著者
佐々木 隆宏 田原 正一 坂牧 成恵 貞升 友紀 牛山 慶子 門間 公夫 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.176-182, 2019-12-25 (Released:2020-01-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

既存の透析法および直接抽出法を用いてチューインガム中の3種甘味料の定量値を比較したところ,透析法では直接抽出法に比べ,一部の製品でアスパルテームの定量値が顕著に低値であった.一方,直接抽出法はガムベースが器具に付着する点で操作が煩雑であった.そこで,ガムベースを透析チューブ内にとどめたまま抽出が完了可能な透析法の条件を変更し,定量値が改善可能か試みた.その結果,透析液に60%メタノールを用いて室温で24時間,または恒温振とう水槽中(50℃)で2時間透析する方法を開発した.本法は,3種甘味料のいずれも直接抽出法と同程度の良好な値を得ることが可能であった.
著者
原 正利 関 剛 小澤 洋一 鈴木 まほろ 菅野 洋
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.153-170, 2007-12-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
82
被引用文献数
1

1. イヌブナの分布北限域にあたる宮城県と岩手県,青森県東部を対象地域として,踏査データ(105地点),文献情報(112地点),標本データ(14点),岩手県自然環境統合時報(47地点)を情報源に,緯度経度情報を伴うイヌブナの分布データベース(278地点)を作成し,国土数値情報を用いて分布地点の気候,地質,地形の各情報を抽出し,GISを用いて分布との対応を解析した。  2. 詳細な分布図を作成した結果,分布北限域におけるイヌブナの水平分布は,分布上のギャップを多く伴うパッチ状で特徴的なものであることが明らかとなった.  3. 垂直分布については,奥羽山脈域では600m前後にある分布上限が,北上山地域では800m付近まで上昇していた.一方,分布下限の標高に地域差は無く,海抜数10m以下の低海抜地にも分布が見られた.  4. 気候的には,60℃・月<WI≦95℃・月かつ寒候期最深積雪深120cm以下の領域がイヌブナの分布可能な領域であると考えられた.特に最深積雪深はイヌブナの分布域を強く制限し,水平的な西限および垂直的な上限を規定していると考えられた.また,WIと寒候期最深積雪深の相関関係の解析から,イヌブナの分布上限が,北上山地域で奥羽山脈域よりも上昇しているのは,イヌブナの分布が,積雪深によって規定されているためであることが示唆された.  5. 地質的には,イヌブナの分布は,主に半固結-固結堆積物と固結火山性岩石の分布域に限られ,未固結堆積物,未固結火山性岩石,深成岩類,変成岩類の分布域にはあまり分布しないことが明らかとなった.  6. 地形的には,イヌブナの分布は,主に山地と丘陵地に限られ,他の地形にはほとんど分布しなかった.また,奥羽山脈沿いのイヌブナの分布上のギャップには,砂礫台地および扇状地性低地が対応して分布し,寒候期最深積雪深120cm以上の地域との組み合わせによって,イヌブナが分布しない原因を説明できると考えられた.また,特に北上山地では,イヌブナの分布は急傾斜地に限られる傾向にあった.  7. 植生改変などの人為的要因,および最終氷期におけるレフュジアの位置や後氷期における分布変遷などの歴史的要因がイヌブナの分布に影響している可能性についても考察した.  8. 分布北限域においてイヌブナの分布が気温的に予測されるよりも南部に限定され,しかも断続的な分布を示しているのは,積雪に対する耐性が低く地質・地形的な立地選択性の幅も比較的,狭いというイヌブナの種特性と,本州北端部が最終氷期末以降,火山活動の影響を受けて地表面が大きく攪乱された上,現在も火山性堆積物が厚く堆積しているという地史的な要因に起因すると考えられた.
著者
大槻 美佳 相馬 芳明 青木 賢樹 飯塚 統 吉村 菜穂子 佐原 正起 小山 晃 小島 直之 辻 省次
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.243-248, 1998-03-01

目的:左前頭葉内側而損傷群と背外側面損傷群の視覚性呼称能力と語列挙能力を比較検討した。対象・方法:11例の超皮質性運動失語を呈する右利き脳梗塞または出血患者。病巣はCTまたはMRIにて同定した。視覚性呼称能力としてWAB失語症検査V-Aの20物品の呼称課題を,語列挙能力として同V-Bの語想起課題を用いた。結果・考察:左前頭葉内側面損傷群は視覚性呼称が良好であるのに対し語列挙が不良であった。外側面損傷群では視覚性呼称,語列挙いずれも不良であった。この結果から左前頭葉内側面は語列挙に,背外側面は視覚性呼称に重要であることが推測される。サルの実験において,前頭葉背外側面にある前頭前野は視覚誘導性の動作に,内側面にある補足運動野は記憶依存性の動作に関与することが知られている。 言語においては視覚性呼称は視覚誘導性の動作に,語列挙は記憶依存性の動作に対応すると考えられる。したがって,本結果は行為における前頭葉背外側面と内側面の機能的相違が言語機能においても当てはまることを示唆する。
著者
藤原 正義
出版者
時衆文化研究会
雑誌
時衆文化 (ISSN:13455915)
巻号頁・発行日
no.9, pp.54-73, 2004-04
著者
平川 淳一 木村 和夫 山内 眞義 中山 一 中原 正雄 藤沢 洌 亀田 治男 大畑 充 佐藤 泰雄
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.1726-1730, 1989-12-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
14

