著者
菅原 徹
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.465-475, 2002-05-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
54
被引用文献数
1 4

Historically chemical automation was started in the field of analytical chemistry and until around 1992 only a few instrument makers and laboratories had studied the automation of organic synthesis chemistry (1st stage). Along side the growth of combinatorial chemistry, considerable attention has since been paid to developing automated synthesis apparatus and the accompanying peripheral apparatus, especially for the efficient development of new drugs in pharmaceutical companies (2nd stage). Recently many kinds of special-purpose automated modules and units have been developed for solid and solution phase synthesis, especially for high throughput parallel synthesis, isolations and purifications.In this report, I will briefly look at the history of laboratory automation, offer some advice on how to carry it out and then describe some future prospects.
著者
菅原 徹 David G. CORK
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.466-473, 1997-05-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
38
被引用文献数
3 4

Organic synthetic chemistry utilises scientific technology from various fields but compared to the great advances seen in the automation of analytical instruments over the last 20 years, the synthesis of organic compounds has been relatively slow to move from a largely manual process. Automation of synthesis is not only important for increasing efficiency, precision and safety but also decreasing labor and exploring new synthetic methodologies. In this review of automated synthesis apparatus we broadly divide them into two categories;those using robotic transfer of a reagent, reactant, product or vessel, and others that only use flow-lines for transfers between fixed reactors. These categories are then sub-divided into systems and workstations according to the extent of the operations and functions. We highlight some of the representative past and present automated synthesis apparatus and look at what the future may hold in the way of miniaturized and high-throughput automated synthesis.
著者
岡安 祥夫 片山 正樹 篠原 徹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.8-12, 1996-01-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8

工場プラントの運転安定化, 要員極少化の技術課題の一つとして, アミノ酸 (リジン) 精製工程における結晶の色測定への画像処理技術の適用が検討された.これまで結晶溶解液の分光光度計の透過率を人手により測定し監視していたが, 常時分析はできず, オンライン測定方法の導入が望まれていた.本論では分光光度計の原理である光の透過率の式と結晶面における光反射の式との関係を解析し, 画像処理測定値による透過率の推算式を導出した.この推算式の各パラメータを, 画像処理の実験により決定することによって, 推算式により検量誤差 3% の精度で分光光度計の実測透過率を推定できることが確認された.さらにカラー画像処理システムを実プラントに設置し, リジン結晶の色の 24 時間オンライン測定を実施することによって, その実用性の評価がおこなわれた.
著者
松澤 孝治 内田 正治 高橋 実 小原 徹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.175-175, 2004

Pb-Bi冷却直接接触沸騰水型小型高速炉におけるポロニウムの炉心での生成量及び蒸気系への移行量を評価した。炉心でのPb-Bi冷却材に対する中性子照射により生成するポロニウムの量と崩壊による減衰から、全鉛ビスマス存在量に対するポロニウムの濃度を求め、この濃度を基に、ポロニウムの飽和蒸気圧力データなどから蒸気系へのポロニウム移行量を求めた。また、Pb-Bi純化系では、原子炉内の鉛ビスマスを一部抽出して、サージタンク気相部のカバーガス中に移行するポロニウム蒸気を低温のベーパトラップにて凝縮させて除去するものとし、ポロニウムの蒸発量データから、この除去量を求めた。さらに、これらの蒸気系への移行量及び純化系での除去量を考慮した場合のPb-Bi冷却材中ポロニウム濃度を評価した。これらを考慮した場合でも、鉛ビスマス中のポロニウム濃度はほとんど変化しない結果となった。
著者
矢原 徹一
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.111-119, 2007
参考文献数
54
被引用文献数
6

進化生態学は、まず表現型モデルによる研究によって大きく発展し、その後に、量的遺伝学のアプローチや、系統樹を用いた種間比較統計学を取り入れて、発展してきた。エコゲノミクスの成果は、これら3つの方法論の前提に疑問を投げかけている。多くの表現型モデルは制約条件としてトレードオフを仮定している。この仮定に関しては、量的遺伝学のモデルを用いた研究からすでに反証が蓄積されてきた。これに加えて、QTLマッピングにもとづくエコゲノミクス研究はトレードオフ構造が進化の過程で短期間に変わることを示した。この結果は、量的遺伝学のモデルが仮定している、Gマトリクスの安定性に対する反証でもある。また、個々のQTLの表現型効果が一様ではないことがわかり、種間比較統計学が利用している形質復元法の前提も揺らぎつつある。いまや、進化生態学は、表現型の遺伝的背景という「ブラックボックス」の中を見ることを要求されている。
著者
田村 瑞枝 山本 貴嗣 石井 太郎 萩原 徹 斎藤 正樹 服部 研吾 久山 泰 宮本 博文 小田中 佳子 加藤 洋司 新谷 和夫 松井 浩 杉下 靖郎 小田 福美
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.249-253, 2001-11-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
13

