著者
田村 和之 来間 泰男 小田 清 高原 一隆 秋葉 節夫 岡本 篤尚 仲地 博
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、以下のようなことを明らかにすることができた。1.地方自治体に対して国が交付する在日米軍基地・自衛隊関連交付金等(基地交付金)は、補助率が高く、これを受ける地方自治体は基地交付金に依存する傾向が見られる。また、その算定にあたり国の裁量が働く余地があり、この仕組みは依存を昂じさせる。2.基地交付金は、これまで自治体の公共事業の実施に大きな影響を与えてきた。過疎地域の地方自治体がこの傾向から脱却することは容易でない。しかし、産業の発展している都市周辺部の自治体の基地交付金依存度はさほど大きくない。3.一部地域では、新しい基地公害(野生種絶滅の危険)などに基地交付金を対応させる必要が見られる。4.軍事施設・基地は、当該地域の産業や住民の生活に密着する限りにおいて地域経済の活性化効果をもつが、その施設の後始末、発生する公害等の処理を考慮すると、短期的な効果だけでみるのは問題である。5.基地と地域経済とは微妙なバランスをたもたせながらも、将来的には暮らし密着型の産業構造へシフトすることが求められる地域は少なくない。6.沖縄県では、復帰により経済の基地依存度は大きく落ちたが、近年、やや高めている。そのような中で、軍用地料が「相当に高い」という問題がある。このことが沖縄経済だけでなく自治体行財政にもゆがみをもたらしている。
著者
福田 智子 駒木 敏 田坂 憲二 黒木 香 矢野 環 川崎 廣吉 竹田 正幸 波多野 賢治 岩坪 健 古瀬 雅義 藏中 さやか 三宅 真紀 西原 一江 日比野 浩信 南里 一郎 長谷川 薫
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

平安中期成立かといわれる類題和歌集『古今和歌六帖』約4500首を対象に、独自に開発した文字列解析システムを用いて、すべての和歌の出典考証を行った。また、複雑な書き入れに対応したテキストデータ作成のため、タグ付け規則を案出した。そして、六つの伝本のテキストファイルを作成した。それらを対象に、諸本の同一歌を横並びで比較対照でき、しかも、底本を自由に選択できる校本システムを開発した。さらに、伝本の原態、特殊な漢字表記、朱筆書き入れに関する基礎資料を作成した.
著者
小谷 誠 合原 一幸 内川 義則
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.9, pp.653-655, 1987-09-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
1

肺磁図は, 粉じんの磁気特性を利用して肺内に蓄積した粉じん量を測定するための手法であり, じん肺患者の早期診断などに偉力を発揮する. 今後は計測精度の向上と, 装置の低価格化が課題といえよう.
著者
山下 裕司 下郡 博明 菅原 一真 広瀬 敬信
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,生活習慣病であるメタボリック症候群が聴覚に及ぼす影響について明らかにし,その予防方法を開発,将来の臨床応用に発展させることである。そのためにモデルマウスTSODを用いて研究を行った。結果としてメタボリック症候群モデル動物は,加齢に伴い出現する難聴が対照動物に比べてより早期に出現することが明らかになった。組織学的検討からは内耳の血管に動脈硬化が生じ,内耳の血流が減少することが原因のひとつであると考えられた。また,発現遺伝子の検討からは,多くの種類の成長因子が減少していることが明らかになった。これらの結果は新しい難聴予防の方法の開発につながると考える。
著者
柏崎 礼生 宮永 勢次 森原 一郎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2014-IOT-27, no.4, pp.1-6, 2014-10-02

プライベートクラウドや組織内仮想化基盤からパブリッククラウドへと移行する過渡期において,プライベートクラウドとパブリッククラウドの双方を接続しデータやアプリケーションの可搬性を高めたハイブリッドクラウドが展開される.ハイブリッドクラウドにおいてはプライベートクラウドとパブリッククラウドにおいて同じ,あるいは互換性の高いハイパーバイザーで構築されている事が望ましい.VMware 社は 2013 年に ESXi ハイパーバイザーを用いたパブリッククラウドサービス vCloud Hybrid Service (現 vCloud Air) の提供を開始し,2014 年には日本でのサービス提供が始まった.大阪大学では ESXi を用いた仮想化基盤を構築・運用しているため,このサービスは移行先のパブリッククラウドの有力な選択肢の一つである.本稿では VMware 社の協力のもと,vCloud Air 環境における計算機資源の性能評価を行う.
著者
小原 一馬
出版者
日本教育社会学会
雑誌
日本教育社会学会大会発表要旨集録
巻号頁・発行日
no.51, pp.107-108, 1999-10-01

