著者
伊澤 光 古川 明 丸山 澄 堤 博文 小室 歳信
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.89-97, 2019 (Released:2019-01-31)
参考文献数
12

We experienced a case of successful identification of an unknown body found at breakwater based on root canal treatment. After matching the dental findings of the body to the treatment history of individual's dental records, 23 teeth showed agreement in findings. Although 8 teeth did not agree in findings, they were consistent in terms of dental treatment history. There was inconsistency in the remaining tooth. This tooth was determined as intact, but the dental records indicated the existence of a resin composite restoration on that tooth. However, that inconsistency never became a critical determinant factor. Comparison of periapical radiographs of the body with the dental records revealed that the right mandibular first premolar teeth showed considerable similarity to the images of a broken endodontic instrument and a alveolar bone resorption caused by the leakage of root canal sealer at the middle of the root. Given the above information, we concluded that the identification as the same individual is reasonable. It was thought that a case where the findings of a dental medical accident helped to confirm the identity was unusual.
著者
古村 沙智代 佐々木 宣介 橋本 剛 飯田 弘之
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.27(2001-GI-007), pp.33-39, 2002-03-15

将棋種の起源に関する研究はたくさんなされているが,文献上の記述があいまいで,実際にどのようにプレイされていたのかを正確に知ることはできない.そのような中で,将棋種の進化論的変遷を解明するためにゲーム情報学的アプローチと呼ばれる,コンピュータ解析を用いたゲーム比較が注目されるようになった.本稿では,その過程と,今後の課題,そして,現時点で取り組むべき,重要な課題について述べる.本稿で焦点を当てる2点は,将棋種の進化の過程で盤サイズの大きい将棋種はほぼ絶滅したにもかかわらず生き残っている中将棋,そして,詰めの概念が導入された経緯,についてである.
著者
津波古 澄子 中島 恵美子 三浦 友理子 藤野 ユリ子
出版者
清泉女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

看護教育者を対象に、変化への柔軟な対応力と看護実践力を育む領域横断的「概念基盤学習」の実践をとおして看護教育の質および指導力(学習コーチングと臨床コーチング)の向上を図るために、教育ネットワーク創りと実装支援研究を行う。具体的には、看護教育において高頻度で使用する概念をベンチマーク(先行研究, Giddens ら,2012)で抽出し、共通概念を基に学習支援に向けた指導用の教材を完成させ、新たな看護教育の選択肢の一つとして提供する。なお、作成した指導用教材は研究協力校および導入希望校(看護系大学と看護専門学校)に配布し、必要に応じて教育支援と評価を行う。
著者
岡田 啓司 古川 岳大 安田 準 内藤 善久
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.713-718, 2002-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ホルスタイン種乳牛25頭を適正 (N) 群, 高デンプン (S) 群, 高タンパク (P) 群の3群に分け, 血中乳酸 (LA) およびアンモニア (NH3) 濃度とルーメン環境との関連を検討した. S群のルーメン液中総原虫数は採食後に著しく減少し, 活性度も低下した. ルーメン液中LA濃度は光学活性の異なるD-LA, L-LAともに採食後2時間に増加し, ルーメンpHはその後も低下し続けた. ルーメン液中および血中それぞれのD-LAとL-LA濃度との間には正の相関があった. ルーメン液中NH, 濃度はP群で採食後2時間以降に著しい増加を示したが, N群およびS群では採食後4時間に減少した. 採食後4時間のルーメン液中と血中NH3濃度に相関があった. 以上より, 血中NH, 濃度は, 乳牛が摂取した飼料中のタンパク質のルーメン内における消化の状態を反映していると考えられた.
著者
佐保 美奈子 入江 真行 古山 美穂 山田 加奈子 髙 知恵 島田 憲次 松本 富美 位田 忍 小杉 恵 岡本 伸彦 石見 和世 松尾 規左 鶴丸 礼子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

