著者
水原 啓太 柴田 春香 入戸野 宏
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.87, 2021

<p>左右対称な物体において,正面から見た画像よりも,斜めを向いた画像のほうが好まれる (Nonose et al., 2016)。斜め向きの画像は,物体についての多くの情報を表すため,見た目が良く感じられると考えられている。本研究は,左右対称な物体の画像において,物体の左右の向きが物体の選好に与える影響について検討することを目的とした。オンライン実験で,左右の向きのみが異なる日常物体100個の画像を対提示し,見た目が良いほうの画像を強制選択してもらった。画像は物体が正面を向いた状態から,鉛直軸に関して左右のどちらかに30°回転した画像と,それを左右反転した画像であった。その結果,左向きの物体を選好する割合は平均61.2%であり,有意に偏っていた。物体ごとに検討しても左向きよりも右向きのほうが有意に好まれた物体はなかった。この結果について,物体の操作可能性や左方光源優位性の観点から考察した。</p><p></p>
著者
中野 由章 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 佐久間 拓也 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.11-17, 2014-08-17

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013 年と2014 年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した。2014 年に試行した試験は,920 人が受験し,その内容について分析した。その結果,全体としてみれば,得点分布,解答時間,問題数などは極めて良好であり,出題範囲や難易度についても問題はなかった。ただ,「情報の科学」領域,とりわけプログラミングについては,問題点が明らかになった。これはすなわち,大学側が求める内容と,高校側で行なわれている内容の乖離を意味する可能性がある。入試問題という狭い範囲ではなく,教育内容まで含めて,今後,総合的に検討を要する内容である。
著者
水原 啓暁 佐藤 直行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本提案では,ヒトとヒトのコミュニケーションは、コミュニケーションを行う二者の脳の神経活動の振動(神経リズム)がシンクロすることによって実現される,という仮説を検証する.この目的のために,コミュニケーション課題を遂行中の被験者からの脳波計測を実施するとともに,神経リズムのシンクロを非侵襲的に操作することで,コミュニケーションの量的および質的変化が起こるかを調べる.本研究提案の成果は,円滑なコミュニケーションを実現するための技術開発につながる.令和元年においては,以下の2つの研究項目のうち、「コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ」について重点的に研究を遂行するとともに、「非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作」についても、その非侵襲脳刺激の方法について検討した.(1) コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ(2) 非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作「コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ」については,ナレーションを聴取中の20名の実験参加者を対象とした脳波計測実験を完了した.この実験では,短編小説のナレーションを聴取後に,どのような内容であったかを自由想起により被験者に回答してもらう課題である.自由想起した内容とオリジナルの小説文章との意味的な一致度を定量的に評価するために,自然言語処理技術を用いてそれぞれの文章を意味ベクトルに分解する.この意味ベクトルの一致度合いに基づき,被験者がどの程度ナレーション文章の聴取に成功していたかの成績評価を行う方法を開発した.特に今年度においては,自然言語処理技術による評価性能が最大となるパラメータ探索を実施した.また,「非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作」については,現在,経頭蓋電気刺激の利用可能性について検討を開始したところである.
著者
笠原 啓介 加野 彩香 大谷 智輝 阿部 遼
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.C-141_2-C-141_2, 2019

