著者
鈴木 祐介 福谷 直人 田代 雄斗 田坂 精志朗 松原 慶昌 薗田 拓也 中山 恭章 横田 有紀 川越 美嶺 浅野 健一郎 篠原 賢治 坪山 直生 青山 朋樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1640, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】腰痛は職業性疾病の中で約6割を占める。また,腰痛が慢性化することで従業員の労働生産性が低下するという報告もあり,従業員の慢性腰痛の予防は企業の健康経営における重要課題の一つである。しかし,慢性腰痛の関連因子を調査した多くの研究は,質問紙調査を基にしており,実測による身体機能を調査した研究は少ない。そのため,先行研究で言及されている精神的因子や睡眠障害の因子に加え,実測での身体機能の因子を含めた慢性腰痛の包括的な関連因子の調査は不十分と言える。従って本研究では,オフィスワーカーにおける慢性腰痛に関連する因子を,身体機能面,精神機能面の両者から包括的に検討することを目的とした。【方法】対象は,A企業で実施した腰痛検診に参加したオフィスワーカー601名(平均年齢44.3±10.1歳,男性72%)とした。対象者に自記式質問紙を配布し,基本属性(年齢,性別,勤続年数),腰痛の有無を,精神機能として睡眠時間の満足感,抑うつ傾向を反映するSelf-rating Depression Scale(SDS)を聴取した。腰痛は,現在の腰痛の有無と,現在腰痛がある場合その継続期間を聴取することで,慢性腰痛無し群,慢性腰痛有り群(発症3ヶ月以上)に分類した。さらに身体機能として,握力,30秒立ち上がりテスト,立位体前屈,閉眼片脚立ちを計測し,姿勢評価としてPalpation meter(Performance Attainment Associates社製)を使用し,骨盤の前後傾斜角度を計測した。統計解析は,従属変数に慢性腰痛の有無を,独立変数に身体機能・精神機能に関連した各測定変数を,調整変数に性別・年齢を投入したロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意確率は5%未満とした。【結果】回答データに欠損のない487名を解析対象とした。対象者のうち,136名(28%)が慢性腰痛を有していた。ロジスティック回帰分析の結果,立位体前屈値(オッズ比(OR)0.966,P=0.003,95%信頼区間(CI)0.945-0.989),睡眠時間の満足感(時間が足りず不眠に該当:OR2.342,P=0.002,95%CI1.357-4.042,寝つきが悪いに該当:OR2.345,P=0.01,95%CI1.223-4.495)が,慢性腰痛と有意に関連していることが明らかになった。【結論】本研究結果より,オフィスワーカーの慢性腰痛は,身体柔軟性の低下,睡眠時間の満足感の低下と有意に関連することが明らかになった。オフィスワーカーは他の職種と比較して,同一姿勢を取り続ける時間や,VDT(Visual Display Terminals)作業の時間が,相対的に長くなることが関与していると考えられる。今後は縦断的な解析を進め,本研究で得られた因子と慢性腰痛発生との関連を検討していく必要がある。
著者
西原 賢 久保田 章仁 丸岡 弘 原 和彦 藤縄 理 高柳 清美 磯崎 弘司 河合 恒 須永 康代 荒木 智子 鈴木 陽介 森山 英樹 細田 昌孝 井上 和久 田口 孝行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0675, 2007

【目的】運動時の活動電位を観測する研究は多いが活動電位の伝導方向や神経筋の部位まで調べる試みは少ない。現在、画像診断で筋構造を大まかに観測することは可能であるが、神経または筋の神経支配領域までを調べるには不十分である。これらが調べられることによって、運動に関る神経・筋の機能的評価が可能となり、臨床上大変有用となる。さらに、神経の走行部位を予測して、筋肉注射時に神経損傷を予防する場合にも役立つ。そこで、これまでわれわれが開発した筋電図処理技術を応用して、神経や筋の組織解剖学的研究と照し合せながら本研究の検証を行う。<BR>【方法】19-22歳の健常人男性12人を対象にした。被験者は右手首に1kgの重垂バンドを装着し、肩屈曲30°肘屈曲90°で上腕二頭筋収縮、肩外転45°で三角筋収縮を1分間持続させた。上腕二頭筋では、被験者の内側上腕二頭筋の中心に双極アレイ電極を筋の方向に沿って取り付けた。三角筋では、肩峰から腋窩横線までの距離から下3/8の地点を中心に筋の方向に沿って取り付けた。各筋から4チャネルの生体アンプで検出した筋電図を計算機に保存した。筋電図原波形のうちの5秒区間を、本研究のために開発した計算機プログラムを用いて、設定閾値以上のパルスのピークを検出して加算平均した波形を算出した。チャネルによる加算平均パルスの向きの逆転(+側か-側か)や遅延時間の方向から(パルスが順行性か逆行性か)、電極装着部位を基準にした神経支配領域の位置を推定した。