著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.56-60, 1932-04-20

ガランビアザミ(Cirsium albescens KITAMURA.) タカサゴアザミに一見似た形であるけれども總苞の外片が線状披針形で15-13mm.もの長さがあり頭花の直下には澤山にとげの多い苞がある。花は白花が主であるが少しばかり桃色を帶びてゐるものもある。臺灣南端鵞巒鼻に頗る多く風の強いところでは丈は短かいが風のあたらぬところではタカサゴアザミ位になる。モモヤマアザミ(Cirsium Hosokawai KITAMURA.) 高さは22cm.位あり莖には綿毛を密布し下部の葉は橢圓形で11cm.の長さに4cm.の幅がある。先端はするどく尖り底部は莖を抱いてゐる。羽状中裂で7-6對あり裂片の先端にはするどいとげをそなへてゐる。上部は少しく綿毛を布き下部には眞白に綿毛が密布してゐる。頭花は莖や枝の頂きにつき3cm.位の幅がある。總苞の外片は披針形で15-12mm.長2-1mm.幅である。内片は17mm.長位である。各片は直立してゐる。シロバナタカサゴアザミ(Cirsium japonicum DC. var. takaoense KITAMURA.) タカサゴアザミの白花であるノアザミの白花は紫花のものとまぢつて發見されるが臺灣の南部700m.より1500m.まであたりには澤山にこの白花があるけれども北部に多い紫花のタカサゴアザミは見かけない,分布も異なつてゐる。スズキアザミ(Cirsium Suzuki KITAMURA.) 高さ一米に達する植物で葉は莖を抱き葉裏には一面に綿毛を布き眞白である。長く伸びた花梗の先端に花時點頭する大きな頭花をつける。總苞の外片はきはめて小さく卵状橢圓形で3mm.ほどの長さで内にあるものほど次第に長く最内片は線状披針形で18mm.ばかりもある。いづれも其の背部はねばり黒ずんでゐるのが特徴である。ミツザケヂシバリ(Lactuca trifida KITAMURA.) 一寸ヂシバリに似てゐるが葉が大變に違ふのですぐ區別される。葉身は卵形で長い葉柄をそなへてゐて深く三裂する頂部裂片はヘラ形で5-3cm.長側部裂片は3-2cm.長ある。いづれも縁邊は波状をなす。ハマニガナとの區別は其の總苞を見ればよい。ハマニガナでは外片より最内片まで長さにうつり行きがあるがミツザケヂシバリでは外部のものは著しく小さく4-3mm.長しかない。中間の長さのものはなく内片はずつとぬき出て13mm.ばかりの長さである。
著者
高木 光博 向井 周平 伏見 康生 松下 幸平 三好 宣彰 安田 宣紘 北島 秀生 高牟礼 千郎 松下 俊彦 北村 延夫 出口 栄三郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1281-1286, 2007-12-25

慢性鼓脹症状を呈する11か月齢黒毛和種牛の臨床,病理学的な検索を行った.同一飼料給与下の同月齢正常牛と比較して,飼料摂取量,排泄量は同等であったが,本牛の糞中には未消化な長い繊維が多く含まれていた.第1胃,2胃および4胃に肉眼的著変は無く,第3胃葉の重度形成不全と未発達な第2胃溝を認めた.第3胃乳頭部の組織構築に異常はみられなかった.牛の第3胃葉形成不全は鼓脹症の原因となる可能性が示された.
著者
北村 強 飯塚 真規 佐久田 誠 西野 嘉之 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1382-1393, 2002-08-01