<p>【はじめに、目的】</p><p>日本では,1986 年,WHOのオタワ憲章で宣言されたヘルスプロモーションを踏まえて,健康日本21が制定され,セルフコントロールにより健康を増進させる方向性・目標が示された.健康はいかにして生成されるか,健康はいかにして回復され維持され増進されるかという視点に立った健康要因に着目した考え方が健康生成論であり,これはヘルスプロモーションの概念に合致している.健康生成論の核となる概念に首尾一貫感覚(sense of coherence:SOC)があり健康保持能力の基礎となり,これはストレス対処能力の指標とされる.日本では2015年にメンタルヘルス不調の未然防止のためのストレスチェックも開始され,メンタルヘルスへの関心も高まってきている.看護師を対象としたSOCの先行研究はみられるが,リハビリテーション(以下リハ)職種を対象とした先行研究は少ない.そこで今回,当院のリハ科職員のSOC,QOLの実態を把握し,今後の健康増進・メンタル不調の防止の対応を検討する目的で調査を実施した.</p><p>【方法】</p><p>リハ科職員30名(男性20名,女性10名,平均年齢30.8±6.4歳,経験年数7.2±4.4年)を対象とした.ストレス対処能力はSOC-13(13項目7件法),QOLはSF-8を使用し身体的QOL(以下PCS)と精神的QOL(以下MCS)を評価した.基本属性(喫煙,飲酒,趣味,運動習慣,食習慣,睡眠)およびSOCとQOLの関連を検討した.検定にはスピアマンの順位相関係数,マンホイットニーのU検定を使用し有意水準は5%とした.</p><p>【結果】</p><p>SOCは一般平均とされている54点~58点であったものが4名,53点以下が11名,59点以上が15名であった.PCSは各年代の標準値未満が14名,標準値以上が16名,MCSは標準値未満が18名,標準値以上が12名であった.SOCは年齢(rs=0.49),経験年数(rs=0.46),MCS(rs=0.37)に関連がみられた.</p><p>【結論】</p><p>SOCは年齢,経験年数に相関がみられた.これは経験年数が高い者は低い者に比べ,把握可能感(今後の状況がある程度予測できるという感覚),処理可能感(何とかなる,何とかやっていけるという感覚)が高いためと考える.戸ヶ里は,健康要因には中心的な役割を果たすSOCと汎抵抗資源(金銭,地位,社会的支援,能力等健康に関する資源)があり,汎抵抗資源が人生経験の質を育みSOC を形成すると述べている.今回の結果も地位などの汎抵抗資源は経験年数が高い者ほど高かったためSOCとの関連がみられたと考える.QOLとの関連については,Dragesetらによる研究同様に精神的QOLとの関連であった.ストレッサーが強くSOCが低いほど,健康の破綻,悪化をきたしやすく,SOCが高い人ほど,ストレッサーに上手く対応処理する能力があるとされており,SOCを上げることで精神的健康度を上げることが重要とされている.今回の結果より今後,職員の精神的健康度を含め健康的な心身の維持増進のために,SOCを高める取り組み(汎抵抗資源を動員し,ストレッサーの成功的対処を導き)などを行いたいと考える.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究を実施するにあたり,ヘルシンキ宣言に基づき対象者の保護には十分留意し,対象者には文書にて十分に説明を行い同意を得て実施した.</p>
著者
柴田 奈緒美 小倉 あい 高原 啓也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.178, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】落し蓋は少ない煮汁で味を全体に早く染み込ませ,煮崩れを防ぐ為,煮物調理にて有用である。本研究は肉じゃがを例とし,各種落し蓋での肉じゃがの仕上がりに及ぼす影響を検討した。更に,より簡易的で本格的な調理方法として2枚のクッキングペーパーにかつお節を挟んだ落し蓋(かつおぶた)の有効性も検討したので,併せて報告する。【方法】じゃがいも300g(50.9±2.79g/個),人参40g(10.1±0.24g/個),玉ねぎ100g(串切り),豚バラ肉100g(幅30mm)を油で炒めた後,だし汁と落し蓋をした状態で23分間煮込み,肉じゃがを調理した。落し蓋はリードクッキングペーパー(ライオン㈱製,以後,リード),木蓋,アルミホイル,対照として落し蓋を用いず加熱した方法(以後,開放)の計4種とした。調理後,じゃがいもと煮汁中のグルタミン酸量,塩分量および人参の破断強度を測定した。また,2枚のリードの間にかつお節6.0gを挟んだ落し蓋(以後,かつおぶた)を用いて調理したものと,顆粒だしとリードを用いて調理したものを対象とし,官能試験を行った。【結果】木蓋をした人参は他の調理法と比較し有意に柔らかくなったが(p<0.05),最も煮崩れをしていた。一方,開放の人参が最も硬く,じゃがいもの上部と下部の部分による濃度差があった。リードを使用すると,木蓋より人参は有意に硬くなるが,煮崩れが抑制されると共に,じゃがいもに呈味成分が均一に浸透していた。官能試験では,肉じゃがの香り・味のしみ込みが,かつおぶたを用いた方が顆粒だしより良い評価を得た。よって,かつおぶたは,別途だしをとる手間が省け,落とし蓋の効果も果たすことから,調理時間の短縮化・簡便化と共に美味しさを担保した肉じゃがを調理可能なことが示唆された。
著者
香西 省治 角谷 良彦 西田 知博 植原 啓介 萩谷 昌己 萩原 兼一
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2020-CE-153, no.24, pp.1-10, 2020-02-08