<BR>【結果】上腕二頭筋において、12被験者のうち8人で、加算平均パルスの向きの逆転があった。4人はパルスの向きの逆転は観測されなかったが、遅延時間が順行性に変化した。三角筋において、12被験者のうち、加算平均パルスの向きの逆転があったのは2人だけであった。残りのうち2人は遅延時間が順行性に、3人は逆行性に変化し、4人は解析困難であった。<BR>【考察】(1)上腕二頭筋の神経支配領域の推定:加算平均パルスの向きが逆転されたチャネル付近に神経支配領域が存在する。結果により、12被験者のうち8人の神経支配領域の位置が特定された。残り4人は電極装着部の近位に神経支配領域あることが考えられる。(2)三角筋の神経支配領域の推定:12被験者のうち2人だけが神経支配領域の位置の推定ができた。残りのうち2人は電極装着部の近位に、3人は遠位に神経支配領域があると考えられる。(3)上腕二頭筋と三角筋の比較:三角筋は上腕二頭筋と比較して神経支配領域の位置の特定が困難であった。上腕二頭筋は紡錘状筋で、筋線維は筋の方向に沿って均一に走行している。それに比べて三角筋は羽状筋に近く、筋線維は筋の方向に対して斜めで不規則に走行している。三角筋の場合はさらなる調査が必要であるが、かなり詳細な筋構造が皮膚表面で調べられることが明かになった。
著者
小林 潤 石原 賢人 樋口 剛志 倉持 秀敏
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

廃棄物由来のBDFおよびガス化ガスを燃料とするデュアルフューエルディーゼル(DFD)発電を最終目標として、廃棄物ガス化ガスの模擬ガスを用いたDFD発電を行い、その燃焼挙動およびエネルギー変換特性について検討を行った。なお、実験には市販の非常用小型ディーゼル発電機を用いた。また、主要燃料には2号軽油を用いた。実験の結果、模擬ガスを用いることで軽油消費量が低減することが明らかとなった。しかし、排ガス中に一部未燃分も確認され、今回の条件では気体燃料が完全に燃焼していないことが示された。
著者
福留 裕樹 畠山 琢次 原 賢二 中村 正治 中村 栄一
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1103, 2002

Development of the stereocontrolled carbon-carbon bond formation is one of the most important tasks in synthetic organic chemistry. We have reported that a zincated hydrazone, which is a synthetic equivalent and an isoelectronic compound of a metal enolate, reacts with various vinyl metal compounds such as vinyl silane, vinyl stannane, and vinylmagnesium halide to form a new functionalized organometallics bearing two metals at the same carbon. We recently found that a vinyl boronate can also serve as the carbometalation acceptor and shows high reactivity toward organozinc reagents. Here we report an alkenyl boronate, which possesses a variety of substituent at the &beta;-carbon to boron, undergoes the addition of a zincated hydrazone in high yields with high diastereoselectivity. The zincated hydrazone derived from 2-methyl-3-pentanone hydrazone, thus, reacted with <I>trans-</i>hexenyl boronate to give a product in 92% yield with high diastereoselectivity (d.r. > 99:1). On the other hand, the reaction to the corresponding <I>cis-</i>isomer gave another diastereomer with a diastereoselectivity of 16:84, showing high stereospecificity of the carbozincation process.