マルチキャストトラヒック下におけるWDMシングルホップネットワークにおいて,競合する目的アドレスの少ないマルチキャストパケットを優先して送信することにより,平均パケット遅延特性及びスループット特性の改善を図るスゲジューリングアルゴリズムを提案する.提案アルゴリズムでは,他のデータパケットと競合する目的アドレスを多くもつマルチキャストパケットの送信を延期させることにより,競合する目的アドレスの少ないマルチキャストパケットを優先して送信する.競合する目的アドレスの少ないマルチキャストパケットを優先して送信することにより,スケジューリングが完了する次のタイムスロットにおける波長利用効率を向上することが可能となる.マルチキャストトラヒック下における平均パケット遅延特性及びスループット特性について計算機シミュレーションにより特性評価を行う.その結果,提案方式は平均パケット遅延特性及びスループット特性を改善できることから,提案方式の有効性を示す.
著者
北村 英純 長瀧 寛之 都倉 信樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.536, pp.47-52, 2003-12-12

本研究では,高等学校の教育活動において作られるコンテンツを保存するポートフォリオシステムの開発と評価を行った.このシステムを使うと,生徒及びクラス担任と教科担任は,保存されているコンテンツをそれぞれの役割に応じて閲覧でき,生徒の自己評価と,教師による生徒の学習状況の把握に役立てられる.我々は教育を2カテゴリ4領域(アクティビティ:教科活動,自主活動,及びヒストリ:自分の歴史,学校の歴史)に分類した.本ポートフォリオは,その領域分類に従ってコンテンツを保存し,そのコンテンツに対して2種類の閲覧環境,つまり領域を分離した環境と領域を統合した環境を提供する.前者は領域ごとの学習状況を把握するため,後者は学習活動全般を閲覧するためのものである.とりわけ,統合した閲覧環境では各カテゴリに保存されているコンテンツが相互に情報を補完し合うので,生徒は自分の記憶にある情報も呼び起こすことができる.
著者
北村 晃寿
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.63, pp.40-48, 1997-12-20
被引用文献数
1

The middle part of the early Pleistocene Omma Formation (1.5-1.0Ma) is composed of eleven depositional sequences caused by glacio-eustatic sea-level changes associated with Milankovitch cycles (41, 000-year orbital obliquity). Each depositional sequence contains inner shelf sediments of transgressive and high-stand systems tracts. Within each depositional sequence the molluscan fauna changes from cold-water associations to warm-water associations, followed again by cold-water associations. On the basis of detailed stratigraphic distributions of molluscs and planktonic foraminifers, the following events can be recognized during the warming interval from a glacial stage to an interglacial stage : 1. initiation of inflow of the warm Tsushima Current into the Japan Sea, 2. local extinction of cold-water molluscs, 3. absence of both cold-and warm-water molluscs, 4. successful migration of warm-water molluscs. The absence of both elements may have been caused by high seasonal fluctuations of water temperature associated with the unstable inflow of the Tsushima Current.
著者
橋本 雅和 阿多 信吾 北村 浩 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.689, pp.79-84, 2005-02-24

IPv6の持つ新たな機能であるエニーキャストは, 同じサービスを提供する複数のサーバに共通のIPアドレスを割り当てて複数のサーバの中から最適なサーバを1つ選んで通信する機能であり, その特性から様々な用途が期待されている.特にIP層でのエニーキャストの実現は, 既存のアプリケーションに変更を加えず使用することができるという利点がある.しかし, 通信の対象となるノードがインターネット上に広く分散しているという特徴を持つグローバルエニーキャストの実現には, 既存の経路制御を大きく変更する必要があり, 実現が困難であると思われてきた.そこで本研究では, Mobile IPv6とグローバルエニーキャストのメカニズムの比較から多くの類似点を見いだして, Mobile IPv6のメカニズムを応用することによりグローバルエニーキャストを容易に実現できることを発見したので, その手法を報告する.
著者
北村 旅人 今井 隆生 松尾 隆昌 阿部 厚 塚本 高久 栗田 賢一
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.487-489, 2000-08-20
被引用文献数
3 1