文部科学省の大学入学者選抜改革推進委託事業(情報分野)で研究開発した CBT (Computer Based Testing) システムを実装面から概説する.本事業の目的は,思考力・判断力・表現力を評価する「情報科」の試験問題を研究することである.この評価のためには,紙による出題よりプログラミング能力などを効果的に評価しやすい CBT による出題の方が試験問題の幅を広げることができると考えた.この CBT システムは,「CBTならでは」の試験問題を受験者に出題することを重視して,実際に作成された「CBTならでは」の模擬試験問題を一般化・仕様化し,その後発生する仕様変更にも柔軟に対応できるブラウザ型の専用システムとして開発した.この CBT システムは,出題する試験問題を確認する作問機能部,受験者が受験するための機能を持つ試験機能部,試験結果を採点・集計する採点・集計機能部の 3 論理サブシステムから構成される.CBT システムによる試験実施運用シーケンスに基づく各論理サブシステムの動作と,プログラミング問題,ゲームブック型問題等の特徴的な 5 形態の試験問題の処理を示すことを通して,開発した CBT システムがこの事業で研究した「CBTならでは」の試験問題を出題できることを示す.尚,2017 年と 2018 年に実施した実証実験では,主にサーバ負荷の面で問題は発生していない.
著者
上村 郷志 稗圃 泰彦 小頭 秀行 岡本 泉 竹原 啓五 中村 元
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.81-86, 2008
参考文献数
8

テレビ・ラジオ番組など特定のイベントを契機として発生するアクセス要求は,短時間に特定のサーバに集中する傾向があり,そのアクセス数は平常時のそれをはるかに上回るため,当該サーバの不安定動作あるいはシステムダウンを引き起こすことがある.本稿では,整理券を用いることにより,特定のサーバに集中するユーザからの大量のアクセスを所望のレート以下に制御するアクセス制御システムを提案する.提案システムでは,新たに導入するアクセスパスサーバにおいて,ユーザ端末がエンドサーバにアクセスするまでに待機すべき時間を整理券に記載して発行することにより,エンドサーバにおける同時接続セッション数を所望の数以下に制御する.また,提案方式を実装したプロトタイプシステムは,モバイル端末向けスクリプトであるFlash Liteを用いてユーザ端末の動作を制御し,ユーザ端末およびエンドサーバへ特別な改修を施すことなく,実稼働中のシステムへ導入することが可能である.
著者
荻原 啓文 加茂 智彦 田中 亮造 加藤 巧 遠藤 まゆみ 角田 玲子 伏木 宏彰
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.218-229, 2020-08-31 (Released:2020-10-01)
参考文献数
29
被引用文献数
4

