著者
栗原 敏之
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.620-639, 2004-10-15
参考文献数
65
被引用文献数
3 21

飛騨外縁帯の福地-一重ヶ根地域と九頭竜湖-伊勢川上流地域に露出する凝灰質砕屑岩相のシルル系・デボン系において放散虫生層序の検討を行った.7つの主要なセクションで認められた放散虫化石群集に基づき,下部シルル系ランドベリー統から下部デボン系エムス階に対比される計8つの群集帯を設定し,飛騨外縁帯のシルル系・デボン系凝灰質砕屑岩層の時代を詳細に議論した.従来,飛騨外縁帯と黒瀬川帯・南部北上帯のシルル系・デボン系は,凝灰質砕屑岩層の堆積年代やシルル系石灰岩層の有無等,相違点が強調されてきた.しかし,放散虫化石帯に基づく対比から,後期シルル紀ラドロウ世から前期デボン紀エムス期の凝灰質砕屑岩層は,その発達状況において高い類似性があることが明らかになった.この類似性は,3地帯のシルル系・デボン系が形成時において深く関連していたことを示す.
著者
栗原 敏之
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.635-647, 2003-11-15
参考文献数
55
被引用文献数
4 16

飛騨外縁帯福地地域に分布する吉城層は,その時代についてオルドビス紀,シルル紀および前期デボン紀と諸説が存在した.また,不整合とされたデボン系福地層との関係も,福地層の層序から問題点が指摘されていた.今回,吉城層の模式均一の谷の西方に位置するカナシロザコの枝沢において,新たに吉城層と考えられる地層の露出を確認した.露頭から採取した凝灰質な砂岩泥岩互層の泥岩部および露頭付近の転石として得られた珪長質な凝灰質泥岩から前期デボン紀Emsianを示す放散虫化石が得られた.従来報告されている吉城層の放散虫化石群集(Zadrappolus yoshikiensis群集)と今回発見された群集から,吉城層の時代は後期シルル紀Pridoliから前期デボン紀Emsianの前期である可能性が高い.この時代論は古城層と福地層がほぼ同時代の地層であることを示す.したがって,両側の接触関係が不整合である可能性は極めて低い.
著者
榊原 敏弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.139, no.4, pp.170-173, 2012 (Released:2012-04-10)
参考文献数
3

「薬の候補」を用いて国の承認を得るために行われる臨床試験を「治験」といい,この「治験」に用いる薬のことを「治験薬」という.「治験薬」を製造する際に遵守すべき適切な製造管理および品質管理の方法ならびに必要な構造設備に係る事項を定めた基準が治験薬GMPである.米国で起こった薬害に端を発して1963年に米国でGMPが制定された.日本でも,1980年にGMPが厚生省令として公布された.GMPは国に承認を得た医薬品を対象としており,治験薬はGMPの対象外であったが,1997年の省令GCPの制定に伴い,治験薬GMPが厚生省薬務局長通知として発出された.本稿では,治験薬GMPの21の条文の中から「1. 目的」,「5. 治験薬製造部門及び治験薬品質部門」,「13. 変更の管理」,「14. 逸脱の管理」,「18. 教育訓練」を取り上げて,解説を加えた.
著者
千原 敏裕 永井 淳 阿久津 功 本行 博 高橋 慶壮 清水 尚子 谷本 一郎 島袋 修 藤田 直子 宮本 学 高柴 正悟 後藤 弘幸 西村 英紀 磯島 修 清水 秀樹 栗原 英見 野村 慶雄 村山 洋二
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.204-212, 1992-03-28

