著者
浅野 和久 安藤 敏幸 石川 斎 岡田 哲也 岡田 まゆみ 小竹 康一 杉江 良基 杉江 予支子 須田 勝治 田口 静 田口 由紀子 永尾 栄子 長谷川 千里 日比 禎紀 日比 きよみ 古橋 徳昭 古山 享嗣 古山 智百合 山口 拓男
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.23-35, 1994-01-31
参考文献数
12
被引用文献数
5

盆地霧("放射霧")の特性を把握するために,岐阜県恵那地方で霧の観測を行った.(1)その結果,恵那地方の典型的な盆地霧は前日晴れて当日朝晴れの場合に見られ,木曽川沿いを中心に盆地底に出現の多いことがわかった.(2)盆地霧の一生は,"発生期"・"変化期"・"発達期"・"消滅期"の4段階に分けられた.(3)観測結果をもとに霧の発生から消滅までのメカニズムをまとめると次のように推論できる.霧は一旦発生すると,霧粒からの放射冷却や周囲との温度差などによって変化・発達し,霧粒の重みで降下して消滅するという過程をたどる.すなわち,霧の一生は霧の自己運動(内的要因)で説明できる.これに外的要因(地形・日射・局地風等)が加わって,拡大時期や消滅時期が決定される.(4)恵那地方の盆地霧は単純な放射霧ではなく,放射冷却の影響が強い混合霧である.
著者
松井 知子 古井 貞熙
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.41, pp.19-24, 1996-07-16
被引用文献数
4

話者認識は、発声者が誰であるかを自動的に判定する技術である。本論文では、話者認識の基本的な説明をするとともに、テキスト指定型話者照合方法について解説する。テキスト指定型話者照合方法は近年注目を集めている方法で、装置を用いるたびに装置側から新しい言葉を指定することによって、テープレコーダなどによる悪用を防ぐことができる。更に近年、高品質マイク、静かな環境で録音したデータに関しては、多くの研究機関が99%以上の高い話者認識率を報告するようになったが、背景雑音、回線歪み、事前閾値などに関する課題が残されていることを紹介する。最後に、話者認識研究の展望について述べる。
著者
豊田 啓孝 渡辺 哲史 五百旗頭 健吾 古賀 隆治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.300, pp.33-38, 2010-11-12
被引用文献数
8

送受信器が平行ケーブルで接続された3導体系の伝送線路が,システムグラウンドからある一定の距離を隔てて設置されている場合を対象として,モード等価回路を構築した.実電圧・電流の直交モード分解に基づき導出された直交モードの変換行列は,モード電圧間,モード電流間のみのモード変換を表現する.電流配分率の異なる線路を接続した場合では,線路の接続位置にモード変換電圧源やモード変換電流源を挿入することに相当する.モデル評価では,誘電体を含まない導体のみからなる簡単な系を対象とした.提案法では,ノーマルモード等価回路,コモンモード等価回路を別々に構築し,モード変換電圧源やモード変換電流源に両者を結び付けることで回路シミュレータを用いて解くことができる.解析対象を結合伝送線路と考えて回路シミュレーションで解いた場合とは非常によく一致した.さらに,フルウェーブ計算で得られたモード電流のスペクトルとも概ねよく一致した.フルウェーブ計算ではTEMモードが前提ではないため,TEMモードからのずれが計算結果に影響することを確認した.
著者
上田浩 中村素典 古村隆明 神智也
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.97-104, 2015-04-15

筆者らは大学の情報系センターでの経験から,大学等における情報倫理教育には次の3つの問題:(1)標準化と可視化がなされていない,(2)留学生への教育が困難,(3)持続可能性が低い,があり,これらの問題に対処し,大学等における情報倫理教育を充実させるため「高等教育機関の情報セキュリティ対策のためのサンプル規程集」に準拠し日英中韓の4カ国語に対応した情報倫理eラーニングコンテンツ「倫倫姫」を開発し運用してきた.2012年11月より「倫倫姫」は,学認連携Moodleにおいて,学認参加機関であれば無償で利用できるようになっている.本稿では「倫倫姫」開発・運用を総括するとともに,複数の大学等に本コンテンツを提供している学認連携Moodleの構築・運用事例とそこから得た知見を報告する.
著者
古西 勇
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E4P2267-E4P2267, 2010