This study was aimed at (1) determining the risk of falls in patients with chronic dizziness/vertigo using the Timed Up and Go test (TUG), Dynamic Gait Index (DGI), Functional Gait Assessment (FGA), and Activities-specific Balance Confidence (ABC) scale, and (2) investigating the correlations and agreements among the measurements results of assessment by the aforementioned methods in these patients. A total of 52 patients with dizziness/vertigo were included in the study, and the risk of falls in these patients was evaluated by the TUG, DGI, FGA, and ABC scale. We analyzed the correlations and agreements in the fall risk assessed by the aforementioned methods using Spearman's rank correlation and kappa statistics. Of the 52 patients, 11 (21.2%), 26 (50%), 29 (55.8%), and 18 (34.6%) patients were assessed as being at a risk of falls by the TUG, DGI, FGA, and ABC scale, respectively. The results of the assessments by the above methods showed significant good correlations and agreement. However, the kappa coefficients for some results were low (TUG-DGI: k=0.423, TUG-FGA: k=0.351, TUG-ABC scale: k=0.299, DGI-FGA: k=0.885, DGI-ABC scale: k=0.385, and FGA-ABC scale: k=0.294). Risk factors for falls in patients with dizziness and vertigo include disturbances of psychological balance and gait. Multiple methods to assess the fall risk may yield more accurate results than assessment by one method alone.
著者
高松 操 川原 啓孝 伊藤 裕道 宇敷 洋 鈴木 信弘 佐々木 純 大田 克 奥田 英二 小林 哲彦 長井 秋則 坂尾 龍太 村田 長太郎 田中 淳也 松坂 康智 立野 高寛 原 正秀 岡﨑 弘祥
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.32-42, 2016 (Released:2016-02-15)
参考文献数
10

In the experimental fast reactor “Joyo”, it was confirmed that the top of the irradiation test subassembly of the material testing rig named “MARICO-2” was broken and bent onto the in-vessel storage rack as an obstacle, damaging the upper core structure (UCS). In this paper, we describe the in-vessel repair techniques for UCS replacement, which are developed in Joyo. The UCS replacement was conducted in the following four stages: (1) jack-up of the existing damaged UCS, (2) retrieval of the existing damaged UCS, (3) installation of the O-ring, and (4) insertion of the new UCS. Since the UCS replacement was not anticipated in the original design, the work conditions at Joyo were carefully investigated, and the obtained results were applied to the design of special handling equipment. The UCS replacement was successfully completed in 2014. In-vessel repair techniques for sodium-cooled fast reactors (SFRs) are important in confirming the safety and integrity of SFRs. However, the techniques demonstrated in the actual reactor environment with high temperature, high radiation dose, and remaining sodium are insufficient to secure the reliability of these techniques. The experience and knowledge accumulated in the UCS replacement provide valuable insights into further improvements of in-vessel repair techniques for SFRs.
著者
水原 啓暁 山口 陽子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.12, 2008 (Released:2008-11-10)

複数の周波数での振動子ダイナミクスの協調は異なる脳皮質部位において表象された情報統合を実現する戦略の一つであり,記憶形成とのかかわりにおいて注目されている.本研究では,空間的に分離した脳皮質部位においてγ波により表象される情報が,θ波の特定位相で統合されることにより,陳述記憶の保持が実現されていることを示すために,新規な風景に関する記憶課題を遂行中の脳波計測を実施した.その結果,左前頭腹外側電極において観察されるθ波の特定位相において,右前頭腹外側電極および左前頭背外側電極において観察されるγ波が記憶保持中に増加することが明らかになった.このことは,空間的に分離した皮質部位においてγ波により表象されている新規風景に関する情報を,θ波の特定位相において同時に活性化することにより,これらの情報統合を実現していることを示唆している.
著者
塚原 啓史
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.220-228, 1994-09-30 (Released:2017-05-19)