早期発症型歯周炎を発症している家族(母親とその娘2人)の歯周病病態を宿主防御細胞機能に重点を置いて解析した。母親(40歳)は急速進行性歯周炎,娘A (14歳)は限局性若年性歯周炎,そして娘B (13歳)は単純性歯肉炎と臨床診断した。好中球機能は,母親が遊走能において低かった。CD4陽性細胞検出率およびT4/T8は母娘全員が高い値を示した。CD3抗体で刺激したときのTリンパ球増殖活性は,娘Bが低かった。HLAフェノタイプは,母娘で共通してDQw1とw3およびDRw10とw12を検出した。Actinobacillus actinomycetemcomitansに対し母親,娘Aおよび娘Bが,Porphyromonas gingivalisに対し母親と娘Bが,Fusobacterium nucleatumに対し母親が高いIgG抗体価を示した。本家族の歯周病発症機序は,本研究において調べた生体防御機能の諸機能所見だけから,明確にできるものではなかった。歯周病の病態解析には,さらに幅広い生体防御機構のネットワークを念頭に置く必要がある。
著者
宮崎 道彦 黒水 丈次 豊原 敏光 竹尾 浩真 石橋 憲吾 皆川 紀剛 高野 正博
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.151-155, 2001-03
参考文献数
16
被引用文献数
2

平成4年12月から平成11年10月1日までに当院で手術を施行した「ホワイトヘッド肛門」16例の病態をretrospectiveに検討した.男女比は14:2,年齢は32~85歳(平均64.4歳).術前肛門管最大静止圧の平均値は60.8cmH<SUB>2</SUB>Oと低値であるが術前肛門管最大随意収縮圧の平均値は正常であった.観察期間は平均21カ月であった.年齢分布は60~69歳が最多で70~79歳がそれに続いて多かった.無症状期間は平均10.6年,病悩期間は平均26.6年であった.手術は16症例41病変に行った.そのうちわけはligation and excision,with sliding skin graft法(LE・SSG併用法)が21病変,ligation and excision法(LE法)10病変,sliding skin graft法(SSG法)4病変,McGivney rubber band ligation法(RBL法)6病変であった.術前症状としては出血,脱出,疼痛,分泌物付着の頻度が高かったがこれらの症状は手術治療により改善が認められた.しかし便失禁に関しては術後で症状の改善は認められなかった.
著者
藤原 敏
出版者
日本法医学会
雑誌
日本法医学雑誌 (ISSN:00471887)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.p377-383, 1986-08
被引用文献数
2
著者
高橋 光彦 笠原 敏史 水村 瞬 永谷 祐美子 佐藤 貴一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.A0616-A0616, 2006

【目的】<BR>端坐位での静的・動的側方傾斜刺激に対する姿勢反応を明らかにする.<BR><BR>【方法】<BR> 静的側方傾斜刺激:被験者は健康な男子大学生9名であり,平均年齢22.1±1.9歳,平均身長173.1±2.4cm.被験者に電動ティルトテーブル上で,上肢は胸の前に組ませ,下肢は股関節内外転中間位,骨盤は中間位になるように端座位になり、傾斜角度は0°から5°間隔で7つの肢位(30°まで)で実施し,それぞれの角度で10秒間坐位保持を実施し、頸部,体幹の傾斜角度を解析する.<BR> 動的側方傾斜刺激:被験者は男子大学生6名であり、平均年齢23.2±2.2歳.被験者には全身黒タイツを着用し、反射マーカーを付けて電動ティルトテーブルに座り、上肢を胸の前で組ませ股関節内外転中間位・骨盤直立位姿勢をとらせ、連続的に右側へ坐面傾斜角度を0°~20°増加させ、開眼・閉眼状態でそれぞれランダムに実施し、頸部,体幹の傾斜角度を解析する.<BR><BR>【結果】<BR> 静的側方傾斜刺激:頸部,体幹のそれぞれの座面傾斜角度における0°との比較では,座面傾斜角度の増加に対して頸部,体幹傾斜角度も増加した.<BR>頸部,体幹のそれぞれの角度における左右の傾斜での比較では,座面傾斜角度が増加しても左右の頸部,体幹それぞれの傾斜角度で有意差はみられなかった.傾斜角度が増加するにつれて,頸部の傾斜角度は右傾斜がより増加する傾向があり,体幹は左傾斜がより増加する傾向にあった.<BR> 動的側方傾斜刺激:頸部は、開眼時・閉眼時とも坐面傾斜角度8°付近までは坐面傾斜角度が増加するに伴い頸部傾斜角度も急激に増加していき、8°以上は緩やかな増加となり、18°付近で傾斜角度は減少した。<BR><BR>【考察】<BR> 静的側方傾斜刺激:頸部,体幹傾斜角度は20°では全てで有意差があり,20°付近から頸部,体幹の立ち直り(頸部,体幹を水平に保つこととする)よりもバランス反応が優位になり,姿勢保持のために頸部,体幹傾斜角度が増加していると考えられる。<BR> 動的側方傾斜刺激:各坐面傾斜角度で頸部傾斜角度と体幹傾斜角度の有意差はなく、両者とも8°付近で最大となりその後18°付近から減少していることから、同様のパターンで傾斜していると言える。これは頸部・体幹の反応は連動して行われていることを示唆している。<BR><BR>【まとめ】傾斜反応において、立ち直り反応は出現するが、傾斜角度を増加させると、立ち直り反応を抑制しバランス反応が優先されるよう姿勢変化することがわかった。
著者
河原 敏文
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会年次大会講演予稿集 (ISSN:09191879)
巻号頁・発行日
no.30, pp.493-494, 1994-07-26