著者
笠原 賢介
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
no.79, pp.15-29, 2019

Der Aufsatz basiert auf dem Vortrag, der am 23. Juni 2018 anlässlich des vom Philosophischen Seminar der Hosei Universität Tokyo veranstalteten öffentlichen Symposiums „Platon und Gegenwart" gehalten wurde. Zuerst wird der Gegensatz zwischen Nietzsche und Platon bezüglich der Kunst anhand der Geburt der Tragödie und des 10. Buchs vom Staat herausgestellt. Dabei handelt es sich um das Verständnis für den Begriff „mimêsis". Die Platon-Kritik Nietzsches bedeutet aber nicht, dass er Ästhetizist bzw. Irrationalist sei. In diesem Zusammenhang werden die geläufigen Nietzsche-Bilder seit der vorletzten Jahrhundertwende, wie z. B. „Dichterphilosoph", „Lebensphilosoph" oder „Nietzsche als Machtpolitiker" à la Baeumler, rückblickend rekonstruiert. Wie M. Montinari philologisch und M. Heidegger philosophisch klargemacht haben, haben sie heute keine Gültigkeit mehr. Durch die Herausgabe der Kritischen Gesamtausgabe 1967 sind Nietzsches Texte von dem Schema, das das „Hauptwerk" Der Wille zur Macht verbreitet hatte, befreit worden. Der philosophische Gedankengang Nietzsches muss zwischen den Zeilen seiner Schriften -einschließlich der Nachlässe- herausgelesen werden.G. Picht hat zur Auslegung der Philosophie Nietzsches einen wichtigen Beitrag geleistet. Auch für das Thema „Nietzsche und Platon" ist seine Nietzsche-Interpretation aufschlussreich. In meinem Aufsatz werden zwei Punkte seiner Deutung hervorgehoben: ⑴ Genese, die bei Nietzsche als Polarität von dem „absoluten Flusse" der Zeit und der „imaginären Gegenwelt" des Lebewesens aufgefasst wird. ⑵ Kunst, die gleichbedeutend mit der griechischen „poiêsis" ist. Mit dem Wort Kunst meint Nietzsche nicht nur die Kunst im engeren Sinne, sondern das Hervorbringen überhaupt. Das Hervorgebrachte wird als öffentlicher Spielraum „Geschenk" für die Menschen, das nicht ausgeschöpft werden kann.Nietzsche steht in krassem Gegensatz zu Platon, der sich auf die überzeitliche „idea" richtet. Zwischen den beiden gibt es trotzdem einige Schnittpunkte. In dieser Hinsicht wird abschließend Platons Gastmahl betrachtet. Dabei handelt es sich um das Wort „tokos" in Diotimas Dialog mit Sokrates und das Wort „bakcheia" in der Rede von Alkibiades. A. N. Whitehead hat gesagt: „Die philosophische Tradition Europas besteht aus einer Reihe von Fußnoten zu Platon." Damit meint er nicht „das systematische Schema des Denkens, das Gelehrte aus seinen Schriften zweifelhaft herausgezogen haben", sondern „den Reichtum der allgemeinen Ideen, die in ihnen zerstreut sind". In diesem Sinne hat auch Nietzsche einige Fußnoten zu Platon hinzugefügt, sich mit ihm auseinandergesetzt und eine neue Denkrichtung eröffnet.