約1年の間に5人の覚醒剤乱用者グループの全員にみられた非A非B型急性肝炎例を経験した.これらの症例は注射器を共用し覚醒剤の静脈注射するといういわゆる“回し打ち”を行い,いずれも急性肝炎の発症を認めた.覚醒剤乱用と肝炎発症の関連について検討した結果,通常のB型,非B型急性肝炎に比べ潜伏期の長いことが推察された.回復期に行った肝生検像は,慢性活動性肝炎の所見であった,覚醒剤による弊害は現在大きな社会問題となっており,これによるB型肝炎の報告は散見されるが,非A非B型肝炎の報告は本邦では文献上みあたらず興味ある集団発症例と思われる.
著者
前川 喜久雄 浅原 正幸 小木曽 智信 小磯 花絵 木部 暢子 迫田 久美子 Kikuo MAEKAWA Masayuki ASAHARA Toshinobu OGISO Hanae KOISO Nobuko KIBE Kumiko SAKODA
出版者
国立国語研究所
雑誌
言語資源活用ワークショップ発表論文集 = Proceedings of Language Resources Workshop
巻号頁・発行日
no.1, pp.170-179, 2017

会議名: 言語資源活用ワークショップ2016, 開催地: 国立国語研究所, 会期: 2017年3月7日-8日, 主催: 国立国語研究所 コーパス開発センター国立国語研究所コーパス開発センターでは,従来個別に開発・提供されてきた各種日本語コーパスの検索環境を統合し,複数のコーパスを横断的に検索可能な包括的検索環境を整備する計画を進めている。既に公開済みのコーパス群だけでなく,第3期中期計画期間に種々の研究プロジェクトで開発ないし拡張を予定しているコーパス群の一部も検索対象に含める。本発表では,検索対象となる予定のコーパスを紹介した後に包括的検索環境の実現に向けてどのような問題があるかを検討し,解決の方向性を探る。
著者
三木 康暉 佐藤 晴彦 小山 聡 栗原 正仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回全国大会(2013)
巻号頁・発行日
pp.3M4OS07e2, 2013 (Released:2018-07-30)

本発表では、クラウドソーシングを用いてゲームレベルの設計を効率的に行うシステムを提案する。ゲームのステージをインターネット上のワーカーに配信し収集したプレイログから、ステージの難易度を判定し、ユーザーに適切なゲームレベルを構築する方式を開発する。
著者
長谷川 洋 尾藤 昭二 藤原 正昭 大槻 秀夫 中田 宗朝 小橋 二郎
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.891-895, 1983 (Released:2006-11-10)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

Three cases in which massive pneumocephalus caused a grave postoperative neurological deterioration are presented. Two of the three patients underwent suboccipital craniectomy for posterior fossa tumors. One patient developed tension pneumocephalus immediately after the surgery due to uncontrolled drainage of cerebrospinal fluid (CSF) during surgery and prolonged use of nitrous oxide for anesthesia. The other patient developed massive pneumocephalus the day after the surgery, caused by excess drainage of CSF from an epidural drain and entry of air from the ventriculostomy. The third patient developed tension pneumocephalus following surgery for large bilateral chronic subdural hematomas due to failure of re-expansion of the chronically compressed brain and plugging of the drainage tube. All three patients were successfully treated by aspiration of air under pressure and replacement of air with normal saline. Tension pneumocephalus should be considered in the differential diagnosis of acute postoperative neurological deterioration, especially in the presence of a CSF drainage device.
著者
岩崎 紀夫 加藤 昭彦 川原 正言
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.149, pp.268-278, 1981 (Released:2009-09-16)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Fatigue crack growth under random loading has been extensively studied since nearly a decade in relation with the design of offshore structures, ship hulls, pressure vessels and so on.For the sake of simplicity, random loads in service conditions are often simulated by block programmed loads in laboratory fatigue tests. However, very few studies have been conducted on the difference of fatigue crack growth behaviour between random loads and block programmed loads.The authors previously presented an experimental study on fatigue crack growth under block programmed loads, and discussed on the effect of block size on fatigue crack growth life. A proposed model gave a good prediction of fatigue crack growth life in block programmed loading tests. In the present paper, fatigue crack growth tests were performed under three different types of block or random loads. Experimental results show that fatigue crack growth behaviour under random loads is very similar to that under block programmed loads with short periods. Miner's rule gave a non-conservative estimation for crack growth life under both random and short block loads. Life estimation by the model previously proposed agreed well to the experimental results.
著者
丹羽 健市 中井 誠一 朝山 正巳 平田 耕造 花輪 啓一 井川 正治 平下 政美 管原 正志 伊藤 静夫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.151-158, 1996-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