無症状の人間ドック受診者242人を対象に,尿中抗Helicobacter pylori抗体(ウリネリザ)を測定し血中抗体法と比較したところ,良好な一致率であった。内視鏡的検査を基準とした場合,ウリネリザの診断能は血中抗体法とほぼ同等であった。またウリネリザ陽性群では陰性群と比較して,上部消化管の有所見率が高い傾向が認められ,上部消化管のスクリーニングの一法として有用である可能性が示唆された。
著者
安江 健 金原 徹 中村 豊 松澤 安夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.101-108, 2014

無償で入手可能な米ぬかの飼料としての通年利用を検討するために,竹林内腐植と水を添加して調製した発酵米ぬかの,貯蔵中の化学的品質とヤギの嗜好性を経時的に検討した.貯蔵100日目までの発酵米ぬかを9つの時期で採取し,サイレージでの化学的品質評価法であるフリーク法とV-スコア法からその品質を評価した.加えて米ぬかや発酵飼料の摂食経験のない4頭のザーネン成雌ヤギを用い,貯蔵期間中の8つの時期での発酵米ぬかの嗜好性を,生米ぬかとのカフェテリア試験により評価した.発酵米ぬかのV-スコアは貯蔵0日目の100点から99日目の94.4点まで微減したが,フリーク法による総合得点は0日目以外常に100点を維持し,試験期間中は最高の品質を維持した.発酵米ぬかの嗜好性はその品質よりも摂食経験に影響され,生米ぬかに比べて摂食潜時は試験5日目まで長く(P<0.05),摂食量は試験6日目まで少なかった(P<0.05)ものの,その後は生米ぬかとの間に有意差はなくなった.以上から,竹林内腐植と水を添加した発酵米ぬかは長期間良好な品質を維持でき,ヤギでは長くとも1週間程度の給与でその嗜好性は生米ぬかと同程度になるものと考えられた.
著者
松田 裕之 矢原 徹一 竹門 康弘 波田 善夫 長谷川 眞理子 日鷹 一雅 ホーテス シュテファン 角野 康郎 鎌田 麿人 神田 房行 加藤 真 國井 秀伸 向井 宏 村上 興正 中越 信和 中村 太士 中根 周歩 西廣 美穂 西廣 淳 佐藤 利幸 嶋田 正和 塩坂 比奈子 高村 典子 田村 典子 立川 賢一 椿 宜高 津田 智 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.63-75, 2005-06-30
被引用文献数
20

【自然再生事業の対象】自然再生事業にあたっては, 可能な限り, 生態系を構成する以下のすべての要素を対象にすべきである. 1生物種と生育, 生息場所 2群集構造と種間関係 3生態系の機能 4生態系の繋がり 5人と自然との持続的なかかわり 【基本認識の明確化】自然再生事業を計画するにあたっては, 具体的な事業に着手する前に, 以下の項目についてよく検討し, 基本認識を共有すべきである. 6生物相と生態系の現状を科学的に把握し, 事業の必要性を検討する 7放置したときの将来を予測し, 事業の根拠を吟味する 8時間的, 空間的な広がりや風土を考慮して, 保全, 再生すべき生態系の姿を明らかにする 9自然の遷移をどの程度止めるべきかを検討する 【自然再生事業を進めるうえでの原則】自然再生事業を進めるうえでは, 以下の諸原則を遵守すべきである. 10地域の生物を保全する(地域性保全の原則) 11種の多様性を保全する(種多様性保全の原則) 12種の遺伝的変異性の保全に十分に配慮する(変異性保全の原則) 13自然の回復力を活かし, 人為的改変は必要最小限にとどめる(回復力活用の原則) 14事業に関わる多分野の研究者が協働する(諸分野協働の原則) 15伝統的な技術や文化を尊重する(伝統尊重の原則) 16目標の実現可能性を重視する(実現可能性の原則) 【順応的管理の指針】自然再生事業においては, 不確実性に対処するため, 以下の順応的管理などの手法を活用すべきである. 17事業の透明性を確保し, 第3者による評価を行う 18不可逆的な影響に備えて予防原則を用いる 19将来成否が評価できる具体的な目標を定める 20将来予測の不確実性の程度を示す 21管理計画に用いた仮説をモニタリングで検証し, 状態変化に応じて方策を変える 22用いた仮説の誤りが判明した場合, 中止を含めて速やかに是正する 【合意形成と連携の指針】自然再生事業は, 以下のような手続きと体制によって進めるべきである. 23科学者が適切な役割を果たす 24自然再生事業を担う次世代を育てる 25地域の多様な主体の間で相互に信頼関係を築き, 合意をはかる 26より広範な環境を守る取り組みとの連携をはかる
著者
井原 徹
出版者
筑波大学大学研究センター
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
no.28, pp.67-95, 2003-12