著者
大塚 毅 出原 賢治 田中 洋輔 山岡 邦宏 新納 宏昭 中島 衡
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1. IL-10とIL-4は単球・マクロファージさらには好中球を標的として多彩な向炎症性物質産生を抑制し抗炎症作用を発揮することを明らかにした。とくに、シクロオキシゲナーゼ(COX)活性とプロスタノイド産生を観察し、両サイトカインの作用機構を細胞内シグナル伝達の系を通して明らかにした。2. 単球・マクロファージならびに好中球の活性化におけるMAPキナーゼ(MAPK)の同定と機能発現への関与(1) LPSによる活性化にて、MAPK中のERK2とP38MAPKのリン酸化ならびにキナーゼ活性が上昇した。(2) サイトカインとプロスタノイド産生においてこれらのMAPKの活性化が関与していることが判明した。(3) IL-10とIL-4によるMAPK活性化への異なる制御機構が判明した。3. ヒト単球に対するLPS刺激時にはSTAT5が活性化され、GM-CSF遺伝子発現などの関連している。IL-10はSTAT5を抑制することによって、COX-2遺伝子発現を制御している可能性がある。4. RA患者の好中球における機能変化(1) RA患者において末梢血ならびに関節液中の好中球からのサイトカインならびにプロスタノイド産生が健常人に比べて増強していることが判明した。(2) その機能発現にMAPK経路の関与が示唆された。5. IL-10等のサイトカインのシグナル伝達系が疾患発症の感受性に影響する可能性を今後検索していくために、RT-PCR-RFLPによる多型解析を行い、実験系を確立した。現在、自己免疫疾患を中心に解析し興味ある結果が得られてきた。
著者
久木原 賢治 入江 智和
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成22年度電気関係学会九州支部連合大会(第63回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.47-48, 2010 (Released:2012-02-24)

現在Internetが直面している非常に切実な問題はIPアドレスの枯渇と経路表増大である。 これらの問題に対する短期的解決法としてNATが挙げられる。 NATは主にローカルなネットワークではプライベートIPアドレスを設定し、インターネットへ接続するときにグローバルIPアドレスに変換する用途で用いられる。 しかし現在の一般的なNAT実装にはローカルブロードキャストを転送しないなど、NATの透過的利用の側面での課題がある。 その解決のために本研究ではNAT拡張を提案している。 今回は提案拡張の有効性と実現性の検証を行う。提案拡張によりNATの透過性が向上が実現する。
著者
村上 智明 原 賢治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-159_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【症例紹介】 超音波画像診断装置(以下、エコー)で評価し、膝蓋下脂肪体(以下、IFP)硬化と内側膝蓋支帯縦走線維の炎症がみられた症例に理学療法を実施した。IFP動態の改善に伴い、内側膝蓋支帯縦走線維の疼痛が軽快したので報告する。症例は51歳女性、ジャザサイズ中のサイドステップで右膝内側と膝蓋下の痛みが強くなった。歩行及び階段昇降で疼痛が増悪し受診した。変形性膝関節症(以下、膝OA)とHoffa病の診断で内服薬や貼付剤で経過観察したが奏効せず、理学療法を開始した。膝痛が良くなったらジャザサイズをしたいとの希望であった。【評価とリーズニング】 レントゲンは正面像で初期の膝OAが認められ、側面像でHaglund impression-、Insall-salvati ratioは1.16と正常範囲であった。整形外科的テストはHoffa sign、ストロークテストが陽性、Patellar glide testで内外側とも1/4未満のHypomobileと評価した。圧痛は膝前内側と膝蓋下にあり、エコーで特に内側広筋(以下、VM)収縮時に内側膝蓋支帯縦走線維移行部の低エコー像がみられた。膝蓋下は膝蓋骨尖、脛骨粗面中央をメルクマールとし、膝蓋腱中央部を長軸で観察すると、IFP近位部に軽度高エコー像、膝蓋靭帯と大腿軟骨面間に狭小化を認めた。また、IFPが関節裂隙側から前方に広がる動態は観察できなかった。関節可動域(右/左)は膝伸展-10°/5°、屈曲90°/140°で疼痛はそれぞれ右膝蓋下、右膝前内側部に出現した。徒手筋力検査は膝関節伸展、屈曲、股関節伸展、足関節底屈を測定し、すべて4/5、特に右膝伸展45°保持では内側広筋斜走線維(以下、VMO)の萎縮が観察できた。大腿周径は膝蓋骨上縁が36.5㎝/37.0㎝、上縁5㎝が38.0㎝/39.5㎝であった。初期評価時に疼痛と関節可動域制限があったが、同日に関節可動域の改善を得て他にも実施可能なテストを行った。Ober test+/-、Elys test+/+(臀踵間距離4横指/1横指)、またクラークサインとJ-Signが陰性であることやQアングル増大と膝蓋骨位置の1横指低位を確認した。スクワット、フロントランジ、サイドランジのスポーツ基本動作は患側にknee in toe outと疼痛増悪を認めた。 評価の結果、異常な動的アライメントによる大腿四頭筋の連続的で強い収縮の繰り返しがIFPの炎症と線維化を起こし癒着に至った。さらに大腿筋膜張筋、腸脛靭帯、外側広筋、中間広筋、外側膝蓋支帯などの外側支持組織の硬さが膝蓋骨可動性を低下させた。このことから膝蓋骨運動の異常、膝蓋大腿関節の圧力や内側膝蓋支帯縦走線維の伸張ストレス増大が起こり、炎症を生じVMOの萎縮に繋がったと推察した。