Among 90 cases of partial Monosomy of the short arm of chromosome 9 that have been described in the literature, only 4 cases have been reported in Japan. We describe a new case associated with cleft palate. The patient was a 1-month-old girl. She came to our hospital for treatment of cleft palate in 1994. Because of her peculiar facial appearance, including slanted eyes, flat nasal bridge, and prominent forehead, we conducted a chromosome analysis, which revealed a partial monosomy of the short arm of chromosome 9 (9p-syndrome). At the age of 2.5 years, her physical development was favorable, and we performed palatoplasty with the patient under general anesthesia. She is being observed at the department of pediatrics and our department since the operation.
著者
北村 浩 阿多 信吾 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.420, pp.121-126, 2006-12-07
被引用文献数
13

IP通信のセッションを多重化して識別するには、ネットワーク層のアドレス情報とトランスポート層のポート情報を用いて行うものだと思われている。この方式では異なる二つの層で多重化を行うことになり、フィルタリングをはじめ多くの機能実装の効率が悪いことに加えセキュリティ的にも問題があり、適切な方式になっていない。この方式が用いられてきたのは、一般に1つのノードには1つのIPアドレスしか割当てないため、ポートでの多重化を考えたためである。しかし、IPv6の時代になり、1つのノードに複数のIPアドレスを割当てることが一般的になった今、セッションの多重化方式を見直す時が来ている。本論文はUnified Multiplexと呼ぶネットワーク層一層だけで多重化を行う新しい通信方式に関するアーキテクチャについて論述する。
著者
松原 望 北村 喜宣 繁枡 算男 小宮山 宏 細野 豊樹 佐藤 仁 石 弘之
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1998

(松原)最終年度のとりまとめを行った。アジア・太平洋地域の環境問題は、開発と高い経済成長にともなう環境破壊、資源開発と相関する環境破壊、「環境保護」の名のもとの環境破壊、所得格差と不平等増大の進行、などの各論的問題が次第に総論化し、政策の統合と協調が政治経済学的に「集合行為」(オルソン問題)としての課題となっている。その中でアメリカの環境政策での立場が、ブッシュ政権のもとで従来との一貫性を欠く等の局面が現出していることに焦点をあてた総括を行った.(小宮山)中国を含む東アジアおよび東南アジア諸国における資源とエネルギーについて20世紀後半50年間分のデータを収集し、農業生産量、エネルギー資源等の天然資源の生産量、工業生産量の経年変化から現状を分析した。(繁桝)構造方程式モデル(SEM)のパラメータを推定するためのベイズ的な解析方法を理論的に精緻化し、ギブスサンプリングを用いて実用化した。SEMは,リスク認知における因果関係を検証するために有用な方法である。(佐藤)今年度は、日本における資源概念の形成にかかわる文献を集中的に収集し、とくに南洋地域における資源確保の政策背景について研究した。タイでは関連する現地調査も行った。(北村)環境保護のためにきわめて厳格な法執行制度を整備している米国環境法を概観し、日本環境法の導入可能性をさぐった。非刑事的制裁の有効性などが示唆されたが、日本の行政システムのなかで機能させるには、組織文化的な課題があることがわかった。(細野)アメリカ合衆国2000年大統領選挙で明らかになった投票集計機材の誤差問題に対応すべく策定された、2002年10月の連邦政府の対策法がなぜ不十分なものに終わったかを、自治体の新技術への対応能力の格差にからめて、キングダンの政策モデルで分析。
著者
北村 一親 KITAMURA Kazuchika
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテスリベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.83, pp.1-27, 2008-12