運動時の暑熱障害事故予防のための基礎資料を得るために, 男子大学生を対象に運動場の環境条件 (WBGT) の実態と, それに伴う発汗量や飲水量及び体温との関係ならびに運動時の水分補給の有無が体温調節反応に及ぼす効果について検討した.得られた主な結果は, 次の通りである.1.4月から9月までの期間, 同一時刻に練習を行った際のWBGTは4月以降上昇し, 8月に最高値に達した後下降した.2.自由飲水時の体重減少量は4.8~5.7g/kg・hr-1の範囲にあり, 各月間に有意な差異は認められなかった.3.発汗量および水分補給量はWBGTの上昇に伴って増大し, 両者の問に高い相関関係が認められた.しかし, 自由飲水時の口内温の変化量はWBGTの上昇にもかかわらず0.52±0.08℃であり, WBGTの増加に伴う変動は認められなかった.4.運動時の口内温の上昇は水分補給の有無によって異なり, 水分補給の場合で0.62±0.30℃, 非補給では1.09±0.54℃上昇し, 両者の間に有意な差異が認められた (p<0.001) .5.水分補給の場合の発汗量は10.455±2.272g/kg・hr-1, 一方非補給のそれは8.279±1.271g/kg・hr-1であり, 両者の間に有意な差異が認められた (p<0.01) .
著者
浅原 正幸
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.301-327, 2019-06-15 (Released:2019-09-15)
参考文献数
32

本論文では,リーダビリティ評価を目的として,日本語テキストの読み時間と節境界分類の対照分析を行う.日本語母語話者の読み時間データ BCCWJ-EyeTrack と節境界情報アノテーションを『現代日本語書き言葉均衡コーパス』上で重ね合わせ,ベイジアン線形混合モデルを用いて節末で,どのように読み時間が変わるかについて検討した.結果,英語などの先行研究で言われている節末で読み時間が長くなるという wrap-up effect とは反対の結果が得られた.他の結果として,節間の述語項関係が読み時間の短縮に寄与することがわかった.
著者
桑原 正貴 矢田 英昭 矢来 幸弘 秋田 恵 戸田 典子 菅野 茂 西端 良治 三上 博輝 局 博一
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器 (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-5, 2000 (Released:2005-10-11)
参考文献数
11

心血管系機能に及ぼす気道過敏性の影響に関しては未だ不明な点が多い。本研究では,先天的に気道感受性の異なる気道過敏系(BHS)および気道非過敏系(BHR)モルモットの心拍数と血圧を無麻酔下においてオシロメトリック法で測定することにより,その一端を明らかにすることを目的とした。BHS系では,心拍数:253.5±5.1 bpm,収縮期血圧:105.7±1.6 mmHg,平均血圧:75.1±1.9 mmHg,拡張期血圧:60.0±2.2 mmHgだった。一方,BHR系では心拍数:253.7±4.2 bpm,収縮期血圧:106.8±1.3 mmHg,平均血圧:72.7±1.6 mmHg,拡張期血圧:55.8±1.9 mmHgであり,何れのパラメータにも両系統に有意な差は認められなかった。これらの結果から,気道の過敏性は安静状態における心血管系機能には顕著な影響を及ぼさないことが示唆された。
著者
中原 正幸
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.137-148, 1999-08-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24

サヘル地帯では, 気候変動や人間活動の影響によって砂漠化が進行している. 本調査は砂漠化防止対策の一環として, 水資源の賦存形態を把握し, その開発について検討したものである.調査地域は, ニジェール, ブルキナファソ両国にまたがるゴルビ川流域である. 流域の降雨は5~9月の雨季にのみ認められ, 年間降雨量は200~1,200mmである. 河川は季節河川であり, 流出は6月に始まり10月上旬に終わる. 年間流量は平均2.6億m3である. 流域の河川は流域面積によって流出状況の区分ができる. 帯水層は大きく三つに区分でき, 先カンブリア時代の花崗岩・変成岩中の基盤岩帯水層, 第三紀のコンチネンタルターミナル層中の第三紀帯水層, および第四紀河床堆積物中の沖積帯水層である. この地下水は年間を通して利用できる. 流域の水循環をタンクモデルによって推定すると, 蒸発散が66%, 河川流出が5%, 地下浸透が29%である.このような水資源の特性を考慮すると, 乾季では地下水やダム貯留水の利用, 雨季には地表水や地下水を利用するのが有効である. 具体的には堰や地下水の涵養をかねた低ダムの築造や, 各帯水層を対象とした井戸開発である.
著者
松尾 宇泰 杉原 正顯 森 正武
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.307-319, 1997-09-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
8

Through numerical experiments we compare the performance of the three algorithms (Linpack algorithm, Hager's algorithm, and Natori Tsukamoto's algorithm) and their variants for estimating the condition number of a matrix, and make recommendation concerning the use of the estimates in applications.