しかし、以前から基本的な問題として動的アライメント不良、タイトネス、筋力低下等があった可能性は否定できない。【介入内容と結果】 NRS5/10以上の時期は基本的に安静で膝蓋骨運動の改善を目的としIFPmobilizationを遠位、深部に施行した。他にも徒手的介入や膝蓋上嚢周辺の動きを促す為に軽い大腿四頭筋setting(以下、Q-setting)を用いた。理学療法開始から8日(5回目)でIFP痛は消失、膝前内側部痛はNRS2/10以下と改善を示した。さらにIFPの前方移動を促す目的で膝蓋骨に操作を加えたQ-settingやIFPへ超音波治療、スポーツ基本動作の修正を開始した。16日(8回目)で一部IFPの動態改善を確認した。Patellar glide testは内外側ともに1/2 程度、膝痛消失、タイトネスは改善して歩行及び階段昇降が可能となった。しかし、IFPの軽度高エコー像、大腿四頭筋筋力低下は残存した。スポーツ基本動作の改善を確認し、ジャザサイズを開始しても疼痛が出現しないため理学療法を終了した。【結論】 IFPの炎症、結合織性肥大があれば、膝蓋腱から大腿軟骨面間は広がると考えたが、本症例は線維化と狭小化を認めた。これらはmobilizationや超音波治療で改善できなかったがIFP深部、遠位に動きを出すことでIFP痛は軽快した。IFP痛の改善と同時期に膝前内側の炎症、疼痛も緩和したことからIFPの動態改善を促すことが膝蓋骨運動の改善に効果的かつ膝前部のメカニカルストレス緩和に有効であった推察した。【倫理的配慮,説明と同意】 症例報告を行うにあたりご本人に口頭で確認、不利益を被ることはないことを説明し回答をもって同意を得た。開示すべき企業・団体はない。
著者
古屋 貫治 西中 直也 鈴木 昌 松久 孝行 小原 賢司 磯崎 雄一 大澤 一誉 田鹿 佑太朗 木村 亮介 筒井 廣明
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.593-597, 2019

<b>【目的】</b>プロ野球投手のメディカルチェック(MC)でみられる,MR画像のposterosuperior impingement(PSI)と身体機能 との関係は不明である.今回,PSIと当院で重視しているゼロポジション保持機能との関連性について検討した.<BR><b>【方法】</b>当院のMCで,2年連続でゼロポジション保持機能と投球側MR画像を調査しえたプロ野球投手8名を対象とした.ゼロポジション近似肢位での外旋筋力(Zero外旋),肘伸展筋力(Zeroリリース)を両側測定し,MR画像の経年変化でPSI不変群4例と増悪群4例を比較した.<BR><b>【結果】</b>両群ともZero外旋,Zeroリリース,Zero外旋/リリース比は左右差がなく,投球側のZero外旋/リリース比のみPSI増悪群で有意に高かった(p=0.0209).<BR><b>【結論】</b>PSIとZero外旋、Zeroリリースの筋力は相関がみられなかったが,投球側のZero外旋/リリース比には相関がみられた.画像でPSI所見がみられた場合は新たな障害発生のリスクとなる可能性があるため,注意深く経過を診ていく必要がある.
著者
佐藤 敦 古屋 貴之 高木 博 小原 賢司 星野 雄志 富田 一誠
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.211-213, 2020-03-01

は じ め に 変形性膝関節症(膝OA)に対する治療として,初期には食事療法,運動療法,薬物療法などの保存的治療が行われるが,それでもなお人工膝関節全置換術(TKA)に代表される手術的治療が必要となる症例も多く増加傾向である.近年,慢性疼痛に対する新規薬剤が導入され,その一つであるデュロキセチンの効果も報告されている.また,慢性疼痛を有する膝OAに対するデュロキセチンの有用性も確立されてきている.しかし,TKA周術期におけるデュロキセチンの効果に関する報告は少ない.そこでわれわれは,慢性疼痛を有する膝OA 11例に対しTKA周術期にデュロキセチンを使用し,その術後鎮痛効果を検討したので文献的考察を加え報告する.
著者
羽田 敦子 浅田 純子 水本 洋 上松 あゆ美 高原 賢守 Midori IIDA 吉村 文秀 長藤 洋 秦 大資
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.846-852, 2004-09-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
12
被引用文献数
4 6

2002年インフルエンザ流行期に, 発症早期, 抗原検査が陰性で, 後日, 陽性となった症例を経験した. 2003年の流行期には877名の鼻腔拭い液965検体が検査され, その約半数は救急時間帯に施行された. 発熱出現後12時間以内に初回陰性であったため, 12時間以降に再検査した31名のうち陽性に転じたのは10名で偽陰性率は29%であった. 一方, 12時間以降に初回検査陰性の13名は, 再検査も陰性で12時間以降ならば診断は確実であるといえた. 治療は原則として抗原検査結果に基づき抗ウイルス薬が開始された. 発症12時間以内に初回陽性の患者群は, 12時間以内初回陰性12時間以降陽性の患者群と12時間以降初回陽性の患者群に対して発症から投薬までの期間 (p=0.0001, p<0.0001) と有熱期間 (p=0.0003, p<0.0001) は有意に短く, 入院は有意に低率 (p<0.0001, p=0.0406) であった. 12時間以降でも48時間以内であれば, 12時間以内に初回陽性の患者群に対し有熱期間に有意差がみられた (p<0.0001) が平均2.3日と短く, 入院率に有意差はなかった. インフルエンザ流行期には多数の患者が来院しとりわけ救急外来は混雑をきわめる. インフルエンザ迅速診断を活用し治療に役立てるためには, 確実に診断された患者に比較的不利益を与えずに治療できる発症12時間以降48時間以内の施行が最適であると考えられた.