The computer graphics I'm pursuing are those that create an emotional sensation in everybody who sees them. I'll discus this theme in relation to my collective works, the laserdisc "XYZ".
著者
篠原 敏雄
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5/6, pp.45-80, 2009-03-23

本論文は, 我が国の基礎法学における重要な理論的潮流である「市民法学」の観点から, 「市民」像および「市民社会」像に関して, 従来の論点を一層理論的に考察することを目的とする.第一章においては, 「市民法学」における「市民」像を, 個人と共同体との関連に関する三つの類型に即して, 明らかにする. そして, 現代では, 第三番目の類型こそ, 「市民法学」における「市民」像に適合的であるということを論ずる. 第二章においては, 「市民法学」における「市民社会」像を, 第一に, 平田清明市民社会論, 第二に, へーゲル市民社会論, 第三に, 市民法学としての川村泰啓法学, に即して検討し, 市民社会論の持つ法律学的射程の広大な領野の在りようを考察する.
著者
玉田 亨 岡下 慎太郎 橋本 和哉 荒川 博之 本田 領 神原 敏之 川本 達雄
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.274-278, 2004-12-25
被引用文献数
2

我々は顎変形症患者の性別による性格傾向を調査するため,本研究を行った.資料として1999〜2002年に本学附属病院矯正歯科を受診した(1)男性の顎変形症患者19名(平均年齢22.17歳,18〜27歳)(2)女性の顎変形症患者27名(平均年齢23.72歳,18〜39歳)を用いた.方法として,MINI自動心理診断システムver6.0(学芸図書出版)を用い,臨床尺度について比較検討を行った.男性の顎変形症患者群において有意水準p<0.05でHy(ヒステリー),Pd(精神病質的逸脱),Pa(妄想症)の尺度で有意に高得点を示した.女性の顎変形症患者群において有意な高得点を示す尺度はなかった.以上の結果,顎変形症患者の男性群は女性群と比較して,身体表現性障害や精神的障害の可能性が多いことが示唆された.
著者
齋藤 光正 飯田 健一郎 Villanueva Sharon Y. A. M. 麻生 達磨 宮原 敏 尾鶴 亮 金丸 孝昭 瀬川 孝耶 吉村 芳修 池尻 真美 荒牧 夏美 日高 悠介 Chakraborty Antara Widiyanti Dian Muslich Lisa Tenriesa Amran Muhammad Yunus Gloriani Nina G. 小林 好江 福井 貴史 増澤 俊幸 柳原 保武 吉田 眞一
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

レプトスピラ症の感染成立から重症化(とくに黄疸発症)に至るまでの病態メカニズムについて次のような新知見が得られた。レプトスピラは、皮膚の角化層が失われると表皮細胞間(あるいは細胞内)を通過して皮下まで侵入し感染が成立する。感染初期は皮下脂肪組織の血管内に定着し増殖する。やがて増殖の場は肝臓が主体となる。肝臓のディッセ腔に達したレプトスピラは肝細胞間に侵入を始め、細胞間接着を剥がして毛細胆管の構築を破壊する。その結果胆汁排泄障害を来たし、黄疸が生ずる。したがって、血管内定着、肝細胞侵入の際の標的分子が明らかになれば、それらのアナログにより重症化への進展を阻止できることが期待できる。
著者
平山 匡彦 田中 秀和 鈴木 慎太郎 永富 亜紀 作元 誠司 北原 敏弘 宮崎 長一郎 吉谷 清光 佐藤 宏樹 堀 里子 三木 晶子 澤田 康文
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.57-63, 2013 (Released:2013-09-05)
参考文献数
2
被引用文献数
1