総排泄腔遺残症の思春期女性の学業・就労・恋愛・結婚への支援について研究した。①性の多様性と理解 性分化疾患については、医療者も対応に苦慮しているのが実状で、社会全体で理解促進が必要である。②障がい者の就業支援 排泄障害を持つほとんどの者が上司や同僚からの配慮を必要としている。職場・社会全体の理解促進が必要である。③障がいをもつ女性のエンパワメント 総排泄腔遺残症の女性とパートナーのもつ思いやり・やさしさ・強さなどを社会に発信していきたい。研究成果物として、『膣拡張用樹脂製ダイレーター』『総排泄腔遺残症ってこんな病気』『総排泄腔遺残症の就労支援』『DSDの子どもをもつご家族の皆様へ』などがある。
著者
久保 宏紀 金居 督之 北村 友花 古市 あさみ 山本 実穂 小林 実希 野添 匡史 間瀬 教史 島田 真一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11130, (Released:2016-03-29)
参考文献数
37

【目的】脳内出血患者における急性期病院退院時の機能予後およびその要因を検討すること。【方法】2013年4月~2015年3月に入院となった脳内出血患者88例(男性76%,平均年齢65.2 ± 11.2 歳)を対象に,退院時modified Rankin Scale を用い予後良好群と予後不良群に群分けし,機能予後に影響を及ぼす因子およびそのカットオフ値を検討した。【結果】Cox 比例ハザード分析の結果,退院時機能予後に影響を与える因子として年齢(p = 0.008),入院時NIH Stroke Scale(p = 0.001)および離床開始日(p < 0.001)が抽出され,各カットオフ値はそれぞれ66 歳(感度:0.758,特異度:0.582),7 点(感度:0.970,特異度:0.818),2病日(感度:0.788,特異度:0.836)であった。【結論】脳内出血患者の急性期病院退院時の機能予後は年齢,重症度,離床開始日が関連している。
著者
宮﨑 涼子 徐 東帝 西垣 安比古 水野 直樹
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.707, pp.193-201, 2015

The focus of this paper is the Keijō toshi kōsōzu (Illustrated Plan for Keijō City), which includes drawings of planned Government-General facilities within Gyeongbokgung Palace. These illustrations offer rich clues about the Government-General's plans to renovate Gyeongbokgung during the period of Japanese colonial rule over Korea. This paper will highlight aspects of the Keijō toshi kōsōzu that show the due consideration had not been given, and suggest that the designs reflect the ideas of their creator.
著者
古谷 良輔 岡田 保誠 稲川 博司 小島 直樹 石田 順朗 佐々木 庸郎 吉村 幸浩
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.106-112, 2008-02-15 (Released:2009-06-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

今回われわれはフェノバルビタール合剤を大量服用し,初期治療によりいったん意識レベルの改善を認めたものの再度意識障害が再燃するという特異な臨床経過をたどったために治療に難渋した症例を経験した。症例は31歳の男性。統合失調症で他院通院治療中であった。自室でベゲタミン®を大量服用し昏睡状態に陥っていたため当院に搬送された。到着時の意識レベルはE1V1M1/GCS,両側縮瞳・対光反射あり,努力様呼吸30/min,血圧107/60mmHg,脈拍111/min,SpO2 95%,気管挿管人工呼吸管理下で治療を開始した。服薬後,長時間が経過していたため当初活性炭投与は施行しない方針であったが,自発呼吸と脳幹反射の消失を認めたこと,カテコラミン抵抗性の遷延性低血圧が顕在化したこと,血中フェノバルビタール濃度が122.8μg/mlと致死的濃度であったこと,さらに胸腹部レントゲン写真で胃内に薬物塊様の像を認めたことから,胃洗浄,活性炭の反復投与,さらに活性炭吸着カラムによる血液吸着療法(DHP)を施行した。DHPを 3 回施行後,血中フェノバルビタール濃度は22.5μg/mlと低下,意識レベルはE3VTM6/GCSまで回復した。しかし12時間後血中濃度は101.2μg/mlと再上昇,意識レベルは再び低下し脳幹反射も消失した。この現象は,過量服用した製剤に含有されるクロルプロマジンとプロメタジンの抗コリン作用と,活性炭反復投与によって麻痺性イレウスとなり,腸管内に残存した活性炭-薬物複合体から腸管内へフェノバルビタールが遊離し,さらに腸管内と血中の濃度勾配の拡大に伴う受動拡散・再吸収が生じたことによると思われた。そのため,腸管洗浄を併用下で,DHPをさらに 4 回施行し,その後フェノバルビタール濃度は中毒域以下となった。ベゲタミン®製剤の致死的過量服用症例に対して,活性炭を反復投与する場合には,活性炭による腸管閉塞を回避するばかりでなく,活性炭-薬物複合体の排泄を促進するためにも,下剤の同時投与や,投与後12時間で活性炭便の排泄がない場合は全腸管洗浄の併用を考慮すべきである。
著者
後藤 久貴 宮副 誠司 江崎 宏典 松本 武浩 八橋 弘 井上 長三 古賀 満明 矢野 右人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.701-703, 1999-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