著者
安原 賢
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.786-798, 2017 (Released:2017-10-01)
参考文献数
38

化学工学の分野で塗布は重要な要素技術であり,日本の産業界ではVOF 法を用いた塗布ビードの自由表面解析が盛んに行われてきた。この解析手法にて,空気同伴,リビング,リビュレット,段ムラ,塗布エッジ膜厚不均一等の各種塗布故障が解析結果として再現された。また,これら塗布故障の発生状況と塗布条件の相関を定量的に整理したコーティングウィンドウにおいても,実際の塗布試験結果と良好な一致が見られた。このように,塗布解析を活用した塗布故障発生原理の解明,未知の操業条件における塗布故障発生予測が実用化され,近年では主に電子材料分野の塗布最適設計に役立っている。現状この分野では,スロット塗布方式による単層塗布が一般的だが,多層同時塗布技術の応用も期待されている。他方,製紙業界の分野では,流体構造連成解析によってブレード塗工挙動を表現し,ブレードやゴムロールという弾性体にニップされつつ塗工膜を形成する挙動が再現されたが,ここでは紙基材への染み込みまでは考慮しきれていない。但し,印刷プロセス解析では,染み込みモデルによってポーラスな紙面へ液体が染み込む挙動が既に再現されており,ブレード塗工との同時考慮が今後の課題である。また,流体粒子連成解析を応用した塗工液中の固体微粒子挙動の解明,更には粒子を数珠状に軟連結した微細繊維挙動解析による抄紙工程の繊維挙動解明も期待される。
著者
近藤 皓介 原 賢二 阿部 周司 梶原 一人
出版者
低温生物工学会
雑誌
低温生物工学会誌 (ISSN:13407902)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.71-74, 2019 (Released:2020-01-06)

Hexagonal and cubic phases have been observed under atmospheric pressure as an ice crystalline phase. No study has reported the preparation of a cubic phase by directly freezing bulk water or by directly cooling the hexagonal phase. We hypothesize that the cubic phase is initially formed upon the crystallization of water and that it subsequently transitions to a hexagonal phase at a momentary rate. When pure water was used, it was not possible to capture the process of transferring to the hexagonal phase through the cubic phase at an integration interval of one second. However, when a 40 wt% aqueous glucose solution was used, it was possible to capture the process of transitioning from the supercooled liquid to the hexagonal phase through the cubic phase with an integration time of one second. This result is considered to indicate that the pure water may be instantaneously transferred from the supercooled liquid through the cubic phase to the hexagonal phase.
著者
東 聖 伊藤 大介 石田 貴仁 岩田 明彦 菅原 賢悟 森本 茂雄
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.139, no.5, pp.495-502, 2019-05-01 (Released:2019-05-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2

This paper proposes countermeasures to reduce radiated AM radio frequency noise caused by the VVVF (variable-voltage/variable-frequency) inverter system incorporated with an electric railway car. First, the common-mode current flowing through a cooling fin earth line is studied, and the connection change of the line shows good attenuation of the 1.26MHz resonance component. Second, the common-mode current flowing though the motor earth line with a capacitor is focused upon, and the modified connections of the line to the outside of the input common-mode core achieves fine noise reduction in the range from 500kHz to 1.5MHz. In such cases, the existing input