かつては言語学者が言語の起源を追究することは学界において世界的に忌避されており,50年ほど前の日本の言語学会においても同様で,鈴木孝夫が記号論的視点から「鳥類の音声活動」と題する講演を行った際,出席者から「たしか100年前にフランスの言語学会で,人類言語の起源は今後言語学では一切扱わないことを宣言したが,それを知っていますか」という旨の質疑を受けたという。2 bis) しかし,時は移り,幸いにも現在ではこのような軛から解放されて言語の原初の姿を模索する様々な試みがなされるようになってきており,例えば,手話言語3) やクレオール諸語4) に言語の原初形態を見出そうとする動きがある。筆者は将来的にクレオール諸語における注目すべき諸点を考察するために,さまざまなクレオール諸語,すなわち大航海時代および植民地主義時代の所産であるフランス語,英語,ポルトガル語やオランダ語(そしてこれらの諸言語に付け加えるならばスペイン語やその他の非印欧語)を基体とするクレオール諸語を言語の原初形態を探求しうるのかどうかも含めて研究することを企図している。しかし,研究を始めるにあたり「クレオール語」を定義する必要があり,またその前に統一的な理解が難しい「クレオール」という概念の検討が必要不可欠と考え本稿を起稿する次第である。なお,クレオール諸語の中でも特にカリブ海に浮かぶ大アンティル諸島イスパニョーラ島の西3分の1を占め,1804年にラテンアメリカで最初に独立したハイチ共和国の国語であるハイチ・クレオール語およびフランスの海外県である小アンティル諸島のマルチニーク,5) グワドループ等におけるフランス語を基体とするクレオール諸語(フランス語系クレオール語)を他のクレオール諸語と比較することを中心に据えたいので本稿の欧文標題をハイチ(・クレオール)語で表した。また,本稿標題が「クレオール語で」という表現で止めているのは今後の研究も想い描きながら,この言語,すなわち「クレオール語」であらゆる可能性を示したいという筆者の願望の故であることをここに明記しておく。
著者
北村 文雄 野田坂 伸也
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.32-37, 1975-03-20
被引用文献数
2

イ)造園樹木の生長におよぼす土壌硬度の影響を知るために,イチョウおよびオトメツバキを用いて実験を行った。ロ)供試樹木の地上部の生長は,高硬度区は悪く,年代を経るにしたがってその程度がいちじるしくなる。低硬度はむしろ生長がよい。地下部も同様の傾向を示し,高硬度区で生長は悪いが,予想以上に根は伸長し,また,地下部発達度(地下部/全体(花葉を除く))も大きい。低硬度区は根の状態はよいが,地下部発達速度は小さい。低硬度区が生長がよい原因は,土壌が適度に固いために根がよく土壌を把握し,効率よく働いているためであると考えられる。ハ)イチョウにおいては,高硬度区は落葉が早く,低硬度区は逆に遅くなる現象がみられた。また,オトメツバキにおいては,高硬度区は花蕾が年代が新しいうちはよく生じ,また低硬度区では花蕾が非常によく生ずる。これらは植物体内の栄養条件に関係があるとみられる。ニ)土壌水分については,高硬度区は乾燥しやすく,雨後一時間に水分含量が多くなってもその後の乾燥も早い。低硬度区は比較的よく水分を保持している。
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.129-134, 1954-10-20

Polygonum deflexipolosum 丈の高いタデの新種ヒマラヤにはタデ屬は頗る多い。Clematis alternata センニンソウの新種。葉が對生するのがこの屬の通性であるがこれは葉が互生する.Deophiium nepalense ヒエンソウの新種.ヒマラヤには美しいヒエンソウ屬が多い.これは非常に小さい種.Potentilla eriocarpa var. major キジムシロ屬の大變大きなもの,莖が地をはって蛇のようである.Prunus himalaica 赤い花のサクラの新種.P. imanishii 黄色の花咲くサクラで,種名は今西錦司氏を記念せるもの.Sibbaldia minutissima 非常に小さいタテヤマキンバイの新種.Caragana nepalensis ムレスズメの新種.ヒマラヤの北側の乾燥地帯に出る.Utricularia nepalensis タヌキモの新種.苞が莖に盾状につく.Lonicera minutifolia 葉や花の小さいヒョウタンボクの新種.Nardostachys gracilis 有名な薬用植物N. jatamanshiiに近い小さいもの.