症例は32歳,女性.発熱,両側季肋部痛を呈し来院,炎症所見以外に腹部エコー, CT等の画像検査では腹痛の原因を確認できなかったが,腹腔鏡検査にて肝周囲に典型的なviolin-string状の線維性癒着を認め,腹痛は,既往歴と併せ,クラミジア肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)によるものと診断した.癒着の切離にて腹痛は消失,診断,治療に腹腔鏡が有効であった.クラミジア感染症の増加に伴い,腹痛の原因疾患としての本症に対する認織は重要となると考え報告した.
著者
高橋 由依 隈元 庸夫 世古 俊明 三浦 紗世 工藤 夢子 松田 由衣 永井 孝尚 橘田 岳也 大内 みふか 篠原 信雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11682, (Released:2020-05-20)
参考文献数
36

【目的】本研究の目的は,腹圧上昇肢位が骨盤底筋と体幹・下肢筋群の共同収縮に及ぼす影響を検討することである。【方法】若年未経産婦15 名(平均年齢25.5 ± 2.5 歳)を対象とし,肢位要因(背臥位,立位,中腰位,中腰位で重量物を挙上した肢位(重錘挙上位))と課題要因(安静時,骨盤底筋収縮時)の2 要因での腟圧値と筋活動量(腹直筋,外・内腹斜筋,多裂筋,大殿筋,股内転筋)の比較と,各肢位間で骨盤底筋収縮時における被験筋筋活動増加率について比較検討した。【結果】課題要因では骨盤底筋収縮時に腟圧値と各筋活動量が有意に高値を示し,肢位要因では中腰位と重錘挙上位で腟圧値と各筋活動量が有意に高値を示した。筋活動増加率は内腹斜筋が背臥位,立位,中腰位で他筋よりも有意に高値を示した。【結論】内腹斜筋は他筋と比較して,中腰位,背臥位,立位において骨盤底筋との共同収縮筋としての活動が増加することが示唆された。
著者
増田 啓子 東 珠実 鈴木 真由子 吉本 敏子 古寺 浩 田崎 裕美 村尾 勇之
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1105-1113, 2000-12-15

本研究はアメリカの家政系学部がスコッツデール会議(1993)における名称変更の決議をどのように受け止め, 家政学についてどのような問題意識をもっているかを明らかにする事を目的とする. アメリカ家政系学部の部科長を村象に1995年9月にアンケート調査を実施した結果, スコッツデール会議で採択された新しい名称「Family and Consumer Sciences(FCS)」については, 支持する回答が61.0%を占め, それに伴い学部名称をFCSに変更する動きがみられた. さらに1998年の追跡調査によると, FCSを用いている大学は20校から46校に増加し, Home Economicsは60校から28校に減少した. アメリカ家政学の名称変更をめぐる背景には, プロフェッションの認識とそのアイデンティティをめぐる様々な問題に対し, 名称変更によってその状況を改善しようとする動きが見られた.