common-mode core is utilized to establish the impedance, which is efficient in both the noise reduction and the countermeasure cost reduction. Finally, a current simulation model which is paid attention to the AM radio frequency range is examined with the measured impedance data of the VVVF inverter system. The currents flowing thorough the cooling fin earth line and the motor earth line is simulated, and these simulated currents show good agreement with the measured one.
著者
松崎 稔晃 益川 眞一 河津 隆三 原 賢治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P2384, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】 骨粗鬆症による脊柱変形や加齢に伴う椎間板の変性など原因は多様であるが、よく観察される高齢者の異常姿勢のひとつに円背がある.この円背は呼吸機能低下や嚥下の際の過剰努力など多種多様な影響を全身に及ぼすが、その中で今回は脊柱のアライメントと下肢の運動連鎖に着目し、円背と下肢の筋力バランスの関連性を検証することにした.これにより日々行っている理学療法プログラムやホームエクササイズ指導を再考し、今後起こりうる変形性膝関節症などの二次的な疾患の予防等にも役立つのではないかと考えた.【対象・方法】 既往に中枢疾患がなく下肢関節に不定愁訴のない円背を呈している患者20名(平均年齢82.2±7.5歳、以下 円背有り群)、円背を呈していない患者20名(平均年齢76.3±6.2歳、以下 円背無し群)を対象とした.ここで、円背については明確な定義がないので、今回は体幹伸展可動域0度以下の患者を対象とした.測定方法はOG技研製徒手筋力センサーGT-310を用い膝関節屈曲・伸展筋力、足関節底屈・背屈筋力を両側下肢について測定した.測定値については3回測定し、その最大値を測定データとした.膝関節伸展筋力最大値/膝関節屈曲筋力最大値(以下 膝関節筋力比)、足関節背屈最大値/足関節底屈最大値(以下 足関節筋力比)のデータに関してMann-Whitney U検定にて円背有り群、円背無し群間での有意性を比較検討した.【結果】 統計処理の結果、両側下肢の膝関節筋力比において円背有り群、円背無し群間で有意差を認めた(P<0.01).すなわち両側下肢ともに円背有り群は円背無し群と比較して膝関節筋力比が高値を示した.一方、両側下肢の足関節筋力比において円背有り群、円背無し群間で優位な差は認めなかった.【考察】 後藤によると、電気生理学的研究において円背症例では股関節・膝関節の屈筋群と伸筋群はともに正常姿勢例と比較するとより過剰な筋活動を要求されるが、その中でも大腿前面筋により大きな筋活動を要求されたと報告している.また、運動学的観点から考えてみると、円背に伴う脊柱後彎・骨盤後傾により、股関節は屈曲、膝関節は屈曲・内反・内旋位を呈する.これにより股関節の伸展モーメントを生み出すことができず、膝関節では伸展のモーメントの必要性を余儀なくされ、過剰な負担を担う.これらの電気生理学的・運動学的側面から考え、円背症例では、ハムストリングスよりも大腿四頭筋により大きな筋活動が要求され、このことが膝関節筋力比が高値を示したという結果になったのではないかと推測した.【まとめ】 現在の円背症例に対する運動療法は、体幹の可動域訓練、腹筋群・背筋群の筋力増強訓練とともに大腿四頭筋の筋力増強訓練を推奨している教科書や文献が多い.しかし今回の結果からこれまで行われてきた運動療法の中に膝関節屈筋群の筋力増強訓練の必要性も示唆された.
著者
出原 賢治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.7-11, 2005-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
27

気管支喘息は遺伝要因と環境要因が組み合わさって生じる複雑な疾患であるとともに, 多くの細胞並びにメディエーターがその発症に関与していることが知られている. そのようなメディエーターの中でTh2サイトカインが重要な役割を果たしていることがマウスを用いた解析や喘息患者におけるサイトカイン発現の解析より明らかになっている. しかし, いくつかのTh2型サイトカインの中でそれぞれのサイトカインがどのような役割を果たしているのか, あるいはどのサイトカインがより重要なのかについては議論の分かれるところであった. 本稿ではこのTh2型サイトカインの中でIL-4とIL-13に焦点を絞って気管支喘息との関連について述べてみたい. IL-4, IL-13の受容体とシグナル伝達経路 IL-4とIL-13は他のサイトカインと同様に細胞表面に存在する受容体を介して刺激を細胞内に伝達する. IL-4受容体は2種類存在し, IL-4受容体α鎖(IL-4Rα)と共通γ鎖より成るtypeI IL-4受容体と, IL-4RαとIL-13受容体α1鎖(IL-13Rα1)より成るtypeII IL-4受容体が存在する.
著者