1983年にテクノポリス法が成立し, 現在までに26の「テクノポリス」地域が誕生している. このうち, 1990年を第1期開発計画の目標年とした先発地域を中心に, その実績を開発指標から評価すると, 通商産業省が評価するほど「順調」に進展してはおらず, 次のような大きな問題がある. (1)計画目標の達成状況からみると, 計画目標を達成した地域が非常に少なく, しかもその達成率がかなり低かった. (2) 「最低クリアすべきハ一ドル」としての全国平均値との比較からみると, 全国平均値を上回っている地域は各指標とも約6割程度であった. (3)高付加価値化の推進からみると, 高付加価値化を進展させた地域はほとんどなかった. また, 期待した先端技術産業の多くは, 高付加価値化の推進に寄与しなかった. (4)定住化の観点からは, 定住化が進展している地域もあるが, 人口の停滞や減少を起こした地域が多い. 今後は, 第1期開発計画の適切な評価と反省に立って, 不十分な支援施策の改善や真に地域が自主的に活動できる体制の確立などの大きな変革が必要である.
著者
大平 昌彦 青山 英康 吉岡 信一 加藤 尚司 太田 武夫 吉田 健男 長谷井 祥男 大原 啓志 上畑 鉄之丞 中村 仁志 和気 健三 柳楽 翼 五島 正規 合田 節子 深見 郁子 板野 猛虎
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5-6, pp.502-509, 1970-02-28 (Released:2009-08-24)
参考文献数
18

In a restricted area of the northern part of Okayama Prefecture, Yubara Town, an outbreak of SMON (subacute myelo-optico-neuropathy) was observed from the beginning of 1967. An epidemiological investigation has been made on this outbreak and the results are as follows:(1) Concentration of cases occurred in the summer of 1968, though cases have been reported sporadically in the area from the beginning of 1967. The incidence ratio against the population was 659/100, 000 during 22 months.(2) The incidence was the highest in summer and the ratio in females was 3 times higher than in males. Concerning age group, males showed a peak in the thirties, whereas in females many cases were evident between the twenties and sixties.(3) Relatively enclosed districts are apt to expand over a period of time. Cases which occurred in neighboring families as well as those within the same families tend to give the impression that the disease coule be infectious.(4) Among the cases, a close contact relation was observed.(5) Physical exhaustion before the onset of the disease was observed to be 43.2% among the total cases.(6) In occupational analysis, a higher rate was revealed among workers who had close human relations such as hospital workers and public service personnel.(7) The tendency to other diseases of the nervous system as well as those of the digestive organs was checked by inspecting receipts of the National Health Insurance from the beginning of 1965. Nothing related to SMON was recognized before the outbreak.(8) Diseases of the intestinal tract and tonsillitis were observed in higher rates in the history of the patients.(9) The investigation of environmental conditions has revealed the fact that there is a higher rate of incidence in families who do not use service water compared to those who do.
著者
八板 静香 野口 亮 蒲原 啓司 柚木 純二 諸隈 宏之 古賀 秀剛 田中 厚寿 古川 浩二郎 森田 茂樹
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.277-280, 2016-11-15 (Released:2016-12-10)
参考文献数
10

中枢性尿崩症(central diabetes insipidus : CDI)は下垂体後葉からの抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が消失あるいは減少することにより尿量増加をきたす疾患である.一般的にCDIに対しては抗利尿ホルモン(ADH)補充により治療を行うが,手術侵襲により体液量や電解質などが変動する周術期のCDI患者の管理法に関しては報告も少なく確立したものはない.今回,われわれはCDIを合併した弁膜症の手術症例を経験したので報告する.症例は下垂体腫瘍の摘出術後に続発性のCDIを発症していた72歳の女性で,大動脈弁置換術と僧帽弁形成術が施行された.CDIに関しては酢酸デスモプレシン内服で術前の尿崩症のコントロールは良好であった.術直後よりバソプレシンの持続静注を開始し術翌日よりバゾプレシンの内服を再開したが術後3日目頃より急激な尿量増加をきたした.バソプレシンの静注から皮下注射に切り替え,尿量に応じたスライディングスケールで投与量を決めてコントロールを図った.経過中,バゾプレシン過剰による水中毒を認めたが,日々の尿量と電解質バランスを注意深く観察しつつスライディングスケールに従ってバゾプレシンを漸減することで酢酸デスモプレシン内服へ切り替ることができた.尿量に応じたバゾプレシン皮下注のスライディングスケールは開心術後のCDIのコントロールに有効であった.