【目的】正座は,靴を脱いで家に上がる文化や畳に代表される日本独自の住環境を背景に,食事や来客の対応,仏事などに際して誰にでも要求され,人生の長い期間にわたって繰り返される習慣である.正座にはかしこまった気持ちを表現するという儀礼的な意味合いが強いため,特に高齢女性では,膝痛があってもその習慣を続ける場合が多いと考えられ,女性の方が男性よりも変形性膝関節症の有症率が高いこととも関連している可能性が考えられる.地域での保健活動における理学療法士などリハビリテーション専門職の果たすべき役割の重要性は今後も増していくと考えられるが,膝痛のある中高年者,特に膝痛のある中高年女性を対象とした,正座など日本独自の習慣や文化を考慮した疫学的研究は少ない.本研究では,膝痛のある中高年者において正座の習慣の有無や,正座の習慣がない場合の理由に性別による違いがあるかどうかを明らかにすることを目的とした.<BR><BR>【方法】新潟県北部内陸にあるA市在住の40歳以上80歳未満の市民から居住地区・年齢階層・性別で抽出率が等しくなるように無作為に抽出した3600人を対象とし,平成20年度後半に郵送法による「ひざの痛みに関するアンケート調査」を実施した.回収した1866人分の回答(回収率51.8%)から,重度の障害があると回答した人を除き,性別・年齢・居住地区・身長・体重や正座に関する質問項目への回答の記入漏れがなく,回答から膝痛のあることが確認された493人(女性296人,男性197人)を分析対象とした.属性は,身長158.7±9.0cm(女性153.6±6.0cm,男性166.3±7.3cm),体重58.7±10.3kg(女性53.9±7.8kg,男性66.0±9.2kg),BMI23.3±3.3kg/m<SUP>2</SUP>(女性22.9±3.2kg/m<SUP>2</SUP>,男性23.9±3.3kg/m<SUP>2</SUP>)[平均値±標準偏差]であった.正座に関する質問は,普段正座をする習慣があるかないか,それがないとしたら理由は正座が困難なためか必要ないためかという2項目とした.正座の習慣の有無と性別との関連と,正座の習慣がない場合の理由と性別との関連を明らかにするため,χ<SUP>2</SUP>独立性の検定を行った.有意水準は5%とした.<BR><BR>【説明と同意】アンケートの調査票の1枚目の扉に,回答が匿名化情報として処理されることを明記し,回答をもって「みなし同意」とした.<BR><BR>【結果】正座の習慣の有無と性別との関連において,女性では習慣ありが215人(72.6%),なしが81人(27.4%),男性では習慣ありが111人(56.3%),なしが86人(43.7%)と女性が男性に比べて習慣ありの割合が有意に大きく(p<0.001),オッズ比は2.06であった.正座の習慣がない場合の理由と性別との関連において,女性では困難のためが61人(75.3%),必要ないためが20人(24.7%),男性では困難のためが50人(58.1%),必要ないためが36人(41.9%)と女性が男性に比べて困難のためという理由の割合が有意に大きく(p=0.019),オッズ比は2.20であった.<BR><BR>【考察】本研究の結果から,膝痛のある中高年者の中で,女性は男性に対して正座の習慣のある人の割合が大きく,その習慣がない人の中でも正座が困難なために普段の正座を控えている人の割合が大きいことが示唆された.既に膝痛のある人にとって,正座の習慣を続けることは膝痛の改善を妨げ,変形性膝関節症の発症や症状の進行のリスク要因となる可能性が考えられ,習慣や住環境など国際生活機能分類(ICF)でいうところの背景因子への働きかけを含めた地域での保健活動が必要と考えられる.今回の結果で,正座の習慣がない人の中で,その理由が正座をする必要がないためと回答した人が,自宅でどのような座位をとっているのかまでは明らかにできなかった.今回の結果は,農村部で一般的な畳や襖,縁側などのある開放的な家屋の多い地域を対象とした調査に基づくことから,より都市型の住環境の多い地域など,異なる地域へも調査範囲を拡大することも今回の結果を一般化するために必要と考える.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】地域で在宅の膝痛のある高齢者や中高年者を対象とした理学療法介入の研究は行われているが、正座のような習慣や住環境へのアプローチを含めた研究は少ない.本研究は,理学療法士の職域を地域へと拡大していくための有用な情報を提供した.
著者
本間 幸子 伊藤 昭治 古藤 高良 池上 晴夫
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.98-107, 1992-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
23
被引用文献数
2 6

