著者
藤原 宏志
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第53回理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
pp.78, 2004 (Released:2004-03-25)

逆問題に現れる第一種積分方程式に対しては、そこに含まれる積分作用素の特異系を用いることで解を構成することができる。これは Picard の公式として知られる。しかし限られた積分核を除き、この特異系を具体的に得ることは理論的にも数値的にも困難であったため、従来、Picard の方法による解の構成は期待されなかった。本講演では、近年提唱された数値特異値分解を Picard の公式に適用することによる第一種積分方程式の数値解の構成を紹介する。
著者
清水 希容子 松原 宏
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.118-134, 2014 (Released:2014-11-29)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

東日本大震災から3年半が経過した.本稿の目的は,大震災後の製造業の回復過程を明らかにするとともに,地域経済の復興に向けて出されてきた産業立地政策を整理することである.鉄鋼,石油精製,セメントなどの沿岸部の素材型工業は,津波による大きな被害を受け,復旧にも時間がかかった.これに対し,内陸部の電子や自動車などの機械工業では,一部でサプライチェーンを通じて内外に被害が波及した工場があったものの,被害は相対的に少なく,早い時点での回復がみられた.震災後,中小企業向けのグループ補助金,国内産業立地補助金,地域イノベーション戦略推進地域など,さまざまな産業立地政策が,経済産業省や文部科学省によりとられてきた.被害の大きかった地域への新規投資を促すとともに,広域的観点から,東北各地の回復力と地域間の連携を強化することが今後の課題といえる.
著者
柏原 宏紀
出版者
關西大学經済學會
雑誌
関西大学経済論集 = Economic review of Kansai University (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.695-710, 2018-03

本論文は、日本の近代化が速やかに達成された理由を探るべく、明治初年の洋行官僚について検討したものである。具体的には、明治零年代後半に時期を限定し、政府内各組織における洋行官僚を抽出して表として掲げ、それらを集計して、人数や割合の変化について考察した。結果として、当該期に洋行官僚は政府で高い価値を帯び、政府内に占める彼らの割合が、全体としても各組織単位でも増加していたことが判明し、西洋を念頭に置いた近代化政策を進める人材が確保されていたことが明らかになった。
著者
緒方 幸代 藤田 孝輝 石神 博 原 耕三 寺田 厚 原 宏佳 藤森 勲 光岡 知足
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.317-323, 1993 (Released:2010-02-22)
参考文献数
26
被引用文献数
5 21 18

健常成人8名に4G-β-D-Galactosylsucrose (ラクトスクロース: LS) をはじめの1週間1g/日, 次いで1週間は2g/日, さらに, 2週後の1週間は3g/日を摂取させ, 少量LS摂取の腸内フローラおよび糞便の性状に及ぼす影響について検討した。その結果, LSの1g/日, 2g/日および3g/日の摂取のいずれにおいても, Bifidobacteriumが有意に増加し, C. perfringensを含むレシチナーゼ陽性ClostridiumおよびBacteroidaceaeの減少が認められた。糞便中のアンモニアおよび硫化物はLS 2g/日, 3g/日摂取で有意に減少した。糞便pHはLS 3g/摂取で低下し, 糞便重量および水分量はわずかな増加をした。以上の成績から, LSの最小有効摂取量は健康成人において1日当り1~2gと判断された。
著者
笹原 宏之
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.57-66, 1991-10-15
著者
小寺 聡 仁宮 洸太 澤野 晋之介 勝然 進 篠原 宏樹 赤澤 宏 小室 一成
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2K6OS1b04, 2022 (Released:2022-07-11)

背景:医療AIは社会的に実施され、患者に大きな影響を与えることが期待されるため、医療AIに対する患者の意識を調査することが重要である。 方法:本研究では、患者の医療AIに対する意識を調査する目的でインターネット調査を実施した。性別や年齢を考慮して、定期的に医療機関を受診している1240人、受診していない620人を対象にアンケート調査を実施した。 結果:78.1%が医療用AIを期待しており、47.7%が医療用AIについて不安を感じていた。医療用AIの診断を受け入れた人の割合は、診断精度が高い場合は56.7%、説明が明確な場合は41.4%、診断精度が高く説明が明確な場合は84.8%であった。主治医と医療AIの意見が異なる場合、主治医とAIの診断精度が同じであれば、81.3%が医師の診断を受け入れた。医療AIの診断が間違っていた場合、回答者の65.7%が医師の責任と考えた。 結論:この研究は、医療AIでは正確さと説明責任の両方が重要であり、患者は医療AIよりも医師を信頼していることを示した。
著者
蔦原 宏一 栗林 宗平 山道 岳 川村 正隆 中野 剛佑 岸本 望 谷川 剛 今村 亮一 高尾 徹也 山口 誓司
出版者
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.97-100, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
10

鏡視下ドナー腎採取術においては左腎の方が右腎より血管長の確保が容易であることから,左側の腎採取が選択される場合が多い.手術成績について採取側別に比較検討した. 対象は2003年1月から2014年6月までに当科で後腹膜鏡下ドナー腎採取術を施行した98例を対象とした.右腎採取は26例(26.5%)であった.手術時間,出血量,温阻血時間など各因子について検討した. 手術時間は左257.5(182-506)分,右256(196-374)分,温阻血時間は左150(60-330)秒,右204(120-393)秒,総阻血時間は左120(69-637)分,右104(60-183)分であった.温阻血時間については右腎採取において有意な延長を認めたが,総阻血時間については逆に左腎採取において有意に長かった. 左腎採取に比べ右腎採取では温阻血時間の延長を認めたが,総阻血時間については右腎採取で短く手術成績は両側とも遜色ないものと考えられた.
著者
趙 景達 佐藤 博信 久留島 浩 須田 努 慎 蒼宇 檜皮 瑞樹 小川原 宏幸 宮本 正明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近世の薩摩藩には、豊臣秀吉の朝鮮侵略の際に連行されてきた朝鮮人の村があった。苗代川である。本研究は、この村の歴史を近世から近代にかけて明らかにすることによって、幕藩体制の性格を地域から照射するとともに、民族差別の性格を長期的視野のもとに解明しようとしたものである。その結果、薩摩藩の分離主義的傾向と朝鮮人差別の近代的様相が明らかになった。
著者
及川 昌志 南田 勝宏 久米原 宏之
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌論文集 (ISSN:13488724)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.1515-1519, 2006-12-05 (Released:2012-01-13)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