村田 佳太 塙 大樹 西原 賢 星 文彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに】脳卒中後遺症者(脳卒中者)は1/2から1/3の割合で感覚障害を伴うことが報告されている。位置覚検査は深部感覚を捉えるとされており,日常よく用いられる検査の一つである。脳卒中者において,深部感覚障害を有する場合にはその運動機能が不良になると報告されている。また,臨床場面において,麻痺側上肢をある場所に定位するよう促した際,数十秒後に忘れるということを多々経験する。運動に関連した深部感覚の研究は多く報告されているが,静止時の位置感覚に着目した研究はほとんど見当たらない。そこで本研究では従来の位置覚検査に時間的な側面を付加し,位置覚検査の経時的変化を検討することで,深部感覚検査の一助とすることを目的とした。【方法】対象は,健常成人7名(男性4名:女性3名,平均年齢:27.7±3.1歳)回復期病院入院中の脳卒中片麻痺者7名(男性4名:女性3名,平均年齢67.6±8.6歳,左片麻痺5名:右片麻痺2名)とした。脳卒中者の取り込み基準は,発症後2ヶ月以上経過している者とした。除外基準は高次脳機能障害,認知機能低下によって課題遂行困難な者,視覚障害を有する者,整形外科的疾患の既往がある者,失調症状を有する者,スクリーニング検査で位置覚が脱失している者とした。測定肢位は閉眼での背臥位とした。測定は一側肘関節(麻痺側肢)を木台に乗せ,30°または90°に角度設定する。設定後,対側関節(非麻痺側肢)で模倣させる方法をとる。開始時,3分後,6分後,9分後に生じる音刺激に合わせ,各3回ずつ試行した。計測は,デジタルゴニオメータ(バイオメトリクス社製:FG110型)を両肘(上腕骨骨軸,橈骨骨軸)に装着し,非麻痺側で模倣後,2秒静止した時点の数値を両側記録した。非麻痺側(模倣側)と麻痺側(角度設定側)間の誤差を誤差角度とし,3回の平均値を個人の誤差角度として算出した。分析は,設定角度90°,30°において,それぞれ時間毎における誤差角度の変化を比較した。統計学的検定には反復測定分散分析を使用し,多重比較にはDunnet法を用い,開始時の値と比較した。なお有意水準は5%とした。[結果]設定角度90°における誤差角度の平均値と標準誤差において,健常成人は開始時4.4±0.6°,3分後3.7±0.7°,6分後3.3±0.6°,9分後3.7±0.6°であり,有意差みられなかった。脳卒中者は開始時6.0±1.3°,3分後9.0±2.2°,6分後14.9±1.2°,9分後15.2±1.5°であり,Dunnetを用いた多重比較より,開始時と6分後,開始時と9分後で有意差がみられた(p<0.05)。設定角度30°での誤差角度の平均値と標準誤差において,健常成人は開始時3.9±0.7°,3分後4.5±0.7°,6分後5.7±0.9°,9分後5.9±1.3°であり,有意差みられなかった。脳卒中者は,開始時7.9±1.4°,3分後11.4±2.2°,6分後8.7±1.5°,9分後13.8±2.2°であり,有意差みられなかった。[考察]今回対象とした脳卒中者では,設定角度90°において位置覚が時間とともに変化しうることが示唆された。課題中の感覚情報は両者同じ条件のなかで,健常成人は時間の経過によって生じる変化は非常にわずかであった。脳卒中が及ぼす位置覚への影響を考えるうえで,有用な結果であったと考える。【理学療法学研究としての意義】本研究は脳卒中者における位置覚検査の経時的変化を明らかにしたことで,深部感覚に関する評価・治療に貢献しうるものである。
著者
藤原 賢吾 中山 彰一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】本校では,クリニカルクラークシップ(以下CCS)導入に向けて取り組みを進めており,第50回の本学会において,実習生に対するアンケート調査よりCCSの有益性と学生にとって肯定的イメージであることを示した。今回,実習施設の現状の指導方法,今後の方針,CCS導入に対する考えを把握する目的で実習施設へのアンケート調査を実施し,若干の知見を得たので報告する。【方法】平成25,26年度の実習施設147施設に対し,質問紙法によるアンケート調査を実施した。アンケート記入は,施設,回答者は無記名とした。アンケート内容は,①現状の実習指導方法,②発表の有無,③担当症例数,④診療参加症例数,⑤実習実施形態,⑥今後の取り組み,⑦CCS受入れ可否,⑧CCS導入に向けての不安要素,⑨CCSを導入しない理由とした。回答形式は①~⑦は多肢選択法(①②は無制限複数選択法),⑧~⑨は自由回答法とした。【結果】147施設のうち116施設から有効回答を得た(回収率79%)。設問①で多かった回答は,症例担当(99%),レポート(90%),レジメ(80%),ケースノート(63%),学習課題(57%)であった。設問②は,最終評価発表(80%),初期評価発表(34%),発表なし(9%)であった。設問③は,1名(55%),2名(53%),3~5名(9%)であった。設問④は,1~5名(53%),6~10名(21%),11~20名(9%)であった。設問⑤は,従来型(69%),施設独自のCCS形態(20%),養成校の方針に合せたCCS形態(13%),検査測定までCCS併用(1%)であった。設問⑥で多かった回答は,将来的に養成校の方針に合せたCCS導入予定(30%),CCS導入予定なし(29%),CCS導入済(19%),将来的に施設独自のCCS導入予定(13%)であった。設問⑦は,可能(40%),要検討(34%),折衷型(CCSの要素を取り入れた従来型)での受入れ(24%),不可能(5%)であった。自由回答で多かったものは,設問⑧「受入れ側のCCSに対する理解不足(19件)」「全体像把握,統合と解釈,経過的理解などが困難(19件)」「学生の自主性,実習の質の低下(10件)」,設問⑨「患者について考慮し,考えを伝えるために症例担当,レポート作成が必要(13件)」「受入れ側のCCSに対する知識,理解不足(10件)」であった。【結論】今回の調査で,CCSを導入している施設が約30%であることがわかった。また,今後CCSを導入する予定の施設を合せると約70%となり,本校がCCSを導入した際に受入れ不可能な施設は5%にとどまり,CCS導入に向けて前向きな結果であった。しかし,受入れの際に折衷型での受入れ,要検討の施設が50%以上であり,導入の際は現場に即したシステムの構築が必要であると考える。CCSを導入している施設を含め,ほぼすべての施設で症例を担当しており,経過を追える症例の必要性が示唆された。また,今後CCS導入に向けては,統一したCCSの概念,方法論を施設側に提供する事,レポートに代わる学生の理解度を評価するツールが必要である。