ご紹介をいただきました早稲田大学の井原でございます。今日私の言いたいことは、全て配布した資料に書いてございます。表紙のところにコンテンツがあります。意識改革の問題、改革の原点と改革案作成、数学と経営の調和の問題、私立大学 ...
著者
波多野 武人 塚原 徹也 荻野 英治 中久木 卓也 青山 貴子 辻 芳仁 大谷 良
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.178-184, 2006 (Released:2008-08-08)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2 2

Patients who have symptomatic, medically refractory, vertebrobasilar artery stenosis have a high risk of stroke. The benefits of vascular reconstruction surgery and balloon angioplasty for these lesions are limited, and these treatments are associated with considerable complications. Recently stent placement in the intracranial arteries became available and is expected to improve the results of endovascular treatments. We review our experience with endovascular treatment for symptomatic intracranial vertebrobasilar artery stenosis. Forty patients with intracranial vertebrobasilar artery stenosis were treated with endovascular surgery. Indication of the endovascular surgery was medically refractory symptomatic patients with over 60% angiographical stenosis. Balloon angioplasty was firstly performed in all patients. Stenting was performed only in cases with insufficient dilatation, dissection or restenosis after balloon angioplasty. Successful dilatation was obtained in all cases. Twelve patients underwent stenting in initial treatments. The stenosis rate reduced to 25.2% after balloon angioplasty and 16.1% after stenting. No neurological complications occurred after procedure. The restenosis rates after treatments were 25.9% after balloon angioplasty and 23.5% after stenting. During the follow-up period, only 1 patient developed stroke of posterior circulation. Endovascular surgery for symptomatic vertebrobasilar artery stenosis has become more feasible and safer after the introduction of stenting. Prevention of restenosis is the next problem to be solved.
著者
森 敏 藤原 徹
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

酵母の細胞膜に存在する3価鉄還元酵素の核遺伝子FRE1を含むplasmid(pC6L)ら制限酵素でORFにあたる配列を切り出し,2種類のT-DNAのコンストラクト,PYH6(pBI121由来)とPYH7(pUCΩE12GUS由来)に組み込み,タバコ(Nicotiana tabacum L.var SR1)に感染させた.カナマイシン耐性カルスを選抜し,植物体を再生させT2植物種子を採取し,カナマイシン耐性の7個体を得た.FRE1に特異的なプライマーでPCRを行ない,根からのRNAに対してノーザンハイブリダイゼーションを行なうと,0.9kbの転写物が確認された.この転写物は予想されるmRNAの長さよりも短かかったが,一応実験を続行した.これらの遺伝子導入植物の根の細胞膜が導入遺伝子の恒常的な発現によって,鉄が十分にある条件下でも3価鉄還元酵素活性を有しているかどうかを,根圏近傍のBPDS-Fe^<2+>の発色法を用いて検定した.ざんねんながら,発色は有意ではなかった.そこで鉄欠乏条件下での本酵素活性の持続性を水耕法によって検定したところ,2株が鉄欠乏耐性を示した.一方,本実験では,完全長のmRNAが得られていない.その原因を追究したところ,酵母ではポリAシグナルとは読まれない配列が,タバコでは読まれているために転写が途中で終了していることが判明した.現在,FRE1中のこの様な可能性のある5カ所のコドン領域をサイトスペシフィックミュータジュネシスにより改変した遺伝子を作成して,遺伝導入タバコを作成している.
著者
鈴木 毅彦 藤原 治 檀原 徹
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.1, pp.38-61, 2004
被引用文献数
4 15