本発表は、現代の若者、特に女子のライフコースのイメージの変化に関して、「かわいいおばあちゃん」をキーワードとする一連の調査・研究の発表の初回となる予定である。本発表では、現代女子大学生における「かわいい」という言葉の語法、特に、従来「かわいい」という形容がほとんどもちいられなかったと考えられる年上の男性、中高年の女性(特に両親、おじいちゃん、おばあちゃん)に対する「かわいい」の語法についての調査結果を示す。
著者
小津 草太郎 木原 一郎 太治 大輔 若林 紀乃 山崎 晃 千代 章一郎 關 浩和
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属幼年教育研究施設
雑誌
幼年教育研究年報 (ISSN:03883078)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.13-22, 2007-06-07

Recently, increasing the activities for city planning or renovation that citizen participated in the world. In this study, focus on Hiroshima ECO-PEACE-MAP activity, the one of Japanese GREENMAP proposed by Wendy Brawer, researched developmental changes of schoolchildren's adjective images for their life city and corresponded to their icons use in environment map design. The children in 4th and 5th grade completed a questionnaire composed of 18 pairs of adjectives such as noisy-quiet or dark-light. Their profiles of image in part changed through 4th-5th or before-after activities, and its might be reflected cognitional development for the components of city environment as their icons use.
著者
川内 美彦 大原 一興 高橋 儀平
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.590, pp.17-23, 2005
被引用文献数
2 2

In order to make our society Universal, we need to respect various needs of various people. In order to include needs of various people into community development plan, workshops involving public are regarded as an effective way. Although we have some methods to evaluate the workshop, we still do not know enough how much awareness has been changed by workshop. The Second Dimensional Image Mapping Method was developed to assist forming self-image of participants in an educational field. This is a study to evaluate an efficacy of workshop using the Second Dimensional Image Mapping Method.
著者
安原 一
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.625-630, 1995-06-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
則竹(安藤) 寛子 加藤 豊望 梶原 一人 鈴木 徹
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.263-270, 2012-06-30 (Released:2013-06-30)
参考文献数
12

The quality of ice cream surface degrades significantly from alteration of the surface properties due to the repetition of thaw-recrystallizing accompanied with temperature vibration at subzero temperature, a little above the melting temperature. For understanding the phenomena in detail, ice crystals in ice cream after once thawed and recrystallized was observed morphologically, and evaluated quantitatively by fractal analysis. It was shown that the shape of ice crystal recrystallized from once thawed ice cream was modified from round shape to complex shape, of which the degree depended on thawing temperature at subzero temperature. However, the ice crystal retuned gradually into round shape with increasing the holding time at the thawing temperature. These phenomena would be caused by spatial micro distribution of high concentration part which was organized in thawed ice cream by freezing concentration. That is, the complex ice crystal formed in thawed ice cream at subzero temperature would be induced by losing the micro uniformity of concentration.
著者
吉野 昌恵 井上 なぎさ 吉﨑 貴大 石橋 彩 近藤 衣美 元永 恵子 上東 悦子 蒲原 一之 亀井 明子
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Journal of High Performance Sport (ISSN:24347299)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.62-73, 2020 (Released:2020-10-10)
参考文献数
12