Manufacturing technology for stainless steel double skin panels using laser spot welding was developed and some static strength properties were carried out. And this panel has been examined for the feasibility of practical utilization. The results obtained are summarized as follows;(1) Manufacturing technology was established on which there are invisible welding marks and the corrosion resistance and appearance are equivalent to original metal surface.(2) Calculate method of the moment of inertia of area of this panel is established.(3) This panel is approximately 75% lighter than the bulk material in equivalent flexural rigidity.(4) Any laser spot welded site is not broken in region of below maximum load as well as localized buckling in mechanical tests.(5) In application of this panel to vessels and vehicles, simulation model of stiffness and strength of this structures life prediction of this panel based on fatigue strength analysis for panel reliability prediction technology is required.
著者
中川 晃成 萩原 宏
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.137-138, 1994-09-20

現在、計算機における実数の表現には、IEEE方式などの固定長指数部を持つ表現を用いることが一般的である。固定長指数部を持つ表現では、指数部のビット長を小さい数(例えば、IEEE方式では単精度のとき8bits、倍精度のとき11bits)に固定せざるを得ないため、容易に桁あふれを起こすという欠点を持っている。これを防ぐための一つの提案は、表現すべき数の絶対値により指数部のビット長を変化させるというものである。この可変長指数部を持つ表現のうち、浜田の方法は実数の二重指数分割表示を用いることにより指数部のビット長を表現それ自体に含めた点に顕著な特徴がある。最近、横尾は自然数に対するprefix-code列を用いることにより、浜田の方法の優れた性質をほぼそのまま保ちつつ一般化出来ることを示した。横尾はそのうち彼の記法で表現F 011(x)が指数部のビット長の点から優れた表現であると述べている。本論文では、ビット長の点からこれより良い表現はいくらでも存在することを示す。桁あふれを起こさないための今一つの提案は、実数にその絶対値の大きさに応じて`level'を定義し、levelにより表現方式を変化させるというものである(level-index system)。浜田の方式の一般化で得られるある意味で極限の方式がlevel-index systemと本質的に一致することを示し、両者の相違点を明らかにする。全表現ビットを固定したときの実数の表現は、有限個の二進列を数直線上に割り当てる問題に他ならない。この割り当ての方法の数学的自然さ、定義の単純さ、変換の容易さより、多重指数部を持つ実数表現方式の標準案としてはH2(x),H∞(x)がふさわしい。
著者
植月 悠記 渥美 友喜 倉鋪 圭太 菅原 宏 大場 優人 前田 元気 福水 洋平 深尾 隆則
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.1155-1160, 2021 (Released:2021-10-07)
参考文献数
10

オフロード環境下では,白線などは存在せず,道路の境界はセンサにより検出される.その境界は滑らかではなく検出された境界に基づく自動操舵制御には問題がある.本論文では,非線形重み付きのPath Followingを提案する.提案手法により車両は走行可能領域内で滑らかにかつ安全に走行できることを確認した.
著者
清水 盛生 内藤 均 佐原 宏典 Shimizu Morio Naito Hitoshi Sahara Hironori
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所資料 = Technical Memorandum of National Aerospace Laboratory (ISSN:1347460X)
巻号頁・発行日
vol.769, 2003-03

本資料では、当所において1985年頃から実施された太陽熱スラスタの試作研究について述べる。当初はステンレス鋼を材料とした習作スラスタであり、加熱・噴射試験結果も平凡で、比推力500〜600秒級であった。次段階では物質・材料研究機構が日本および米国の特許を有する単結晶モリブデン材を採用して、超小型(外径約6mm)から大型(外径65mm)までの各種サイズのスラスタの試作・太陽集光加熱・推進剤噴射試験を実施した。この材料では推進剤温度2,300K、比推力800秒が期待できる。これが本資料の主要部である。さらに究極の材料として単結晶タングステンを採用して、比推力1,000秒級に対応可能なスラスタを試作して予備実験を実施した。このスラスタはアポジおよびペリジでの噴射が可能な対向型で、この型の試作・実験結果の発表は世界初と思われる。
著者
眞島 崇 早坂 正孝 大原 宏司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.9, pp.1117-1121, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
10

Various types of pre-learning—including pre-learning for practical training—provide pharmacy students with practical training and sufficient knowledge, skills, and attitudes for practical work. Opportunities in the medical field, including for pharmacists, have been greatly expanded for students with a hearing disability, and we have responded with appropriate training for such students. In this study, we report on the results of an evaluation of a survey on the preparatory training conducted by the students and the changes in their consciousness, such as in their level of understanding, knowledge, and self-confidence. Before the training, the participants' anxiety concerning items related to dispensing and communication were quite high; after the training, however, these anxiety levels were reduced. In addition, we were able to encourage the participant's concern for people and to face the difficulty of expressing words in letters, as well as to drive enthusiasm for the Objective Structured Clinical Examination (OSCE) and practical training. These results suggest that having a teacher as an assistant is useful for helping students with hearing disability in practical training.