This study shows the revised stratigraphy and correlations of the middle Pleistocene tephras in and around the Aizu area, Northeast Japan. Significant marker tephras in this area are as follows, in descending order of stratigraphy : Nm-SB, TG, Hu-TK, and Kn-KD from volcanoes adjacent to Oze, So-OT, and APm. Stratigraphic positions of Sn-MT and Sn-SK are not clear, but they seem to be positioned near Kn-KD.<BR>Nm-SB (110 ka) from Numazawa caldera is mainly a plinian pumice fall deposit distributed in the central to western part of Fukushima Prefecture and northern part of Tochigi Prefecture. Eruption producing Nm-SB associated with ash fall, plinian eruption, and pyroclastic flow or pyroclastic surge. TG (125-135 ka), which is characterized by volcanic glass shards with a low index, was probably derived from the Sunagohara caldera. The distribution of fall-out tephra of TG is similar to that of Nm-SB, and pyroclastic flow deposit of TG is recognized southwest to west of the Numazawa caldera and along the western margin of the Aizu basin. The eruption process of TG comprises plinian eruption, pyroclastic flow, and plinian eruption.<BR>So-OT (300-330 ka) is composed of an ignimbrite and a fall-out tephra derived from the Shiobara caldera. This ignimbrite is known as Otahara pyroclastic flow deposit. On the other hand, fall-out tephra of So-OT has been newly identified. APm tephra beds are significant widespread tephras derived from volcano in the Hida mountains at 330-400 ka. This study corrects a correlation of APm in this area, which was shown by Suzuki (1993). Tephras identified as APm in this study are Nm-13, -14, -16 tephras below So-OT.<BR>Sn-MT (180-260 ka : FT ages) is composed of an ignimbrite and a fall-out tephra derived from the Sunagohara caldera. The former is part of the Sunagohara-Kubota tephra reported by Yamamoto and Sudo (1996) and the Pyroclastic Flow Deposit I reported by Mizugaki (1993). The latter is the Sunagohara-Kachikata tephra along the western margin of Aizu basin reported by Yamamoto and Sudo (1996), and the Okayaji Volcanic Ash Layer at the eastern foot of Adatara volcano reported by Soda and Saijo (1987). Sn-SK (220 ± 50 ka : FT age), originating from the Sunagohara caldera, was defined by Yamamoto and Sudo (1996). Sn-SK is composed of an ignimbrite and a fall-out tephra characterized by abundant accretionary lapilli. The latter is correlative to the Minowa Volcanic Ash Layer (Soda and Saijo, 1987) distributed at the eastern foot of Adatara volcano.<BR>All pyroclastic deposits derived from the Numazawa caldera are Nm-NM (5 ka), Nm-KN (50-55 ka), and Nm-SB (110 ka), and those from the Sunagohara caldera are TG (125-135 ka), Sn-MT (180-260 ka), and Sn-SK (220 ka). This means that, at both caldera, explosive eruptions occurred three times over 260, 000 years, and it appears that the active period of explosive eruptions moved from the Sunagohara caldera to the Numazawa caldera. This resulted in the preservation of volcanic landforms with more dissected caldera landforms at the Sunagohara caldera. Intervals between eruptions at the Numazawa caldera range from 50, 000 to 60, 000 years, and the volumes of the three products are similar, indicating periodic and regular activities with a discharge rate of 0.02-0.06 DRE km<SUP>3</SUP>/1, 000 years. On the other hand, the mean interval of eruptions at the Sunagohara caldera is 70, 000 to 40, 000 years, and the discharge rate is estimated to be 0.05-0.08 DRE km<SUP>3</SUP>/1, 000 years : the latter is equivalent to or a little larger than that of the Numazawa caldera.
著者
矢原 徹一
出版者
九州大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