Japan Institute of Sports Sciences routinely publishes information about supplements for athletes on its website. This information needs to be regularly updated based on athletes’ needs, the International Olympic Committee Consensus Statement, various health hazard reports, and evidence of performance-enhancing effects of supplements used by athletes. We investigated supplement use among 682 Japanese elite athletes who participated in the 2016 Rio de Janeiro Olympic Games. Supplement use was investigated based on a self-reported medical health questionnaire. We observed that 631 (92.5%) athletes used ≧1 supplements within the year prior to study enrollment. Amino acids were the most popular supplements consumed by 58.8% of athletes who admitted to supplement use. Recovery from fatigue was the most popular reason cited for supplement use. Among the athletes who used supplements, 57.4% received information regarding supplement use from their coaches, managers, and trainers, and 16.3% received information from healthcare professionals (i.e., physicians, pharmacists, and dietitians). Some athletes were unaware of the types of supplements that they used. A few athletes reported using supplements only because these products were being used by their teammates and admitted that their consumption of supplements was not meant for any particular purpose. This finding indicates that some athletes did not consider the necessity for and effects of supplements before using them. Therefore, athletes should have access to appropriate information regarding supplement use, including the rationale that justifies their consumption, as well as their effectiveness and safety to ensure judicious use of supplements in this population.
著者
笹井 浩行 引原 有輝 岡﨑 勘造 中田 由夫 大河原 一憲
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.6-18, 2015-03-31 (Released:2020-04-10)
参考文献数
63
被引用文献数
3

本総説では,加速度計の仕組み,国内の代表的な加速度計の特徴や妥当性を概説するとともに,加速度計を用いた身体活動増進介入研究を紹介し,今後の研究課題を展望することを目的とした。加速度計には計測本体である加速度センサに加え,時計,A/D変換器,プロセッサ,メモリ,電池などが内蔵されている。加速度センサの性能に加え,各機種が採用するデータ処理のアルゴリズムにより,機種間の違いがもたらされている。また,近年では腰部だけでなく手首や足首,大腿前面などに装着する機種も増えている。国内の加速度計については,二重標識水法やダグラスバッグ法などにより自由行動下および実験室にて妥当性が検証されている。今後は,年齢,職種など多様な生活様式を有する対象者にも適用可能な推定式の開発や,より洗練された統計モデルにより姿勢や行動様式を判別する研究が求められる。加速度計を動機づけツールとして活用した質の高い介入研究については,子どもから高齢者まで,年代にかかわらず十分でない。加速度計が一般消費者に普及しつつある現状を鑑みると,加速度計による身体活動増進介入は,新規性かつ意義のある研究分野であるといえる。
著者
栗原 一貴
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.4_293-4_304, 2012-10-25 (Released:2012-11-25)

本論文では動画を高速に鑑賞する技術について検討する.映画DVDなどで一般的である字幕付きの動画を対象として,字幕のない箇所は高速再生し,字幕のある箇所については字幕を読むことが可能なように再生することで,鑑賞の娯楽的価値を保ちつつ鑑賞時間を通常よりも短時間にすることを可能にする.さらに高速鑑賞時の負荷軽減のための字幕表示インタフェースとしてセンタリング,フェーディングを実装する.また再生速度,文字読み速度,総鑑賞時間の指定により動画を出力でき,モバイル機器などの一般的な動画プレイヤーで再生可能なフォーマットに変換可能な汎用性の高いエンコーダを実装および公開し,評価実験により有効性を示した.

4 0 0 0 OA 身体症状症

著者
吉原 一文 須藤 信行
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.1558-1565, 2018-08-10 (Released:2019-08-10)
参考文献数
10

身体症状症とは,さまざまな苦痛を伴う身体症状が長期に持続する疾患である.身体症状症の要因には,遺伝的要因や環境的要因(ストレス等),患者側の要因(パーソナリティ特性や認知的要因)があり,生物学的要因も示唆されている.診断には,「精神疾患の診断・統計マニュアル」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM)-5)(アメリカ精神医学会,2014年)の診断基準を用いて診断する.身体症状症には不安や抑うつが併存している割合が高い.身体症状症の治療には,医師との信頼関係が重要である.また,病因・病態の推定には心理社会的背景の聴取が必要になる.病因・病態に応じて治療を行うため,治療法は多岐にわたり,効果も一様ではない.身体症状症に効果のある薬物療法には抗うつ薬があり,特に疼痛症状に対する効果が認められる.心理療法に関しては,認知行動療法(cognitive behavioral therapy:CBT),リラクセーション法,ペーシング,段階的運動療法等の有効性が示されている.その他にも,必要に応じて家族面接や心理教育を行う場合がある.