Objective: The revised Pharmaceutical Affairs Act that came into force in June 2009 prohibits the sale of nonprescription drugs via mail.  However, as a provisional measure, regular users and inhabitants of remote islands who do not have access to pharmacies or drug stores are allowed to purchase nonprescription drugs via mail until the end of May 2013.  This study involves a survey on the purchasing of nonprescription drugs by Internet-illiterate inhabitants of the remote Goto Islands, Nagasaki Prefecture, Japan.Methods: Our process began with the distribution of questionnaires via mail to inhabitants of the remote Goto Islands, of whom 3,819 were randomly selected.  The responses were sent between January 22 and February 26, 2011.  We analyzed problems presented by 522 inhabitants who were Internet-illiterate.Results: The results revealed that 57.3% of the respondents living on large islands—with pharmacies, drug stores, and pharmacists— (e.g., Fukueshima) and 85.3% of respondents living on small islands scattered around large islands—with none of the abovementioned amenities— (e.g., Maeshima) were Internet-illiterate.  Additionally, a majority of the respondents (more than 80%) felt no need to purchase nonprescription drugs over the Internet.  However, considering that a handful of these inhabitants do, or will at some time need to purchase nonprescription drugs over the Internet, we strive to establish an optimal system for supplying medications to these Internet-illiterate inhabitants.Conclusion: Community pharmacists need to establish close relationships with the Internet illiterate (particularly those living on small islands) and promote the overall appropriate use of medicinal products.
著者
松原 敏浩 栗林 克匡 佐々木 政司 藤田 達雄 吉田 俊和
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.147-162, 1996

The purpose of this study is two folds. The first one is to investigate leadership structure of principal, vice-principal, and other subleaders at elemenntary school and junior high school. The second is to investigate relationship between leadership and teachers' morale. A mail qustionnaire survey was conducted, and 355 teachers provided usable data for the present study.<BR>The results of this study were as follows:(1) Two factors for elementary school principals and four factors for junior high school principals were found as leadership factors by a factor analysis on a leadership scale. Transformational leadership and consideration were common among elementary and junior high school;(2) Three factors (consideration, assistance of principal, management) were found as leadership factors of vice-principal at elementary and junior high school;(3) Three factors were found for teachers in charge of the general affairs concerning instruction;(4) The relationship between school leadership and teacher's organizational commitment was found at elementary and junior high school;(5) Interactive effects of transformational leadership (by principal) and consideration (by subleader) on the teachers' organizational commitment were found.
著者
八木 教行 森 美怜 濱本 晶子 橘 聡子 中野 政之 芥川 正武 高橋 章 池原 敏孝 木内 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.154, pp.79-82, 2007-07-13

殺菌法には薬剤殺菌,加熱殺菌,UV殺菌,オゾン殺菌等があり、目的に応じて様々な方法が用いられている その中でもUV殺菌は薬剤殺菌とは異なり残留性が無く,耐性菌を作らないという利点がある.現在,UV殺菌では主に殺菌等として,波長260nm付近のUVを放射する殺菌用水銀ランプが用いられているが,水銀ランプに含まれる水銀の毒性による環境や人体への影響が問題となっている.そこで,より電力消費が小さくで環境に配慮した殺菌技術の開発を目標とし,本研究では,現在広く用いられている殺菌用水銀ランプの代替として波長365nm,出力15mW/cm^2のUV-LEDを用いて殺菌が行うことこができるかを検証した.その結果,現段階ではUV-LEDでは殺菌用水銀ランプよりも時間はかかるもの10〜30分程度の時間をかければ殺菌が可能であることがわかった.このことから,UV-LEDは殺菌装置への応用が十分可能であると考えられる.本論文では,殺菌の応用としてタンク水の殺菌を検証する.