著者
加藤 博一 Billinghurst Mark Poupyrev Ivan 鉄谷 信二 橘 啓八郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.97-104, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
27
被引用文献数
4 8

人間にとって自然で直感的なインタフェースを設計するためのデザインコンセプトとして,Tangible User Interfaceをあげることができる.このコンセプトに基づき設計された拡張現実感システムを我々はTangible Augmented Reality Interface と呼び,そのプロトタイプシステムをいくつか試作してきた.本論文では,このTangible Augmented Reality Interface について,その特徴,有効性を説明する.また,具体的なプロトタイプシステムとして「Magic Book」および「Magic Paddle」を紹介する.Magic Book は,仮想3次元絵本であり,ユーザは実際の本の上に,仮想的な3次元オブジェクトを見ることができる.さらに,そのシーンの中に入り込むことも可能である.また,この仮想世界の中で,複数のユーザがコミュニケーションをとることもできる.Magic Paddleは,仮想のミニチュア家具のレイアウトシステムで,紙製のパドル(へら状の物体)で,仮想の家具に対する操作ができる.直感的なインタフェースが実現されており,容易に3次元オブジェクトの操作ができる.
著者
氏家 無限 加藤 康幸 黒木 淳 寺島 俊和 伊藤 稔之 麻岡 大裕 白野 倫徳 柿木 康孝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.32-36, 2021-01-20 (Released:2021-08-01)
参考文献数
10

The novel coronavirus disease 2019 (COVID-19) was first reported to the World Health Organization by the WHO country office in China in December 2019 and has since become a worldwide pandemic. In Japan, COVID-19 is a designated infectious disease under the Infectious Disease Control Act, meaning that hospitalization or isolation measures are required for infected persons. It has been noted that in some cases, patients show positive PCR test results even after discharge from the hospital upon meeting the discharge criteria for COVID-19. However, so far, there is a lack of substantial evidence on the pathogenesis of reinfection or relapse in patients with COVID-19. We report 4 cases of COVID-19 who showed repeat-positive PCR test results for SARS-COV-2 after discharge from the hospital, and assessed their infectivity using clinical information collected via a public epidemiological survey. All 4 cases showed a repeat-positive PCR test results within 40 days of the initial onset of symptoms. All the PCR test results showed high Ct values of 33 or higher in the repeat-positive test. In addition, neutralizing antibodies were detected in all cases within 3 days from the date of the repeat-positive test. Furthermore, an epidemiological survey was conducted in 18 persons who were in close contact with the 4 cases, and 11 of them tested negative by the PCR test, and no case of secondary infection was found. Based on these findings, the risk of secondary infection from the 4 cases was considered as low. No specimens collected at the time of the first infection or virus culture test results were available for further evaluation. Issues remain to be resolved in respect of the systems needed for cooperation with healthcare providers and the laboratory testing required for the evaluation of re-infection. In order to further elucidate the pathogenesis of COVID-19, and to provide appropriate medical care, it is essential to evaluate the infectivity of patients with a repeat-positive PCR test and to accumulate further knowledge about the disease.
著者
加藤 暢介 増田 良太 西海 昇 加賀 基知三 猪口 貞樹 岩崎 正之
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.146-149, 2015 (Released:2015-07-31)
参考文献数
12

散弾銃損傷に対し,重症度から腹部の緊急手術と胸部の待機手術に分けて施行し良好な経過を得た症例を経験した.症例は60歳の男性.キジ狩り中に誤射を受け被弾した.胸部単純X線写真で左側胸腹部に計39個の散弾を確認した.胸部CT写真は銃弾の軌道に沿った左肺挫創と左血気胸を認めた.左胸腔ドレーン挿入時に一過性の気瘻と100mlの血性排液を認め,消化管損傷の可能性を優先し,緊急試験開腹手術を施行した.胸部37個の弾丸のうち合計23個が残ったが,血中鉛濃度の上昇を認めたため,18病日に肺内,心嚢内,左胸部皮下脂肪層・筋層内の銃弾を摘出した.血中鉛濃度は17病日に12.0ug/dlまで上昇したが,以後下降し受傷1カ月後は9.9ug/dlとなり,以後低値となった.散弾銃は,銃創による臓器損傷と体内遺残散弾による鉛中毒に注意が必要である.出血や重篤な臓器損傷がなければ鉛中毒予防のため散弾除去は待機手術で良い.
著者
加藤 輝之
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.485-509, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
50
被引用文献数
19 49

日本では3時間積算降水量200mmを超える集中豪雨がしばしば観測され、過酷な地滑りや洪水をもたらす。そのような事例は主に、日本語で「線状降水帯」と名付けられた準停滞線状降水システムによってもたらされる。線状降水帯は次々と発生する発達した対流セルが列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域として定義される。線状降水帯の形成過程としては主に、暖湿流がほぼ停滞している局地前線に流入することで、対流セルが前線上で同時に発生する破線型と、下層風の風上側に新しい対流セルが繰り返し発生し、既存のセルと線状に組織化するバックビルディング型の2つに分類される。 本研究では、線状の降水システムについての過去研究のレビューに加えて、線状降水帯の数値モデルによる再現性および線状降水帯の発生しやすい条件について調査した。2014年8月20日の広島豪雨の事例の再現では、対流セルの形成・発達過程をおおよそ再現できる少なくとも水平解像度2kmが必要であったが、その内部構造を正確に再現するには水平解像度250~500mが必要であった。2㎞のモデルは10時間前の初期値を用いることで広島の事例を量的に再現したが、予想された最大積算降水量は初期時刻が線状降水帯の発生時刻に近づくにつれてかなり減少した。この減少は過度の下層乾燥空気の流入が新たな積乱雲群が発生する領域を移動させたためであった。 線状降水帯を診断的に予測するために、線状降水帯の発生しやすい条件を過去の集中豪雨事例における大気環境場から統計的に構築した。500m高度データをベースに判断する下層水蒸気場を代表して、(1)大量の水蒸気フラックス量(>150g m-2 s-1)と(2)自由対流高度までの距離が短いこと(<1000 m)の2つの条件を選択した。ほかの4つとして、(3)中層(500hPa と 700hPa)の相対湿度が高い(>60%)、(4)ストームに相対的なヘリシティで判断する大きな鉛直シア(>100m2 s-2)、(5)総観スケール(700hPa で空間 400km平均)の上昇流場で判断する上昇流域と(6)700~850hPaに度々みられる暖気移流を除外するための平衡高度が3000m以上の条件を選択した。
著者
加藤 友香 浅野 和之 並木 誠 久楽 賢治 佐々木 由枝 手島 健次 枝村 一弥 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.54-57, 2005-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

