性腹膜炎に陥ったが早期手術施行により救命することができた.
著者
加藤 寛 佐藤 吉哉
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1393, pp.100-102, 2007-05-28

問 安倍晋三政権になって半年以上が過ぎました。7月には、参院選も控えています。安倍政権をどのように評価されますか。 答 安倍さんは人材の配置では工夫されたと思いますが、それぞれの動きがバラバラなことが気になっていました。例えば、首相補佐官。5人を配置して官邸機能の強化を狙ったんだと思います。でも、皆が一匹狼だからまとまらない。
著者
加藤 敬史 北林 栄一
出版者
滋賀県立琵琶湖博物館
雑誌
琵琶湖博物館研究調査報告 (ISSN:2436665X)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.48-55, 2018 (Released:2021-12-27)

Fossil rodents, represented by nine isolated teeth, were obtained by wet sieving sediments from the Upper Pliocene Tsubusagawa Formation in Ajimu, Oita Prefecture. The rodent remains include Micromys sp., Arvicolinae gen. et sp. indet., and unidentified incisors. This is the first report of the Pliocene rodent fauna in Japan. Micromys sp. fossils differ from modern species in occlusal outline, number of roots, crown size, position of t4 and t6, size of t9, and presence or absence of t7 in the upper M1. Arvicorinae gen. et sp. indet. have such features as a hypsodont, very high sinuous line, thick cementum, and relatively wide crown in comparison to other arvicolids. Historically, Micromys and Arvicolinae have had a Palearctic distribution. This is consistent with previous plant fossil research that indicates a temperate-zone climate in the lower to middle part of the Tsubusagawa Formation. However, it is not consistent with the fossil tortoise and large mammals included in the Ajimu Fauna, which represent a subtropical or tropical This contradiction may suggest that the fossil assemblage was formed in an environment under the transition from tropical to temperate zone in the gradually cooling climate of the Late Pliocene.
著者
村上 周三 加藤 信介
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.32, pp.91-102, 1986-10-25 (Released:2017-09-05)
被引用文献数
5

室内における汚染質の拡散性状を基礎とする3種の新たな換気効率の指標を定義する.これは,(1)各場所で汚染質が発生したと仮定した場合の室内平均濃度,(2)同じく,汚染質が発生したと仮定した場合の平均拡散半径,および(3)吹出し空気の平均到達時間,である.これらを用いて,実在のクリーンルーム内の換気特性を考察する.換気効率指標の分布は,(1)吹出し口・吸込み口などを変化させた場合の気流分布の変化による換気効率特性の変化を効果的に示す,(2)室内汚染源の発生位置の変化が室内の清浄度に与える影響を直接的に示す,(3)清浄空気到達の程度を具体的に表す,などの特徴を有し,室内の換気設計を行う際の指標として有用なことが示される.
著者
鯵坂 学 徳田 剛 中村 圭 加藤 泰子 田中 志敬 Manabu Ajisaka Tsuyoshi Tokuda Kei Nakamura Yasuko Kato Yukitaka Tanaka
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.91, pp.1-87, 2010-05-31

日本の大都市では2000年を画期として都心回帰がみられる。その原因は、不況によりオフィス需要が減少し、大型マンションが建てられ、新住民の居住が促進されたためである。大阪市特有の地域住民組織「地域振興会」へのインタビューを通して、大阪市における新住民と旧住民との関係について調査した。その結果から、新住民のそれへの参加は少なく、旧住民中心の振興町会側も対応に苦慮し、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
吉野 由美子 加藤 俊和 原田 敦史
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.5, 2011

東日本大震災が起こり、その規模の大きさに呆然としていた時に、ある会員の方から「協会としても何か支援活動をしないのですか」「何か役に立てませんか」と言う問い合わせをいただいたが、会員400人の協会で、財政的にも行き詰まり状態である中「何ができるのか」と考えあぐねていた時に、日盲委を中心として「対策本部」を作るので視覚リハ協会も視覚障害の専門家集団として協力して欲しいと言う申し出を受けた。<BR> この動きの中心となった加藤さんは、阪神淡路大震災の時に、被災した視覚障害者の支援にあたった経験があり、その経験から、「連携の大切さ」と「初期戦略として何をなすべきか」の見極めができているのだと言うことを知った。また、阪神淡路大震災の体験などの重要な先人の知恵が、私たち専門家に共有の財産となっていないことも分かってきた。<BR> 本シンポジュームでは、東日本大震災で被災した視覚障害者に対する支援の初期戦略と今後の見通しについてを対策本部の指揮を取っている加藤さんから伺い、また現地で実際に被災した視覚障害当事者の方に会って、その現状をつぶさに見ている原田さんからその状況を伺い、視覚障害リハビリテーションの専門家として、次にこのような災害が起こったとき「何をなすべきか」「どのような備えをしておくべきか」の知識を共有する事を第一の目的としている。<BR> また、大震災からの復興過程の中で必要とされる長期的な支援についても問題を提起することができればと考えている。
著者
加藤 千佳 太田 昇一
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement1, pp.103-108, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

葛飾北斎は, 国際的にも有名な日本を代表する絵師の1人である.彼は狩野派・土佐派・洋風画・漢画など様々な画風を学んだとされ, それらを吸収しながら彼独自の作風を作り上げた.北斎の構図は独創的であり, いくつかの著作の中でその構図の基礎を著している.「三ツワリ法」や「コンパスと定規を用いての作図法」を絵手本で紹介し, また遠近法と陰影を強調する手法を用いて「洋風木版画シリーズ」を描いている.本研究では, 彼の代表作である「冨嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」を対象に, 「神奈川沖浪裏」の芸術性を高めている重要な要因の1つが北斎独特の構図に因ることを, 「おしおくりはとうつうせんのづ」との関連性から検証した.さらに幾何学的観点から構図に潜む比の果たしている役割について考察を行い, 特に構図の要となる不変な黄金矩形が存在することを幾何学的に立証する.
著者
森田 明理 新谷 洋一 長谷川 正規 加藤 正也 西尾 栄一 細川 裕子 辻 卓夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.8, pp.1229-1236, 2001-07-20 (Released:2014-12-27)

Narrow-band UVBは,311 nmにピークを持つきわめて狭い波長(311±2 nm)の紫外線光源であり,尋常性乾癬,アトピー性皮膚炎などにヨーロッパでは一般的に用いられている.乾癬でbroad-band UVB療法より優れ,PUVA療法とはほぼ同等とされる.今回,明らかにステロイド外用,ビタミンD外用で皮疹のコントロールのできない難治な尋常性乾癬23名(平均PASI 28.6)を対象としてnarrow-band UVB療法を行った.Narrow-bandUVB療法には,TL 01ランプ10本装着したM-DMR-LH型を使用した.照射率の測定はIL 1700を用いた.照射方法は,ヨーロッパで一般的に用いられているstandard regimenを用い,入院では週に5回,外来では週に3回の照射を行った.治療終了時の皮疹評価は,寛解15例,改善4例,やや軽快1例であり,寛解導入率65.2%,改善以上は82.6%であった.また,3例では,増量に伴うケブネル現象がみられたため,増量が難しく,不変もしくは悪化し中止とした.それ以外,水疱などの高度の急性副作用を起こすことなく照射が可能であった.