加速度脈波と血圧の関係および加速度脈波の各波の生理的な意義を明らかにすることを目的として, 男子学生5名を対象に, 上腕圧迫によって末稍血流が変化する際の指尖容積脈波, その二次微分波および指動脈圧波をbeat-by-beatに測定した.得られた結果は以下の通りであった.1.収縮期血圧の上昇によって加速度脈波のa波は上昇し, bおよびe波は下降するのに対して, 拡張期血圧の増大によってa波は下降し, bおよびe波は上昇する傾向にあった.また加速度脈波は細動脈弾性率によっても大きな影響を受け, 弾性率がノ1丶さいほどa波は上昇し, bおよびe波は下降する傾向にあった.2.加速度脈波のcおよびd波は収縮期血圧の上昇によって下降し, 拡張期血圧および細動脈弾性率の増大によって上昇する傾向があるが, それらの3要因では十分に説明できず, ほかに影響をおよぼす要因の存在が示唆された.3.収縮期血圧が上昇する場合でも, それが血流量の増加に起因する場合には加速度脈波の波形パターンはG→Aに変化するのに対し, それが末梢抵抗の増加に起因する場合にはA→Gに変化するものと考えられた.これらの結果から加速度脈波と血圧の関係は単純でなく, 血圧構成因子である血流量や末梢抵抗によって大きく影響される.したがって加速度脈波と血圧を併せて測定することが末稍循環状態をより正しく評価する上で有効であると考えられる.
著者
古賀 裕之 谷口 忠大
出版者
Japan Industrial Management Association
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.144-156, 2014

本稿では話し合いにおいて,参加者の自由な発話タイミングを阻害することなく,均等な発話を促すことのできるコミュニケーション場のメカニズムとして発話権取引を提案する.発話権取引では参加者に等しい数の発話権が与えられ,これを自由に行使することで参加者は話し合いに参画することができ,また,発話権は自由に融通しあう事ができる.このメカニズムの特徴を実験に基づいて検討した.また,経済学的な考察を与えた上で,付加的な要素として発話振興券を導入し,その導入効果を実験に基づき評価した.発話権取引は,話し合いにおいて誰かが司会を行う負担を減らし,また,意思表示や理由に関する発言数を増やすことが分かった.
著者
笠谷 和比古
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.35, pp.231-274, 2007-05-21

武士道をめぐる研究の中で注意を要することは、新渡戸稲造の『武士道』に対する評価が、専門研究家の間においては意外なほどに低く、同書は近代明治の時代が作り上げた虚像に過ぎないといった類の非難がかなり広範に存在するという事実である。

2 0 0 0 OA こどものちえ

著者
古屋白羊 著
出版者
ます美書房
巻号頁・発行日
1952
著者
杉本 憲彦 ファン ミントゥン 橘 完太 吉川 大弘 古橋 武 水田 亮
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集 (ISSN:13428004)
巻号頁・発行日
vol.2008, 2008-09-04

We propose a high speed method to detect vortex using a streamline with enhanced curvature, which is useful to identify tropical cyclones in huge climatology data. In the proposed method, center of vortex is detected by iteration of streamline from some initial points automatically. This method has high accuracy and low computational cost, because it does not need to check empirical conditions at all grid points, contrary to the case of conventional method. We also extend the method to evaluate intensities and influential ranges of detected vortex. The accuracy of the method is checked using observational and climate model data. Results suggest that this method is applicable to risk-assessment of tropical cyclones under global warming simulated by high resolution models.
著者
古山 道太 服部 勉 進士 五十八
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.377-380, 2005-03-31

Shiki-an Garden(Negishi, Taito Ward in Tokyo) is a garden inside the residence where Shiki MASAOKA(a superior haiku poet in the Meiji era) had lived for about 9 years from 1894 (the year 27 in the Meiji era) before he passed away by the vertebra caries of disease in 1902(the year 35 in the Meiji era). In this research, it emerged the garden's sort, form, position and terms of plants and facilities in the garden, from some analyses about 398 articles of Shiki's essays, poems (haiku, tanka, and new-style poetry), pictures, letters, reminiscence notes of his pupils, old garden photos and pictures. In addition, I made 9 ground plans year by year which are re-creating garden scenes in his life. As a result, this garden was classified into three kinds of era, and had each of different garden scenes. It also could be inferred that a progress of garden scenes considerably concerns with a growth of his disease and a change in his view.
著者
菊池 哲平 古賀 精治
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.21-29, 2001-09-30
被引用文献数
3

自閉症児・者における情動理解の特徴を明らかにするため、顔写真を用いた表情認知能力と表情表出能力の実験的検討を行った。自閉症児・者とその母親および彼らと接触経験のない大学生が3人一組になり、それぞれの「嬉しい」「悲しい」「怒っている」時の情動を表した顔写真をお互いに判定してもらった。統制群である健常幼児と比較したところ、主に次のような結果が認められた。1)他者である大学生や母親の顔写真に対する自閉症児・者の正答率は健常幼児と比較して低かった。2)自閉症児・者が表出した表情を他者である大学生や母親が判定した場合、健常幼児の表情に対する場合と比べ正答率が低かった。3)自閉症児・者が表出した表情を自閉症児・者自身が判定した場合、健常幼児と比べて正答率に差がみられなかった。4)自閉症児・者の表情認知には健常幼児とは異なり「嬉しい」表情の優位性が認められなかった。