特発性乳糜胸と診断された猫に対し, 高用量ルチン療法 (500mg, 1日3回, 経口投与) による治療を行った. 治療開始後, 胸水量は徐々に減少した. さらに29日後にルチンの1日投与量を1, 500mgから2,000mgに増量したところ, 治療開始後150日目には胸水貯留がほとんど認められなくなり, 最終的に治療開始後450日目にルチン投与を中止することができた. 現在, 治療開始後約2年を経過したが, 胸水の貯留や臨床症状は認められていない. 以上の結果から, 猫の特発性乳糜胸に対して高用量ルチン療法が右効である可能性が示唆された.
著者
福田 道雄 成末 雅恵 加藤 七枝
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.4-11, 2002 (Released:2007-09-28)
参考文献数
69
被引用文献数
25 24

日本におけるカワウの生息状況は,非常に劇的な変化を示した.1920年以前は北海道を除く全国各地で普通に見ることができた鳥であった.ところが,明治以降から戦前までの間は,無秩序な狩猟などによって急減したとみられる.戦後は水辺汚染や開発などによって減少したと考えられ, 1971年には全国3か所のコロニーに3,000羽以下が残るのみとなった.しかしながら,その後カワウは残存したコロニーで増加し始め,それらの近隣広がった.1980年代からは愛知,岐阜,三重の各県で始まった有害鳥獣駆除の捕獲圧による移動や分散で,各地に分布を拡大していったと考えら れる.増加の主な理由は,水辺の水質浄化が進み生息環境が改善したこと,人間によるカワウへの圧迫が減少して営巣地で追い払われることが少なくなったこと,そして姿を消した場所で食料資源である魚類が回復したことなどが考えられる.2000年末現在では,50,000~60,000羽が全国各地に生息するものと推定される.
著者
加藤 雅子 カトウ マサコ Masako KATHO
雑誌
日本女子大学紀要. 文学部
巻号頁・発行日
vol.60, pp.50-21, 2011-03-20
著者
前田 巌 松島 裕康 坂地 泰紀 和泉 潔 ディグロー デビッド 加藤 惇雄 北野 道春
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2L4GS1304, 2020 (Released:2020-06-19)

高度な複雑系として知られる金融市場は,影響を与える要素の膨大さ,内部構造の非定常性,マーケットインパクトの存在といった要因により,予測が非常に難しい.これは近年目覚ましい発展を遂げた機械学習・深層学習手法を用いた場合でも同様で,金融市場予測は必ず不確かさを含んでしまい,不確かな予測に基づく投資判断は大きな損失や市場の不安定化の原因となる.本研究では,人工市場シミュレーションと深層強化学習の組み合わせにより,学習データの不足を補うとともにマーケットインパクトを考慮した学習を可能とし,上記の問題の解決を図った.基本的な単一市場のシミュレーション環境において実験を行い,提案手法の有効性が確認された.
著者
加藤 武雄
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.559-567, 1956-09-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
6

In this paper, the results of the investigations of the Tachiyazawagawa are reported. The results are summarised as. follows:- 1. The water temperature of the river is lower than that of the Mogami (main stream) throughout the snow-melting season. The diffe-rence, lies 1.3 and 5.1. 2. The upper reaches of the river consist of the Nigorisawa, the Honsawa (the main stream) and the Akasawa. Among the three, the Nigorisawa is most influenced by the volcanic activity of Mt. Gassan, judging from the chemical analysis of the water taken from the stations in the drainage system. 3. The content of the dissolved oxygen in the water undergoes the diurnal change. The relation between the oxygen content and the water temperature nearly shows the negative correlation. 4. The chloride content of the river decreases regularly with the increase of the flow except during the snow-melting season.
著者
加藤 友人 淺沼 雄貴 中島 光志 井上 浩徳 寺島 肇 渡邊 秀人 本間 英夫
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第23回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.284-285, 2009 (Released:2014-07-17)

近年、電子機器配線の内部配線の独立化が進んでおり無電解めっき法が重要となっている。パッケージ基板端子などの接合部にはAuめっきが施されている。その問題点を改善するために中間層にPdを挟むNi/Pd/Auプロセスの適用が拡大している。現在、リードフレームにはAu膜厚0.005μm, Pd膜厚 0.05μmと、貴金属の低コスト化が図られている。しかしながら、薄膜化によりPd皮膜の耐バリア性の低下が懸念される。そこでPd皮膜を合金化することにより、耐バリア性など皮膜性能の向上を目標とし、その結果を報告する。