カエル類では、一般に世代が重複し、一メスが一年に複数回産卵し、雌雄間で成熟時の体サイズに差がある。このような条件を備えた生物では、親が季節的に性比を変化させる可能性が理論的に予測される。しかし、カエル類では幼生・幼体期には外見で性別がわからないため、これまで性比の研究は皆無であった。申請者は、共同研究者の向坂・三浦と協力して、ツチガエルの卵を使ってDNA性判定を行う技術を確立した。本研究の目的は、この技術を使って両生類ではじめての本格的な性比研究を行い、親が季節的に性比を変化させる可能性を検討することである。日本産ツチガエルには、性染色体の形態や性差に関して明瞭に異なる2つの系統が分化している。新潟県などの日本海側地域の系統では、性染色体に関してメスがヘテロ(ZW型)だが、静岡県などの太平洋側地域の系統では、性染色体に関してオスがヘテロ(XY型)である。2000年度には、ZW型集団に関して予測どおり親が季節的に性比を変化させていることを明らかにし、論文を公表した。本年度には、XY型集団で性比の季節的変化を調べた。XY型集団では、母親側が性比を調節することは困難であり、そのため性比の季節的変化はないものと予測していた。ところが、DNA性判定の結果、XY型集団においても性比が季節的に変化することが判明した。この結果は、オスがX精子とY精子の比率を調節しているか、あるいはメスがX精子とY精子の受精効率が変わるように卵膜を変化させているか、どちらかを示すものである。いずれにせよ、従来の常識を覆す発見であるため、さらに証拠を固めたうえで、論文を公表したい。
著者
宮原 耕介 藤井 彩人 齊藤 久志 藤原 徹
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.31, pp.49-52, 2011-07-21

日本テレビは2010年の8月21日に巨人戦の生中継の制作を初めて3Dで行った。3Dカメラを用いた立体的な映像のみならず、得点や守備図などの画面表示も3DCGを制作した。画面表示の送出は新たに開発した3D立体映像送出機を用い、デザインやアニメーションも3D映像に適した演出にして新規制作した。中継は「スカチャン3D169」で放送され、東京ドームや新宿で行われたパブリックビューイングにおいても多くの方が3Dメガネをかけて中継を楽んだ。
著者
岩野 英樹 折橋 裕二 檀原 徹 平田 岳史 小笠原 正継
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.365-375, 2012-06-15 (Released:2012-11-07)
参考文献数
44
被引用文献数
15 88

同一ジルコン粒子を用いたフィッション・トラック(FT)法とU-Pb法によるダブル年代測定した年代値の信頼性を評価した.試料にはFT年代が33 Ma,自発FT密度が106〜107/cm2の島根県川本花崗閃緑岩三原岩体のジルコン粒子(OD-3)を用いた.U-Pb年代分析は,Nd-YAG(λ=213 nm)レーザーアブレーションシステムを搭載したICP質量分析法を用い,ジルコンを47%HF溶液による洗浄あるいはKOH-NaOH共融液によるFTエッチングを施した後に行った.その結果,33 MaのコンコーディアU-Pb年代が得られた.これは化学処理されたジルコンには顕著なPb損失は生じず,そして同一ジルコン粒子のFTおよびU-Pbダブル年代測定が実行可能であることを示す.今回使用した川本花崗閃緑岩三原岩体のジルコン粒子(OD-3)は若いジルコンU-Pb年代測定の標準試料になりうる試料である.
著者
竹原 徹郎 巽 智秀 疋田 隼人 田中 聡司 坂根 貞嗣
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

肝細胞株にパルミチン酸を投与するとRubiconの発現上昇を伴うオートファジー抑制を認めた。Rubiconを抑制するとパルミチン酸投与によるアポトーシスと脂肪蓄積は軽減した。Rubiconの発現増加はパルミチン酸投与によるRubiconの分解抑制が生じることによるものであった。高脂肪食摂取マウスにおいてもRubiconの発現増加を伴うオートファジーの亢進を認めた。肝細胞特異的Rubicon欠損マウスでは高脂肪食によるオートファジー抑制が改善し、肝脂肪化とアポトーシスが抑制された。ヒトの脂肪肝検体においてもRubiconの発現増加が確認された。
著者
吉川 拓磨 神崎 正人 小原 徹也 大貫 恭正
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.156-160, 2009-03-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
8

症例は65歳女性.近医で胸部異常陰影指摘され,当院呼吸器内科を受診した.胸部CT上両側に数mm大の多発結節影を認めた.身体所見,血液検査所見に異常なく,喀痰培養検査,ツ反検査等から結核,真菌症,サルコイドーシスは否定的であった.PET検査でも,集積はなかったが,増大傾向を認めたため,確定診断をつけるため胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.病理検査では,結節性リンパ組織過形成(NHL)と診断された.NLHはMALTリンパ腫と鑑別すべき疾患の1つであり,今後報告例はさらに増加すると思われる.NLHの中でも多発結節を呈する症例はいまだ報告例が少なく,病態,予後,治療方針に関し不明な点が多いことから,今後の症例の蓄積が必要と思われる.